男の痰壺

映画の感想中心です

ザ・ファブル

★★★ 2019年6月20日(金) 大阪ステーションシティシネマ
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冒頭の殺戮シーンで、いらん小技を効かせやがってと、一挙にテンションは下がった。
監督の江口カンは前作「めんたいぴりり」では朴訥ともいえる作風だったに、チャラくなりやがってとも。
 
土台、ボスに言われたら、1年間を市井人として平凡に暮らすって無茶ぶりにも素直に従う。
そういう、自我が確立していない主人公なら、そのへんをもっと粘って描いてほしい。
世の営みに、戸惑いながら慣れていくって肝心要を描くに、表層のギャグでお茶を濁している。
 
まあ、見どころもあった。
とりまく役者陣。
相変わらずに圧倒的な柳樂。目力が半端ない。
彼に引っ張られて、どうかと思った向井や安田もまあ、好演といっていい出来だと思う。
 
が、しかし、所詮は不殺のシバリがあるクライマックスはどうしたって残尿感が拭えない。
山本美月ちゃんが可愛いかったからええけど。
網タイツってのが効いてます。
 
殺人マシーンとして育てられた男が市井人としてのアイデンティティを確立する話は表面づらのネタをギャグ混じえて塗すだけだが、眼力柳楽に感化された向井・安田など役者陣の踏ん張りが中盤を牽引。しかし、所詮は不殺シバリの残尿感は拭えない。(cinemascape)