男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【い】

いつか来た道

★★★★ 2001年4月26日(木) 動物園前シネフェスタ2 一方的な愛や思い入れは疎ましい。他人同士であれば断ち切ることが可能であっても血肉を分けた兄弟となれば簡単ではない。しかし、兄の気持ちもわかる。こういう弟がいたら腹も立つだろう。イタリアンな濃い…

EAST MEETS WEST

★★ 1995年9月2日(土) 梅田松竹 致命的なのはホラ話としての可愛げの欠如で、それは未だ軽い真田や態とらしい竹中とかじゃなく例えばペキンパー映画の男たちとかにしか醸し出せない類のもの。大体、最初に『侍』の使い回しが出てきた瞬間にあかんと思った。や…

犬神の悪霊

★★★ 2022年8月9日(火) 新世界東映 近年、本作に対してカルト的な評価をする向きもあるらしいが、70年代の公開時の雰囲気は「犬神家の一族」のヒットに便乗した東映のバッタもん映画であった。であるから真面目な高校生だった俺は当然見てません。「スタ…

インティマシー 親密

★★★★ 2002年2月5日(火) 梅田ガーデンシネマ2 どんなに格好つけたって根のとこでは男ってのは純なモノなのさってのが良い。ハードなSEX描写もリアリティがあり見せるが結局は終盤の着衣での結合にこめられた通いあう心の素晴らしさが泣かせる古典的骨格。…

活きる

★★★ 2002年5月18日(土) 梅田ガーデンシネマ2 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板さ。とは言っても正直、子供絡…

イントロダクション

★★★ 2022年6月27日(月) テアトル梅田2 冒頭、おっさんが鍼灸院の事務所の中で必死で祈っている。「どうか助けて下さい。私の財産の半分差し出しますから」とか、半分かよと思ったりするのだが、一体何を祈っていたのかその後描かれるわけでもない。 若い…

119

★★ 1994年11月20日(日) 梅田東映パラス 閉塞的日常を描くに何も起こらないという設定は在り来たり。それを高度に突き詰めていけば何かに到達するのかも知れないがそこまでの覚悟も無い。設定からしてあざとさが匂い立つ微温ワールドの独善は思い上がりと紙一…

犬王

★★★★ 2022年6月2日(木) 梅田ブルク7シアター6 【ネタバレです】 産まれ落ちた瞬間に身体の48ヶ所のパーツを奪われた百鬼丸が、それを1つずつ取り戻す旅路を描いたのが手塚治虫「どろろ」であったが、本作の犬王も異形のものとして産まれ、異形のパー…

インフル病みのペトロフ家

★★★★ 2022年5月18日(水) シネリーブル梅田4 アレクセイ・ゲルマンやデヴィッド・リンチを思わせる、とのコメントを見たのだが、ソビエト〜ロシア近代史の混沌を背景にした映画が同じ体臭を纏うのは宜べなるかなである。一方で互いに連関しない挿話が時代…

インソムニア

★★★★ 2002年9月12日(木) 梅田ピカデリー4 冒頭の氷雪世界からして映画の魅力とはストーリーもさることながらムードの醸成であると再認識。諸刃の剣のアップ多用をパチーノの味でモノにし、稚拙なフラッシュバックへの不満も遠のいた。ウィリアムスの抑制も…

一条さゆり 濡れた欲情

★★★ 2002年9月26日(木) 東梅田日活 図太い女の成り上がり列伝めいてるのがどうにも川島・今村映画みたいでオリジナリティがあまり感じられない。女優賞を総なめした伊佐山を圧倒する一条さゆりの風格はほんまもんでその点では感銘。脇にまわった白川がこれ又…

いますぐ抱きしめたい

★★ 1993年8月6日(金) みなみ会館 腐れ縁に引きずられ自らの幸せを手に出来ない男に一本通った侠気や論理が窺えないので何だか締まりのないグズグズ展開に嫌気がさしてくる。数多ある香港ノワールの中でもつまらない方。映像主義の鎧を纏わぬ王家衛は作劇の凡…

イヴの總て

★★★★ 1993年10月29日(金) シネマアルゴ梅田 得てして風化する宿命のマスターピースに留まらず今尚訴求力を持つとすれば2人の女優の役者力だと思いもするが、燻銀の如くに緻密なマンキーウィッツの構成あればこそ。机上の設計こそ半世紀の年月に耐え得る。(c…

犬の生活

★★★★ 2003年8月7日(木) OS劇場CAP 警官をおちょくりまくり、ベタギャグを執拗に反復し、野犬の群に噛まれまくるチャップリンに偽善の仮面を未だ知らない青年期の生々しさを感じた。であるからこそ、流れと分断され取って付けたかのようなラストが清々し…

イレイザーヘッド

★★★ 1993年12月19日(日) みなみ会館 「愛くるしい赤ちゃんを殺す」と「気持ち悪い赤ちゃんを殺す」と「化け物を殺す」の間の何処でモラリズムの境界を引くかは神により規程されてるなんて錯覚で実は曖昧なのだ。幼児殺しの時代には主人公が煩悶する境界は人…

インファナル・アフェア

★★★ 2003年10月23日(木) 梅田ブルク7シアター6 絵に描いた如きシンメトリーなキャラ設定を2大俳優で設定しながら、対立のベクトルは昇華せずに同一方向に流れて雲散霧消していく。糞詰まりみたいなもどかしさ。脇役者の良さやカメラワークの魅力等見所も…

イヤー・オブ・ザ・ガン

★★ 1992年2月9日(日) 新世界国際劇場 プロの中のプロや強固な意志力を持つ憑かれた男を描いてこそのフランケンハイマーが翻弄されるだけの男の物語で冴える筈もない。『ブラック・サンデー』から10数年後のテロリズムを描くにそっち側の決定的仇役を欠いた…

インディアン・ランナー

★★★★★ 1992年3月29日(日) トビタシネマ ベトナム戦争が遠くに聞こえる片田舎の置き去りにされた物語。兄弟の思いの平行線は交わるどころか何時しか限りなく遠ざかる。妻に先立たれたブロンソン親爺の空虚。寄り添う事は誰にもできない。ショーン・ペンはただ…

イチかバチか

★★★★ 1992年3月8日(日) 日劇シネマ 利権をめぐる欲と色の世界をコメディチックに描く東宝カラーにニヒリズムを隠せない川島の醒めた視線が加味され単純ではない味わいが生じた。我と癖の2枚看板を揃えオーバーヒートもせず情にも流されない平衡感覚。クライ…

イン・アメリカ 三つの小さな願いごと

★★★★ 2004年2月6日(金) OS劇場CAP 海底トンネルを抜けて辿り着いた新天地も心を癒すことは無い。トラウマからの脱却には自覚が必要ではあるがそれを促す者がいてくれれば尚心強いだろう。娘がその役を小さな奇跡の手を借りて担う。学芸会での「デスペラ…

イン ザ カット

★★★★★ 2004年4月12日(月) 梅田ピカデリー3 孤独な魂が場末の男達のスペルマの臭いの中で彷徨い続けた『タクシー・ドライバー』から30年後、言葉とリアリズムの狭間でのたうつ女の孤独は血と汗とヴァギナの匂いの中で反転し愛に到達する。真フェミニズム映…

イノセンス

★★★★ 2004年4月8日(木) 三番街シネマ3 高踏的な屁理屈は形を潜め「ハードボイルド」な日常描写も「古典SF」的な終盤のネタ割れもオーソドックス。閉じてしまった世界で、環境描写とポイントごとに配置されたアクションに粋の限りを尽くす。堪能すると同時…

生きるべきか死ぬべきか

★★★★ 1992年5月10日(日) ルネサンスホール 練り込まれた脚本は完膚無きまでの隙の無さで文句のつけようもない。天才の秀でた個人芸に依らずシチュエーションのみで時代の変遷に拮抗できるのは時流に阿ってはいないからだ。それが品格なのだろうが、古典落語…

IZO

★★★ 2004年8月21日(土) ホクテンザ1 甦った稀代のテロリストが斬るべきはリアルな何かであるべきで、シンボライズされた政財軍学の象徴ではダメなのだ。学芸会めいた構成を誤魔化すのに依って立つ時空を行き交う構成がこれ又未整理で友川の怨節だけが異様に…

怒りの日

★★★ 2022年1月9日(日) テアトル梅田1 そもそもに、その強烈な怒りが向けられるべきは夫ではなく姑ちゃうのんとの思いがある。そりゃ娘ほどの歳の差の妻を娶った夫はどうかと思うが、そんなに悪い男でもなかろうに。 この映画は、そういった時代の婚姻風土…

犬猫

★★★★ 2005年2月8日(火) テアトル梅田2 自己嫌悪に打ちのめされても風吹けば気を取り直し駆けていくしかない犬型人間と自動制御的に人生をかわす猫型人間。どっちが良い悪いではなく自分は自分で生きてくしかないという退いた視座。ただ対比の効かぬ繰り返し…

ICHIGEKI 一撃

★★ 2005年4月13日(水) CINEMAしんげき2 哀感や悲愴美と無縁のセガールだから物語を追って脳内で孤独性を追補せねばならぬのは愛嬌で許せる。人身売買という時代性ある題材をチョイスしたのもいいが、1対1の古典的対決で決めポーズされたって…。肝心…

1969

★★ 1992年9月19日(土) 毎日文化ホール これを70年代にやったならまだしもだが、20年後に糞真面目にやったからってなんだっていうのだろうか。余りに直截な出し遅れ感が救いがたい。先鋭が敷いた軌道で懐旧に浸ったって何がどういうこともない。

いつかギラギラする日

★★★ 1992年9月20日(日) 日劇会館 萩原健一が稼業人生の年季と哀感を醸し出しす前半は良いが陳腐なカーチェイスや世代ギャップある荻野目の回想をセンチに描いた後半でものの見事に失速。原田の殺し屋も付け足し感濃厚で活かされていない。(cinemascape) keni…

インド夜想曲

★★★ 1992年10月3日(土) 毎日文化ホール 殊更に作家性を主張せぬコルノーのスタンスが偶然にもインドの悠久のリズムと同期し、この奇想譚に完全な統一感をもたらしたとも言えるが、余りに悠久に同期し過ぎて1歩間違えば激しく睡魔に引きずり込まれる。だが、…