男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【け】

ゲームの規則

★★★ 2024年4月15日(月) プラネットプラスワン ルノワールの最高作とする向きもあるそうだが、どうにもなんと言うか今いちだった。だいたいに於いて俺はルノワールの映画が性に合わないんでしょうね。何見てもあんまりピンと来ないんです。 貴族たちの4角…

獣は月夜に夢を見る

★★★ 2016年7月23日(土) 新世界国際劇場 ジャンルムービーとして新しい見どころは取り立てて無いのだが北欧の漁村の寒々しい風情が良い。特に地場の水産加工場を主舞台とした点で虚構は生臭いリアリズムを足掛かりに土着的なフォークロワへと近似する。主演…

ゲッタウェイ

★★★★★ 1974年6月2日(日) 伊丹グリーン劇場 逆境下で強まる夫婦の絆がロードムービーの芯を成す。ゴミに埋もれて額に傷を負ったマッグローの愛おしさが2人の道行をドキュメンタルに基底。モンタージュもこなれて粋の極みだ。素晴らしく魅力的なシークェンス…

ゴダールの決別

★★★★ 2023年7月13日(木) シネヌーヴォ 見てから半月以上経ってしまってどんな内容かももはや記憶に覚束ない。最近、この作品について書いてた人がいて、それ読んであーそんな話やったんかと今更思ったり。 とにかくこの映画、ゴダール史上ツカミのカッコよ…

ゲーム

★★★★ 1998年3月6日(金) テアトル徳山Ⅱ この監督ならラストはきっとこうなるという予見を完全にはぐらかされた。ピシッと膝打ちそうこなくっちゃと思う。後で考えてみりゃあこういう裏切り方以外にどう終わっても予定調和と感じただろう。裏の裏の衒いなさが…

ケイコ 目を澄ませて

★★★★★ 12月20日(火) シネリーブル梅田1 さほど起伏のあるストーリーでもないのだけど、一瞬一瞬の情感をフィルムに焼き付けようとの意思がバシバシ伝わってくる。傑作だと思うし、去年の「偶然と想像」と同じく暮れになって邦画レース総まくり1本が現れ…

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer

★★★★ 2000年3月9日(木) ユナイテッドシネマ岸和田6 80年代アニメとの関連付けは誤読と思いつつ、危難待つ牙城に潜入する前半に『カリオストロ』、構造が崩壊する後半に『ビューティフルドリーマー』を感じた。斜に構えたキザも堂に入り原シリーズ未見でも…

ゲット・ショーティ

★★★ 1996年6月22日(土) 徳山国際劇場 筋を本気で語る気が無いレナードのグダグダ展開をシークェンスは演出できてもプロットを再構築できないソネンフェルドが実直に演出しまんまグダグダ。キャスティングが良くて飽きないが、展開がどっちサイドに流れるのか…

京浜抗争史外伝 最後の組長

★★★ 2000年12月2日(土) 天六ユウラク座 最早何も今更抽出し得べくもない任侠道と功利主義の確執を描くに当たり、今を表出させるべく持ち出したのが冒頭の女子高生のパラパラだったのだろうか。哀しいまでの鳥井監督のセンスのズレに戸惑うが手堅い出来ではあ…

激怒

★ 2022年9月5日(土) テアトル梅田2 直情的な剛腕刑事が干されて飛ばされて何年ぶりかで町に戻ってみたら、ろくでもない奴らに牛耳られ町は豹変していた。 とまあ、ハメット的にそそるプロットであり、そんなんで見に行ったわけなんですが。 主演で製作に…

現実の続き 夢の終わり

★★ 2001年9月20日(木) ホクテンザ2 水野美紀の復讐アクションに特化して欲しかったのだが、何故か台湾マフィアの内輪揉めの話が延々と繰り返されるのでイライラしてくる。台湾人監督の描きたいことは我々日本の観客の要求に応じ切れていない。展開はルーテ…

月世界旅行

★★★ 1994年7月31日(日) ACTシネマテーク 映画創生期の絵の中の人や景色が動く驚愕もさることながら、作る方も見る側もこの月世界をもしかすればありなむと思ってたのではってところが憧憬をかきたてる。本作を観ながら目に浮かぶ20世紀初頭の芝居小屋の…

ゲッタウェイ

★ 1994年7月24日(日) 新劇会館 ブロスナンもマドセンも憎かろうはずがない…ましてやキム姐をや。ドナルドソンも総じて本作以降の監督作は好きだ。しかし、人にはやって良いことと悪いことがある。こんなことする位なら『第三の男』や『市民ケーン』をリメイ…

KT

★★★ 2002年6月5(水) 動物園前シネフェスタ3 三島に心酔し石原を引用する極右将校が必ずしもファナティックである必要は無いとは思うが、やはり、この創造人物を歴史に割り込ませる必然性が希薄。そして何より主権を蹂躙されても弱腰外交な日本の官・軍・民…

車夫遊俠伝 喧嘩辰

★★★ 2002年11月16日(土) 扇町ミュージアムスクエア 何があっても自分の信義を曲げぬ男というのは良いキャラで『けんかえれじい』に通底するようにも思えるのだが、そこを取り立てて前面に出さず勿体ない。後半に至りそういった特質は後方に霞みトーンダウン…

刑事エデン 追跡者

★★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 原理主義的な戒律がもたらす慎みと静謐トーンが映画を規定する。物語は当然に破綻を許されず越境は終に遂げられることはない。メラニーに仮託した観る者の戸惑いと馴染み難さはそれでもやがて融解しゆくだろう。ルメ…

★★★★ 2002年11月28日(木) 扇町ミュージアムスクエア 解ってもらえないからと言って全てを放っぽり出す「美学」を美しいと思う気持ちは正直解らないでもないが、それが国粋主義的に昇華されると極右へと向かう。三隅は三島の映画化には或る意味最適者で一切迷…

刑務所の中

★★★ 2003年2月11日(火) 梅田ガーデンシネマ1 一種の諦念に彩られた諧謔の世界という意図があからさまで、しかも、演じるのが安易なる売れ線バイプレーヤーのオールスターとあっては余りに工夫が無さすぎ。画面造形も平凡。(cinemascape) kenironkun.hatenab…

激動の1750日

★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 「実録」的題材なのだが、あくまで筋を通そうとする中井貴一の立姿は「任侠」のそれであり安定感がある。組織もへったくれもない個のドラマツルギーに矮小化されゆく90年代実録路線の端境期に位置する70年代の残り香。…

ゲロッパ!

★★★ 2003年9月22日(月) 梅田ブルク7シアター5 あれほどの前フリをしてながら西田がどれ程の狂気を体現できるかにかかっていた筈。その狂気と娘を思う愛とのコントラストが映画の肝にならないといけない筈。クライマックスのショーは淡泊すぎ、内閣調査室は…

外科室

★★ 1992年4月12日(日) サンポードアップルシアター 能面演技を強いられても人が演ずるからには否応なくそれを突き破って露呈されてしまう何らかのパッションがある筈なのに、玉三郎は信じないし委ねない。閉じた世界観で培養された歪なるお人形さん遊び。(ci…

ケレル

★★ 1992年5月16日(土) シネマヴェリテ 腐って汁が爛れ落ちる果実の色合いと匂い。この人工美で貫徹された世界が完成度が高いと言うならそうなのかも知れない。ゲイの精神的側面ではなく肉体面のアプローチに徹したかの如き世界観は正直つらい。これがファス…

競輪上人行状記

★★★★★ 2006年10月21日(土) 日劇会館 これを見れば西村ほどの才能がロマンポルノに身を埋めてしまったのが惜しまれる。今村的意匠は随所にあるが、的確且つ変態風味を滲ませた作風はオリジナル。そして、何かに到達するには人1人殺すほどじゃなければとい…

ゲゲゲの鬼太郎

★★★ 2007年4月29日(日) 梅田ブルク7シアター1 打算と裏切りで世知辛い世を渡り歩くピカレスクな「ねずみ男」をこそ主人公にして欲しかった。大泉洋が役の解釈からして完膚無きまでにモノにしている。寛平・室井は遊び心が無い。終盤は西田がかっさらう。…

毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト

★★★★ 2007年11月17日(土) 新世界国際劇場 こういう境界を越える話を半端にやられると、あざとさを被いきれなかったろうが、ミューズキッドマンの貞淑と逸脱の兼備がまるでブニュエル映画のドヌーヴのような説得力で迫ってくる。久々の見物である。接写のセ…

日本暴力列島 京阪神殺しの軍団

★★ 1991年8月25日(日) 日劇会館 『仁義なき戦い』シリーズで最強のオーラを発していた武田(小林旭)と岩井(梅宮辰夫)が、ここでは何故か中年の「渡り鳥」と「不良番長」に見えてしまう。実録ものに於ける在日朝鮮人への切り込みも2人のデブが走り回るだ…

軽蔑

★★★ 1991年10月13日(日) キリンプラザ大阪 醒めた視線は良いのだが、バルドーが夫をそんなに愛してるようにも見えなげで基本設定が成り立たず上滑る。本質下世話な主筋に付加されたバックステージもの映画へのオマージュも陳腐そのもの。特にラングの映画中…

けんかえれじい

★★★ 1991年10月20日(日) トビタ東映 解体を旨とする作家が堅牢な構築に統べられ行儀は良いが平凡。なのにそれを良しとしない諧謔味が寧ろ邪魔にさえ感じ漫画チックなカット割りが浮いている。極右化しゆく青春の行く末をこそ清順流で示唆すべきが、そこは新…

ケープ・フィアー

★★★★ 1991年12月30日(月) 北野劇場 鉄壁のスタッフを揃えてスコセッシがジャンル映画に於ける技巧の限りを愉しもうとした映画なんだと思う。さすればサイコものとしての緩さは許せるが、にしても後半の緻密さの崩壊は惜しい。デ・ニーロは予測範囲内だしノル…

K-9 友情に輝く星

★★ 1990年1月28日(日) 長崎ステラ座 退屈だが犬で多少もつ。しかし、もともと犬なんて出さなけりゃ、そんなもんに依存することなく、もうちっとマシなストーリーでも考えるだろう。わかっているのに負のスパイラルはこれまでも又これからも続く…。救われない…