男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【け】

車夫遊俠伝 喧嘩辰

★★★ 2002年11月16日(土) 扇町ミュージアムスクエア 何があっても自分の信義を曲げぬ男というのは良いキャラで『けんかえれじい』に通底するようにも思えるのだが、そこを取り立てて前面に出さず勿体ない。後半に至りそういった特質は後方に霞みトーンダウン…

刑事エデン 追跡者

★★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 原理主義的な戒律がもたらす慎みと静謐トーンが映画を規定する。物語は当然に破綻を許されず越境は終に遂げられることはない。メラニーに仮託した観る者の戸惑いと馴染み難さはそれでもやがて融解しゆくだろう。ルメ…

★★★★ 2002年11月28日(木) 扇町ミュージアムスクエア 解ってもらえないからと言って全てを放っぽり出す「美学」を美しいと思う気持ちは正直解らないでもないが、それが国粋主義的に昇華されると極右へと向かう。三隅は三島の映画化には或る意味最適者で一切迷…

刑務所の中

★★★ 2003年2月11日(火) 梅田ガーデンシネマ1 一種の諦念に彩られた諧謔の世界という意図があからさまで、しかも、演じるのが安易なる売れ線バイプレーヤーのオールスターとあっては余りに工夫が無さすぎ。画面造形も平凡。(cinemascape)

激動の1750日

★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 「実録」的題材なのだが、あくまで筋を通そうとする中井貴一の立姿は「任侠」のそれであり安定感がある。組織もへったくれもない個のドラマツルギーに矮小化されゆく90年代実録路線の端境期に位置する70年代の残り香。…

ゲロッパ!

★★★ 2003年9月22日(月) 梅田ブルク7シアター5 あれほどの前フリをしてながら西田がどれ程の狂気を体現できるかにかかっていた筈。その狂気と娘を思う愛とのコントラストが映画の肝にならないといけない筈。クライマックスのショーは淡泊すぎ、内閣調査室は…

外科室

★★ 1992年4月12日(日) サンポードアップルシアター 能面演技を強いられても人が演ずるからには否応なくそれを突き破って露呈されてしまう何らかのパッションがある筈なのに、玉三郎は信じないし委ねない。閉じた世界観で培養された歪なるお人形さん遊び。(ci…

ケレル

★★ 1992年5月16日(土) シネマヴェリテ 腐って汁が爛れ落ちる果実の色合いと匂い。この人工美で貫徹された世界が完成度が高いと言うならそうなのかも知れない。ゲイの精神的側面ではなく肉体面のアプローチに徹したかの如き世界観は正直つらい。これがファス…

競輪上人行状記

★★★★★ 2006年10月21日(土) 日劇会館 これを見れば西村ほどの才能がロマンポルノに身を埋めてしまったのが惜しまれる。今村的意匠は随所にあるが、的確且つ変態風味を滲ませた作風はオリジナル。そして、何かに到達するには人1人殺すほどじゃなければとい…

ゲゲゲの鬼太郎

★★★ 2007年4月29日(日) 梅田ブルク7シアター1 打算と裏切りで世知辛い世を渡り歩くピカレスクな「ねずみ男」をこそ主人公にして欲しかった。大泉洋が役の解釈からして完膚無きまでにモノにしている。寛平・室井は遊び心が無い。終盤は西田がかっさらう。…

毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト

★★★★ 2007年11月17日(土) 新世界国際劇場 こういう境界を越える話を半端にやられると、あざとさを被いきれなかったろうが、ミューズキッドマンの貞淑と逸脱の兼備がまるでブニュエル映画のドヌーヴのような説得力で迫ってくる。久々の見物である。接写のセ…

日本暴力列島 京阪神殺しの軍団

★★ 1991年8月25日(日) 日劇会館 『仁義なき戦い』シリーズで最強のオーラを発していた武田(小林旭)と岩井(梅宮辰夫)が、ここでは何故か中年の「渡り鳥」と「不良番長」に見えてしまう。実録ものに於ける在日朝鮮人への切り込みも2人のデブが走り回るだ…

軽蔑

★★★ 1991年10月13日(日) キリンプラザ大阪 醒めた視線は良いのだが、バルドーが夫をそんなに愛してるようにも見えなげで基本設定が成り立たず上滑る。本質下世話な主筋に付加されたバックステージもの映画へのオマージュも陳腐そのもの。特にラングの映画中…

けんかえれじい

★★★ 1991年10月20日(日) トビタ東映 行書体作家が楷書体に擦り寄り行儀は良いが平凡。なのに、それを良しとしない諧謔味が寧ろ邪魔にさえ感じ、漫画チックなカット割りが浮いている。極右化しゆく青春の行く末をこそ清順流で示唆すべきが、そこは新藤の範疇…

ケープ・フィアー

★★★★ 1991年12月30日(月) 北野劇場 贅を尽くしてスコセッシが技巧の限りを愉しもうとした映画なんだと思う。そう思うとサイコものとしての緩さは許せる…と弁護しても後半の崩壊は惜しいし、デ・ニーロも予測を裏切ってはくれない。(cinemascape) kenironkun.…

K-9 友情に輝く星

★★ 1990年1月28日(日) 長崎ステラ座 退屈だが犬で多少もつ。しかし、もともと犬なんて出さなけりゃ、そんなもんに依存することなく、もうちっとマシなストーリーでも考えるだろう。わかっているのに負のスパイラルはこれまでも又これからも続く…。救われない…

幻影師アイゼンハイム

★★★ 2008年10月1日(土) 新世界国際劇場 抑制の効いたものとは思うが、抑制が効きすぎてロクに何も起こらないという体たらくではどうかと思うし、況やフラッシュバックの終局が近作『プレステージ』を想起させるのも萎える。そんなことなら、いっそとことん…

建築家の腹

★★ 1990年9月30日(日) 毎日文化ホール 何でもかんでもモノマニアックに左右対称にするアイデアが主人公の精神的葛藤とリンクしてる訳でもないのでアイデア倒れとしか見えない。映画的ハッタリの欠如した演出のもとでヴィエルニ撮影は完璧の域といっていいの…

県警対組織暴力

★★★ 1990年11月12日(月) トビタ東映 警察機構を体制的に描く訳もなく所詮は似たり寄ったりの強欲と暴力の集団とならざるを得ず、ならば結局一緒やんという話だ。寧ろ構図は図式化し蠱惑のカオスは存在しない。拓ボンがドMチック熱演ったって徒花にすぎず、…

K.K.K.

★★★ 2021年5月6日(木) シネヌーヴォX KKKって、かの白人至上主義結社クー・クラックス・クランみたいだが、Kustom Kar Kommandosのことであって特注車で繰り出そうぜみたいな感じか。もちろん、CをKに置き換えてシャレてるんでしょう。commandosには…

現代やくざ 人斬り与太

★★★ 2010年2月20日(土) 日劇会館 結構、状況に迎合する主人公が今いち生半可で、安藤・諸角と西の勢力が拮抗するマクロな構図の前で矮小化される。腐れ縁の渚まゆみと同衾する文太の部屋での呟きが電車の音にかき消されるドン詰まり感。こういう深作節には…

現金に体を張れ

★★★ 1986年2月23日(日) 花月シネマ 複数視点からの反復叙述という技法の先駆性。時間芸術としての映画の最大有効活用法の発見。そのアイデアは最高だが、後のキューブリックらしい豊穣を極限まで刈り込む贅からは遠い。役者のショタレ感にも侘びしさを感じた…

KCIA 南山の部長たち

★★★★ 2021年1月23日(土) シネリーブル梅田2 何とか悪い流れを断ち切って、あるべき方向に変えたい、ともがいてもどんどん状況は悪くなっていき、挙句はのっぴきならない顛末を招いてしまう。 いくつかの任侠映画の達成を思わせるし、現在放映中の大河ドラ…

消しゴム

★★ 1984年12月8日(土) 千日会館 言いたいことは解るのだが、直裁的すぎで、だから…どうした?としか思えない。勿論、だからどうした?の映画は世に幾らでもあるが、新奇で斬新なイメージで補填すべきであって、従来の寺山キーワードの使い回しでしかないので…

刑事物語2 りんごの詩

★★★ 1983年7月27日(水) 伊丹グリーン劇場 2段構成になっているのが必然ではなく場当たりにしか感じられないので散漫な印象になった。マドンナ園みどりの鈍臭さが悪くないだけに勿体無いのだが、そこはそれ遣りたい事は豊富で飽きない作りだし、武田の激情的…

激突!

★★★ 2011年9月30日(金) TOHOシネマズ梅田10 ことの起こりからシャレじゃないと気づくまでは、ショットが織り成す純粋芸術たろうとするスピルバーグの矜持がイケイケの接写多用の弩級感と相まり完璧なのだが、映画はやがてマシスンのモノローグに侵食…

幻魔大戦

★★ 1983年10月23日(日) 新世界国際 初期限定で平井和正を信奉することに吝かではなく石森のアプローチも同線上に沿ったもの。つまり異形のものの越境を経た孤絶感。しかし、大友は浪花節を拒否して無機的な別次元を志向する。りんたろう如きに巨頭達の采配が…

汚れなき悪戯

★★★★ 1982年1月23日(土) SABホール なかなか心底からは信じ切れない映画内の「無垢」というものが信じれるような気がするのは、作り手たちの信仰に偽りが無さそうだから。そして、無垢と表裏の何かが現れたかのような終盤部の映像表現は真に衝撃的。パブ…

刑事物語

★★★★ 1982年5月1日(土) 伊丹ローズ劇場 武田鉄矢に何一つ期待するものもなかったが、予想外の蟷螂拳の健闘に加え直情的に盛り上げる激情の爆発。ベタを恐るるなかれ。聾唖者をヒロインにというのも、あざとさを感じないくらいに心情が籠もっていた。拓郎主題…

汚れなき祈り

★★★★ 2013年3月23日(土) テアトル梅田2 良く言えば通り一遍でないが悪く言えば未整理。現代の悪魔祓いという題材を得て尚ムンジウは撃つべき対象に躊躇してる。女2人の関係の特異性が抽出され過ぎ、教会という体制は後景に退いた。ただ、ラストを筆頭に…