男の痰壺

映画の感想中心です

映画1995

シャイン

★★★★ 2024年7月13日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 「レインマン」のダスティン・ホフマンや「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスなんかと同じ障がい者を演じてアカデミー男優賞を獲得したジェフリー・ラッシュだが、先述の2人が空っぽに無機化…

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

★★★ 1999年11月6日(土) 神戸朝日ホール 随所に出てくるディテールの緻密な表現は素晴らしいが、「草薙」乃至「公安6課」VS「人形使い」に収斂しない物語に強度はない。ともかく話がよく解らん。原作知らないんだが、これって導入部だけなんじゃないのか?…

天使の涙

★★★ 1997年2月1日(土) 岩国勤労者総合福祉センター ギミック塗れの文体と技法の錯綜が来るとこまで来たという感じで、もともとに共感を抱きようがない登場人物たちがその技法に埋没し全く何も訴えて来ない。ただこういう行くとこまで行きついた振れ切れ方は…

アンダーグラウンド

★★★★ 1999年10月2日(土) みなみ会館 常識や倫理を微妙に逆なでし続ける圧倒的エネルギーと狂騒に為す術無く流されるのだが、それが国家が解体される混沌の民族史観と重なる酩酊。祖国と家族という2面的な喪失の哀感は太いシュールと熱いユーモアで上塗りさ…

セブン

★★★★★ 1996年1月20日(土) 徳山国際シネマ 猟奇な刺激やアクションのキレも図抜けているが、曇り空に雨がしとつく特定されぬ都市の構築が付与する寓意性が、シリアルキラーを単なる事象から神話的な領域へ昇華させる。又、反転の白昼荒野で行きつく帰結はギリ…

デッドヒート

★★★ 1996年3月2日(土) 徳山国際劇場 ジャッキーと加山御大の大味な喰い合わせの妙…があるわけもなく、やっつけ仕事の誹りを受けかねない企画だが、日本ロケのレースシーンはともかく、夜間の公道カースタントの荒削りな即物感が生半可じゃない。そこだけは対…

ベイブ

★★★★★ 1996年3月31日(日) テアトル徳山Ⅱ 豚もさることながら犬・家鴨・羊など全て良い。アニメで描かれても今更な擬人化動物たちが語り合う様は、程好き抑制が効き最高ランクのファルスとして澱むところ無い。屠蓄され屠蓄する両者の共棲世界は際どく偽善を…

カジノ

★★★ 1996年4月20日(土) 徳山国際シネマ スコセッシが自分の抽斗から使い廻した物を引っぱり出してつなげた希釈版集大成。渦中に浸った『グッドフェローズ』に比し搦め手からの印象は免れず、狂気の担い手ではなく狂言回しになったデ・ニーロも喰い足りない。…

フォー・ルームス

★★★ 1996年5月18日(土) 徳山市市民館小ホール ロドリゲスの3話目が良い。だが、4話を通しで通貫するティム・ロスが受けのリアクション芸に徹すべきとこを無理くりの躁演技で自己主張するのに加え所在無さ気な風情 が映画全体を据わりの悪いものにしてしま…

ヒート

★★★★ 1996年6月8日(土) 徳山国際シネマ 大したことのない話で今更の競演だったが、だからこそ2人の存在感を再確認させられたと思う。作り手も、それを見せ切ることに徹していっそ潔い。全体に冷え冷えとした透明感を貫き市街戦の臨場感も図抜けてる。(cinem…

フェア・ゲーム

★★★★ 1996年5月18日(土) テアトル徳山Ⅱ 逃げる・反撃するを繰り返す他に夾雑物のないタイトな構成。CG全盛の時代に現れた骨董的なキレの良いアナログ・アクションに惚れる。最大の売りシンディ・クロフォードだが見てるだけでも飽きない押し出しで、作り手…

ゲット・ショーティ

★★★ 1996年6月22日(土) 徳山国際劇場 筋を本気で語る気が無いレナードのグダグダ展開をシークェンスは演出できてもプロットを再構築できないソネンフェルドが実直に演出しまんまグダグダ。キャスティングが良くて飽きないが、展開がどっちサイドに流れるのか…

陽のあたる教室

★★★★ 1996年6月30日(日) 徳山国際シネマ デジタル時代にアナログ骨董品を見た気がした。ベトナムを第2次大戦に置き換えればこんな映画は何本もあったような気がする。そつが無さすぎるし時代推移の表現などまるっきり紙芝居だが、愚直な素直さに素直に好感…

ガメラ 大怪獣空中決戦

★★★ 1995年3月25日(土) 三番街シネマ2 プロレスが八百長でスポーツでないから認めないという昔は主流を占めた価値観が今では野暮とされる時代としても日本製怪獣映画が閉じたジャンル史観でのみ相対比較され圧倒的な評価が成されるのは不健全。(cinemascape)…

マークスの山

★★★★ 1995年5月27日(土) 梅田松竹 テーマが内包する空疎な執念が作品を覆う陰鬱な空気と化し、刑事同士の確執にまで波及する。非情としか言えないその描写の巧緻。一方で凡するかと思えた萩原と名取の部分の本気度。臭くないのが驚きでさえある。暗くて救い…

Love Letter

★★★★ 1995年8月5日(土) ホクテンザ2 地に足つかない少女文学的設定がむず痒いまでに居心地悪くもあるが、過去と現在を往還する物語が何時しか現世と黄泉とを連結させるトリッキーな作劇の妙。篠田撮影のロングとミディアムの中間狙いが醸す実存主義的世界観…

女優霊

★★★★ 2001年4月12日(木) シネヌーヴォ すべてに於いて古式床しいオーソドックス風味が貫徹されているのが大器の片鱗を伺わせた。凄まじい悪意を持った得体の知れない何かが映るというモチーフは、『リング』にてバージョンアップし延伸される。タイトルバッ…

学校の怪談

★★★★ 1995年7月12日(水) 梅田劇場 プレーンな演出姿勢と応える子役達の演技には上質の児童映画の趣がある。今更感ありそうな古式床しいお化けにも衒いが無く正対している。クマひげのクリーチャーだけ香港映画みたくて今いちだが他のイメージは良い。ラスト…

レッド・ブロンクス

★★★ 1995年9月2日(土) OS劇場 やられまくるジャッキーの鬱憤を晴らす爆発がないのが糞詰まりのようなもどかしさを覚える。アメリカ向けにカスタマイズされた作劇からは笑顔の下の真の嗜虐や被虐は削り取られ生温い表層だけが残留している。アクションも過…

マディソン郡の橋

★★★★ 1995年10月8日(日) テアトル徳山Ⅰ 埃っぽい軒先に中年太りのストリーブが現れた瞬間に出来は約束されたと思った。対して男イーストウッドは余裕のワンパターンで返す。全く違うアプローチの2人の役者の激突がエキサイティングとしか言えない素晴らしさ…

EAST MEETS WEST

★★ 1995年9月2日(土) 梅田松竹 致命的なのはホラ話としての可愛げの欠如で、それは未だ軽い真田や態とらしい竹中とかじゃなく例えばペキンパー映画の男たちとかにしか醸し出せない類のもの。大体、最初に『侍』の使い回しが出てきた瞬間にあかんと思った。や…

★★ 1995年10月28日(土) テアトル徳山Ⅱ 宮沢りえでもどっこいだったとは思うが一色紗英の主人公に過酷な運命を自ら克服して生きていく裂帛の気迫は感じられない。お人形さんは所詮お人形さんである。同じことが浅野にも言える。正攻法の映画は嫌いじゃないが…

リディキュール

★★★★ 2003年8月14日(木) OS劇場CAP 田舎貴族が直訴に来たベルサイユの宮廷世界は「お笑い」こそが至上とされるが裏では嫉妬と権謀術数渦巻くド汚い世界であった。浪花に来た東人が感じるであろう戸惑いを思わせる。汚れそうに見えた主人公がドーンとモ…