男の痰壺

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アルキメデスの大戦

★★★★ 2019年7月28日(日) MOVIXあまがさき9
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全然見る気もなかった映画なのだが良かった。
 
めったにないのだが、女房が「天気の子」みたいとか言い出して、すでに見てるとはとてもじゃないが言い出せず、やむなく出かけたのだが、「君の名は」もまったく同じパターンで2回も見る羽目になった苦い思い出がよみがえり、道中でアニメなんざガキが見るもんやとか、やっぱ俺としては戦争映画のほうがええわとか、おまえ菅田将暉すきや言ってたやんけとか言い続けたわけなのだが、やっぱ決め手は「菅田将暉」で「あの子ええ子やなあ、頑張ってるやん」とか言い出し「シメタ!」となった。
 
まあ、菅田将暉がなぜにご婦人方の心をつかむのかの真理について知ろうという気もおきない俺ではあるが、
この映画の彼は、一種ふりきれており、この振り切れがないと、茶番になりかねない役であった。
よう演ってたと思う。
 
構成がいいと思う。
のっけに大和が撃沈される様がかなりの尺と丁寧さで描かれる。
そして、戦闘シーンは、結局そこしかない。
あとは、時間が遡及して、帝国海軍内部における戦艦推進派と空母推進派の軋轢と互いが主張をどうやって通すかの、いわば「プロジェクトX」戦時版。
そして、その主たる流れも、戦艦派の予算見積もりが変の1点を打ち砕くってことで単純きわまりない。
そういう単純明快な流れに乗っかって先述の菅田のグイ押し演技がモーレツに起動する。
 
正直、山本五十六舘ひろしだあ?の軽ーい将校連の橋爪、國村を交えての漫才も適度な刺身のつまに思える好循環であります。
田中泯1人まじめくさってるやんの違和も終局の対峙での大講談のハッタリで納得です。
いくらなんでも、そんなご立派なやつおったわけないやんとは思いますが。
 
天才を翻意説得するなど舘五十六のヤンキー脳では無理やろが罷り通る映画帝国の愛すべき虚構。単線構造のプロジェクトXを牽引する菅田の振り切れの横で徐々に感化される柄本も好佇まい。大団円後、世界観を転倒させる悪魔の囁きも気が利いてる。(cinemascape)