男の痰壺

映画の感想中心です

めんたいぴりり

★★★★ 2019年1月28日(月) 大阪ステーションシティシネマ
イメージ 1
TVドラマはほとんど見ないし、だいたい九州以外で放映したのかも知らない。
そういうTVドラマの映画版ということで、勝手知ったる馴染みの面子が演じる…って感覚は無い。
 
のっけから博多華丸が飛ばしに飛ばす。
関西在住の俺からすれば、吉本新喜劇に近いノリで、はあ、そういうことやったら了解と思えるのだが。
どうやろか、安っぽい大芝居と言われたらそんな気もせんでもないっす。
それにしても、そんなに漫才を熱心に見てるわけでもないので、大吉はともかく華丸を見たんは久しぶりやったが、こんな西川きよしのそっくりさんみたいなんやったろか。
って言うかタイムショック児玉清ネタくらいしか思い出せないんですが。
 
まあ、それでもこれは戦後の復興期のまだまだ貧しかった庶民の悲喜こもごもを描いて、昨年の「焼肉ドラゴン」と好対をなす良作だと思う。
正直、基軸になる「美味いめんたいこ」作りっていう肝心の柱はけっこうないがしろだ。
ここでのめんたいこは、料理をネタにした多くの映画でのこれみよがしなフェティッシュではない。
 
代わりに多くのエピソードが錯綜しつつ語られる。
肝は息子の同級生の貧乏な少女と主人公の従軍時のエピソード。
この2つは徹底的に心情がこもっている。
あと印象的なのが、柄本時生、でんでん、高田延彦のエピソードだろう。
 
そして、濃い華丸を受けて拮抗する富田靖子の笑顔とテンション。
気持ち悪くもさらりとかわす大吉の客演も良。
 
めんたいこを食フェチ的に捉える了見は更々なく吉本新喜劇ばりに華丸の爆走に任せる安さが良い。戦後の間もない日本は貧乏だが活力に溢れていた。そんななか少女は異郷へ旅立ち戦友の霊は冥界へ誘う。カオスに塗れた時代を描いて『焼肉ドラゴン』と好対。(cinemascape)