男の痰壺

映画の感想中心です

映画2008

ニューヨーク、アイラブユー

★★★ 2010年3月20日(土) 梅田ガーデンシネマ1 単なるオムニバスではなく斬新な構成ではあると思うが、結局、指揮者不在のロンドン・パリ的不統一のガチャ混ぜに終わった。それなら10話の輪切り構成でも良かった気がする。アタルの街角の2挿話が光り岩井…

ウェンディ&ルーシー

★★★★★ 2021年10月24日(日) シネヌーヴォX ケリー・ライカートって知りませんでしたが、処女作が1994年ですからキャリアは20年以上なんですね。遅ればせながら知り得で良かった思います。 車で放浪する女性ってことで、今年の前半の話題をさらった「…

ONE PIECE エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜

★★★ 2008年3月1日(土) 梅田ブルク7シアター2 正攻法に原作や源TVシリーズをトレースする真っ当さに好感を持つが、所詮は原作ファンの内的世界に依存するものであることは否めない。幼気なチョッパーの泣き顔にも心打たれるがヒルルク&くれはの爺婆コ…

バンテージ・ポイント

★★★ 2008年3月13日(木) 梅田ブルク7シアター3 反復される時間軸が徐々に伸延される様には快感がある。ただテロリズムの本質を私利に堕させる浅薄な展開や権力への従順な盲信や場違いな親爺の勘違いヒロイズム等又かとうんざり。手法には茫漠とした混沌の…

クローバーフィールド HAKAISHA

★★★ 2008年4月10日(木) TOHOシネマズ梅田1 キング最高作にも匹敵する終末感が横溢する序盤。しかし、無理矢理な純愛野郎と友情仲間たちの道行きにザーメン臭さを感じて退く。ビルやヘリ上からの俯瞰映像の圧倒的臨場感。しかし、一人称縛りの手法は時…

丘を越えて

★★★ 2008年5月20日(火) 梅田ブルク7シアター1 コンプレックスに苛まれながらも一応は生き様を貫徹する西田・西島の男勢に比して千鶴ちゃんは一貫してないのだが、可愛いから許せてしまうのが困ったもんだ。デジタルのチープな画質も厚い役者陣(余・嶋田…

スピード・レーサー

★★★★★ 2008年7月12日(土) TOHOシネマズ梅田4 バッタのように跳ねたり垂直の崖を登ったりする世界にリアリズムなんざ有り得ないしキッチュなしたり顔されても小うるさい。ウォシャウスキー兄弟はど真ん中からダサ正確に射抜いたと思う。チンパンの芸も…

アフタースクール

★★★★ 2008年7月4日(金) 梅田ガーデンシネマ1 何がどうなるか行く先不明のグルーヴ感。ただ前半にあった曲がりなりにもの不穏な空気はやがてマニュアル的に滅菌されていく。又、唐突の誹りを免れない佐々木と大泉の確執は書き込み不足か。何かと詰めが甘い…

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

★★★ 2008年7月12日(土) TOHOシネマズ梅田9 正直、懐旧の想いより爺いの冷や水的一抹の寂寥が拭いがたく、又冒頭からの見せ場も場当たり的で乗れない。中盤以降の釣瓶打ちは流石とも思うが、行き着けばナスカに宇宙人と出し殻材料。新味無き『聖櫃』な…

ぐるりのこと。

★★★★ 2008年7月18日(金) シネリーブル梅田2 2人を取り巻く世界が厳然として存在しつつ淡々と流れていく。偽悪的に夫婦の有様のキツい面を抽出した展開も世界に補完され至福に至る。宗教的なまでの達観。ただ多くの実事件の素描は精緻な相関には遠い。リ…

劇場版 ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束シェイミ

★★★★ 2008年8月3日(日) TOHOシネマズ梅田3 相変わらずの「行けーピカチュウ」には辟易するが、手塚治虫の嫡子とでも言うべきこましゃくれた新キャラのシェイミが良い。そして、列車や船での行程の予想外の旅情感。特に船シーンでのポッチャマやシェイ…

スカイ・クロラ

★★★★ 2008年8月9日(土) 梅田ブルク7シアター2 虚無的な無限連鎖の頽廃に刹那なクサナギも彼岸と此岸を往還するに従順で無機的なカンナミも、棒読み台詞のみでは表現としてはこっ恥ずかしいまでに青過ぎる。一方で陽光下での多くの飛翔や戦闘のシーンの完…

ダークナイト

★★★ 2008年8月23日(土) 梅田ブルク7シアター3 4人の主軸が織りなす「正義」貫徹の為の「暴力」介在への葛藤には、映画はあやふやな回答しか呈示し得ていない。究極悪ジョーカーに対しバットマンも検事も警部も軸がぶれすぎなのだ。部分的には冴えた演出…

ランボー 最後の戦場

★★★★ 2008年8月23日(土) ホクテンザ1 乱暴者が殺しまくったって何も解決するわけでもないのだが、スタローンは聞く耳を持たないだろう。ライティングの安い80年代量産B級フィルム感はやがて雨と泥と血と肉魂にまみれた一大ジェノサイドに至る。小賢し…

ハンコック

★★★ 2008年9月4日(木) 梅田ブルク7シアター1 ウィル・スミスの神話領域への到達かとも思わせるカリスマ。孤独と連帯を抽出した前半は真に傑作であった。ところが唖然とする唐突な展開。セロンとの絡みは伏線の張りが無さすぎで台詞で説明される真相には…

TOKYO!

★★★★★ 2008年9月12日(金) 梅田ガーデンシネマ2 破壊神ラヴァンが伊福部音楽に乗り降臨したカラックス篇は『テオレマ』以来のトリックスター論として全き禍々しさと胡散臭さを兼備し、ゴンドリー篇は自己解放から急転直下に至福の境地へ誘う。2人の前では…

ジャンパー

★★★ 2008年9月13日(土) トビタシネマ 能力に目覚めた少年に対してのエスパー狩り集団。そして、仲間の顕在化…と古典ハードSFから平井和正・石森章太郎に連なる王道懐古記憶を刺激する展開。序盤30分は血湧き肉踊ったが、見事なまでの後半の世界の矮小…

ウォンテッド

★★★★★ 2008年9月20日(土) 梅田ブルク7シアター1 『マトリックス』的選民思考に立脚したインスタントヒーローかと思えば肉を切り骨を断つその気概は安寧世界には依っていない。そこを買う。で、後は車と列車の使い手としての映画の王道を歩める選民として…

崖の上のポニョ

★★★★ 2008年9月20日(土) TOHOシネマズ梅田6 婆あ連中から母を経て幼稚園の同級生からポニョに至る「女」という存在に対しての5歳の少年宗介のノーブルな有り様。実際、この年頃の男の子は全てに正対し疑わない。敢えて世界から孤絶させてその関係性…

ハプニング

★★★★ 2008年10月1日(土) 新世界国際劇場 一種異様とも言えるほど底浅の夫婦を登場させたことで、臭いまでのクライマックスに真実味が降臨。わけても妻デシャネルの造形は素晴らしい。更にそれがシャラマンの計算ではなく天然ボケらしいのも好ましい。変態…

おろち

★★★ 2008年9月20日(土) 梅田ブルク7シアター7 俯瞰の視座を持ち稀代の狂言回したるダークエンジェルおろち。その蠱惑的な設定があればこそのベタ話なのだが…。美月ちゃんでは残念ながら未だオーラも胆力も不足。そうなれば、姉妹の愛憎譚は熱演ではある…

次郎長三国志

★★★ 2008年10月11日(土) 梅田ピカデリー4 口跡のいい役者たちの小粋で気っ風のいい台詞の応酬。それはそれで心地よいが前作にも増してのベタ演出には少なからずがっかり。ただ、役を配する悦びに充ち充ちている。挙げていきゃあ、北村・温水・木村・竹内…

インクレディブル・ハルク

★★★ 2008年10月1日(土) 新世界国際劇場 プロットごとには意欲的な演出が多く結構な出来なのだが、間引きしたような端折りが嘗めている。大体、このハルクって野郎の「キングコング」や「フランケン」系統のメロウぶりがいただけない上に好みの問題だろうが…

しあわせのかおり

★★★★ 2008年10月30日(木) 梅田ブルク7シアター4 宴の奥の厨房の孤独な作業の悦び。序盤の藤竜也にも終盤の中谷美紀にも静謐な空気に包まれた悦楽がある。その2人にしかわからない共感の至福で断ち切ったラストが秀逸。料理が美味しそうな点も良。又藤に…

イーグル・アイ

★★★★ 2008年11月5日(水) 梅田ピカデリー1 『北北西』から『知りすぎた男』へとヒッチ再構築の演出は巧緻だ。テロ連鎖の契機が米大統領の誤決断と断じる一見正論も新たな専制主義によってしか断罪し得ない。ポリティカルなアクションが2流のSFネタに堕…

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト

★★★★★ 2008年12月19日(金) TOHOシネマズ梅田4 キースは代替不能なキャラだがミックの地平は数億光年超えてる。60代の爺いがケツ振り20代の「スタート・ミー・アップ」を歌う凄さ。一方、これは琥珀の映像の珠玉の宝石箱。9割ストーンズに負うが…

デイ・オブ・ザ・デッド

★★★ 2008年12月20日(土) 新世界国際劇場 潔いまでの夾雑物ゼロの展開は最近の流行で殊更の新味もないが、にしても中盤を形成する病院内外での攻防戦の阿鼻叫喚はちょっと見物で、キングの「セル」を想起してしまった。まあ、俺にはヒロインミーナ嬢の小柄…

クライマーズ・ハイ

★★★ 2008年12月20日(土) トビタ東映 組織の中の守旧と革新、編集と販売、親と子、友情と仕事、意地と妥協…多くの2項対立はデフォルメされ劇化されるが、原田が救い難く稚拙に見えるのは否定される側の時代錯誤なステロタイプ化に依る。『呪縛』と変わらな…

レッドクリフ Part1

★★★ 2008年12月27日(土) TOHOシネマズ梅田5 ほとんどなぶり殺しに近い戦法で敵を包囲した上で「やー我こそは」てな感じで猛将たちが次々登場。何かずるい感じで熱くなれない。オーバーラップやスローモーション等原理主義的手法を衒い無く使いまくら…

WALL・E ウォーリー

★★★★ 2009年1月9日(金) 梅田ブルク7シアター4 ミクロからマクロへ、接写から鳥瞰へと縦横に往還する前半の地球でのテクにはCGの完成形とも言える細密描写もあり陶然とした。しかし、中盤以降のディストピアの、毒は認めるが陳腐な出来に主演2人も在来…