男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ゆ】

夢野久作の 少女地獄

★★ 2001年4月13日(金) シネヌーヴォ もっと夢幻的な退廃美を期待していたのだが、そして実際、シュールなイメージも織り込まれてはいるが非常に安っぽい。後半に至るに、耽美は遠のき単なる復讐譚になってしまった。どっちつかずで中途半端である。(cinemasc…

新・雪国

★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ4 ありきたりな物語だとは思うが好きなんです、こういうの。雪に密閉された温泉町の雰囲気の最果て感が良く、行き場の無い男の物語にリアリティを付与する。新人苗木は生硬で全然物足りないが、代わりに女将を演…

EUREKA ユリイカ

★★★★ 2002年3月2 日(土) リサイタルホール トラウマに飲み込まれる兄と脱却できた妹の物語としてなら納得するが、この主人公の現実からの逃避や兄妹への共存志向には借り物の胡散臭さしか感じられなかった。60年代日本映画の最良の撮影を彷彿とさせる田村…

ゆきゆきて、神軍

★★★ 1994年11月5日(土) みなみ会館 この映画は奥崎の滅茶苦茶さを傍観しているだけであり、一緒になって騒ぎ立てるか、とことん否定して映画そのものを崩壊せしめるかどっちかに依るべきだった。とんでもないおっさんに良く付き合って御苦労さんだけではつま…

許されざる者

★★★★★ 1993年4月25日(日) 梅田ピカデリー1 ワイオミングの曇天下、嬲り倒されるハリスに重なるE・クック・Jr。酒場の仰角構図も『シェーン』を想起させる。20年の歳月を経て銀幕上で対峙したハリーとポパイ。イーストウッドが映画史の担い手たる自覚下で…

ユニバーサル・ソルジャー

★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 重装備で幕を開け肉弾戦に収斂してしまうのでは構成自体も悪いとは思うが、オーバーに言えば10年に1度の顔合わせを物に出来なかった格闘音痴のエメリッヒよりも、それを選んだセンス無き阿呆プロデューサー共に怒りの鉄…

雪之丞変化

★★★★★ 1992年11月12日(木) サンポードアップルシアター 映画的レトリックと純文学かぶれのアンビバレンスが解消された60年代市川の総決算とも言うべき大衆芸能お祭り映画。主演長谷川を十二分に立てつつ演出もキザでキッチュでオチャラケるという奇跡の併…

由宇子の天秤

★★★ 2021年10月5日(火) テアトル梅田1 作劇的に生煮えな感じがする。 主人公の周りで起こる2つの事件があって、1つは仕事として相対する第3者として、1つは身内が絡んだ当事者として関わるわけですが、まあ、火の粉が降りかからないときはご立派なこと…

勇者たちの戦場

★★★ 2009年1月31日(土) トビタシネマ 真摯な物語とは思うが、80年代ベトナム後遺症ものと何ら変わらないアプローチではどうしても物足りない。アル中・犯罪・戦場依存と通り一遍のキャラの中、印象深いのはビール演ずる女性兵士。自己回復へ至る彼女の挿…

雪の断章 情熱

★★★ 1990年8月11日(土) みなみ会館 新派の舞台劇みたいな大時代話を今更やってられないとの相米流開き直りがナンセンスな冒頭の18シーン1カットなのだろうか。にしては本篇での少女の捉え方は得意のモラトリアム心象的イメージを持ち込むワンパターン。嫌…

夢見通りの人々

★★★★ 1989年8月26日(土) 長崎松竹 仁鶴や八方や文珍はともかく山田スミ子に、そして新世界で踊るおっさん・おばはんの姿に何故だか郷愁を感じる。膨大な人物群のごった煮的カオスだが、得意の猥雑さは影を潜めこじんまりとした優しさに浸りきった世界。それ…

ずべ公番長 夢は夜ひらく

★★★★ 2009年10月24日(土) 日劇会館 内向的イジケ度ゼロの前向きエロス炸裂。超ミニで緩パン丸出しを物ともしない大信田礼子の規格外の健康美に釘付けで、1人任侠に浸る梅宮も悪乗り金子も蹴散らす女たちには文句無しの感動を受けた。勿論、主題歌も良いよ…

夢みるように眠りたい

★★ 1988年1月2日(土) SABホール 映画を描いた映画は得てして陥る閉じた世界に細心の注意を払わねば鼻持ちならないものになる。これは余りに陳腐な昭和初期へのノスタルジーだけが、その術なので救われない。(cinemascape)

ウディ・アレンの 夢と犯罪

★★★★ 2010年4月5日(月) 梅田ガーデンシネマ2 余りに何の変化もない直球のギリシャ悲劇もどきで、肝心の修羅場を避けるアレンの根性無しぶりを情けなくも思うが、それを今更言いたくもない老練の余裕綽々に悪ガキ2人の軽い芝居の脱深刻の妙。こうも打つ手…

誘拐ラプソディー

★★★ 2010年4月22日(木) 梅田ブルク7シアター5 ライトでコメディ風味な狙いなのだから言っても仕方ないが、設定が好みなだけにもうちょい何とかならんかと思ってしまう。菅田・榊・木下達が緩んだ哀川を好サポートする一方、侮れない高橋・船越の安定。役…

遊星からの物体X

★★★★ 1984年9月24日(月) 大毎地下劇場 無菌的で夾雑物のない世界で女っけゼロ状態が醸す直球の作劇。オーソドックスな保守本流話でも状況設定でかくも魅せる映画は出来る。プロット毎のアイデアとクリーチャーの奇矯が完璧に相乗する快楽。犬のイメージを逆…

ユキがロックを棄てた夏

★★ 1982年4月29日(木) 大阪府立文化情報センター 映画屋のふりをするのではなくトコトンに映画屋であろうとするということはアンダーグランドでは異彩を放ってもプロに混じると凡百に塗れる。日活ニューアクションへのオマージュだけでは世間は通らない。批…

郵便配達は二度ベルを鳴らす

★★★ 1982年5月12日(水) 伊丹グリーン劇場 大不況下の30年代を再現し、又闇に浮かぶライトのか細さを始めコマーシャルなニクヴィストも乙なもんではあるが、最も原作に忠実であるというこの映画化作から80年代に訴求する何かを掴み取ることも難しかった。…

Uボート

★★★ 1982年5月28日(金) 伊丹グリーン劇場 機雷やソナー音の醸すサスペンスや艦員たちの悲喜交々はジャンル定形の常套で、長征の果てしない閉塞が製作労苦と同期するリアリズムこそ描かんとされそうなったにしても余りに一本調子でしんどい。戦時下の悲惨な実…

ユーズド・カー

★★ 1981年6月28日(日) 伊丹ローズ劇場 荒野に道を隔てて向き合う中古車屋の販売合戦という如何にも映画的な設定。なのに全然面白くない。カート・ラッセルがコメディに向いてないのもあるのだがアメリカン・ローカルなギャグの釣瓶打ちが性に合わない。自棄…

夕なぎ

★★★ 1981年9月9日(水) 毎日文化ホール 男2人の間で揺れ動く女心という骨子が3角関係の微妙な空気感に紛れていく。中年の地味な市井人の心の揺れ動きをハッタリズムを廃して叙情性を押し出し描くフランス映画の伝統的王道とも思わせる。煮え切らない主人…

郵便配達は二度ベルを鳴らす

★★★★ 1980年6月22日(日) 梅田東映ホール 冷血なアメリカン・ハードボイルドを情のイタリアン・ネオリアリズモに置き換えても、必要以上にベタつきもしないのはヴィスコンティの破滅志向が根底にあるからだろう。絶妙のバランス感覚に立った処女作。カラマイ…

夕暮まで

★★ 1980年10月19日(日) 伊丹ローズ劇場 焦らされる過程を楽しむには料理番組程度のグルメぐりではデカダンが足りないし、鈴木のカメラも平板で安い。オリーブオイルで素股の性愛描写も覚悟が無いから訳わからん体たらく。処女性への拘りがかおり相手ではどう…

雪の轍

★★★★★ 2015年7月11日(土) シネリーブル梅田3 ベルイマン・カサヴェテスクラスの深層心理の表出により切り裂かれる魂の痛みは、インテリゲンチャ崩れな高等遊民の防御壁をやがて徐々にだが融解する。ニヒリスティックな世界観だが、それでも融和と希望を託…

ユリゴコロ

★★★★ 2017年9月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ3 原作未読。 【ネタバレがあります】 冒頭10分で主人公の少女時代が描かれるが、その凡庸さに観るのやめたくなった。 「頭のネジが外れてる」と自己分析する異常者を、ああいう如何にもな演出でし…

夕陽の群盗

★★★ 2017年6月24日(土) プラネットスタジオプラス1 ロバート・ベントンのデビュー作で、撮影が「ゴッドファーザー」のゴードン・ウィリスだが、更にカメラオペレーターとしてが「タクシー・ドライバー」のマイケルチャップマンがクレジットされている。 …

揺れる大地

★★★ 2017年2月13日(月) シネリーブル梅田3 ネオリアリズモの1篇と言われているのだが、煎じつめれば家族・一族の話である。 そのあたり。やっぱヴィスコンティやねと思うのだ。 この流れは「若者のすべて」を経由して「山猫」で結実するわけだ。 共産党…

恐喝 ゆすり

★★★ 2016年12月4日(日) プラネットスタジオプラス1 自業自得やん…この女って思うモラリズムはヒッチコックには無いのだろう。 どうやってサディスティックにいたぶるかしか眼中にないのだから。 それで又このアニー・オンドラが可愛いんですわ。 コスプレ…

続・夕陽のガンマン 地獄の決斗

★★★ 2016年10月20日(日) 大阪ステーションシティシネマ7 冒頭ラストの各10分は得意の縦構図とクローズアップの快楽モンタージュで殿堂入り級だが残り大半は弛緩。ミニマムなアウトロー講談に南北戦争という大状況を加味しキャラが振り回され凡化し…

湯を沸かすほどの熱い愛

★★★★ 2016年11月16日(水) 梅田ブルグ7シアタ-4 如何にして人生にけじめとか帳尻をつける物語だろうと高を括っていたら中盤から思わぬ展開に襟を正すことになる。 全く報われない人生を送ってきたらしい彼女だが、その報われなかったことに気付…