男の痰壺

映画の感想中心です

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

藁の楯

★★★ 2013年4月27日(土) 梅田ブルク7シアター3 中盤以降も再三に屑野郎を命を賭して守ることの是非が問われるが今更感が拭えず、映画はもっと異なる命題を俎上に載せて欲しかった。新幹線の疾走感も相俟りアップ多用で護送チーム内の確執が火花を散らす前…

ライムライト

★★★ 1981年3月13日(金) 梅田コマゴールド 『黄金狂時代』から『モダン・タイムス』までの4作品で映画という空間芸術の粋を極めたチャップリンが老いてロンドンの無名時代のバーレスクに回帰したのは矢張り老残だと思う。年寄りの理想郷願望に付き合うのは…

Red

★★★★★ 2020年2月27日(木) 梅田ブルク7シアター2 真冬の夜。降りしきる雪の東北の道を走る車。 思いつめた女と男。ラジオから流れるジェフ・バックリー「ハレルヤ」。 ムーディであります。これでもかってくらいに。 このシークェンスの画がここまででき…

ウィ・アンド・アイ

★★★★★ 2013年4月27日(土) シネリーブル梅田2 クソガキどもの遣り放題や青臭い吐露をさして見たくも聞きたくもないが、この順次退場し行く設定の発見のみでもゴンドリーは勝利を得ただろう。加えて時間軸の進行がもたらす光線の変化が行きつく文字通りのマ…

青春の門

★★★ 1981年2月8日(日) 梅田東映 文太・若山・渡瀬たちが織り成す東映任侠風味の前半が過不足無い安定感で見せ、上昇気流に乗った松坂も情念に母性が加味され良い。2人監督は明らかな時間的制約によるものとしても流石のプロ仕事だと思う。(cinemascape) k…

スキャンダル

★★★ 2020年2月23日(日) MOVIXあまがあき5 【ネタバレです】 3美人勢揃いの女の闘い物語かと思ったら、ちゃうかった。 ロートルのキッドマンが火をつけて、現役バリバリのセロンがなびいて、そこまでは仕方ない展開なのだが、若手のロビーがセロンに…

ピッチブラック

★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ 惑星不時着後の30分は孤絶を描写するにアングルやサイズを精緻に検証した才を感じた。ただ、見進むにつれ沸き起こる懐疑が確信に変わり心は冷えていくのだ。「これって丸っきり『エイリアン2』やんけ」…と。善悪の…

宇能鴻一郎の 濡れて開く

★★ 1981年5月4日(月) ダイニチ伊丹 明るいのが良いと言えばその通りなのだが、余りに他愛ない話。映画界に於ける秩序を破壊せんとした作家の養卵機としての日活ロマンポルノを実質支えたのは、こういう数多の作品であった。決して言及されることがない西村…

1917 命をかけた伝令

★★★★★ 2020年2月18日(火) 大阪ステーションシティシネマ4 やたらワンカットを押し付ける予告篇をみて鬱陶しく感じていたので、あんまり良くない予断をもっていた。 でも、どやろか、アカデミー賞にそんなに関心があるわけじゃないが、「パラサイト」とこ…

リンカーン

★★★★★ 2013年5月5日(日) MOVIXあまがさき8 挿話を描くだけで背景に在る歴史を浮かび上がらせる精神のダイナミズムに撃たれる。その構成と台詞に負う手法をデイ・ルイスの明晰なテクが完璧に担保。終盤の戦場は晩年の黒澤が拙く試みた詠嘆の完成形と…

シャイニング

★★★ 1981年3月21日(土) トビタシネマ 過去の時制が侵食するスタティックな超常現象の描写やスタディカムの長尺使用の酩酊感などの鉄壁はニコルソンの迎合的な過剰演技に侵食される。全く相容れない両者は統一を攪乱してるし予想を超えるイメージも少ない。…

ラブINニューヨーク

★★★★ 2020年2月16日(日) プラネットスタジオプラス1 全然見るきもなかった映画なんですが、これは見て良かった。 だいたい、主演の2人がヘンリー・ウィンクラーとシェリー・ロングって何か名前聞いたことあるかもな2人で、代表作ってなんだっけと。てん…

HK 変態仮面

★★★ 2013年4月27日(土) 梅田ブルク7シアター7 股間を押し付けダメージを与えるには耐えがたき饐えた臭いや忌むべきリアル形状が必須なのにそこを避けている。福田が井口や三池に所詮は及ばぬと感じる所以で、使用済みでしか効果が無い設定も可愛い刺繍で…

機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

★★★ 1981年2月8日(日) SABホール コンセプトは悪う筈もない。ただただ映画的ケレンが不足なのと下世話な世界に及び腰なのだ。曰わくありげな長ったらしいタイトルにちょっと期待しすぎた。インテリ貴族達の斜陽にしても男女の不倫愛にしても今一食い足…

AI崩壊

★★★★ 2020年2月14日(金) 梅田ブルク7シアター5 意気は買うけど、さすがにポシャるやろと思っていた。 でも、予想外に健闘している。少なくとも俺は思います。 【以下ネタバレです】 もちろん、規模において、エメリッヒとかのハリウッド製終末ディザスタ…

L.A.ギャングストーリー

★★★★ 2013年5月12日(日) MOVIXあまがさき9 ブローリンやノルティは勿論ゴスリングのキザ演技を含め斜に構えることと無縁の野郎どもアホ一直線映画で、捻りもクソもないのが素晴らしい。一切のギャグ要素を廃したフライシャー演出の今更を恐れぬイジ…

スター・トレック

★★ 1981年2月10日(火) 伊丹グリーン劇場 オチもそれなりな60年代SFの匂い濃厚な題材だが、監督ワイズを筆頭に参加者の思惑がバラバラな感じでチームをテーマとした題材なのに虚ろである。大予算を投入したという特撮も明らかに金の使い道を誤った感濃…

ジョジョ・ラビット

★★ 2020年2月13日(木) TOHOシネマズ梅田5 なんだか、チュウボーが学校で教わったヒトラーユーゲントやゲシュタポや「アンネの日記」とかのネタを組み合わせて作って、ビートルズやらボウイやらをバックに流してイカスじゃんみたいな小賢しさを感じて…

ハッシュパピー バスタブ島の少女

★★★★★ 2013年5月13日(日) シネリーブル梅田2 水没の町や破壊獣に又も宮崎世界のエッセンスを嗅ぐのであるが、一方で少女が垣間見る大人世界の生臭さ。境界上で危うげに戸惑いつつアッケラカンと世界を制する少女に『ザジ』の転生身を重ねる。あざとさとの…

中山あい子「未亡人学校より」 濡れて泣く

★ 1977年5月27日(金) ダイニチ伊丹 宮下順子の被虐性を活かした作品になって欲しかったが、憂鬱なほどチープで安易な作りが災いし隠微であることがマゾヒスティックな極北に到達することはない。陰気なだけの凡作と言うしかないであろう。題材的に徹底した…

オクラホマ巨人

★★★ 2020年2月11日(火) プラネットスタジオプラス1 なんだか意味不明の邦題である。「オクラホマの石油」ってんじゃダメなのはわかるが、なんで巨人?しかも助詞がないから固有名詞みたいで、これじゃ怪物の名前みたいやん。 ってなことも考え、配給会社…

アニマル・キングダム

★★★ 2013年5月13日(月) 新世界国際劇場 過剰なものに慣れすぎたからだろうか。極悪ファミーリアから連想される激刺激は皆無である。心理的葛藤劇としてのサスペンス醸成にも無頓着であり、肩寄せできるキャラが無く淡々と流れていく時間。それが味と言えば…

テス

★★★★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 1982年4月28日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 美しいが故の悲運を逍遥と受け止めるキンスキーを時代と世界が包み込む。その圧倒的なアンスワースの遺言とクロケの継承。少女愛の臨界に立つポランスキーだからこその…

嘘八百 京町ロワイヤル

★★ 2020年2月6日(木) TOHOシネマズ梅田2 前作を俺はまあまあ好きではあったのだが、それはなにもコンゲームとして優れているからではなかったのである。 ええ歳こいたおっさん達が、こたつ入ってみかん食いながら、チンチン立ったみたい話をするって…

クロユリ団地

★★★ 2013年5月18日(日) MOVIXあまがさき6 都市伝説への斬り込みに於いて『リング』から、情感と神経症的鋭利に於いて『仄暗い』から10年後退した凡作。序盤の設定が方便に過ぎず、トラウマはリアリティ無く、終盤には納得性が無い。中田には無い無…

レイジング・ブル

★★★★★ 1981年2月11日(水) 新聞会館大劇場 スコセッシの褪色への、デ・ニーロの外形変化への、チャップマンのオリジナルなファイトシーンへのといった偏執的な拘りが偏執的な男の物語を加速させる。息苦し過ぎな男達の妄執の錯綜を18歳のモリアーティが一…

37セカンズ

★★★★ 2020年2月9日(日) MOVIXあまがあき3 見てる間、1981年の映画「典子は、今」が頭をよぎった。 あれも、サリドマイドで両腕が無い実在の辻典子さんに映画の主役を演じさせていて、この映画でも脳性麻痺で下半身が動かない佳山明さんという女…

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命

★★★★★ 2013年6月1日(土) 梅田ブルク7シアター7 漂泊に終止符を打つのは新たな命であり、しかし、その命は否応なく宿命に支配される。この一見救われぬサーガを悲観や諦念で言うは易いのだが、映画は視線を逸らさず見つめ続ける。そうするしかないとでも…

もう頬づえはつかない

★★ 1981年4月11日(土) 梅田コマシルバー ろくに何もないストーリーであるからこそ日常の些末なリアリティこそが命の映画だろうに、女子大生に桃井ではリアルの欠片も無く森本レオにしたって如何にもであざとい。何より四畳半的ムードが70年代末の空気と…

ラストムービー

★★★★ 2020年2月2日(日) シネリーブル梅田3 1969年の「イージー・ライダー」の成功のあとの1971年、ピーター・フォンダは「さすらいのカーボーイ」でデニス・ホッパーは本作で監督・主演の映画を作った。 これは、とんでもないクソ映画としてお蔵…