男の痰壺

映画の感想中心です

映画1989

闇・光・闇

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 単にアイデアと展開の綾があるだけで何の寓意もないようだ。それだけに破綻がなく安定感は突出している。が、だから?と思えたりもする。舌や脳味噌のズルリとした質感は相変わらず攻撃的。オチはギャフンを通り越し物…

もっともあぶない刑事

★★ 2018年5月19日(土) 新世界東映 「あぶない刑事」って俺には鬼門のように思えてTVシリーズも全く見てなかった。 今回、別の映画の併映でみる羽目になったが、案の定まったくダメっす。 バディもんの刑事もんっていっぱいあると思うが、なんでこの2人って…

動くな、死ね、甦れ!

★★★★★ 2017年11月18日 シネヌーヴォ 前半に関しても美点は多い。 イースト菌騒動による学校周りの泥濘の絶望。 スケートを買った直後の夜の池の孤独。 母の醒めた色気と子供に対する思い入れの真面さ。 だが、そういう一寸良いレベルから後半に映画は逸脱し…

ミラクル 奇蹟

★★★ 2024年5月13日(月) なんばパークスシネマ1 ジャッキーの熱心なファンでもないのでそんなに彼の作品を見てるわけでもなく、そもそもにジャッキーそんなに好きじゃない気もする。 昔、世間が「プロジェクトA」で大騒ぎしてたときも俺は冷めていて、落…

いまを生きる

★★★ 2016年10月7日(金) 大阪シテーションシティシネマ7 佳境とも言える事件が終盤の展開の為にする感濃厚で、そういう構造を見えすいてると思い出すとフィナーレもどっチラケだ。大体この先生のぶつ凡庸な教育論を成り立たせる為には時代の抑圧が描写不足…

コーヒー&シガレット2 メンフィス・ヴァージョン

★★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 1よりは良い。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.com

ドライビング Miss デイジー

★★★★★ 2022年9月8日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 1980年代くらいからアカデミーの作品賞というのにあまり関心がなくなって、公開時にスルーした作品が少なくない。「午前10時の映画祭」という企画でそういう作品をやっていると、やっぱ見と…

無秩序な少女

★★★ 1994年4月24日(日) ホクテンザ2 夢も希望もなくて何をしたらいいかも解らなく、手を差し伸べてくれる人を通り越し流されて行く。確かに人生とはそういうものだろうが、真面目に丁寧に、そのことを描いただけと言うのではどうかと思う。「無秩序」と言う…

仕立て屋の恋

★★★★ 1993年1月15日(金) みなみ会館 被虐世界の変態覗き見親爺の話と品の在る精緻な作りがアンビバレントに並存するが、ルコントの男を慈しむかのような一切の躊躇無き水平目線が、そういう戸惑いを解消する。何より盗視の映画的興趣の前では所詮本質変態な…

鉄男

★★★ 1993年1月15日(金) みなみ会館 太股を切り裂きボルトを埋め込めば鉄人間になれる…訳ないし、かかった時間を思えば気が重いチョイ飛びコマ撮りのチェイス。アホ臭いのだが狂信的な押し付けと音響で蹂躙される。10人程度の入りの劇場で終わった途端に皆…

赤いシュート

★★ 1993年2月11日(木) 扇町ミュージアムスクエア がむしゃらにやって来たが突如これで良かったのかと振り返る自分史。魅力的な構成だが、どっちつかずのモレッティの風貌同様にアプローチが緩くて上滑りにしか感じられない。『81/2』級の映画的造形への拘り…

少女香雪

★★ 1993年4月4日(日) ホクテンザ1 中国版『木靴の樹』といった趣があるがマクロな視座を欠くので閉塞感しかない。伝承される過去映画の記憶を便法として取り入れてみたものの小手先めいてる。第五世代の図太い蛮性と比較されると如何にもな未成熟で気の毒で…

サンタ・サングレ 聖なる血

★★★★★ 2002年10月26日(土) 扇町ミュージアムスクエア 大空を舞う1羽の鷲が見下ろす人間界の寓話が象の葬式によって幕が開くというのが訳はわからんまでも一種の神話性を獲得し得ていると思う。それがごった煮的展開の果てにトラウマからの開放で収束するの…

社葬

★★★★ 1993年5月16日(日) 新世界東映 疾走感あるオリジナル脚本で受けた老練舛田の柔軟な腕が冴えた文句無しのナイスムービー。役者陣の面子も揃ったが両雄相見える緒形と江守が織り成す余裕のかまし合いが快感。一方吉田日出子が醸す家庭描写の良さが絶好の…

フルムーン・イン・ニューヨーク

★★ 1993年8月8日(日) みなみ会館 女達が知り合うのが株と不動産で成功したキャリアウーマンを媒介としてるので、舞台設定といい語り合う悩みといい何かどうでもいい風に思える。それをトレンディドラマみたく薄っぺらいお洒落ムードで描くのだから益々救われ…

Aサインデイズ

★★★ 1993年10月30日(土) 第七藝術劇場 安奈の成功も凌の没落も或いはその対比もズバリそこを描ききるという口八丁で物語る気概が見えず締まらない。が、このジャンルの日本映画としては比較的違和感無く見れ小っ恥ずかしくない。主役2人も良さもあるが日本…

機動警察パトレイバー

★★★ 1993年11月3日(水) 高槻松竹 特車二課という「チーム」を描きながら一昔前の「連帯」感は無く個人の間には微妙な距離があり冷めている。そういった世界を抽出された都市の無機質感を背景に先鋭化させる押井流は原作やOVとの狭間で躊躇があるように思え…

春のソナタ

★★★★ 2003年10月11日(土) OS劇場CAP 人生に於いて意図的に駆け引きを弄さなければ偶然は転がり込んでは来ない。そして、要件さえ整えば男と女はいとも簡単に恋に落ちるし簡単にそれは終わる。微妙なニュアンスをきめ細かく描いて闊達だが、それでもやは…

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

★★★★ 1993年12月27日(月) ACTシネマテーク ダサおもろいとかヘタウマとかを意図してやればあざとくなるのだが、そもそもの「意図」がピンずれしてるので限りなく「天然」に相似となり、挙句には何故だかその笑いのセンスがハリウッド映画の最良の部類に近…

ニック・ナック

★★★ 2004年1月16日(金) 梅田ブルク7シアター2 どんなにもがいても所詮は檻の中からは脱けられないという夢も希望もない現代社会に対するシニカルな洞察が、ラセター初期の作品から中心命題になってることを知ると『トイ・ストーリー』等の仄かな毒にも頷け…

ミステリー・トレイン

★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 俺が今ここで何してる間にも見知らぬ某は見知らぬ何処かで何しているということに諦観めいた侘び寂び的興趣を見出せなければ面白くも何ともないのだろう。最初に外してしまうと徹底的に乗れない。そういう意味で日本人…

男はつらいよ ぼくの伯父さん

★★★ 1992年8月2日(日) 日劇会館 ここまで寅の恋の一線からの撤退を明快に呈示しちまって、代替が半端な満男の恋シリーズってんじゃ山田洋二も誠実味を欠くってもんだ。出演者皆歳喰って侘びしさだけが募るってのにはんちく野郎の半端な行動が輪をかけるって…

ファンシイダンス

★★★★★ 1992年8月7日(金) 毎日文化ホール 置き去られた世界を斜めに見るのではなく、真摯に取り組もうとする者たちの侮れない世界と規定し、現在世代の受容と寛容をも肯定的に捉えようとする。で、流石にまともすぎるので破壊的ギャグを配置する。キザに周到…

レネゲイズ

★★★ 1992年8月23日(日) パルシネマしんこうえん 蓼食う虫も好き好きな2人に当て書きされた設定に人種の文化軋轢バディもんというマニュアルライクな筋書きで目新しさ皆無だが、ふてくされることもなく地道にちゃんとしたもんに仕上げようとしている。殊更に…

ベルーシ=ブルースの消えた夜

★★★ 1992年9月12日(土) 毎日文化ホール 黄泉の国から眺めるという体裁上、鎮魂的な静謐が支配するのは必然で、それを狂騒を旨としたベルーシの半生を描くに用いたのが良い。エピソードをある程度知ってた方が理解は深まったろうが、悲哀をこめた暗調の展開は…

1969

★★ 1992年9月19日(土) 毎日文化ホール これを70年代にやったならまだしもだが、20年後に糞真面目にやったからってなんだっていうのだろうか。余りに直截な出し遅れ感が救いがたい。先鋭が敷いた軌道で懐旧に浸ったって何がどういうこともない。(cinemasc…

マニカの不思議な旅

★★★ 1992年10月3日(土) 毎日文化ホール 超現実的な物語にせよ、宗教教義のテーゼにせよ、これ見よがしに語らないのは素直で奥ゆかしいとも言えるし深いと言えるかもしれないが、芸が無いとも言え換えられる。微妙な年齢の少女は自分を探求するには子供で無垢…

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

★★★ 1991年1月19日(土) 高槻セントラル ブリッジス兄弟が事実兄弟なのは確かなのだろうが、案外そこには何の付加価値も見出せない。ファイファーも下積みのプロ魂が身についていただろうかは疑問だ。食指の動かぬステージで残ったのは主人公の駄目さかげんが…

オペラ座の怪人

★★★ 1991年2月24日(日) 新世界国際劇場 丁寧な作りではあるが至近の2作が音楽を前面に出し物語は叩き台に過ぎなかったのに比し直球勝負で今更感を拭えない。付け足し程度のタイムスリップネタは効果も無く、どうせなら完全スプラッター化するくらいのサバけ…

ザ・トレイン

★ 1991年2月24日(日) 新世界国際劇場 80年代に量産されたパチもん伊ホラーの中でも屈指と言えるつまらなさ。汽車出せばその走行ダイナミズムが取敢えずは映画に疾走感を付与してええ筈なのに全くありません。寧ろそのチンケさに心寂しくなり出鱈目さに気力…