男の痰壺

映画の感想中心です

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ふきげんな過去

★★★ 2016年6月25日(土) テアトル梅田1 全篇狙ってる感が横溢し、だから?と心中呪詛を念じつつ見たが、こうまで徹底すると絶対映画に近づいたかもと思ったり。キョンキョン・ふみ共にダルさを精一杯表現するがどっか無理感がある中、脇を固める女たち4人…

イナゴの日

★★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 兎に角、嫌らしい奴と情けない奴しか出て来なく、悪が弱者を駆逐していく構図の先端に少年を配するという徹底振りが突き抜けている。スペクタキュラーな要素も織り込んでハリウッドへの憎悪を込めた退廃ムードが出色。(cinema…

破門 ふたりのヤクビョーガミ

★★★★ 2017年1月28日(土) 梅田ブルク7シアター3 まあ「ミナミの帝王」みたいな話で、ストーリーラインにさほど新味は無い。 シリーズを途中から見たような前置き無い展開が剛毅で好ましい。 関西系の役者に拘り、関西弁の丁々発止な台詞を朗々と詠ずる。 …

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際 作為を排するにしても世界が未だ知らなかったという状況をもっと打ち出さないと衝撃は無い。プロデューサーとディレクターの対立も描かれるが証人喚問の開始とともに視聴率アップで済崩しになるあたり、その程度かとも…

破戒

★★★ 1977年11月20日(日) 東梅田シネマ 冒頭の屠殺場面で感じた崑の才走り感が何となく邪魔。物語の本質を外しているわけではないが、微妙に根幹に訴求してこない。ひとつの題材として完璧に料理しましただけでは喰い足りない。端正なモノクロの粋とも言える…

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

★★★ 2017年1月23日(月) 新世界国際 シリーズ前2作は未見です。 劣化というよりお婆ちゃん化が著しいレニーだが、2人のセレブ男にモテモテというお伽噺。 であるから、2股かけて妊娠のどっちの子やねんな設定もインモラル臭はなく、モテて良かったねの安…

ひな鳥の冒険

★★★★ 2016年7月27日(水) TOHOシネマズ梅田10 子供の頃毎日が新しいステージへの挑戦で、おっかなびっくりでもクリアしていけたその成功体験の幸福。初めて海中から水中眼鏡越しに見た水面の煌きの感動を50年ぶりに想いだした。ただ露払い役の細緻なC…

ワイルドバンチ

★★★★ 1976年12月21日(日) ビック映劇 1998年12月19日(土) パルシネマしんこうえん 砂塵と血糊と汗と唾液と酒と精液にまみれた西部にモンタージュされた高速度撮影の野郎どもの連帯の機微と哀愁。静と動を頻繁に往還する構成は螺旋状に濃度を高めクライマック…

日本妖怪伝 サトリ

★★★★ 2017年1月23日(月) シネヌーヴォ 妖怪サトリは山谷初男の小太りおっさんで人の心を読むのだが、その設定にさしたる意味も無い。 映画の主眼は緑魔子のモラトリアム女性のノンシャランな行動を追うことのようだ。 緑魔子は初見ではないが、今までで一…

マーシュランド

★★★★ 2016年7月9日(土) 新世界国際 映像主義的皮相に陥りそうな作風だがポン・ジュノ的に風土が産む闇への親和傾向が現出しリンチ的に何重にも錯綜した混沌を呈するあたり、一筋縄でいかない。ただ、うっちゃりめいた終局は更なる闇を深化させる同時にどっ…

スケアクロウ

★★★ 1976年1月11日(日) 毎日文化ホール 1980年5月22日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 漫画のようにキメキメの寓話めいた出会いのシーンから始まる割には寒々しいリアリズムな世界で終始するのが少しバランスを欠いてるように感じた。役者は巧いが侠気は…

新宿スワンⅡ

★★★ 2017年1月23日(月) TOHOシネマズ梅田3 いきがったって所詮、女の上前はねる口入屋じゃねえ? というのは置いといて、俺は前作を虚構の男騒ぎの完璧な創造物として評価する立場である。 でも、今回は流石に因縁を持つ男同士のガチ邂逅とヤクザ、ヤク中…

淵に立つ

★★★★ 2016年10月8日(土) シネリーブル梅田 舐めてると牙を剥いてくる悪意の奔流は遍く我々のすぐ隣に内在する。残念ながらそれに抗する術は無いのだという諦念に於いて優れてイ・チャンドン的だ。カメレオン作家深田の新たな鉱脈で男優2人に四つで対峙す…

燃えつきた納屋

★★ 1974年12月22日(日) 伊丹グリーン劇場 ヴィエルニーに捉えられた雪に閉ざされた閉塞感と凍えそうな寒々しさは良く出ているものの、劇的な起伏まで閉塞されては映画まで寒々としてしまった。結局、ドロンVSシニョレのキャスティング1点頼りで、それ以上…

ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄

★★ 2017年1月23日(月) 新世界国際劇場 ドイツの監督のウーリー・エデルは80年代にちょい脚光を浴びた。 「クリスチーネF」と「ブルックリン最終出口」が有名だが両方見てません。 ただ90年代に渡米しマドンナ主演で「BODY」を撮った。 これは見た…

大砂塵

★★★ 2016年10月9日(日) プラネットスタジオプラスワン 四角関係のようなものを描いてるのだが妖怪化する直前の女2人に色気もクソもなく全然そそらない。男勝りの鉄火肌にも成り切れぬので野郎どもは唐変木の烏合の衆と化する。山間でやたら爆発が起こった…

フェリーニの道化師

★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 1980年5月11日(日) SABホール 少年時代の回想は『アマルコルド』へ、監督自身が登場するフェイクドキュは『ローマ』へと伸延されて結実する。幼少時の記憶の中の残像は得てして主観に装飾された虚像なのだ。これは老いて消…

沈黙 サイレンス

★★★ 2017年1月22日(日) MOVIXあまがさき3 彼がそれを踏む。 映画はその瞬間に全てのエモーションが集約するようには作られていない。 神の在・不在を自問自答し煩悶するということ。 それは、虐殺される多くの島原の隠れ切支丹たちの姿と密接にリン…

TOO YOUNG TOO DIE! 若くして死ぬ

★★★★ 2016年7月10日(日) MOVIXあまがさき7 さして感心も出来ぬ狂騒でいっそ主役2人をヨッちゃん・ROLLYとでも総とっ替えでもすりゃよっぽど地獄らしい。が、男が彼女に対してしたこと・しなかったことへの悔恨が無限連鎖するロマンティシズムはゴン…

ひまわり

★★★★ 1976年5月30日(日) 阪急文化 1976年8月3日(火) SABホール 序盤の笑劇的導入が温いなりに効き悲劇への転調を際立たせる。絶望の中から見出した微かな希望を胸に1人行く異国。沈む気持ちに突き刺さる広大な向日葵畑と煽情的音楽は大向うを唸らせるこ…

サボタージュ

★★★ 2017年1月14日(土) プラネットスタジオプラス1 技法の突出はさほど無い。 しかし、越境感は半端無いと思う。 テロルは怨嗟や怒りに根差さない。 ただ騒乱を起こすためにある。 子供は死なないというコードは知ったこっちゃない。 当たり前に木端微塵…

64 ロクヨン 前篇

★★★★ 2016年6月5日(日) MOVIXあまがさき9 男が理のないことを通せざるを得ないとき、すり替えギリで搦め手から感情論でゴリ押しに突破する様を真正面から描く。映画は仕方ないことだと共感を漲らせている。警察機構のヒエラルキーと摩擦を多くの顔に味あ…

おかしなおかしな大追跡

★★ 1976年5月16日(日) SABホール スラプスティックはシテュエーション・コメディより難易度が高いことをマザマザと見せつけられる。命を張らんばかりの芸のみが感銘を与え得るのに坊ちゃん嬢ちゃんのママゴト芸を頭でっかちが撮ったって小賢しさしか覚え…

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

★★★★ 2017年1月15日(日) MOVIXあまがさき8 マニュアルライクな代物と高を括っていた。 なんせ俺は「ハリー・ポッター」だって1本も見たことない男なのだ。 でも、素直にハリウッドの誠心誠意の本気汁が注力された本作に平伏します。 30年代と思し…

日本で一番悪いやつら

★★★★ 2016年7月16日(土) 梅田ブルグ7シアター5 文太・松方あたりで散々やり尽された物語の焼き直しだし、綾野も成り上がり演技が『新宿スワン』とかぶる。ただ、上場企業から振り込めサギまで日本 風土に遍く蔓延する「成果主義」という怪物を徹頭徹尾フ…

シェルブールの雨傘

★★★ 1976年8月3日(火) SABホール 浪花節だよ人生は的な物語を情緒メロメロの歌曲でビショビショにまぶしてくれるので息苦しい。本来小ネタで繋ぐ挿話も歌で綴られ身に沁みない。ストーリーを今更に読み返して見るといい話なのだがストンと落ちないのだ。…

ネオン・デーモン

★★★ 2017年1月13日(金) 大阪ステーションシティシネマ2 成り上がりモノとしての体裁を保っている前半は演出も硬質にエッジが効いており良いのだが、後半、構成上の破綻が演出も浸食しグダグダ感が弥増す。 もちろん、意図された破綻なのだろうとは思う。 …

ルーム

★★★★ 2016年7月23日(土) 新世界国際劇場 映画は男を放逐しガン無視する。ひたすらに母息子に寄り添い寡黙だが真摯な視線で見守り続ける。そういうスタンスが心から的確と思う。色々あっても子はやがて母親を乗り越えていくだろう。理解と成長が世界を変容…

犬神家の一族

★★★ 1976年11月16日(日) 伊丹ローズ劇場 泥々の因縁話を欲の皮の突っ張り合い程度で茶を濁した感があり本質は遠ざかる。ジャパネスクと崑テクの融合はコンセプトは明快だが、腐乱死体の湖中ショットや金田一閃きの3連繋ぎなど冴えた断片が馴染みきれてない…

皆さま、ごきげんよう

★★★ 2017年1月14日(土) テアトル梅田2 ドリフのコントのようでもあるしシュールな寸劇がブニュエルの「自由の幻想」のリニューアルバージョンのようにも見える。 特に安い中世挿話から展開するのが意識的なのか?。 概ね映像主義的作風からは遠い。 相当…