男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【い】

インディラ

★★★ 1998年1月17日(土) 徳山市市民館小ホール 世紀末に世界に連鎖した女権運動の一端として捉まえねば埋没してしまう多くの女性監督による凡作の1つ。主人公は案外に受動的に思え熾烈な意志力は感じ取れなかった。インド大衆映画の枠組内で作られた点は評価…

イングリッシュ・ペイシェント

★★★★★ 1997年5月25日(日) テアトル徳山Ⅲ 洞窟の壁画が朽ちる命を見守り教会の壁画は傷ついた魂を愛でる。その文学的記号がもたらす対比が謎を絡めた多重構成に紛れ見る者を引きずり込む。大戦下の辺境でのハーレクイン不倫物語は圧倒的豊穣さで具現化され新…

陰謀のセオリー

★★★ 1997年11月15日(土) テアトル徳山Ⅱ 前代未聞とも言える魅力的なパラノイアキャラをヘルゲランドは創造し得たと思うしメルギブのテンションも世界を補完するのだが、御用監督での製作となって緩んだことが惜しい。もっと偏執的にキャラを突っ込んでいけば…

インサイダー

★★★★ 2000年6月3日(土) ユナイテッドシネマ岸和田1 内部告発劇として特段な何かがあるわけでないのに、力のある演者と演出が噛み合い迷いなく同一方向のベクトルに乗ったとき映画は成立してしまう。衒いない主役2人の演技は抑制され直球勝負の醍醐味。透明…

イレイザー

★★★★ 1996年7月27日(土) テアトル徳山Ⅱ シュワ不死身性に拮抗する電磁砲なる武器の威力がマニアック且つ偏執的に描写されるのが開巻から一点突破な強度をもたらす。更にカーンやコバーンが枯れても悪たれの燻し銀な剣呑さを湛え素晴らしいのだ。バネッサもキ…

刺青

★★ 2000年8月13日(日) シネヌーヴォ 若尾文子の秘めたればこそのエロスが全開にされて茫漠としている。それこそ透き通るような白肌はそれはそれで見物なのだが、宮川カメラが存外に凡庸で耽美的とまでは思えない。刺青を彫られたが為に運命が狂うというなら…

いつか晴れた日に

★★★★★ 1996年11月23日(土) 徳山市市民館小ホール 恋する健気な乙女であることやおキャンな3姉妹であることといった少女の理想郷に全霊を投入する臨界ギリ超えのエマの至福が伝染する。圧倒的ドラマトゥルギーと19世紀を再現する撮影と美術の堅牢。そして…

インデペンデンス・デイ

★★★ 1996年12月8日(日) 徳山国際劇場 カタストロフの予兆から発端まではやはり巧い。エメリッヒ深部の終末観は基本悲観なのだと思う。が、それが迎合的に米国万歳アジで竹槍で戦車を撃退可かのような無理くりの楽観を装う商売人気質をギャグ化寸前で寸止めさ…

居酒屋ゆうれい

★★★★ 1995年2月4日(土) 天六ユウラク座 笑いのオブラートに包まれた嫉妬心の彼方から赦しと親愛が浮かび上がる。奇麗事と言われようが尖がったモノばかり見てるとこういうのに心底救われる。この役に室井が必要不可欠なことは疑いもなく、ウェルメイドって言…

愛しのタチアナ

★★★★ 1995年3月5日(日) パラダイスシネマ 冴えなき男と女への偏愛を紡ぐカウリスマキが不動の4番打者オウティネンとペロンパーをもって1時間の短尺で織りなす小粋な中編ロードムービー。まとまってて破綻は無いが、いかにも短く小品すぎの感も。 (cinemasc…

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

★★★★ 1995年4月23日(日) 祇園会館 バンパイアが日常に介在する18世紀の退廃と闇と死の匂いが肝要だが、そこは、まあ欠点も無く美術も豪奢だ。ただ、やっぱ違和感は配役。ピットとバンデラスは根っからやおいの匂いが皆無。能天気クルーズのみが異様な輝き…

稲妻

★★ 1995年6月3日(土) ACTシネマテーク 余りにダメ人間ばかりが出てくるのでしんどい。どうでもいいような連中のどうでもいいような話をそれなりには撮っているが、その中にカメラは一片の煌めきでもいいから掴み取って欲しいのにフルショットの連続はそれ…

いつも2人で

★★★★ 2001年3月2日(月) 動物園前シネフェスタ2 甘さが微塵もないシニカルさに驚く。長い夫婦人生の極めて具体的な何局面かをモザイクみたいな錯綜話法でつなげて手法的オリジナリティがあるし、我が身に突き刺さるようなリアリティもある。惜しむらくはオー…

狗神

★★ 2001年3月8日(木) 梅田劇場 クリーチャーを一切出さない判断は支持するし丁寧な仕事だが表層をなぞるだけにでエロスの本質を全く解ってないことで『呪縛』のダメさと双璧。マグロな天海では背徳な情念は伝わらず悲話としても成立しない。後半はジャンルの…

犬も食わねどチャーリーは笑う

★★★★ 2022年9月24日(土) TOHOシネマズ梅田9 「夫婦喧嘩は犬も食わない」って俺は永らく当人たちにしかわからないパーソナルなしょもない事情やからほっとけみたいな意味と解釈してたけど、調べたらどうせ仲直りするからほっとけって意味らしいですね…

鰯雲

★★★ 1995年6月3日(土) ACTシネマテーク 様々な悲喜交々があったが結局それでも時は流れていき我々も生きていくしかないという諦観で『流れる』と同工異曲。ただ田中澄江的情念は橋本忍の無骨な構築力では代替不可だし東宝専属役者だけでは矢張り駒不足感…

いつか来た道

★★★★ 2001年4月26日(木) 動物園前シネフェスタ2 一方的な愛や思い入れは疎ましい。他人同士であれば断ち切ることが可能であっても血肉を分けた兄弟となれば簡単ではない。しかし、兄の気持ちもわかる。こういう弟がいたら腹も立つだろう。イタリアンな濃い…

EAST MEETS WEST

★★ 1995年9月2日(土) 梅田松竹 致命的なのはホラ話としての可愛げの欠如で、それは未だ軽い真田や態とらしい竹中とかじゃなく例えばペキンパー映画の男たちとかにしか醸し出せない類のもの。大体、最初に『侍』の使い回しが出てきた瞬間にあかんと思った。や…

犬神の悪霊

★★★ 2022年8月9日(火) 新世界東映 近年、本作に対してカルト的な評価をする向きもあるらしいが、70年代の公開時の雰囲気は「犬神家の一族」のヒットに便乗した東映のバッタもん映画であった。であるから真面目な高校生だった俺は当然見てません。「スタ…

インティマシー 親密

★★★★ 2002年2月5日(火) 梅田ガーデンシネマ2 どんなに格好つけたって根のとこでは男ってのは純なモノなのさってのが良い。ハードなSEX描写もリアリティがあり見せるが結局は終盤の着衣での結合にこめられた通いあう心の素晴らしさが泣かせる古典的骨格。…

活きる

★★★ 2002年5月18日(土) 梅田ガーデンシネマ2 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板さ。とは言っても正直、子供絡…

イントロダクション

★★★ 2022年6月27日(月) テアトル梅田2 冒頭、おっさんが鍼灸院の事務所の中で必死で祈っている。「どうか助けて下さい。私の財産の半分差し出しますから」とか、半分かよと思ったりするのだが、一体何を祈っていたのかその後描かれるわけでもない。 若い…

119

★★ 1994年11月20日(日) 梅田東映パラス 閉塞的日常を描くに何も起こらないという設定は在り来たり。それを高度に突き詰めていけば何かに到達するのかも知れないがそこまでの覚悟も無い。設定からしてあざとさが匂い立つ微温ワールドの独善は思い上がりと紙一…

犬王

★★★★ 2022年6月2日(木) 梅田ブルク7シアター6 【ネタバレです】 産まれ落ちた瞬間に身体の48ヶ所のパーツを奪われた百鬼丸が、それを1つずつ取り戻す旅路を描いたのが手塚治虫「どろろ」であったが、本作の犬王も異形のものとして産まれ、異形のパー…

インフル病みのペトロフ家

★★★★ 2022年5月18日(水) シネリーブル梅田4 アレクセイ・ゲルマンやデヴィッド・リンチを思わせる、とのコメントを見たのだが、ソビエト〜ロシア近代史の混沌を背景にした映画が同じ体臭を纏うのは宜べなるかなである。一方で互いに連関しない挿話が時代…

インソムニア

★★★★ 2002年9月12日(木) 梅田ピカデリー4 冒頭の氷雪世界からして映画の魅力とはストーリーもさることながらムードの醸成であると再認識。諸刃の剣のアップ多用をパチーノの味でモノにし、稚拙なフラッシュバックへの不満も遠のいた。ウィリアムスの抑制も…

一条さゆり 濡れた欲情

★★★ 2002年9月26日(木) 東梅田日活 図太い女の成り上がり列伝めいてるのがどうにも川島・今村映画みたいでオリジナリティがあまり感じられない。女優賞を総なめした伊佐山を圧倒する一条さゆりの風格はほんまもんでその点では感銘。脇にまわった白川がこれ又…

いますぐ抱きしめたい

★★ 1993年8月6日(金) みなみ会館 腐れ縁に引きずられ自らの幸せを手に出来ない男に一本通った侠気や論理が窺えないので何だか締まりのないグズグズ展開に嫌気がさしてくる。数多ある香港ノワールの中でもつまらない方。映像主義の鎧を纏わぬ王家衛は作劇の凡…

イヴの總て

★★★★ 1993年10月29日(金) シネマアルゴ梅田 得てして風化する宿命のマスターピースに留まらず今尚訴求力を持つとすれば2人の女優の役者力だと思いもするが、燻銀の如くに緻密なマンキーウィッツの構成あればこそ。机上の設計こそ半世紀の年月に耐え得る。(c…

犬の生活

★★★★ 2003年8月7日(木) OS劇場CAP 警官をおちょくりまくり、ベタギャグを執拗に反復し、野犬の群に噛まれまくるチャップリンに偽善の仮面を未だ知らない青年期の生々しさを感じた。であるからこそ、流れと分断され取って付けたかのようなラストが清々し…