男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ち】

菊豆

★★★ 1990年5月27日(日) 三番街シネマ2 次々と主従が逆転していく変遷は長編仕立てで撮るような題材なのに切りすぎて形骸化している。しかもフィルムの解像度が妙に良すぎるので形式主義的セット美術への拘りのみが突出してしまって浅薄な印象しか与え得ない…

地球でたったふたり

★★★ 2008年12月27日(土) ホクテンザ1 逆境に陥っても自己を卑下せず幼いながら社会と対等に対峙していこうという姉のバイタリズムに希望の灯を見出したいのだが、一方で姉妹愛とでも言うべき閉じた世界へ内向していく。そのへん何を描きたいのか困惑する…

チェンジリング

★★★★★ 2009年2月21日(土) 梅田ブルク7シアター7 実事件の再現物ジャンルの最高峰に屹立する厚み。衣装・美術・装置・メイク・CGの渾然一体となった達成度。その土壌の上で吠えまくるイーストウッドは愚直に全てを描ききろうとする。幸福な融合であろう…

チェイサー

★★★★ 2009年5月23日(土) 心斎橋シネマート2 イレギュラーな展開はグダグダだが苦にならない。ゴミでも頼らざるを得ない女と心根ではゴミではない男の距離感が絶妙だからだ。だから決定的に携帯留守録が心揺さぶる。『殺人の追憶』ほど深淵でもないが演出…

チョコレート・ファイター

★★★ 2009年5月23日(土) なんばパークスシネマ2 自閉症の設定が技習熟の方便としてしか機能せず疑問だし、阿部寛含む大人の三角関係話も濡れてはみせても心を穿つことはない。…でジージャーですが、彼女はよろしいな!技を出す瞬間に一瞬タメるんです。そ…

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー

★★★ 1989年1月16日(月) 長崎東映パラス 腑抜けな優男が恋い焦がれて自ら越境し行くならともかく、強者の手を借りてと言うのではカタルシスは生まれないだろう。悲恋めいた造作は徒にイライラ感を増幅するのみだ。ジョイ・ウォンの美しさが唯一辛うじて物語を…

地球が静止する日

★★★ 2009年10月24日(土) 新世界国際劇場 意味或るメッセージの呈示とは思うが一生懸命説得すりゃあ勘弁してくれるという数十年前の時代認識。それが他愛なく不快かと思えば何となく新鮮でもあったのが意外。神話世界の巨人めいたロボットと細菌兵器の暗喩…

父 パードレ・パドローネ

★★ 1988年4月10日(日) 吹田映劇 父と子の確執の話から子が解放され飛翔するというベクトルではなく何時の間にやら教条主義的展開へとすり替わったかのような座りの悪さを感じる。平易な教育テレビのドラマの如き深みの無い映像も含め何がいいのかよくわから…

築城せよ!

★★★ 2010年2月9日(火) ホクテンザ1 時間軸の刹那な崖っぷちでウェディングドレスを身に纏い戦国武将との永久の別れ。歴ギャル萌えであろうその瞬間に俺も若干は乙女チックに…が、矢張り江守との確執が弱いし、土台自己中な動機の築城に醒めた目線は解けな…

誓い

★★★ 1985年1月15日(火) シネマ温劇 戦争が悲惨な物であって理不尽なものであることは多くの映画が描いてきたのであって、そこで抽出したものが友情であっても何ら異を唱えるものではないが、今更のストレートぶりに些か拍子抜け。良心作ってだけじゃ面白くも…

智恵子抄

★★★ 1985年8月17日(土) SABホール 片隅で育まれた世界が高名な詩人の手で世の脚光を浴びたとしても、幾千数多の脚光を浴びぬ物語もあるという今更感慨を岩下志麻の熱演が皮相にも呼び起こす。無名性こそが欲しかったところだ。中村と相性の良い成島東一郎…

父と子

★★★ 1983年1月23日(日) 伊丹グリーン劇場 力のある役者を揃えて端正な画角で丁寧に作られているとは思うがとにかく地味。父と息子の相克が和解に向かって1点の謎解きに収斂されて行くのが社会的メッセージ性を露呈させ純粋人間ドラマの醍醐味を後方に追い遣…

チャンシルさんには福が多いね

★★★★ 2021年1月13日(水) シネリーブル梅田4 昨年の日本映画「私をくいとめて」と極めて似ているが、俺はこっちの方がいいと思いました。 だって、アラサーの可愛い女子の悩みなんてたかが知れてるし、まだまだいける年齢だと思いますが、アラフォーの普通…

超強台風

★★ 2011年5月28日(土) トビタシネマ 特撮のええ按配の安さや、鮫登場のハッタリ根性なバイタリズムや、勇壮な解放軍が何処行っちゃた的お座成り感を笑えれば救いなのだろうが、自己批判皆無な廉価なヒロイズムの釣瓶打ちに不快神経を刺激され続けて正直し…

青島要塞爆撃命令

★★ 2011年7月9日(土) トビタ東映 懐旧的大らかイズムを感じさせるには対比し批判する匙加減が要るんであって、埋没し全肯定されたら退くしかない。気合乗り今いちな東宝ルーチンキャストの刺激の無さと円谷特撮の噴飯。浜美枝が出るシーンのみ目が覚めた。…

チョン・ウチ 時空道士

★★★ 2011年9月17日(土) 高槻セレクトシネマ1 突き抜けてなければあかんと言うつもりもないが、エッジの欠片も立っていない。丸まった鉛筆ばかりの筆箱のまったり感。恥ずかしい描写もないが、心の奥底も突いてこない。せめて、30分短ければとも思うし、…

中国女

★★★★ 1983年7月3日(日) 吹田映劇 ある種の革命の萌芽がお遊び的な男女の嬉し恥ずかしイズムの中で生成される点を露呈させて傑作。カリーナと哲学者との青い即興から5年、大学教授とビアゼムスキーの掛け合いは、少なくとも内実を伴うものに感じられた。撮影…

血槍富士

★★★★★ 2020年8月2日(日) シネヌーヴォ 内田吐夢の戦後復帰作であるが、テイストが山中貞夫っぽいのが驚きだ。って思ったら脚本が三村伸太郎。山中の現存3作の脚本家だった。「百萬両の壺」の剽軽が「紙風船」のペシミズムに急転する。これは、いったいど…

超能力者

★★★ 2012年7月14日(土) 新世界国際劇場 魅力的な導入で語られたドンウォンの出自だが、抗するコ・スの凡人然とした立ち居振る舞いは終ぞ覚醒せずに頂上決戦的カタルシスに至らない。世界が局所的で狭いのも物足りなく、黒沢清的ハッタリの終末エッセンスが…

地下水道

★★★ 1982年8月14日(土) SABホール 商業的ライティングを度外視しても伝えたいものがあったことは確かなのだろうが、映画的カタルシスは終局にしか存在しない。地下水道の描写は息苦しいまでに凄惨だが…それだけ。自戒史ならせめてもロマンティシズムくら…

沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1

★★★★ 2012年8月11日(土) トビタシネマ 瑣末なエピソードの多くが素晴らしい中位安定を維持して、その絡み合うタペストリーが調和的な刺激を伴いクローズされる。サラ・リンドを筆頭に若手衆の懸命さも良く、それを胡散臭いセガールが絶妙な支配で仕切る様…

チャーリーズ・エンジェル

★★★ 2020年3月17日(火) 大阪ステーションシティシネマ8 前回の映画化では、あまり気にもしなかったんだが、ええ歳こいた爺さんどもが、エンジェル、エンジェル言うのにこっ恥ずかしいような居た堪れなさを覚えた。 組織の絵空事は百も承知であるから、「…

痴人の愛

★★★ 2019年11月23日(土) プラネットスタジオプラス1 谷崎の作品ではなくサマセット・モームの「人間の絆」の映画化作であり、なんでも日本公開の10年ほど前に谷崎作品が新聞連載され好評を博したとこから、配給会社がいただいて邦題にしたんだそうな。 …

チャンス

★★★ 1981年5月17日(日) 梅田ロキシー 無茶ぶりできるセラーズに純粋結晶なプレーンキャラを当てたセンスはいいとして、彼が浄化する政界がもっと激しく汚濁に塗れててくれぬと物語は転がらずカタルシスも生まれない。高級感は滅法あるが薄味な割烹料理みた…

沈黙

★★★ 2019年8月18日(日) シネヌーヴォ 原作未読でスコセッシ版の映画は見ている。 俺は、スコセッシが原作をどのように解体したのかわからなかったのだが、この遠藤周作が脚本にかかわった篠田正浩版を見る限り、ほとんどのエピソードは同一であるし、言わ…

誓いの休暇

★★★★ 1981年8月5日(水) SABホール 死と日常に直面せざるを得ない戦時の刹那な煌めき。妻を想う兵士達も恋人を想う少女も少年と邂逅し過ぎ去っていくだろう。そして、少年も過ぎ去り、母の想いは永遠に閉ざされるのだ。決して声高に何かを叫ばない清涼感漂…

父子草

★★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 何がどうということもない大船的人情劇なのだろうが、宝塚映画のある種な場末感と渥美清の一種いかがわしい演技が丸山誠治の愚直なまでに手堅い演出を得て結晶体のような硬質な輝きさえ帯びている。(cinemascape)

小さいおうち

★★ 2014年2月15日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 何十年も秘めた想いを紐解く作りになっていない。戦時下の火遊びが露見せずに済みましたっていう程度の話ではないだろう。3角関係の2辺しか描けない山田には尺に合わない企画。『東京家族』から…

チャイナ・シンドローム

★★★ 1980年4月10日(木) ビック映劇 地球規模のカタストロフィに繋がる案件を小さな器で描いたジャーナリスティックな結実として『カプリコン・1』と双璧とも言える。だが、女性の社会進出の肩肘張った感が主題とリンクし切れないのが映画をぼやかす。レモン…

地下室のメロディー

★★★ 2019年5月12日(日) プラネットスタジオプラス1 冒頭、刑務所を出所したジャン・ギャバンが列車に乗ると、まわりの乗客がみんなバカンスの話をしている。 黙って聞いていたギャバンがひとりごつ。 「うーむ…バカンス旅行が大はやりらしい」 自宅のある…