男の痰壺

映画の感想中心です

映画2001

狗神

★★ 2001年3月8日(木) 梅田劇場 クリーチャーを一切出さない判断は支持するし丁寧な仕事だが表層をなぞるだけにでエロスの本質を全く解ってないことで『呪縛』のダメさと双璧。マグロな天海では背徳な情念は伝わらず悲話としても成立しない。後半はジャンルの…

連弾

★★★★ 2001年4月4日(水) 動物園前シネフェスタ2 末梢ディテールへの拘りには同期するが本質思想には相容れなさを覚える竹中のその本質が封殺された良作。解決を敢えて見出さない脚本のクールネスがまず良いのだが、ダメ高等遊民な主役キャラが演者竹中にフィ…

みんなのいえ

★★★ 2001年6月14日(木) 梅田劇場 前半はそれなりにグラインドしてるのだが、中盤以降、大工とデザイナーの話に絞り込んでいった途端に在り来たりとしか言えない展開になっちまう。大体邦衛も唐沢にしても余りにタイプキャストで意外性無さすぎ。一方田中と八…

東京マリーゴールド

★★★★ 2001年6月15日(金) シネヌーヴォ 市川準の東京3部作の中では一番好み。終盤のどんでん返しは全く予想外で、それだけにあの男泣きは沁みた。刹那な恋愛ゲームと了解している男と女の甘え合いと見えたその心根の最奥にあるそれぞれの矜持が垣間見えたか…

A.I.

★★★ 2001年7月17日(火) 梅田ピカデリー2 愛を希求する人工知能に心片寄せよと言われてもオスメント坊の鉄板憂い顔が全開で満腹。凡そ予測つく展開からの逸脱があるでもなく撮影もロングショットにろくなのが無い。ただブルーフェアリーというアイデアは良く…

RED SHADOW 赤影

★★★ 2001年8月11日(土) ホクテンザ2 『サムライ・フィクション』を承前する開巻は最大級の期待を抱かせるのだが、類型な作劇の連続に落胆が募る。そういうパターンをこそ崩壊させてほしかった。ギャグに抗するシリアス、おちゃらけに比する非情が温く均衡が…

千と千尋の神隠し

★★★★ 2001年8月23日(木) 梅田スカラ座 油屋の迷宮性は『カリオストロ』を凌駕し異界の者たちの造形は『ナウシカ』に比肩する。陶然とする混沌世界を現出させるが、名を剥奪され或いは顔を消さるアイデンティティ喪失の物語は再獲得へと収斂すべき筈がそうな…

ジュラシック・パークⅢ

★★★ 2001年8月24日(金) OS阪急会館1 第1作の不意打ち的衝撃と第2作の執拗なサディズムの後を受け尚、過剰方向に走らず割り切りったコンパクト仕上げは買う。だが、新顔スピノとプテラに大きなインパクトは無い。一方 メイシー・ティア夫妻の凸凹チック…

ドリヴン

★★★★ 2001年9月7日(金) 動物園前シネフェスタ1 何の迷いもないバカが揃っての男祭りは幸福な結合を果たして純粋映画の域に達する。ハーリン演出のケレンも行き過ぎてダレる手前で危うく抑制され頃合い。スタローンもいい身の置き所だ。どっかの映画じゃない…

天国から来た男たち

★★★★ 2001年9月20日(木) ホクテンザ2 相変わらずのやり過ぎ描写があるにはあるが、当時の三池としては珍しく真っ当に最後まで巻き込まれ型の構造が破綻しない映画でそれはそれでの安心感がある。東南アジアと親和性がある山崎・エンケンの顔相と神妙な吉川…

ハンニバル

★★ 2001年8月24日(金) 新劇会館シネマ1 これ見るとレクターというキャラの魅力は檻に入れられてたからこそだったと思う。ギリギリの心理戦が見応えのあった前作に比べ枷を解かれた彼は在り来たりの犯罪者に堕した。取って付けたような終盤のカニバリズムは…

陰陽師

★★★ 2001年10月8日(月) 梅田劇場 唯我独尊な晴明に博雅というキャラを噛ませ過ぎウェットになった。このバディもの的体裁は原作からの踏襲だが、方向性が無駄に拡散してしまう。悪の陰陽師との対立構図も映画をありきたりに堕した。期待もしてないがCGもワ…

GO

★★★★★ 2001年10月27日(土) 梅田東映 他者を貶めることでしか自己確立できぬ閉塞社会を放逐し囲いの外へ出よとの新世紀を迎えてのアジテーション。クドカンの節回しを自己流に置換する窪塚のセンスが産み出すグルーヴが革命的である。天才のセッションを受け…

赤い橋の下のぬるい水

★★★ 2001年11月7日(水) シネリーブル梅田1 脚本・演出とも地に足着かぬ感じがした。そんな中清水のエロスがのっけの役所を籠絡する場面から唯ならぬものがあり、胡散臭い寓話に真実味を付与するかと思われたのだが、結局大竹しのぶのイミテーションに収束す…

リリイ・シュシュのすべて

★★★★ 2001年11月9日(金) 梅田ガーデンシネマ2 集大成的な力作だが、それでもネット上の世界と現実世界のリンクの仕方は、ただ最後の種明かしの為の方途としてしか機能していないように見えてしまう。『スワロウテイル』でも感じたが岩井は根のところで存外…

ウォーターボーイズ

★★★ 2001年11月15日(木) 動物園前シネフェスタ4 プチ周防化するのはいいが、お上品にまとまり過ぎ予定調和に安住してる。フィンガー5やPUFFYの楽曲に助けられてクライマックスは辛うじてカタルシスのようなものをもたらすが、マイナージャンルにいる…

トレーニング デイ

★★★★ 2001年11月24日(土) ホクテンザ2 演出の力量には心底感服した。アクションより心理描写に卓抜な冴えがある。しかし、ピカレスクな主人公の「羊と狼の論理」には目新しさが無く、演じるワシントンも計算に裏打ちされた演技以上のものではない。埒外から…

ピストルオペラ

★★★★ 2001年11月30日(金) テアトル梅田1 キッチュとかポップとかでは糊塗し切れぬ残虐本質が子供じみた殺し屋1番競争を保たせる。ポリティカル脚本家とリアル志向エフェクトマンをどうひん曲げればこうなるのか不明だが画面の隅々までの気合乗り。恥ずかし…

ムーラン・ルージュ

★★★★ 2001年12月2日(日) 三番街シネマ1 繰り返し朗々と「愛」が歌われ感銘したように思えるのだが、それは愛を歌った嘗てのミュージカル映画に対するオマージュへの共振であった気がする。デジタル使いも熟れて浮世を突き抜けるが、一方で汗とドーランの強…

獅子の血脈

★★★ 2001年12月20日(木) ホクテンザ1 良純がダメなこと衆目が一致する中それなりの謎めいた展開で保たせるのだが最後の最後でギャフンとなる。そりゃないぜよ松方の兄貴…悦に入る様はもはや新喜劇。松田優に強いインパクトを覚え南野が相変わらず良い。一方…

アメリ

★★★★ 2001年12月10日(月) テアトル梅田1 繰り出される奇矯なアイコンとイメージの奔流に幻惑されるし、俯瞰的な説話語りが毒可愛いオサレ感を緩衝する。だが自閉から脱却し世界に自分を晒せとの問い掛けにアメリは終ぞ答えたように見えないのだ。『ザジ』か…

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

★★★ 2001年12月18日(火) 梅田劇場 バラゴン戦を筆頭に「チャンピオン祭」へのオマージュを踏んだ景観の中の怪獣のパノラミカルな臨場感で、待ってましたの見たかった絵が続出。しかし、怨霊とか聖獣といったアニメチックで無粋な解釈が怪獣を貶める。竜童軍…

悪名

★★★ 2001年12月20日(木) ホクテンザ1 今更企画で前半は紙芝居的展開にうんざりしかけるが後半俄然息づいてくる。櫻井淳子の醸し出す儚さ所以だろう。役者、演出をはじめ美術に至るまでアベレージを保ち卒が無い。エンクミ・青田など女優陣の選択がシュアで…

RUSH!

★★★★.2002年3月1日(金)~2 日(土) ホクテンザ2 この哀川による企画アイデアも素晴らしいと言うしかないが、それを増幅した脚本が無関係の有象無象を詰め込み随所で小技を効かせ時制往還を駆使し闊達。その勢いが怪演揃いの助演陣のノリを誘発した。映画の…

スパイ・ゲーム

★★★ 2001年12月28日(金) 北野劇場 いい話とは思うが構成が致命的。一刻一秒を争おうってのに過去の長ったらしい回想が興を削ぐ。しかも、現在進行形のCIA本部が臨場感に富んで大層魅力的なのに対して過去シーンはかなりのルーティーンだ。初めて老醜を曝…

修羅雪姫

★★★★ 2002年1月15日(火) テアトル梅田2 ドニー殺陣も樋口特技も予想を遥かに超えた素晴らしさ。釈由美子の踏ん張りと腰の据わりも報われる幸福なコラボ。加えて終盤の久作と松重の芝居の味わいが感涙ものだ。もしシリーズ化されるのなら大事にして欲しい魅…

ROCK YOU! ロック・ユー!

★★★★★ 2002年1月17日(木) 新世界国際劇場 階級差を軽々と越境していく展開が調子よすぎて衒いなく爽やかで気持ちいい。チョーサーの造形を初め混濁する虚実は大観衆のクイーン熱唱に至って周回してピタリ収まる。脇の脇に至るまで書き込まれた役が全て味があ…

DENGEKI 電撃

★★ 2002年1月17日(木) 新世界国際劇場 アクション演出にこれという見せ場が皆無。セガールが歳喰って鈍重なところに又かのヒップホップ彩色が馴染まず無惨に乖離。バートコウィアク前作みたいな馬鹿げたCGが無いだけマシかも知れんが取り柄もないっす。マ…

仄暗い水の底から

★★★★ 2001年1月26日(土) 梅田劇場 終盤で情緒過多なメンタリティに陥り予想を超える展開にならぬ物足りなさがあるが、神経症的不安感の表現に於いてポランスキーやコーエンのレベルに迫ったと言えば誉めすぎだろうか。ともかく老朽マンションの美術やどしゃ…

息子の部屋

★★★★ 2002年2月2日(土) 動物園前シネフェスタ3 喪失がもたらす長い閉塞感のトンネルを抜け、日常から隔絶した海岸の国境検問所で互いの顔を見合わせ笑顔を交わす3人。何も解決されたわけではないのだが取り敢えずはここで観客も一気に開放される。これから…