男の痰壺

映画の感想中心です

映画1953

ジュリアス・シーザー

★★★★ 2017年6月24日(土) プラネットスタジオプラス1 昔は良かったよなあ、規律と道徳があって…それが、どうだい、このありさまは。 シーザーが長期覇権を確立したローマ帝国の有様を見て嘆く賢人たち。 このままじゃあ、あかん。 美しきローマ帝国を復活…

祇園囃子

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ 女を描くと言うより祇園内部の力学構造と、外部との関係性を解き明かす政治性の高い映画だ。 ただ、根本的に芸妓という職業が木暮や若尾が拘る体を売るという呪縛から解かれていたとは思えないので、そんな綺麗ごと言…

ぼくの伯父さんの休暇

★★★ 1994年8月3日(水) 京都朝日シネマ1 このユローという受動的キャラクターが少なからずイラつく。チャップリンの模倣もあからさまでオリジナリティがない上に攻撃性に転化するまでもいかない弛緩ギャグは未だ幾何学構図の冷徹を獲得していない。バカンス…

あにいもうと

★★★★ 2001年5月15日(水) 高槻松竹 保護慾をからっきしそそられない大年増的京マチ子の妹も腺病質的中年インテリゲンチャ森雅之の荒くれ兄貴もそれなりに見れてしまうから不思議。成瀬の厭世的ニヒリズムが底流に横たわるのが通りいっぺんなお名作に終わらな…

プーサン

★★★ 1994年10月9日(日) 高槻セントラル アクの強い周辺人物達と本来コントラストを形成すべきな流されっぱなしでうだつのあがらない主人公が伊藤雄之助である為に息苦しいまでに重い。清々しさの一片も無い物語は画期的とは思うが余りにゴチャゴチャしており…

にごりえ

★★ 1992年5月9日(土) 高槻松竹 オムニバスは突出した挿話が牽引するか、或いは挿話間のハーモニックなバランスが身上。新派劇みたいな安っぽい情緒と私小説的糞リアリズムが同居し両者は相容れずに分離してる。中庸な第2話が弾き出されて浮かぶようでは粋で…

青春群像

★★★ 1991年6月23日(日) みなみ会館 仏ヌーヴェルバーグの形而上的モラトリアムと違い、リアリズムに自堕落なだけでしんどい。フェリーニの後に見られる誇張趣味も未だ無く起伏が無い展開は単調ですらある。『アメグラ』とコンセプトは同じだが、突き放し方が…

終着駅

★★★★★ 1988年12月11日(日) セントラル劇場 圧殺されるかの如き時間の切迫と同期する主役2人の別れる別れないの粘着情念の表出と、錯綜する大伽藍ローマ駅構内で行き交う人々の絢爛たる人間絵巻。その構成の妙に滲むイタリア映画の強烈な伝統的芳香。アルド…

東京物語

★★★★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 1992年2月9日(日) 日劇シネマ 戦後小津フィルモグラフィ中、物語へ準拠が形式への拘泥と拮抗し、感情吐露が諦念と併置された点で『東京暮色』と双璧。スタティックな構図と華麗なカッティングのリズムの錯綜。そして、熱…

シェーン

★★★★ 1982年1月29日(金) 毎日文化ホール 少年視線を導入した以上、家庭をめぐるドラマは踏み込めないが、それでも妻の安寧を志向しつつ揺らめく女心は一応サスペンスフル。ワイラー的仰角使いが突出した幾つかのシーンを際立たせ、カラー撮影の鮮やかさと風…

雷鳴の湾

★★★★★ 2019年11月23日(土) プラネットスタジオプラス1 ここ何年かアンソニー・マンの映画を折にふれ見てきてるけど、これは傑作だと思う。 まあ、大傑作だってのとはちょっと違うと思うが、大好き作ではあります。 冒頭、よれよれになって田舎道を歩いて…

雨月物語

★★★★★ 1980年6月18日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1991年11月16日(土) 高槻松竹 田中よりは案外に水戸光子が切ないのだが、やはり真に圧倒的なのは京マチ子と宮川一夫であり、両者が3年前の『羅生門』とリンクする形で戦前戦後の巨匠を同期させたこと…

ローマの休日

★★★★ 1980年8月1日(金) 毎日文化ホール 不可触人だが超可愛く、幼気な処女でオキャンで明るい。全オヤジが夢見る女の子との出会いの理想郷。漲るエロ願望は1度のキスで無理に充足させ、分別ある保護者的立場に身を窶す。ラストペックの万感の屈託と充足のオ…