映画2007
★★★ 2007年1月27日(土) ナビオTOHOプレックス6 48ヶ所のパーツを失った子供が何とか成人したにしては怨念も虚無も孤独感も不足で妻夫木は快演してるが物足りない。それを突き詰める想像力が製作者に不足しており素晴らしい終盤が勿体ない。殺陣も今…
★★★ 2007年2月10日(土) ナビオTOHOプレックス8 常套句のように言われるTVのルポで充分…が聞こえてこないのも不気味だが、判決を述べる判事の見解は隙がなく冷徹な視線ではある。ただ、その程度のものを期待していたのではない。このアプローチなら…
★★★ 2007年3月3日(土) 梅田ブルク7シアター2 長大な物語をブッタ切った感が拭い難い。それくらいにアラバスタ王国をめぐる王とクロコダイルの確執や王女ビビと家臣たちの物語を見たいと思った。前作『カラクリ城』よか数段マシだが原作読めでは甘えだろ…
★★ 2007年3月3日(土) 梅田ブルク7シアター2 こういうものを例え添え物としてでも出すのなら覚悟して出せよと言いたい。「オマケ」に甘んじている怠惰感に反吐でも出そう。キャラとしてのアバレちゃんには更なるアナーキーをこそ求めたい。チョイ悪程度の…
★★★★ 2007年4月7日(土) ホクテンザ1 相変わらずの過剰とテキトーの喧噪の中を駆け抜ける1夜限りのワンナイトショー。脇挿話も冴えたアラベスクだが、結局、肉体的対決に的を絞る…しかなかっただろう。主役2人はこれ以上はないケレンとハッタリで見てて…
★★★★ 2007年4月21日(土) ナビオTOHOプレックス4 醒めた達観のようなものが全篇を覆っておりながら使命感も併存する世界がクール。規則的に回転する巨大アンテナが深層心理に及ぼす詠嘆と深淵がエフェクトとして効いている。そして、最後の1シーンの…
★★★ 2007年4月29日(日) 梅田ブルク7シアター1 打算と裏切りで世知辛い世を渡り歩くピカレスクな「ねずみ男」をこそ主人公にして欲しかった。大泉洋が役の解釈からして完膚無きまでにモノにしている。寛平・室井は遊び心が無い。終盤は西田がかっさらう。…
★★★ 2007年5月12日(土) 梅田ブルク7シアター6 増やした敵の混合戦を綺麗に収束したと言え、負の触媒に冒されても髪垂らして町中で踊るくらいが関の山野郎では物語のエモーションが生じるわけもない。相変わらずの有り得ないグルグルカメラの動きのCG度…
★★★★★ 2007年6月16日(土) テアトル梅田2 絶望的な状況でも過度に悲観的にも攻撃的にもならないで淡々と日々を全うしていく美しさとでも言おうか。醒めた諦観ではなくノーブルな直視のスタンスだから脇キャラの過剰もあざとくない。技法への拘泥の無ささえ…
★★★★ 2007年8月25日(土) 梅田ブルク7シアター2 又かの侵略ものかと思えば序盤で馬鹿に転倒し最後まで馬鹿を押し通したところはマイケル・ベイの虚飾なき到達点とさえ思えた。合体ロボ同士が語り合う様にキッチュを感じ、ラストに至っては極北をさえ感じ…
★★★★ 2007年9月8日(土) OS劇場 70年代BC級映画の技巧を凝らしてのトレースもいいが、濃厚な限定空間で「スタントマン」の異常な偏執を抽出した前段を、バッサリ切った後段。タランティーノの秀でた点は矢張り構成なのだと改めて思った。爆笑のラスト…
★★★★★ 2007年10月13日(土) 梅田ブルク7シアター5 どいつもこいつも誰にも依存しないし前に進むことに清々しく躊躇が無い。佐藤・伊勢谷・桃井・香川の乗りに、最近の三池映画に顕著な役者を気持ちよく転がす場の現出を随所に見る。初コラボの栗田カメラ…
★★ 2007年10月13日(土) TOHOシネマズ梅田9 ワンサイドなスタンスをラストの詠嘆で修正しようとするあざとさを割り引いても、冒頭で提示されたサウジと米の歴史が現在に繋がりゆく構造的解明が些かも試みられず陳腐な人質奪回劇に堕していく様に唖然と…
★★★★★ 2007年10月20日(土) 梅田ピカデリー1 陽気で前向きなだけで変革をもたらせられるとは思わないが、及び腰な人々を融解させる触媒にはなる。そういう積み重ねの歴史こそ重要なのだ。居ても立ってもいられずダンスの渦中に飛び込む人々。踊らにゃ損損…
★★ 2007年11月10日(土) TOHOシネマズ梅田9 親爺の座を取ったるとか息巻いてる割にメソついたりヘタレな先輩に頼ってみたりで、主人公に強靱さが無く、対する芹沢も太めでカリスマが無い。途中からどうでもよくなる覇権争いだが仲間の手術との青春カッ…
★★★ 2007年11月10日(土) TOHOシネマズ梅田3 平常温度から一気に沸点に到達する速度が並ではない。序盤のウォータールー駅での攻防の細密手工芸の如き編集美に至福を感じたが、そのまま昇天できれば良かった。アレン再登場での出し殻感が尾を引き物語…
★★★★ 2007年12月13日(木) 梅田ブルク7シアター4 急転直下に推理劇の色彩を帯びるオフ会。観る者をギリギリにかわし続け屋上屋を重ねる脚本が男どもの群像の向こうに「如月」を垣間見せ始める辺り、今一緩い演出を帳消す訴求力。しかも、憎いことに再度男…
★★★ 2008年1月5日(土) 新世界国際劇場 「俺達ナイスバッドガイだぜ!」オーラがフルスロットルで結構なのだがその理に薄味でおっついてない。冒頭のブラピ登壇の空港のポップな仰角ショットにこそ期待したが結局あとは平板に終始。情に流されてんじゃない…
★★★★ 2008年1月5日(土) トビタシネマ 腐った牛乳がやがてヨーグルトになる様に不快な下司も半端を通り越して一周すると爽快になる。人体が砕けて飛び散る様を繰り返し見せられオモロイなあ。賢い人がアホなフリしてるとしても。『デス・プルーフ』とは本当…
★★★★ 2008年1月5日(土) シネヌーヴォ シネマヴェリテ的手法に於いてカサヴェテスの豊穣に、反復のエクリチュールに於いてカウリスマキの巧緻には及ばない。がともかく、愛の萌芽に向けての全篇を牽引するサスペンスフルな緊張は傑出している。あとロケ選定…
★★★★ 2008年1月19日(土) 梅田ガーデンシネマ2 孫の為という日常思考から出発し、やがては安寧な飼い慣らされた日常から飛翔する婆さん。些か嘘っぽい話に真実味を付与するキャスティング。フェイスフルも絶対条件だったろうがマイノロヴィッチこそ俺の理…
★★★★★ 2008年2月2日(土) 梅田ブルク7シアター2 父親の不在を補うべく多くの人々が醸す賑わいの至福。そして、人々が順次欠落しゆく喪失のドラマ。劇的誇張皆無な物語を精緻な心象描写で紡ぐ匠の技。今回は表情のクローズアップが内包する画力に撃たれた…
★★★ 2008年1月30日(水) TOHOシネマズ梅田6 ハードにポリティカルなシュミレートには好感を持つが一方でドラマトゥルギーの醸成は蔑ろだ。全てのしがらみが断ち切られる終盤にこそ意味があるのだとしても、やはり「背信」には決着が欲しかった。凝った…
★★★ 2008年2月2日(土) TOHOシネマズ梅田8 「ごっこ」の華やぎがのっぴきならない「地獄」へと転化するメリハリが足りないのでダラダラとしんどく、又、レオンの心の闇を徹底抽出せぬまま四十八手の閲覧会で変態性を呈示。見せ場ではあるが琴線に触れ…
★★★ 2008年2月16日(土) トビタ東映 禁じ手の筋ジスやベタなフォークに流されまいとしても暮雨だの如く流れる涙は止まらず、今更の史観を声高に論じて憚らぬ臆面の無さは嘗ての木下恵介にも匹敵。コミュニティの孤絶に見出す居心地良さは最高級だが、矢張り…
★★★ 2008年3月8日(土) テアトル梅田1 グリーナウェイは市警団内部の腐敗をこそ踏み込んで描くべきで、その中での禍々しいまでのハッタリズムをこそ見たかった。こうもレンブラントのキャラが凡庸ではフルチン羅列如きでは何の足しにもならない。残念なが…
★★★★★ 2008年3月22日(土) TOHOシネマズ梅田10 全てが腑に落ちたお爺ちゃんの時代は去りベトナム世代も時代から置かれていく。独自の論理と倫理が跋扈する時代に老兵は夢の残骸を語るしかない。コーエンピークの緊迫のミニマリズムにオープンな西部風…
★★★ 2008年3月22日(土) テアトル梅田2 序盤のセクト勃興史は、あたかも深作『代理戦争』の如しで快調だが、物語が山に入ってからは停滞。今更のこういう永田や森なら伴明『光の雨』の方が鮮烈だった。愚直なまでの若松は支持したいが現代に訴求させる多面…
★★★ 2008年4月5日(土) 新世界国際劇場 何の新味も刺激もない今更の題材で、時制をシャッフルする編集も意図不明の小賢しさだが、執拗に我が子を探し求める母ものとして神経症的ムーアや狂気のフォスターをキッドマンが3馬身差でぶっちぎった。そのクール…
★★★★★ 2008年4月19日(土) TOHOシネマズ梅田5 青臭いセンチを無邪気なまでのゴリ押しで貫く『恋する惑星』の頃と変わらぬ一貫した世界観に清々しささえ覚える。最初はウザいだけのノラ・ジョーンズがキュートな女へと変貌する様に物語的担保はシンプル…