男の痰壺

映画の感想中心です

ウィアーリトルゾンビーズ

★★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOソネマズ梅田5
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冒頭から、親が死んだって悲しくない…なんてほざくガキが出てくる。
そいつが又、ゲームばっかしてる小僧で、けったくそ悪い。
親が死んでも悲しくないってのはいい。
でも、そいつがゲームボーイみたいなのでゲームばかりしているディスコミ少年ってのに連結するとイヤ。
それが、現代なのさって言われるのもイヤ。
あー、CMあがりの新人監督のこれみよがしな判ったような御託を聞かされるのかよ。
なんて、引いた目で見ていた。
 
ところが、この映画、30分過ぎたあたりから急展開する。
ゲーム小僧と一緒に家出する面子が、幼い人生ながら血肉を噴き出させる経験値を持つ。
彼ら彼女に塗れて旅するうちに、ゲーム少年もなんだか変わっていく。
そして、忘れていた親への思いを少しばかり思い出す。
 
ありとあらゆるキッチュでヘビーでチープでセンチメンタルでときにイカした意匠をぶち込んだ闇鍋。
でも、本質の性根は太い。
すばらしいラストシーンであった。
ちょっと、これは当分尾を引きそうだ。
 
ここ、数年の日本映画の新人枠は女性監督に牛耳られていた感があったが、昨年あたりから、男性の若手が台頭してきたように思う。
喜ばしいことだ。
 
レトロゲームに擬えた展開の随所に差し込まれるリアルワールドの呵責ない現実との錯綜をキッチュとユーモアとバイオレンスで統御する目眩く混沌なのだが、スポイルされた子供たちへの連帯の呼びかけは真摯と思う。そして乗り越え踏み出すのだとの熱いエール。(cinemascape)