男の痰壺

映画の感想中心です

映画2023

時々、私は考える

★★★ 2024年8月5日(月) テアトル梅田3 原題は「時々、私は死ぬことを考える」であり、人生に何の目標もなく、それでも生活の糧は稼がないといけなく、何の刺激もない会社で事務仕事をしている。コミュニケーションが苦手で同僚と四方山話をすることもない…

墓泥棒と失われた女神

★★★★ 2024年7月22日(月) テアトル梅田2 中盤で、それまでの小物の墓でなく、かなり立派な霊廟を発見する件があって、不用意に開けた洞窟から外気が侵入して、みるみる壁画が色褪せてしまうシーン。「フェリーニのローマ」で地下鉄工事の現場でのそれの縮…

メイ・ディセンバー ゆれる真実

★★★ 2024年7月18日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 伝説の怪物に話を聞く為に会いに行く。「羊たちの沈黙」で追随不能なまでの決定打を撃たれてしまった設定で、トッド・ヘインズにそれを凌駕するような何かを期待してたわけでもない。 しかし、平穏…

密輸 1970

★★★★★ 2024年7月17日(水) 大阪ステーションシティシネマ5 1970年代という時代設定、ヤクザ・退役軍人・汚職警官らと伍して闘う海女たちと聞けば、エクスプロイテーションでピンキーバイオレントなジャンルのレトロ復刻を思わせるが、リュ・スンワンに…

朽ちないサクラ

★★★ 2024年7月8日(月) TOHOシネマズ梅田5 タイトルに「サクラ」とあるからって、やたらどのシーンにも満開の桜を背景に取り込むってのは何の意味もないと思うのだが、何の意味もないだけにそのサクラ執着には素直に頭が下がる。世界は意味のあるもの…

ありふれた教室

★★★★★ 2024年6月12日(水) テアトル梅田1 ファルハディの映画になぞらえる向きを見たが、確かに言えてる面がある。人の営為の白黒つけがたい微妙な行為・発言を契機に登場人物がスパイラルにドツボ地獄に陥っていく様が。 不寛容主義なるものを謳っている…

あんのこと

★★★ 2024年6月11日(火) なんばパークスシネマ3 夢も希望もなく疲弊し荒みきっている。そんなとき幾許かの希望が与えられ、後にその希望を潰される。そんなことが何度か繰り返されると回復不能になり完全に潰れてしまう。 こういった自壊シュミレートに肉…

かくしごと

★★★★★ 2024年6月10日(月) 大阪ステーションシティシネマ5 関根光才の前作「生きてるだけで、愛」はメンヘラの女性を主人公としていた。そして、今作の主題は介護と虐待。つくづくしんどいテーマを選んでくる人やなーと思う。そのへん三宅唱と通じるものが…

関心領域

★★★★ 2024年6月5日(水) テアトル梅田4 大体予想したような映画で、だからどうしたとでも言いたくなるのですが、何点かは唸らされたところもあった。 大虐殺が行われてる横で、私ら関係ないもーんとばかりにノホホーンと暮らしている。けしからーんです…

バティモン5 望まれざる者

★★★★ 2024年6月5日(水) テアトル梅田1 市長の急死で閣内合議(と言ってもメンバー同志の立ち話)で小児科医の男が臨時市長に祭り上げられる。いやー俺なんてと言ってたが、それなりに街をこうしたいという理想は持っていて、だんだんその気になっていく…

悪は存在しない

★★★★★ 2024年5月23日(木) シネヌーヴォ 序盤で、地元の自然を熟知し何でも屋を生業とする巧役の大美賀均が薪を割る。1カットで何本も割りミスらないのは相当練習したんやろな思ったのだが、後半で開発業者の社員、高橋役の小坂竜士が巧の薪割りを見て自分…

湖の女たち

★★★ 2024年5月22日(水) TOHOシネマズ梅田7 原作がどう捌いてたのか知らないけど、あれやこれや盛りすぎで焦点が定まらない。定まらない上にそんなだから肝心なところに充分に尺を割けず描ききれてないと感じた。 【以下ネタバレです】 医療介護施設で…

ミッシング

★★★★ 2024年5月19日(日) MOVIXあまがさき5 【ネタバレです】 「なんでもないようなことが幸せだったと思う」と愛娘の失踪から1年目のテレビのインタビューで母親が言う。見るものも「えっ?」とと戸惑う傍からカメラマンがバツ悪そうにカメラを止め…

異人たち

★★★★ 2024年4月28日(日) TOHOシネマズ梅田5 大林版の「異人たちの夏」が大好きなのだが、その物語には2種類の異人(幽霊)が出てきて、主人公の幼少期に死んだ両親と現在住むマンションの他の階に住む女性。それで圧倒的に良いのが両親のパートで、…

辰巳

★★★★ 2024年4月27日(土) テアトル梅田4 暴対法の施行下で衰退する暴力団を背景に、それらを題材にした映画は2000年以降滅多に作られなくなり、かつての任侠→実録→Vシネと隆盛を極めたヤクザ映画は半ば死滅したといっていいだろう。代わって半グレ集…

リンダはチキンがたべたい!

★★★★★ 2024年4月27日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 小さなミニマム世界が物語進行につれてどんどん枠がはずれて拡張していく。 決して珍しい構成ではないのだが、本作はシングルマザー家庭のギスギスした母娘の小さな世界が、屋外に開放されて多様…

貴公子

★★★ 2024年4月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 韓国映画の山ほどあるジャンル・ムービーの1つと別段見る気もなかったけど、監督が「新しき世界」のパク・フンジョンだと知って見た。だが見た結果は随分と迎合的に甘っちょろくなっちまったなー…

オッペンハイマー

★★★★ 2024年4月14日(日) 大阪ステーションシティシネマ9 今まで悪いと思ってなかったことが、ある日気づいたら悪いことだと世間ではなっていて、自分だけが気づいてなかった。昨今の我が国の松本の問題にしても自民の裏金にしてもそんな感じなんだけど、…

ゴールド・ボーイ

★★★★★ 2024年3月25日(月) MOVIXあまがさき8 金子修介の映画をそんなに多く見てるわけでもないが、それでも敢えて最高傑作と言いたくなる出来で、世評は高いようだが話半分やろと思い、まあそこそこ程度くらいは行ってくれるんかいな、との何様な俺の…

マリの話

★★★ 2024年3月20日(水) シネヌーヴォX 濱口竜介の作品に助監督として参加していた高野徹の初長篇作品、だそうだが1時間ちょいの中篇で、それが4つの掌篇からできている。 なんでも高野のインタビューを読むと、パリに留学中に幾つかの短編を撮り、その中…

DOGMAN ドッグマン

★★★ 2024年3月24日(日) Tジョイ梅田5 犬のブリーダーの父親に虐待されて何年間も犬たちの檻に閉じ込められて過ごした少年の実話にインスパイアされた作品だそうだ。 であるから、実話である少年期の話はまあ幾許かの手応えはある。だが、救い出された彼…

アバウト・ライフ 幸せの選択肢

★★★ 2024年3月18日(月) シネリーブル梅田3 3組の男女の寸景がカットバックされる。 ①ホテルの1室のベッドで不倫らしきスーザン・サランドンとリチャード・ギア。 ②映画館で1人咽び泣くウィリアム・H・メイシーを見てどうしたのと声をかけるダイアン・…

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

★★★★ 2024年3月15日(金) シネリーブル梅田4 帰京する若松孝ニを追って新幹線に飛び乗った井上淳一が弟子にしてくれと言うとき、「水のないプール」見ましたし「俺は手を汚す」読みましたと言う。あゝこれは全く俺と同時代に同じ映画を見て同じ本を読んだ奴…

カラーパープル

★★★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 スピルバーグの作品は未見です。もし見てたら今作を見る気は起きなかったろうし、そもそもそういったこと抜きにしても見る気はなかった。安牌狙いの迎合的なもんだろ思ってました。たまたま空いた…

ボーはおそれている

★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 夢というのは心理の奥底から浮かび上がった断片が未整理なカオスを形成したもので、俺もたまに見た夢のことを書いたり話したりするが、そんなもん他人からしたら、あっそーレベルの大して興味もわ…

犯罪都市 NO WAY OUT

★★★ 2024年2月26日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 シリーズ3作目らしいが前2作は見てません。そもそもマ・ドンソクが主演の映画って「悪人伝」くらいしか見てない。まあ、あれも完全なピン主演ではなかったすけど。 格闘家出身ってことで鉄拳での…

落下の解剖学

★★★★ 2024年2月25日(日) MOVIXあまがさき4 カンヌでパルムドールってことで何か斬新なアイデアが呈されたのか思ったらそういうことではなかった。物語の構造はオーソドックスといっていい。それを2時間半かけてじっくり丹念に描いている。 【以下ネ…

夜明けのすべて

★★★★★ 2024年2月15日(木) TOHOシネマズ梅田9 「ケイコ」に続いて又もや何らかの生きづらさを抱えた者たちの話かいな、三宅唱は才能あんねんから題材の方向性を何某かに偏向していってほしくないなー、と一抹の懸念をもって見たのだが、それでもやはり…

瞳をとじて

★★★ 2024年2月11日(日) 大阪ステーションシティシネマ6 冒頭、フィルムで撮影された一幕があり、おお、爺さんやっぱフィルムに拘ってるんや、昔と同じ感触のエリセ映画が蘇ってるわと思ったんですが、それは映画中映画の1幕であることがわかり、以降の現…

罪と悪

★★★ 2024年2月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 和製「ミスティック・リバー」と言われてる本作ですが、そもそも少年時代のトラウマが大人になってから何某かのドラマを起動するってのは、相当にやり尽くされた大枠であり、そんな袋に何詰め込ん…