男の痰壺

映画の感想中心です

五日物語 3つの王国と3人の女

★★★★★ 2016年12月20日(火) 大阪ステーションシティシネマ
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中世欧州を舞台にした奇譚なんて、もう、うんざりっす。
テリー・ギリアムとかティム・バートンとかピーター・ジャクソンとかどれも似たり寄ったりやん。
と、思ってましたが、これ良いです…相当に。
 
「子供依存」・「アンチエイジング」・「白馬の王子様願望」という女の3大性(さが)を描いて、木っ端微塵にそれを打ち砕いて見せる。
ただし、意地悪目線ばかりではない。
白馬の王子様願望の夢破れたお姫様は、とんでもない苦難を乗り越え女でもこれほど面構えが変貌するんかいな…というくらいに凛々しくなる。
ヘタレ父の王はじめ男たちは喜んで彼女の前にひれ伏すであろう。
映画は惜しみない女性賛歌で締めくくられる。
 
撮影が素晴らしいと思ったらクローネンバーグ映画の ピーター・サシツキー
構図や色使いも完璧だが、今回、まんま「シャイニング」な迷路も含めてカメラオペレーションが秀でてる。
 
何度も騙されるアホ王を演じたヴァンサン・カッセルも最近ギラギラ感が抜けて再ブレイク。
ジェイソン・ボーン」でも良かったが、グザヴィエ・ドランの新作にも出てまんねんな。
 
又かの中世奇譚だが性根が据ってる。子供・若返り・王子という女の3大願望を描き打ち砕くが意地悪目線ばかりでもない。艱難辛苦を乗り越えた彼女が凛々しく変貌し男どもは喜々として彼女の前にひれ伏す惜しみない女性賛歌でもある。カメラオペも秀でてる。(cinemascape)