男の痰壺

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岬の兄妹

★★★ 2019年3月10日(日) テアトル梅田1
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絶賛に近い評価を得ている。
ポン・ジュノ山下敦弘の助監督を経てデビューという分厚い経歴の片山慎三の処女作。
期待は最高潮であったが…。
シビアな現実の直視にせよ、ブラックな笑いにせよ甘いと感じました。
 
兄妹は追い込まれる。
自閉症の妹をかかえて、足に障碍を持つ兄は勤務先の造船所を解雇される。
またたくまに家賃の取立てや、電気代の督促に追い立てられる。
そして、食事代にも事欠く。
こういう一連の登場人物の追い込みが生ぬるい。
もっと足掻かせろと思ってしまうのだ。
そして、細部の具体的な貧窮がなんか在り来たりで意外性がない。
俺は似たようなバジェットで、おそらく似たようなフィルモグラフィーのポジションに位置するだろうタナダユキの「赤い文化住宅の初子」が脳裏を掠めたのだが。
ブレッソンとまでは言わずとも、あの作品くらいの峻厳さがほしかった。
 
しょーもないところが気になる。
開巻、紐でくくられて家に閉じ込められていた妹だが、その後括られる描写は出てこない。
こういうのは、はったりかましただけに見える。
何日も食えなくてティッシュ食うほどの状態で、やっとこさありついたマクドだが、あんなに暴食するやろか。
最初の数口はほおばっても、そのあとしみじみ味わってかみ締めるんじゃなかろか…とか。
 
いいところもある。
特に小人症の客に妊娠した妹を押し付けようとした兄が切って返される件。
「ぼくだったら、引き取ると思ったのか」の言葉は差別意識を見透かされた強烈な一撃であった。
こういう痛烈さが、あといくつかでもあればと思った。
 
ラストのクレジットで、産婦人科の女医が風祭ゆきだと知った。
考えてみれば、主演の和田美沙はどことなく宮下順子に似ているかも。
その割には濡れ場のつっこみも物足りない。