男の痰壺

映画の感想中心です

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

.ヒッチコック/トリュフォー

★★★ 2016年12月20日(火) テアトル梅田2 期待もしてなかったが、やっぱりと言うか、これは「映画術」という本に関する映画とは言えない。 ヒッチコックとトリュフォーに関する、もはや聞き飽きたような挿話をちりばめたアンソロジーにすぎない。 そりゃあ…

ノストラダムスの大予言

★★ 1974年8月25日(日) 伊丹ローズ劇場 『ゴジ・ヘド』から『日本沈没』を経由して至った70年代を覆う終末観を描いた掉尾作で、ゲテ趣向満載のオモロキモさは認めるが、「大予言」を物語的に再構築した訳でもないオリジナルエピソード羅列の促成作法で、丹…

彼奴は顔役だ!

★★★★★ 2024年1月15日(月) プラネットプラスワン キャグニー主演ってことでB級のギャング映画みたいな邦題つけられてますが、原題はバシッとストレートに「Roaring Twenties」=「狂騒(狂乱)の20年代」です。それは第1次世界大戦が終わってドン底から…

サン・セバスチャンへ、ようこそ

★★★ 2024年1月19日(金) 大阪ステーションシティシネマ7 キャリアは終わったなと思われていたアレンにも救いの手を差し伸べる人がいたんや、ってことで取り敢えず良かったと思いますが、出来に関しては今一冴えないと思います。 浮気する妻との冷えゆく関…

BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

★★★★★ 2016年9月19日(月) 梅田ブルグ7シアター3 宵闇に紛れ街を出て海嶺を大跳梁し至る彼我の距離感が微妙に的確に思われ、後半の現実世界との浸食も納得させられる。無垢で善なることを演じるライランスにあざとさは無く少年っぽい少女ルビーに子役の媚…

孔雀夫人

★★★★ 2016年12月11日(日) プラネットスタジオプラス1 熟年離婚とか死後離婚とかが言われて久しいですが、この80年前の映画を見れば新しくもない問題なのだとわかります。 まあ、女ってのは見果てぬ夢と言いますか、どこまでいっても満足できない生き物…

怒り

★★★★ 2016年9月18日(日) MOVIXあまがさき5 ミスリード職人吉田修一に生真面目に正面突破で立ち向かう演出の剛直と凡庸な内実をギリシャ悲劇めいた大上段からのドハッタリで崇高にまで高めてしまう思い入れ。だが、それを不快に思わないのは社会か…

太陽がいっぱい

★★★ 1976年9月12日(日) 三番街シネマ2 虐げられた末の反逆なのであるから感情移入できそうなものだし、映画は技巧を尽くしてドロンに片寄せもする。実際ドカエのカメラが捉える瑞々しい心の揺らぎは海上や市場のシーンでスパークしてる。だが、奥底に横たわ…

五日物語 3つの王国と3人の女

★★★★★ 2016年12月20日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 中世欧州を舞台にした奇譚なんて、もう、うんざりっす。 テリー・ギリアムとかティム・バートンとかピーター・ジャクソンとかどれも似たり寄ったりやん。 と、思ってましたが、これ良いです…相当…

男と女

★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 主役2人の微妙なエッジの効き加減がモノクロ画面とシンクロして甘さを緩衝。そのうえでルルーシュは砂糖菓子のようなボサノバを流し恰好つけまくりのソフトフォーカスをこれでもかと垂れ流し臆面もない。ヌーベルバーグ…

枯れ葉

★★★★ 2024年1月16日(火) シネリーブル梅田4 カウリスマキの映画を「浮き雲」以降見てませんでした。同なじことやり続けることはいいんですが、なんか不要な夾雑物が紛れ込んできてる気がしたもんですから。 今回、引退宣言を撤回してまで撮ったのは、ロシ…

オーバー・フェンス

★★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 彼女のスイッチが入るのが早すぎ、いくら何でももう無理やろ思う彼がそれでも腐れ縁的に関係を続けるには描写が足りない。山下は女が描けぬのだと思う。しかし、一方でこのレア環境に置かれた男たちの沸点臨…

小さな恋のメロディ

★★★★ 1976年12月28日(火) 伊丹グリーン劇場 正直、巻毛の童顔ガキの恋なんてどうでもいいのだが、英下層階級の少年少女の家庭や友人との関係のクールで完璧に自立している点。俺達の憧れはそこにこそあったんじゃなかろうか。そして、それを縁取る音楽と映像…

マドレーヌ・ギャヴィン Madeleine Gavin

生年: kenironkun.hatenablog.com

ショコラ

★★★★ 2024年1月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 閉塞的なコミュニティに外部から流れ者がやってきて、その閉塞を解きほぐす(男の流れ者なら打破する)って話は鉄板なんでしょうね。コミュニティが家庭なら「サウンド・オブ・ミュージック」や「…

ビヨンド・ユートピア 脱北

★★★ 2024年1月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 北朝鮮→中国→ベトナム→ラオス→タイ→韓国、12000キロの行程が唯一のマシな脱北ルートで、中国・ベトナム・ラオスは親北国家なので、そこで脱北者だとバレると捕まって強制送還される。強制送還…

網走番外地

★★★ 2016年12月10日 新世界東映 同時期に並行して作られていた任侠路線からすれば随分甘い作劇でいいかげんなものだ。 が、であるからこそ自由な空気が溢れている。 篇中、健さんが邦衛の垂れ目をからかう件があるが、たぶんアドリブだろう。 そんな空気は浴…

グッバイ、サマー

★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 幾ら機械オタクとは言えあんなに簡単にあの車は作れんやろと思った瞬間に俺の心は物語から乖離する。『ミライへ逆回転』少年バージョン的ゆるさにおおわれたゴンドリーの極私的ロマンティシズムは内向するば…

ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

★★★ 2016年12月18日(日) MOVIXあまがさき11 少なくともエピソード3のラストの円環への感慨以上の直結を見せる本作の終盤は涙腺を刺激する。 俺は「シン・ゴジラ」以上に「ODZILLA ゴジラ」を買っている偏屈人間なのでギャレス・エドワーズ…

愛人関係

★★ 1975年9月7日(日) 伊丹グリーン劇場 マシスン原作で一応それなりの展開を擁するのだが、どうにもダルクがマグロであり、マグロを演じてるのではなくマグロしか出来ない風で根本的にダメである。同時代的にジル・アイアランドやソンドラ・ロックと同じ甘え…

パピヨン

★★★★ 1974年3月23日(土) OS劇場 1975年4月20日(日) 伊丹グリーン劇場 娑婆と監獄を往還しつつどんどんと詫び寂びの境地に到達する構造が秀でているのだが、その為の導入の囚人護送の一大モブが効いてる。刷り込まれたマックィーン=脱獄定理が基底を固める…

アスファルト・ジャングル

★★★★ 2016年9月25日(日) プラネットスタジオプラス1 臨戦下の如き警察車の市中徘徊のローアングルな導入から容疑者の公開見分と掴みは超クールだが肝心の計画遂行は凡庸。しかし後半俄然冴えわたる。次々と娑婆への見果てぬ夢と想いと追憶を胸に彼らはフ…

アズミ・ハルコは行方不明

★★★★ 2016年12月10日 シネリーブル梅田1 あっち側へ行くっていう話であり、ただそれが女性の被虐論的に語られるのが違うんちゃうかとも思う。 だって男だってあっち側へ行きたいっていうか、みんなあっちに行きたいんちゃうやろか。 東京近郊の地方都市の閉…

いまを生きる

★★★ 2016年10月7日(金) 大阪シテーションシティシネマ7 佳境とも言える事件が終盤の展開の為にする感濃厚で、そういう構造を見えすいてると思い出すとフィナーレもどっチラケだ。大体この先生のぶつ凡庸な教育論を成り立たせる為には時代の抑圧が描写不足…

太平洋の嵐

★★★ 2024年1月11日(木) シネヌーヴォ 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦」なる副題が各データベースでは付いてますが本篇タイトルにはそんなもんありません。宣材段階でつけられたもんだろう。そういうのん結構拘る人間なんです。 見飽きた太平洋戦争序盤史…

エクスペンダブルズ ニューブラッド

★★★ 2024年1月11日(木) 大阪ステーションシティシネマ4 「エクスペンダブルズ」見るのは1作目以来。シリーズにもスタローンにもそんなに思い入れもない俺です。であるから、まあ面白かった。 【以下ネタバレです】 チームでミッションを遂行する。そのと…

橋本忍 Shinobu Hashimoto

生年:1918/04/18 没年:2018/07/19 kenironkun.hatenablog.com

幻の湖

★★★ 2024年1月11日(木) シネヌーヴォ 愛犬を殺され復讐に血眼になるトルコ嬢というのが物語の骨子なのだが、そこに絡ませ切れてないネタを大量にぶち込んで悠久の混沌とも言える時空を横断したエキセントリックハイパーナチュラルな世界が現出している。言…

川頭義郎 Yoshiro Kawazu

生年:1926/04/28没年:1972/12/30 kenironkun.hatenablog.com

ゲッタウェイ

★★★★★ 1974年6月2日(日) 伊丹グリーン劇場 逆境下で強まる夫婦の絆がロードムービーの芯を成す。ゴミに埋もれて額に傷を負ったマッグローの愛おしさが2人の道行をドキュメンタルに基底。モンタージュもこなれて粋の極みだ。素晴らしく魅力的なシークェンス…