男の痰壺

映画の感想中心です

記者たち 衝撃と畏怖の真実

★★★ 2019年3月30日(土) 大阪ステーションンシティシネマ5
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誰を、おるいは何を撃とうとした映画かわからない。
もしくは、撃つべき相手を当たり障りないとこで済ましてる感じがする。
 
イラク戦争の開戦理由の大量破壊兵器が存在しなかったことが、明らかになった現在。
それを、当時のネオコン一派とブッシュが如何に扇動し誤った道へ突き進んだか。
ってのを、当時からデマゴーグと見抜いていたマイナー新聞社があったとさ。
で終わってる話だ。
 
この映画を見てると、政府内や専門家のかなりの人間が、その「嘘」に気づいていたことがわかる。
新聞社ナイト・リッダーは独自の印刷工場や販売網を持たないので、わかっていてもそれを流布できない。
で、開戦に至って「オーマイゴー」ってなわけなのだ。
 
おそらく、ニューヨークタイムズワシントンポストなどのメジャー紙の内部でも気づいた者はいただろう。
しかし、政府との関係上、完全な敵対ポジションはとれない。
その軋轢が描くべきところと思う。
 
また、ビン・ラディンとつるんだ憎っくきフセインをぶっ殺せ!
と扇動される民意。
それもまた、撃たれてしかるべきであった。
 
逃亡先の穴倉のようなところから引きずり出されるフセインの映像をかすかに覚えている。
それを、今、アメリカ国民や我々は胸に刻み込まねばならない。
ラムズフェルドは極悪人ってだけじゃすまない話やろと思うのだ。
 
その事実を如何に流布させ暴虐を喰い止めるかが肝であるのに気づいてただけで安住する作りはオナニーにすぎない。ネオコンの我田引水は悪逆だが扇動された大衆も撃たれて然るべき。そのスタンスは及び腰。描くべきはその悔恨が現在のSNS隆盛に繋がる帰結。(cinemascape)