男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【い】

インランド・エンパイア

★★★ 2007年7月21日(土) 梅田ガーデンシネマ1 入れ子の物語が均質で一体な戦慄に昇華するには、ポーランド劇中劇の比較的平易なエモーションがバランスを欠き、ローラ・ダーンのマジ怖い顔面演技全開ぶりだけでは楔効果は不足。瞬間的には戦慄すべき即物感…

インドへの道

★★★★★ 1991年9月8日(日) ホクテンザ2 性的な抑圧と異文化との邂逅という余りに隔たった命題を、これ程にてらい無く品と格式を横溢させて誰が描けるだろうか。クライマックスをスッパリ切った演出を筆頭に今更と思ったリーン14年ぶりの遺作は、これこそが…

怒りのタッチダウン 人質奪回作戦

★ 1991年9月23日(月) 新世界国際地下劇場 謂れなく無頼の徒の手に囚われた娘を救出するため熱き男達が立ち上がる。のはいいのだが、何でフットボーラーやねん。しかもボーグナインが大将では救えそうになくて萎える。低予算のくせに一人前のことをやろうとし…

いろはにほへと

★★★★ 2008年4月5日(土) 日劇会館 どうみたって立派な詐欺師の話をどっかピカレスクなダーティヒーローみたく橋本忍が描き佐田啓二が演じるのが時代を思わせ笑える。まあいい。終盤の伊藤の涙は紛れもなく本物だし、何と言っても役者力のガチンコ味。三井で…

インベージョン

★★★ 2008年4月5日(土) 新世界国際劇場 何の新味も刺激もない今更の題材で、時制をシャッフルする編集も意図不明の小賢しさだが、執拗に我が子を探し求める母ものとして神経症的ムーアや狂気のフォスターをキッドマンが3馬身差でぶっちぎった。そのクール…

イースタン・プロミス

★★★★ 2008年6月19日(木) シネリーブル梅田1 ナオミ・ワッツの困惑ではないが、実際あんた、どっち行きたいねんと思える半端な終幕に唖然ともした。が、にしても、このドップリとロンドンのマイナーコミューンに浸りきったクローネンバーグの描写の数々。…

イン・ザ・ハイツ

★★★★★ 2021年8月2日(月) TOHOシネマズ梅田7 上映前の予告篇でスピルバーグの「ウエスト・サイド・ストーリー」をやっていて、見た感じ全然期待できそうにないと思ったのは、まんまオリジナルの劣化トレースとしか見えなかったからで、現代の複層化し…

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

★★★ 2008年7月12日(土) TOHOシネマズ梅田9 正直、懐旧の想いより爺いの冷や水的一抹の寂寥が拭いがたく、又冒頭からの見せ場も場当たり的で乗れない。中盤以降の釣瓶打ちは流石とも思うが、行き着けばナスカに宇宙人と出し殻材料。新味無き『聖櫃』な…

偽りの晩餐

★★★ 1990年2月4日(日) セントラル劇場 良い題材なのだが、ブルジョワジーを描くにブニュエルのような徹底したアイロニーにもフェリーニのような大仰なカリカチュアにも欠けるので歯痒い。一方で少年たちに寄ったポジションでもない。オルミ自身によらない撮…

E.T.

★★★ 1990年3月31日(土) 朝日会館 使い廻しめいたUFO始めスピルバーグにしてはお手盛りの廉価ムービー。ET造形の逆説と少年少女の純粋な庇護欲の対置は鯔の詰まりピーターパン症候群なメルヘン描写に帰結する。そこには計算はあってもワンダーは無い。サ…

1秒先の彼女

★★★★ 2021年7月19日(月) シネリーブル梅田2 チャン・ユーシャンは90年代後半に出遅れの台湾ニューウェイブ的な現れ方をした人で、ホウ・シャオシェンから10年、エドワード・ヤンから5年遅れて2本の作品を撮って消えた。 っていうと、我が日本にも似…

インクレディブル・ハルク

★★★ 2008年10月1日(土) 新世界国際劇場 プロットごとには意欲的な演出が多く結構な出来なのだが、間引きしたような端折りが嘗めている。大体、このハルクって野郎の「キングコング」や「フランケン」系統のメロウぶりがいただけない上に好みの問題だろうが…

イーグル・アイ

★★★★ 2008年11月5日(水) 梅田ピカデリー1 『北北西』から『知りすぎた男』へとヒッチ再構築の演出は巧緻だ。テロ連鎖の契機が米大統領の誤決断と断じる一見正論も新たな専制主義によってしか断罪し得ない。ポリティカルなアクションが2流のSFネタに堕…

博奕打ち いのち札

★★ 1990年4月15日(日) 日劇会館 義理と人情の狭間で煩悶する仁侠映画のロジックは後方に退けられ単線的な男と女の話になってしまった。意図としては良しとしても、大時代なアナクロ臭が鼻について乗れない。その帰結がラストの70年代的前衛風味な殺陣では…

刺青

★★ 1990年10月14日(日) 十三ロマン 墜ちて行く女の描き方がワンパターンな『赤い教室』の弛緩し切った再生版。石井と水原の欠落は補いようがなかった。切欠の方便としてしか「刺青」が意味為さぬなら谷崎原作を持ってくる必要など更々ないわけだ。耽美とは程…

インテルビスタ

★★ 1989年1月22日(日) セントラル劇場 『ローマ』や『道化師』で遣り尽した筈のドキュメントとフィクションの融合を今更ながらに又も繰り返し尚且つ先鋭さを失い弛緩している老醜ともいうべき作品。ここには光明の欠片も無い。同じことを繰り返す老人の自慢…

異人たちとの夏

★★★★★ 1989年4月23日(日) 長崎東映シネマⅡ 主人公宅を名取が訪れる場面や寄席の外での片岡との邂逅シーン等、尋常じゃない世界との接触を日常に埋没させる山田の巧妙な台詞回し。浅草シークェンスは全て突出するが、マンションのパートも都会の孤独を表出さ…

インディ・ジョーンズ 最後の聖戦

★★★ 1989年7月23日(日) 長崎宝塚劇場 インディの親爺がショーン・コネリーだなんて意外性もくそもなく、てんで面白くない。加えて1作目のオカルト趣向も2作目の密教的神秘も無くなり、それなりに見せはするものの普通の大戦裏話的なものになったのが物足り…

イングロリアス・バスターズ

★★★★ 2009年11月23日(火) TOHOシネマズ梅田1 一触即発のみを追求した沸点臨界の5幕物の、わけても永久保存的第4章でピークアウトする脚本の練り甘。終章では果たされる報復と充たされぬ愛欲と真摯な使命とお追従とシラケと大殺戮のカオスが必要だっ…

インディア・ソング

★ 1987年4月5日(日) SABホール ド素人がアラン・レネしましたって感じで、さっぱり訳わからん上に、映画的美が決定的に欠如している。退廃し滅びゆく階級に対し耽溺し切っているので興味さえも涌かない。コンセプトだけでは映画は成立しないのだ。担保す…

インビクタス 負けざる者たち

★★★ 2010年2月16日(火) 梅田ピカデリー4 加被虐に彩られた民族史を統べるポリティカルな手腕をSPの男達の融和描写で茶を濁す錯誤とダメチームの南ア代表が世界の頂点に立つ過程が何ら説得力ないお座なり感。愛すべき役者力を感じる一方救いがたき類型の…

イエローキッド

★★★★ 2010年2月20日(土) シネヌーヴォX 多重に錯綜するルサンチマンが剃刀状のエッジで相互に切り合う皮膚感覚に鳥肌が立ちそうな前半であったが、それがカタルシスへ昇華せずどっかで見たような既定路線上でまとまってしまったのが惜しい。コミックとの…

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

★★★ 1986年5月11日(日) 観光会館地下劇場 人種偏見によるトラウマにも仁義なき成り上がり根性にも肩入れは出来ないので刑事もマフィアも実に中途半端な描き方。東西2大ナルシスト男優の競演が輪をかけて表面ずらに堕させている。コマーシャルに転向したチミ…

息もできない

★★★★ 2010年4月15日(木) シネマート心斎橋1 言い訳も依存もせずに、だが世界から決して逃げない視線を保持し続けてきた2人が、それでも苦しさに煩悶し、そのシンクロする生き様に唯一心を開き嗚咽する漢江のクライマックス。魂が震えた。ただ、以後が少…

いとみち

★★★★★ 2021年3月14日(日) シネリーブル梅田3 メイド喫茶と津軽三味線。 ある意味で、うなぎと梅干し、スイカと唐揚げに匹敵する食い合わせの悪さのような気がして食指が動かない。 横浜聡子の新作でなければ、多分スルーしただろう。大阪アジアン映画祭で…

博奕打ち 一匹竜

★★★★ 2010年5月26日(水) トビタ東映 彫り物というミニマムな世界への或る程度の拘りがクライマックスの我慢大会の壮麗な男の裸品評会へと収斂するあたり任侠ものの中での特異性を堅持する。天津・遠藤の敵コンビが若干弱い一方松尾・中村・丹波のサポート…

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説

★★★★★ 1984年7月21日(土) 南街劇場 インディが伝説の領域に達したことを2作目にしてスピルバーグもフォードも了解していたらしい。ギュウ詰めの腸詰めウィンナーの如くに珠繋ぎな見せ場の連続だが世界を支配した者のみが持つ完璧なる余裕が全篇に横溢。(cin…

いつか誰かが殺される

★★ 1984年10月21日(日) 奈良東映 言うたら酷だが作家としての矜持を売り渡した挙句にヤル気なさで一矢を報いる…なわけなかろうが、そう思わずにはおられぬ気相乗りの無さ。3人娘末妹典子の幸薄き運命とリンクした居たたまれなさだ。多分、彼女が一番聡明で…

伊賀忍法帖

★★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 確信的にやってるのか、或いは『ワタリ』や「赤影」のテイストを伝統の名のもと天然でやってるのか知らないが、ただただ一言レトロであって、煎じ詰めれば良い。ただ、哀しいことに第三の新人渡辺典子にオーラが無かった…

生きてはみたけれど 小津安二郎伝

★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 名場面集などTVドキュメントで充分なのであり不要。思い込みや決め付けでもいいから客体をひっぺがす力業がないと意味が無い。俳優・監督・評論家たちの手垢ついた証言はコラージュでさえなく凡庸に並置されただけ。作品…