男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ち】

血だらけの惨劇

★★★ 2016年7月23日(土) プラネットスタジオプラス1 ド派手若作りと歳相応の中年女性を往還するクロフォードの凄まじい大芝居が全ての安手ギミックを粉砕する。随所で漂う『サイコ』2番煎じ臭だが凶器をグレードアップしてキャッスルのドヤ顔が目に浮かび…

ちはやふる 下の句

★★★★ 2016年5月9日(月) TOHOシネマズ梅田9 孤高とも言えるクイーンの登壇により、ぬるま湯で屁をこいたような三角関係にも背骨が 通りウジウジ男はふっきれドS野郎は漢気を見せる。かくして作劇のベクトルは一気に 全国大会へ向かいたいが主人公が浮…

沈黙 サイレンス

★★★ 2017年1月22日(日) MOVIXあまがさき3 彼がそれを踏む。 映画はその瞬間に全てのエモーションが集約するようには作られていない。 神の在・不在を自問自答し煩悶するということ。 それは、虐殺される多くの島原の隠れ切支丹たちの姿と密接にリン…

ちはやふる 上の句

★★★ 2016年4月19日(火) TOHOシネマズ梅田6 可愛く元気でちょいドジという少女漫画の鉄板キャラを広瀬すずが見物とさえ言える熱量で演じるが、それでも尚ルーティンで退屈。カルタなのにスポ根もどきの作劇構成も『シコ』・『ピンポン』といったジャンルの…

小さな恋のメロディ

★★★★ 1976年12月28日(火) 伊丹グリーン劇場 正直、巻毛の童顔ガキの恋なんてどうでもいいのだが、英下層階級の少年少女の家庭や友人との関係のクールで完璧に自立している点。俺達の憧れはそこにこそあったんじゃなかろうか。そして、それを縁取る音楽と映像…

チャップリンの独裁者

★★★★ 1973年11月24日(土) 新聞会館大劇場 独裁者パートは時間に追われる設定がスピード感を煽りギャグ積載量も豊富で澱むところ無くチャップリンの潜在悪意が垣間見える際どさ。その分そう悪くもない床屋パートが凡庸に見えてしまうが、恒久平和をベタベタに…

沈黙の艦隊

★★★ 2023年10月4日(水) 大阪ステーションシティシネマ1 健闘してるとは思うけど、同じ原作者の映画化作としては数年前の「空母いぶき」の方を買う。あっちが仮想敵国から攻撃を受けたとき我々日本はどうするのかという命題に解を出そうとしたものであった…

地球防衛軍

★★ 2023年8月10日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 この巨大ロボはモゲラというのだが、篇中その呼称は出てこない。後付けであろう。モグラみたいな見てくれだからモゲラでいいじゃん、とまあ大方そんなとこなんでしょう。 村で盆踊りの最中、山で異変…

地球に落ちて来た男

★★ 1999年9月25日(土) 神戸アートビレッジセンター 形而上的に奥深いが故なのか、単に舌足らずな演出による自壊なのか…正直わからないのだが、状況を描くにはメリハリ無くてダラダラしんどく、主人公を描くには半端なエロティシズムが気色悪くもある。強固な…

小さな兵隊

★ 1999年8月21日(土) 神戸アートビレッジセンター アルジェ解放をめぐり敵対する解放勢力と極右軍組織という切実な題材を用いながらスパイごっこ映画しか作れない映画オタクは結果ベクトルをカリーナを女神と崇め奉ることでしか自らを語れないらしい。しかも…

地球は女で回ってる

★★★★★ 1999年4月6日(火) 西灘劇場 フェリーニのようなものではなく混沌とした内実が希求する表現が深層のところで合致し吹っ切れた領域に突入したアレンの里程標。ゲスな女狂いは必至こくメガネ親爺の七転八倒によって緩衝され小説世界のナンセンスと混濁し…

チャーリーズ・エンジェル

★★★★ 2000年11月14日(火) ユナイテッドシネマ岸和田7 狂騒ムービーは数あれど真の意味での祝祭気分を醸し出させるには躊躇の無さと素直さが必須なのだ。天下に人柄の良さを轟かせるキャメロンと甘いも酸いも嘗め尽くしたドリュー(ルーシーはよう知らん)の…

上海異人娼館 チャイナ・ドール

★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 キンスキーとイリエによって演じられる元ネタ部分と寺山お手盛りの天井桟敷他日本人俳優により演じられる市井人部分が完全遊離し失敗。日本語で演じられる中国人ドラマは興を削ぐことこの上なく無用の夾雑物だ。自信…

チェーン・リアクション

★★★★ 1996年12月15日(日) 徳山国際シネマ 所を変えつつ品を変えの途中までのパノラミックで先が読めない逃避行の展開は佳品『逃亡者』の変奏バージョンでこの監督の真骨頂だろう。往年の『007』的試みを再構築したかのようでもある。序盤のド派手さに比し…

チャーリー・イズ・マイ・ダーリン

★★★★ 2022年8発31日(水) シネリーブル梅田1 別にチャーリー・ワッツを殊更にフィーチャーした映画ではない。なのにこのタイトルなんなんやろか思いますが。 ストーンズの1965年のアイルランドツアーを記録したもので、前年に「ビートルズがやって来る…

血祭の朝

★★★ 1994年4月2日(土) みなみ会館 良くも悪くも優等生的であり、小綺麗にまとまっているものの、話法が妙にこなれ過ぎてて却って面白みがない。本来もっと激しく骨太で土俗的にプリミティブであって欲しかったと思わせる題材であるし、阿るだけで批評性が無…

蝶の舌

★★★★ 2002年2月12日(火) サンケイホール 定番通りの少年期の不安や友情や異性への想いが過不足なく綴られるが、一方で洗濯する女達や水浴する少女達等の背景描写がオリジナルで美しいのでルーティーンから免れている。不穏の予兆が顕現し急転する終盤。唐突…

沈黙の要塞

★★ 1994年8月14日(日) 新世界国際劇場 ナルシズム臭ふんぷんたる男でも他者フィルターを通せば何某かの愛嬌を醸し出す。そこがセガール映画の魅力でもあるのだが、自分で監督しちまった自惚れ鏡では救われないぜセニョール。ただジョアン・チェンが結構いい…

忠臣蔵外伝 四谷怪談

★★★★ 1994年11月27日(日) 池田映劇 『忠臣蔵』にせよ『四谷怪談』にせよ大概にして欲しいという何の新鮮味もない題材を合体させると言う臆面の無さが素晴らしいと言えば素晴らしい。深作にしか出来ぬ芸当。そのいったらんかいの混沌から佐藤浩市の何とも言え…

チョコレート

★★★★★ 2002年8月26日(月) シネリーブル梅田1 愛無き3代の父と息子の葛藤も母の肥満ガキへの憎愛も痛い。楽しい事など何も無い人生で偶然に手にした小さな幸福だからこそ身に染み入る。SEXが愛の根拠たる事をてらいなく描き清清しく、2転3転する女心を…

直撃地獄拳 大逆転

★★★ 2002年11月15日(金 扇町ミュージアムスクエア アクションもギャグも寒くてアホでいいかげんな代物だとしても、やたらテンポが良いので退屈はしない。武者人形に変装した甲賀忍者直系子孫の千葉のしてやったりの佇まいの確信振りには、やむを得ずにしても…

血を吸う薔薇

★★★ 2002年12月18日(水) 扇町ミュージアムスクエア ひとりぼっちの孤独よりも、案外2人ぼっちの孤独の方が切ないかも…と思った。加えて虐げられた者への真摯な共感意識が多少胸を打つ。所詮バッタもんでも、実直な生真面目さで作られた映画には決して唾は吐…

ちぎれた愛の殺人

★★★★ 1993年7月12日(月) テアトル梅田2 終局で底が割れるにつれ又かの失望感があったが、例によってどっぷり浸かった名美と村木の物語が、主人公に刑事を置くことで適度に客体化され、ずるずる感軽減の程よい塩梅に思えた。何より池田の語り口が徹底してダ…

TITANE チタン

★★★ 2022年4月11日(月) 梅田ブルク7シアター4 ジュリア・デュクルノーの前作「RAW」はかなり好きだったのですが、本作はここまで壊れてしまうと如何なもんかと思いました。ニコラス・ウィンディング・レフンが「オンリー・ゴッド」で半壊の旨味を醸し…

沈黙の戦艦

★★★ 1993年8月10日(火) 新世界国際劇場 セガールの思わせぶりだが本質何も考えてない的キャラとジョーンズの屈託あり気だが確信犯キャラが絶妙な対置をもたらしてる。だが閉塞空間での1人きりでの抗戦という基本構図はどう見たって『ダイ・ハード』の2番煎…

チャーリーズ・エンジェル フルスロットル

★★★★★ 2003年7月3日(木) 梅田ピカデリー1 コンセプトを貫くというのは言うほど簡単ではなく、ここまで徹底するのは並大抵ではないと思う。おきゃんな年頃というには些かトウの立ったディアスを筆頭に必死の思いの3人の馬鹿騒ぎにプロ魂を垣間見た。テンシ…

ちょっと思い出しただけ

★★★ 2022年2月26日(土) シネリーブル梅田1 見てませんけど「花束みたいな恋をした」と比較するような評を見たことがあったので、男女の出会いと別れみたいな話だろうとは思われ、そういうのはもうええかなとも思ったのだが、伊藤沙莉のハスキーボイスに悩…

チャップリンの殺人狂時代

★★★ 2003年8月7日(木) OS劇場CAP 大不況下の絶望感を滲み出させてソクソク身に沁みる物語だけに、トレードマークは脱ぎ捨てても残るチャップリンの尻尾が煩わしい。有名なラストの演説も戯言にしか思えない。何故なら物語は其処に収斂するようには組ま…

着信アリ

★★★ 2004年1月30日(金) 三番街シネマ3 従来の閉じた世界に括られるホラーの頸木を打ち破る展開に思えた中盤のTV局での惨劇までは乗れた。しかし、再び内的世界に回帰した物語があろうことか現代病を持ち出しての謎解きに帰結するのでは当たり前すぎる。三…

血と骨

★★★★ 2004年11月19日(金) 梅田ブルク7シアター6 現場のポテンシャルがビシビシ伝わる気の入った演技のオンパレードと堂に入った美術には心底惚れたが、後半のクロニクルに並列的なエピソードの配置からは意外なほど何も見る者に訴求して来ない。かなわん親…