男の痰壺

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半世界

★★★ 2019年2月16日(土) TOHOシネマズ梅田6
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阪本順治のオリジナル脚本だそうだが、なんか構築仕切れていない感じがする。
多くの挿話が点在して、それらが連関しながら全く新たなものを産み出すってのが構築の醍醐味だと思うのだ。
 
3人の幼馴染の話だが、主要な要素は長谷川博己自衛隊を辞めて帰郷することから転がる。
のだが、この言わば戦争後遺症的なトラウマは米映画のベトナムもので見飽きた内容。
稲垣吾郎の高校生の息子がイジメにあっていて、その顛末も通り一遍である。
 
幼馴染っていいよね…って話の匂いもするが、そこに耽溺するわけでもない。
で、仰天の結末が訪れるのだが、そうするべき或いはそうなって然るべきって感じもぜんぜん無いのだ。
まあ、正直よくわかりません。
 
役者陣がいいので見ていて退屈ってわけでもなかった。
なかでも、池脇千鶴は相変わらず良い。
彼女に関するエピソードが一番納得性がある気もする。
同窓会に出かけた筈が、家の苦境を考えて営業に行く件とそれに続く帰路での悲報を受ける場面。
電車の走行を外から撮って車内で彼女が崩れ折れる。
このショットが一番秀でていた。
 
多くのエレメントが投入されるが有機的に構築され新たな何かを産み出すわけでもない。戦場トラウマやイジメ顛末は陳腐で今更。ドラマトゥルギー無視の主人公の行く末は人生そんなもんだが卓袱台返しの感も。そんな男のバカ話を千鶴が脇で必死に支えてる。(cinemascape)