映画1969
★★★★ 1976年12月21日(日) ビック映劇 1998年12月19日(土) パルシネマしんこうえん 砂塵と血糊と汗と唾液と酒と精液にまみれた西部にモンタージュされた高速度撮影の野郎どもの連帯の機微と哀愁。静と動を頻繁に往還する構成は螺旋状に濃度を高めクライマック…
★★★★ 1976年9月5日(日) 伊丹グリーン劇場 「俺たちゃあ束縛されないぜ!」と時計を投げ捨てたキャプテン・アメリカが渇望し広大な大地をひたすらバイクでぶっ飛ばした「自由」は徴兵制等のリアルな束縛からの解放願望と思えば切ない。自由が横溢する世界で…
★★★★ 2002年2月14日(木) トビタ東映 くだらないと言えばこれほどくだらない脚本もないのだろうし、一種のお宝映画的に見ようとしても、そこまで振れ切ってないのだが、逆に言えば、それをここまで見せ切ってしまう演出力とキラ星の如きスターのパワーには恐…
★★★ 1994年7月16日(土) ACTシネマテーク 撮られることのなかったチェロ奏者の話の大オープンセットが本当に勿体無く惜しいと思う。後の『道化師』・『ローマ』・『インテルビスタ』などに継承されるフェリーニ得意の似非ドキュメンタリー初作であり『サテ…
★★★ 2001年4月5 日(金) トビタ東映 これはマキノを監督に招聘したからだろが、丸っきり『侠客伝』か『残侠伝』の世界で健さんを勝新に置き換えただけだ。それはそれで味わいがあるが、一方で大映が自社の看板を他社のに塗り替えられて已む無しといった見栄を…
★★★★ 1993年4月11日(日) 高槻セントラル 変態世界を描くに、抑制があれば歯がゆいし露骨では痛い。微妙な距離感覚。セーブするものがあればこそ打破する越境感覚が生じるのであり、皆逝ってるのに生真面目でもある。これを見て爛熟の平成の世に乱歩を映画化…
★★★ 1993年5月5日(水) 日劇会館 シリーズ中でも水準高く、ふられシーンも痛切なのだが、江戸っ子の寅のお袋に浪花言葉の蝶々ってのが違和感を禁じ得ない。夢想の世界の寅さんに現実のシビアさを割り込ませる山田流はテイストの範囲でよく、これは本質に関与…
★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 ファナティックな佐伯と対極的なまろみのマキノ作の狭間で得てして個性が埋没しそうな山下耕作作ではあるが、定番パターンに乗っ取って面白いことは面白い。しかし、藤純子の抜け落ちた穴は小山明子では補い切れないのも事…
★★★ 2006年10月21日(土) 日劇会館 カラー映画に於ける表現主義的ライティングの追求かとも思えるような幼少時にTV時代劇か日本史授業で知ったか最早定かでさえもない「百叩きの刑」を見せることに費やした気合いは僅かながらも期待させた。しかし、後は…
★★★ 2007年1月20日(土) 日劇会館 骨格は単純で良いにしても、淫猥と高潔の対決は余りに何の捻りもなく、しかも、新珠は吹き替えヌードで興を削ぎ佐藤は腹に一物有り気で胡散臭い。高峰をもっと掘り下げれば違う目もあったのではと思う。宮川カメラは唯一パ…
★★★ 1991年5月19日(日) 日劇シネマ 一途な純情キャラというのが、この頃の三船ではもうこそばゆい。岡本一家総出の脇芸の競い合いが楽しく、何とかそれを補完しているが、終盤では、凡庸な展開が全てを飲み込み、何もかもが哀しいまでにしぼんでしまった。(c…
★★★ 1982年5月21日(金) 豊中松竹 破壊的で荒ぶれる寅だからこそ失恋の痛みが本当に痛切。それは恋愛に関してプラトニックであることと表裏なのだ。終盤の駅の安食堂での別れに滲み出る兄妹愛がそくそくと心に染み透る。粗相やっちまったら去るのみ。妹はそん…
★★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 火野の世界が東映任侠映画の世界と親和するのはさも有りなむだしマキノは手馴れた世界を手馴れた役者で破綻無く演出して全く飽きさせない。長大な原作のダイジェスト版の感は拭えないが想外に東宝招聘の星由里子は純子に対し…
★★ 1990年9月22日(土) みなみ会館 多分に場当たり的であり1個の街の名を冠した巨視的視点での構築からは程遠い。アナーキーたろうとする作者の表層的ゴダール節は真のアナーキズムどころか混沌を映画的に表現するにも至っていない。ラストの騒乱のドキュメ…
★★★★ 1978年4月9日(日) SABホール 1994年7月16日(土) ACTシネマテーク 今で言うノンポリ青年2人が彷徨うエログロの一大饗宴が繰り広げられる古代ローマの各シーンはフェリーニの集大成とも言うべきスペクタキュラーなイメージ造形で真に圧倒的のひ…
★★★ 1985年12月30日(月) SABホール 意匠や設定は商業主義な定石に準拠しているのだが、そう思って見るとバイオレントもシュールも不足気味で余りにゆったりしたテンポがしんどい。勧善懲悪とは行かぬわだかまりの中行き着くところにカタルシスは無い。原…
★★★★ 1983年1月19日(水) サンケイホール 多重テーマを容易ならざる重層構造で描くが、「リア王」に於ける王不在の中で悪女の傀儡たるボガードが牽引するのが物語構造として如何にも弱い。しかし、替わって魑魅魍魎のようなホモセクシュアルを前面に突出させ…
★ 1983年7月3日(日) 吹田映劇 映画文法の解体から発したゴダールの破壊願望は奇跡的均衡を保ちつつ『ウィークエンド』で結晶化し、東風に晒されて更なる越境を志向する。ならば、地平の彼方に旅立てばいいものを戻って来ちまうだらしなさ。そこは好きだが映…
★★ 1981年3月1日(日) SABホール この題材を黒塗りの日の丸で規定してしまうところに大島の横暴を感じる。情緒的な泣かせと政治的な反権力指向の狭間で物語は宙に浮いて居所を失う。後者であるならよりブラックな諧謔を、前者であるなら木下イズムへの転向…
★★★★ 1975年6月1日(日) 阪急プラザ劇場 1976年4月18日(日) 伊丹グリーン劇場 どうやっても躱し切れない追手の松明の灯りにアウトローであることの虚飾ない居た堪れ無さが心に沁みる。無口な人嫌いが絞り出す「泳げない」の一言と眼差しの哀しみ。この中…
★★★ 2013年11月16日(土) 新世界東映 『七人の侍』ごっこのカス映画と切って棄ててもいいのだが、若山の品性無きヒューマニズムや大木のイジケた居住まいや真山の謙虚なエロスが中心に据わり何とか最低線をキープした。しかし、この惨状で大見得を切るラス…
★★★★ 2014年5月17日(土) 新世界東映 クライマックスをお竜と共闘する立役を退場させシリーズのつま若山と場違い感のある丹波に委ねざるを得ない展開が、それでも筋が通って見えるのは待田の明晰なブレの無さがあるからだ。笠原的ロジックは何故か山下耕作…
★★★ 2014年6月26日(水) トビタ東映 ロボットのような松山容子の顔だが、けっこう情に流されるし言い寄られれば夫婦になって甲斐甲斐しく主婦してしまうあたり微笑ましくもありバッタもん的哀愁もある。松岡きっこが敵役メインで技を繰り出すが悉くチンケで…
★★★ 1980年5月24日(土) SABホール 数多ある没後に評価された薄幸の画家物語として殊更心揺さぶるものでもない。基本働くの嫌い酒大好き野郎なので冷視線を拭えないのだ。が、ピロスマニの作品を丸ごとフィルムに定着させたかの如き一貫したトーンの統一が…
★★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 産まれてこの方、社会的関係性を断絶された少年の関係性を回復させる試みという点で「奇跡の人」と相似。 なのだが、スパルタのサリバンに対しイタール博士のやり方は冷静で実直で慈愛にあふれる。 い…
★★ 1978年5月28日(日) 伊丹ローズ劇場 何もデヴィド・リーンを期待したわけでもないが、大河感が無さすぎる。歴史の陰にスポットを当てる井上原作の滋味を三船が仕切って台無し。土台解釈が違いすぎる。謙信裕次郎登場に至っては最早哀しく笑うしかない。(ci…