男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【い】

インビクタス 負けざる者たち

★★★ 2010年2月16日(火) 梅田ピカデリー4 加被虐に彩られた民族史を統べるポリティカルな手腕をSPの男達の融和描写で茶を濁す錯誤とダメチームの南ア代表が世界の頂点に立つ過程が何ら説得力ないお座なり感。愛すべき役者力を感じる一方救いがたき類型の…

イエローキッド

★★★★ 2010年2月20日(土) シネヌーヴォX 多重に錯綜するルサンチマンが剃刀状のエッジで相互に切り合う皮膚感覚に鳥肌が立ちそうな前半であったが、それがカタルシスへ昇華せずどっかで見たような既定路線上でまとまってしまったのが惜しい。コミックとの…

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン

★★★ 1986年5月11日(日) 観光会館地下劇場 人種偏見によるトラウマにも仁義なき成り上がり根性にも肩入れは出来ないので刑事もマフィアも実に中途半端な描き方。東西2大ナルシスト男優の競演が輪をかけて表面ずらに堕させている。コマーシャルに転向したチミ…

息もできない

★★★★ 2010年4月15日(木) シネマート心斎橋1 言い訳も依存もせずに、だが世界から決して逃げない視線を保持し続けてきた2人が、それでも苦しさに煩悶し、そのシンクロする生き様に唯一心を開き嗚咽する漢江のクライマックス。魂が震えた。ただ、以後が少…

いとみち

★★★★★ 2021年3月14日(日) シネリーブル梅田3 メイド喫茶と津軽三味線。 ある意味で、うなぎと梅干し、スイカと唐揚げに匹敵する食い合わせの悪さのような気がして食指が動かない。 横浜聡子の新作でなければ、多分スルーしただろう。大阪アジアン映画祭で…

博奕打ち 一匹竜

★★★★ 2010年5月26日(水) トビタ東映 彫り物というミニマムな世界への或る程度の拘りがクライマックスの我慢大会の壮麗な男の裸品評会へと収斂するあたり任侠ものの中での特異性を堅持する。天津・遠藤の敵コンビが若干弱い一方松尾・中村・丹波のサポート…

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説

★★★★★ 1984年7月21日(土) 南街劇場 インディが伝説の領域に達したことを2作目にしてスピルバーグもフォードも了解していたらしい。ギュウ詰めの腸詰めウィンナーの如くに珠繋ぎな見せ場の連続だが世界を支配した者のみが持つ完璧なる余裕が全篇に横溢。(cin…

いつか誰かが殺される

★★ 1984年10月21日(日) 奈良東映 言うたら酷だが作家としての矜持を売り渡した挙句にヤル気なさで一矢を報いる…なわけなかろうが、そう思わずにはおられぬ気相乗りの無さ。3人娘末妹典子の幸薄き運命とリンクした居たたまれなさだ。多分、彼女が一番聡明で…

伊賀忍法帖

★★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 確信的にやってるのか、或いは『ワタリ』や「赤影」のテイストを伝統の名のもと天然でやってるのか知らないが、ただただ一言レトロであって、煎じ詰めれば良い。ただ、哀しいことに第三の新人渡辺典子にオーラが無かった…

生きてはみたけれど 小津安二郎伝

★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 名場面集などTVドキュメントで充分なのであり不要。思い込みや決め付けでもいいから客体をひっぺがす力業がないと意味が無い。俳優・監督・評論家たちの手垢ついた証言はコラージュでさえなく凡庸に並置されただけ。作品…

一枚のハガキ

★★★★ 2011年8月27日(土) テアトル梅田1 ツンデレ大竹の硬く閉じた心の融解の過程は少々強引な感が無くもないのだが、豊川との2人芝居の濃厚は有無を言わせぬ快楽がある。怒りや哀しみを呑んで腹にためる新藤演出の定型詩的な簡潔と枯淡の心地よさ。ラス…

居酒屋兆治

★★★★ 1983年11月16日(水) 伊丹グリーン劇場 健さん&降旗タッグに前作まで見られた辟易のナルシズムが削ぎ落とされ、バカ丁寧な演出・カメラも何故か心地よい。随筆的な世界を形成する堅牢なファミリーに幾人かの異なる血の投入が効いたが、その最大のカンフ…

犬の首輪とコロッケと

★★★★ 2012年2月13日(月) 梅田ブルク7シアター5 犬畜生扱いされる在日のアイデンティティはシャレで躱して、ひたすらに「喧嘩」→「彼女」→「漫才」という目の前にある日常の最重要項目に対峙し脇目を振らない前向き姿勢に打たれる。3番煎じな題材だが地…

生きる

★★★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 正直、この男の生き様の温さが反転するにせよ、汚濁に塗れのたうつレベルにも達せぬ公園事案の弾けなさで、一寸デカダンしてみたり純情に触れたり程度のままごとも終盤の時間軸の解体再構築で醒めた視点に晒される。…

一度も撃ってません

★★★★ 2020年7月3日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 結果、芳雄の遺作を撮っちまった阪本順治が、なら蓮司のもと思ったかどうか知らんけど、老人同窓会と化した出演者の顔触れもゲンナリであるし、阪本の最近のフィルモグラフィもてんでしっくりこな…

いのち・ぼうにふろう

★★ 1982年9月22日(水) 新世界東宝敷島 脳内作劇ででっちあげられた無頼の徒の純情と反抗があざとさを通り越し気持ち悪くさえある。豪華なキャスティングと孤絶した「島」深川安楽亭の設定と装置の良さをもってしても脚本のシラジラしさと安住する小林のキザ…

イップ・マン 誕生

★★★ 2013年1月8日(火) トビタシネマ デニス・トーの一見らしからぬ風情と、いざ殺陣が開始された途端のオーラの発散に相当にやられた。三角関係の古典的展開が物語の安定的重心となり、サモ・ハン、ユン・ピヨウに加えた直系爺いの伝統技の安定が一定の「…

一度死んでみた

★★★★ 2020年4月2日(木) 大阪ステーションシティシネマ11 すずがヘビメタ?って絶〜対ムリやんって思ったし、予告で見た幽体離脱した堤の浮遊霊の安さにゲンナリしたりもしたのだが、何故か見てしまって、やっぱ映画って見てみないとわからんねって思った…

1917 命をかけた伝令

★★★★★ 2020年2月18日(火) 大阪ステーションシティシネマ4 やたらワンカットを押し付ける予告篇をみて鬱陶しく感じていたので、あんまり良くない予断をもっていた。 でも、どやろか、アカデミー賞にそんなに関心があるわけじゃないが、「パラサイト」とこ…

イノセント・ガーデン

★★★★★ 2013年6月13日(木)TOHOシネマズ梅田4 垢抜けぬミアが本性を現し血の因果律の頚木を断ち切り乗り越える。何か新たなサーガの序章であるかのような奥行きが俄かに立ち昇る終盤に射られた。チャヌク演出には乾いた西洋的合理と淡い幻燈のような東…

イエスタデイ

★★ 1981年5月17日(日) 梅田ロキシー 何がどうということもない真っ当な悲恋ものであり、それ自体何ら悪いことでもないのだが80年代に登場した割には芸無さ過ぎな促成栽培の仕事。主演女優も清楚だが淡白だし、演出もお真面目でケレンの欠片もない。これ…

IT THE END “それ”が見えたら、終わり。

★★★ 2019年11月25日(月) 梅田ブルク7シアター4 前作のヒットで予算が上がったんだろうが実に堅牢な作りで、昨今のワンアイデア勝負のこの手のジャンルムービーの中では格が上だと思う。 ただ、それは見てくれの格であって、堅牢なだけでは満足するかって…

いとしきエブリディ

★★★★ 2013年11月23日(土) テアトル梅田2 ドラマの無為性はコンセプトとして新しくもなく、5年かけた撮影も子供は大きくなるという当前の事実をフィルムに刻むだけだが、個々の事象に対し過度に寄らず総体としての年月の集積こそに意味があるとした点が新…

インテリア

★★★★★ 1979年10月14日(日) 大毎地下劇場 神の不在と女の性というベルイマン2大要件から神学的前衛を除いたエピゴーネンだとしても姉妹、親子、そして夫婦の確執は腰が据わってドラマラスな醍醐味を満喫させる。自分本位の基準による統御は周囲を歪ませる。…

イメージの本

★★★★ 2019年4月29日(月) テアトル梅田1 前作「さらば、愛の言葉よ」のタイトルの意味を今更に感慨をもって考えた。 ゴダールといえば政治に走って尖がってみせたりもしたが、根のところでは「愛」ってのが好きなおっさんなのだ。 それに決別しようという…

1941

★★★★ 1980年7月28日(月) 伊丹グリーン劇場 本土襲撃の予兆に怯えるマスヒステリーが個々の挿話や人物群の連関の末大崩壊に至る構築になってないのでカタルシスがない。にしても分断された章内ではどえらい熱量を発散。ロス市内を戦車や戦闘機が縦走し観覧車…

一万三千人の容疑者

★★★ 2019年2月24日(日) 新世界東映 1963年の吉展ちゃん誘拐殺害事件の映画化。 13,000人とは捜査線上に上がってシロとされた数であって気が遠くなりそうな労力である。 事件後まもないころの映画化であるし、又時代もあったろう、犯人と子供の2…

イタリア式離婚狂想曲

★★★★★ 2019年2月2日(土) シネヌーヴォ 50~60年代のイタリア映画を牽引した巨匠たちのなかで、近年もっとも言及されないのはピエトロ・ジェルミなんじゃないだろうか。「鉄道員」や「刑事」といった庶民派のイメージが先行して、もういいかって感じ? …

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

★★★★★ 2014年6月12日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 私小説的映画として前半に絡ませた猫使いの鮮やかさ。だが後半は内省的になり、プロットは悉く絶望を弥増させるに周到だ。グッドマン遺棄後の元カノの街の夜景。エイブラハム面談後の男の鉄拳。本…

田舎司祭の日記

★★★★ 2018年11月24日(土) プラネットスタジオプラスワン ブレッソンの初期作で真っ暗闇の物語なのだが、語り口にリズムがあって救われる。 田舎に赴任した若い司祭の鬱屈した日常。 彼はそれを、日々日記に綴る。 出来事があって、夜それをノートに書き、…