男の痰壺

映画の感想中心です

映画1980

人生は素晴しい

★★★ 1981年8月5日(水) SABホール ロシアの過酷な風土に根差したチュフライの鋭角的視点は地中海の陽光下でポカポカと間延びし、かといってラテン的に弾けれる訳でもなく中途半端な映画になってしまった。全体に緩い印象だが、とにかくオルネラ・ムーテ…

フラッシュ・ゴードン

★★★ 1981年7月12日(日) 大劇名画座 筋肉馬鹿そのものの主人公と廉価なヒロインに汎アメリカーナな低能が迸るのだが、キッチュな自虐を礎にこれはこれでひとつの世界を全うしている。特に森林惑星の造形にはラウレンティスの意地が反映され見るべきものがある…

ハンター

★★ 1981年8月17日(月) シネマ温劇 どう考えたってキャラに対するアプローチのコンセプトが間違っている。老眼鏡をかけて老いを強調したマックイーンなんて誰が見たいもんか。現実の死期が迫っていた彼に最後の死に花を咲かせて欲しかった。キューリックの…

ダーティファイター 燃えよ鉄拳

★★ 1981年8月17日(月) シネマ温劇 初作未見なのだが、全然どうでもいいと思えるかったるさ。確かにオランウータンが巧いのには驚かされるが、そこにしか本質的な驚嘆が映画に無いことが皮肉にも感じるダメさを加算する。温い暴走族の面々やソンドラの相変…

ロング・ライダーズ

★★★ 1981年8月17日(月) シネマ温劇 本来は汚泥と混濁の中でこそ語られるべき西部はスタイリッシュな硝煙と粉塵の中にその姿を埋没されてしまう。ペキンパーが泣いているだろう。オリジナリティは兄弟俳優を何組も使うってアイデアだけで他はよそからの借り…

ブルース・ブラザース

★★ 1981年8月31日(月) 新劇会館 いい子ちゃんぶってチョイ悪入れてみました的2重構造のあざとさが全篇を被い乗れない。何よりランディスの演出はカッティングが稚拙で破壊の狂騒を単発のブツ切れで繋ぐだけでは映画的エモーションが生じるわけもない。白痴…

戦争の犬たち

★★ 1981年10月5日(月) 伊丹グリーン劇場 1人の「スパイ」や「暗殺者」が歴史の歯車を置き換えるというところにロマンがあるのに「傭兵」が主人公故に頭とお尻に在り来たりなドンパチがあり真中もポリティカルなロジックが窺えない。ただひたすらにウォーケ…

最前線物語

★★ 1981年12月10日(木) 伊丹ローズ劇場 戦争のポリティカルな側面ではなく末端の兵士のミクロな視点から描く。そこまでなら目新しくもないが、ここではそれらが日常の延長として提示される。極限の狂気は存在しなかったかの如くダルな物語が綴られていくだけ…

シーウルフ

★★ 1981年11月6日(金) 伊丹ローズ劇場 どういうわけか忘れた頃に少しだけ狂い咲いたかのようなマクラグレンの凡企画に最早死に体の老俳優を掻き集め、『007』ムーアで色を添えてみたが、案の定、顔合わせの割には全然面白くないという当たり前の結果にな…

スケバンマフィア 恥辱

★★ 1981年10月14日(水) 関西学院大学学生会館大ホール ハードボイルドとは文字通り乾いているべきであって、こうも情緒過多に陰々滅々と濡れているのではハジけるもんもハジけない。快作に成り得べき単純な骨格も尾っぽを引きずった勘違いな入れ込みで台無し…

スフィンクス

★★ 1981年11月6日(金) 伊丹ローズ劇場 何がどうなってるのかの興味もさっぱりわかない展開の果てに、勘所の何千年にもわたる悠久の歴史に秘められた謎っていうのが面白みもくそもない。大作の捌きに秀でていたシャフナーの冴えの片鱗も窺えない凡作。ただた…

ズームイン 暴行団地

★★ 1981年10月22日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 映画を撮る方途に多様な道筋が出来てきた80年代に黴た清順的アプローチでデビューを飾ってしまった遅れた「にっかつ」組黒沢直輔の気の毒な錯誤感がモロに出た。ポリシーがあればまだしもだが低予算の…

戒厳令の夜

★★★ 1980年7月11日(金) 伊丹ローズ劇場 壮大な歴史ミステリーロマンの筈なのに山下・鶴田・大木が繰り広げる極右的アナクロニズムのみが浮かび上がる。ちぐはぐ極まりない若松と山下と宮島がどういうポリシーの元に掻き集められたのか…という方がよっぽどミ…

影武者

★★★ 1980年4月26日(土) 伊丹ローズ劇場 冒頭の盗賊と信玄の対峙は仲代2役と山崎をフィックス同一ショットに捉え十数年ぶりの黒澤新作への期待感を煽るのに充分な画力が漲る。だが結局そこだけで大状況へ傾注する老害が全篇を覆い編集のキレは皆無。挙句に長…

ファイナル・カウントダウン

★★ 1980年6月23日(月) SABホール 曲がりなりにもタイムスリップという映画的題材を主題としながら、見所は本物の空母ミニッツと艦上から発進する戦闘機だけという竜頭蛇尾ヘタレ映画。大体、肝心の「パラドックス」ネタに踏み込む前に終わっちまうんだっ…

思えば遠くへ来たもんだ

★★★ 1980年8月19日(火) 伊丹グリーン劇場 古生代ジュラ期の化石の如き民青イズム臭横溢する物語とニキビ汁と四畳半のスペルマを彷彿させる海援隊というマイナス要因が合体し2乗されれば何故か普通の映画になった。何かが変わる気配は微塵も無いけど、叙情性…

まことちゃん

★★★ 1980年8月12日(火) 伊丹ローズ劇場 楳図ワールドの持つオドロオドロ描写での糞尿イズムに彩られた下品世界が芝山流にマイルドに中和されたにしても、予想以上に世界観を踏襲した出来には意外性があった。明晰な色使いでテンポ良く展開されるアニメの枠内…

夕暮まで

★★ 1980年10月19日(日) 伊丹ローズ劇場 焦らされる過程を楽しむには料理番組程度のグルメぐりではデカダンが足りないし、鈴木のカメラも平板で安い。オリーブオイルで素股の性愛描写も覚悟が無いから訳わからん体たらく。処女性への拘りがかおり相手ではどう…

マイ・ロード

★★ 1980年10月19日(日) 伊丹ローズ劇場 白人女と一発やりてえという恥も外聞も身も蓋もない話を脳天気に繰り広げられても、どう対処すればいいというのだろうか。日本人の平均的意識レベルを忠実に反映した時代の産物とも言えるが哀しくも侘びしい出来となっ…

★★★★★ 1980年12月25日(木) 梅田東映ホール 16ミリブローアップによる痴漢シーンの即物感に対し後半の軍艦島のスタティックな叙情。閉じた世界で煩悶する魂を高田昭の撮影と一柳慧の音楽がバックアップし開放に導く。被写体を周囲の状況から切り取り凝視し…

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

★★★ 1980年8月19日(火) 伊丹グリーン劇場 寂れた風情がしっくり来る寅に常夏の沖縄が似合ず、シリーズのキモである孤独感は表出されずじまいだ。又、リリーと同居するという決定的な設定を否応なく組まざるを得なくなってもシリーズ存命の為に、肝心要なとこ…

父よ母よ!

★★ 1980年9月26日(金) 伊丹ローズ劇場 結局、親が悪いのだという単視眼的な見解しか持ち得ないのが限界と思うが、それ以前に80年代バブルのとば口の時世と乖離しまくりの年寄りの描いた妄想の若者群像は見てても木っ恥ずかしい。自己の懐旧的な想いに内省…

海潮音

★★★★ 2018年9月2日(日) シネヌーヴォ 決して完成度が高いとは言えないし描き込み不足も往々にしてあるが、それでも面白かった。 橋浦方人の商業映画2作目なのであるが、それでこういう一種ビスコンティ紛いのバロックな崩壊劇をオリジナルで作ろうとした…

翔んだカップル

★★★★ 1980年8月12日(火) 伊丹ローズ劇場 1982年10月27日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 若い男女がやむなく同居で内心ウハウハ的物語ではなく台詞の行間の空気。相米の関心はそこにしかない。窓外にたゆたうアドバルーンのように茫洋としたシラケ感はや…

遙かなる走路

★★ 1980年10月28日(火) 伊丹ローズ劇場 さすがに新藤の脚本は卒がない。やたらテンポが良いため退屈はしないのだが、約束された結末に向かうドラマは暗部に触れることが許されるはずもない。所詮は御用映画と思い始めると印象は平板化していく。豪奢な社史編…

土佐の一本釣り

★★ 1980年12月30日(火) 伊丹ローズ劇場 何が面白いのかさっぱりわからない話。なのは我慢できてもすーちゃんの如き性格も良い別嬪さんが海のもんとも山のもんともわからんガキに惚れ抜いちょるという設定は俺の理解から1億光年隔たっている。むかつきまくり…

五番町夕霧楼

★★ 1980年11月5日(水) 伊丹ローズ劇場 初作でさえも金閣寺放火のモチーフが余分に思えたのに、本作では更に、それをクローズアップした為に主人公の哀感を切々と謳い上げるには程遠くなってしまった。この頃の松坂はまだケバいし、ポップが身上の山根の柄で…

ザ・フォッグ

★★ 1980年10月12日(日) 伊丹グリーン劇場 グロ度が低くムード歌謡のように情緒に訴求しようとしたが、余りにムードのみで他には何のなかった…というのは後のカーペンターを見れば意図したとも思えず単に金が無かっただけなのだろうと思われ侘びしい。(cinema…

将軍

★★ 1980年11月9日(日) 伊丹ローズ劇場 所詮はダイジェストに過ぎず大晦日の大河ドラマのそれと同じで通しで見た者が反芻するための代物は初見者には味気ない。展開に面白みがない上「変な」 ニッポン人を期待しても案外に普通。胡散臭い敬意がない分ましとも…

地震列島

★★ 1980年9月3日(水) 伊丹ローズ劇場 米『大地震』の三角関係に対抗する為、四角関係にしたのかは知らないが勝野も永島も唐変木で色気が無く、かと言って『日本沈没』の男達のような刹那な狂気もない。救い難くダルい。特撮も完全な使い廻し。しばたはつみの…