★★★★ 2019年3月5日(火) 大阪ステーションシティシネマ12
物語はありきたりで、下層社会と支配者階級の社会がある構図は、近年ではブロムカンプの「エリジウム」が思い浮かぶが、もっと言えばずーっと昔から描かれてきた世界観だ。
記憶をなくした主人公が、スーパー戦闘マシーンだったってのも「ボーン」シリーズなど枚挙に暇がない。
いまさら、キャメロンやロドリゲスに期待ももてない俺なのだが、まあ腐っても鯛っていうか、それなりのもんには仕立ててるんだろうとも思った。
そして、そのとーりでありました。
半機械化人間がうじゃうじゃいる世界観が徹底して分厚いのでボロが出ません。
あのお目目ぱっちりのアリータのキャラが真ん中にいることで、不思議と世界が親和している。
ロドリゲスとしては、異形人間博覧会の趣のあった「シン・シティ」をものにしているので、こういうの得意なんだろうし、キャメロンがそこまで読んでいたとすればたいしたもんだと思うのだ。
そのへん、あくまで中心が生身の人間キャラでまわり宇宙人の「スター・ウォーズ」の胡散臭さと一線を画している気がする。
まあ、全篇CGまみれの映画の虚しさはあるんですがね。
そのへん、クリストフ・ヴァルツやジェニファー・コネリーといった演技派を用いて幾許かはカバーし得てたと思う。
設定された階級社会と忘失された過去に延伸するキャラは古雑巾なのだが、半機械化人間がうじゃつく世界観が徹底して分厚いのが魅力で、お目目ぱちくりキャラが中心に居ると世界が親和しCG塗れを毒をもって制すの感。重しヴァルツ&コネリーも十全。(cinemascape)