映画感想【おあ~おの】
★★★ 1999年9月18日(土) 新劇会館シネマ2 お受験・リストラ・マラソンという3題噺で鮮度落ちの一色が肩力を抜いて仕上げたもので、何かにつけて詰めが甘いと思うのだが泣かされてしまったのも事実なのだ。言うことがまともで子役が良いからだろう。永ちゃん…
★★★ 1999年8月7日(土) 祇園会館 平成無責任男的なキャラ付けと刑事ドラマがリミックスされたシリーズ根幹を鮮やかに提示したオープニング。そのオリジナルアイテムで自走すればいいのに『羊たち』をパクったような設定が安い。土台キョンキョンでは意外性だ…
★★★★★ 1998年10月24日(土) 動物園前シネフェスタ2 焼跡の残滓も生々しく先行真っ暗な戦後不況真っ直中の日本でも、子供は純粋且つ強靱であり女房は優しく包容力があった。信じ難い理想郷を見たという驚きに充ちた驚愕の90分間。緩やかに移動するロングシ…
★★★ 1996年1月3日(水) テアトル徳山Ⅱ 根無草の寅の終焉に何らかの帳尻をつけようとしたのが間違っており、動けぬ渥美にリリー介添えで年寄の馴れ合い的辛気臭さが蔓延した。寧ろピチピチの若きマドンナで明るく陽気に何の予兆もなくプッツリ終わってほしかっ…
★★★★ 2000年4月26日(水) 動物園前シネフェスタ2 彼女欲しさの嘘八百のオーディションがアンチモラルとしても男なら解らないことはないという微妙な匙加減。トラウマに囚われた不孝な過去を背負うとしても抑制の枷をぶっ飛ばす一大ショッカーの連続が柔な理…
★★★ 1996年6月22日(土) 徳山市民館小ホール とりたてて美人でもハンサムでもない女と男たちが、何の計算もない転がり放題のストーリーを駆け抜けて行く。それも又人生とは言え乗り損なうと全く乗れない。心を病むということが過剰に喧伝される今、この軽やか…
★★★ 1996年9月7日(土) テアトル徳山Ⅲ 恋敵を物語の主線上に配置したバージョンとして後の『葛飾立志篇』『寅次郎恋愛塾』等に連なる系譜の初作だろう。しかし、十朱と寅の印象的な絡みが少なく印象が薄い。前半の九州の港町の風情が格別に良く、上條も好感の…
★★ 1996年9月7日(土) テアトル徳山Ⅲ 山田洋次の脳内思考で形成された現代的モテナイ君平田満が恐ろしく共感を拒否するキャラクターで、それに物語を乗っけようとした終盤の追っかけは無惨極まりない。加えて樋口はシリーズには全く馴染まない感じ。(cinemasc…
★★★★ 2001年3月15日(木) 動物園前シネフェスタ2 何がどうなって行くのか全く予想もつかない倫理観ゼロの展開が恐るべしだ。予想外な技巧サイドのデュビビエマターが全開する。アップのパワーがあるしローアングルもポイントごとに効果的に効いてる。そして…
★ 2001年3月8日(木) 梅田劇場 デジタルフィルムを安易に使った画面が空前絶後の汚らしさで、ここまで来るとスクリーンで観る客を端から無視してるのだろう。何かを語りかけようとする努力さえ念頭に無いゲーマー世代の唾棄すべき自己中が膿の如くに滲み出る…
★★★ 2001年8月2日(木) テアトル梅田2 後にピンで傑作を連作した大映3大スターも初期には数多のプログラムピクチャーをこなしたからこそなのだろう。手馴れた演出での1時間半は飽きないが、TVの勃興に喰われるのも仕方ないとも思わせる。勝新はともかく…
★★★ 2001年11月15日(木) トビタ東映 ゴクミとのシリーズではウジウジと見ている者を大概いらつかせた満男であったが、寅の老化を間近で感じつつ負って立つ気概でもでたのか結構いい。牧瀬理穂も良い役に恵まれ好調。一方、寅は可愛そうな位影薄くかたせとの…
★★★ 2002年2月13日(水) シネリーブル梅田1 ブラックな風刺も効いて前半は良い。しかし、肝心のアニメーションを駆使した後半は凡百のスプラッターに限りなく近似していき、実写とアニメーションの食い合わせの難しさを感じさせる。子供の夜泣きに悩まされた…
★ 1994年6月26日(日) 高槻セントラル 乱歩稀代の傑作幻想譚は凌雲閣という高所から遠眼鏡で遙か下方のからくり細工の押絵の美女を視るというマクロからミクロへの瞬時の空間飛躍がもたらす孤絶感こそが肝であるのに技量が無く、替わって安易な時制錯綜で茶を…
★★★★ 2002年3月14日(木) 西灘劇場 語り口の抽斗を山ほど持つ男が「芸」を見せきる為に抑制を選択したのが心憎い。この2人の夫婦役者の掛け合いは何時間見てても飽きないだろう。至芸と言っていい。川下から拾い上げたウルマンやメイ。役者の選択が全てと言…
★★★★ 2002年4月28日(日)~29日(月) ホクテンザ2 省略ではなく安易で強引な展開がポルノだから仕方ないかと諦める前半をクリアすると予想外に真摯な脱トラウマ劇としての煌めきのようなものが浮かんで来て最後は感銘を覚えた。しかもポルノとして最高にそそ…
★★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 十二分に誇張されまくってるリーゼントとペンギンブーツは普通の風景・普通の人々中でこそ異化され可笑しみが生じるのに家族全員がそうだと如何にも安すぎてベタな笑いに成り下がる。これ見よがしなのだ。短いのであざ…
★★★ 2001年5月6 日(月) テアトル梅田1 サディスティック&マゾヒスティックが究極の純愛に…。その世界に惹かれるものは感じないが田中絹代と高田浩吉はタイプキャストとしてこれ以上の適役は無いと言っていい位のはまり方。三味線と琴に乗せた編集はダイナ…
★★★ 2002年5月15日(水) シネヌーヴォ 右か左かを明確にする必要はないが、こうも未整理に成り行き任せの丸投げを見せられても感銘を呼べないと思う。初期設定の帳尻を合わせられず混沌に逃げたような感じ。ラストはポランスキーが既にやっている。(cinemasca…
★★★★ 2002年6月4(火) ホクテンザ1 『ナニワ金融道』的経済ヤクザのコンゲームは今となっては陳腐だが、主役3人の生き方は正味真っ正直で迷いが無く気持ちいい。特に仁藤優子が素晴らしく役所との絡みでは長廻しに耐え多面的な女心の表出を演じ切って出色。…
★★★★ 1994年9月25日(日) 扇町ミュージアムスクエア 安全な高所から美女を侍らせ高見の見物で指令を送る教授。人生こうあらねばと少年時代に思ったか思わなかったか知らんが、そうなってないのは事実。メカニカルな装置美術とポップな色調の撮影と過剰な音楽…
★★★★★ 2002年7月8日(月) トビタ東映 滅び行く親の世代と脱皮しながら育ち行く子の世代の対比は在り来たりかも知れぬが驚くべきバランス感覚の良さで、どちらの描写も全く過不足無い。日常に芸人が介在する浪花の世界に組み込まれた親子が全くあざとくないの…
★★★★ 1993年1月31日(日) 日劇会館 当書きされたと思しき三船が有りそうで実は映画で余り見ない日本親父のスタンダードを体現して絶妙。そう来れば寅が後景に退くのも戦略的にも納得できるが、常連竹下のマドンナ起用が奥ゆかしく後景感を払拭しているのも良…
★★★ 1993年1月31日(日) 日劇会館 京マチ子という超弩級のマドンナを迎えたにしては余りにミスマッチだし食い足りない展開。同系若尾文子も使いこなせなかった山田の弱点が露呈。檀ふみで茶を濁さざる得ない序盤が無駄で虚しい。(cinemascape) kenironkun.hat…
★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 無駄に回数を重ねたゴクミシリーズも方向性を決めかねルーティーン展開に収束。相変わらずの寅の逃げ腰も最早笑う気も起きず斜陽感が横溢する。それにしても永瀬の早朝の船出シーンの傑出した情感。こういうのがあるからこ…
★★★ 2002年10月4日(木) トビタ東映 毎度お決まりの寅の片恋話でもたなくなった果てのアラカン登用としてものり平の絶妙のサポートも冴えてシリーズ中屈指の至芸を見せる爺コンビ誕生と相成った。寅の拗ね様も心地よい論理性を維持している。(cinemascape) ke…
★★★ 1993年3月14日(日) 天六ユウラク座 おこげというポジションが不可避の選択なのか止むを得ずなのかを明確にしない限り主人公の清水には誰も肩入れ出来ぬだろう。それでも水準作と思えるのは男同士でハードに乳繰り合う2人の役者が不憫でありつつ気持ち悪…
★★★★ 1993年3月14日(日) ホクテンザ1 ニコルソンの尖ったキャリアの中で異彩を放つ弛緩コメディ。くだらない脚本だけに盟友ラファエルソンが監督でなければ出なかったであろうと思われる。そういう意味でプレミア級のレアムービーかもしれない。しかもバー…
★★★★ 1993年5月5日(水) 日劇会館 マドンナに言い寄られて寅が逃げるパターンの初作だが、このパターンの方が切ない。橋の上での煮え切らなく遣りきれない会話が明晰なストーリーを要求する観客の思惑とは逆説的に山田洋次の真骨頂を表出してしまう。『口笛』…
★★★ 1993年5月5日(水) 日劇会館 シリーズ中でも水準高く、ふられシーンも痛切なのだが、江戸っ子の寅のお袋に浪花言葉の蝶々ってのが違和感を禁じ得ない。夢想の世界の寅さんに現実のシビアさを割り込ませる山田流はテイストの範囲でよく、これは本質に関与…