映画1968
★★★ 1980年7月18日(金) 毎日文化ホール 寡黙すぎるマックイーンからは怒りや執念よりもナルシズムが匂い立ってかなわん気がするし、残念ながらカーチェイスは風化してしまっている。しかし、フレイカー撮影の鋭角的なショットの連続はスタティックな怜悧さを…
★★★ 1980年9月14日(日) SABホール 一流の匠達が粋を尽くした器に盛られた純文学の贋作だが、終ぞこのムルソーからは真の実存主義的テーゼは見えてこない。原作を絵にしただけならまだしもだが後半の裁判シーンの冗長さが解説めいて自堕落。ただ暑かったか…
★★ 2025年9月27日(土) シネヌーヴォ 「ポーランドSF映画の世界」という企画で上映されたアンジェイ・ワイダの未公開TV作品で、スタニスワフ・レムが自作映画化作品で唯一出来を認めるものなんだそう。そりゃ自身が脚色してるんだから、そう言わなしゃ…
★★★ 2015年1月6日(火) 第七藝術劇場 自伝的なるものから飛躍し描く青年期のドタバタが喜劇として突き抜けてるわけでもなく教養小説的に真摯に内省的でもない。煎じ詰めればドワネルものが性に合わないだけかも知れないのだが。一方クレルヴァルの撮影はク…
★★★ 2018年7月15日(日) プラネットスタジオプラスワン コッポラのメジャーデビュー作であるし、かの「ゴッドファーザー」の2本手前の作。 なんだから、もっとフィーチャーされてもいいんだけど…。 まあ、あんまりオモロくもないんだわ。 ブロードウェイの…
★★★★ 1980年10月11日(土) 毎日文化ホール 平和な時代に象連れてアルプス歩いたってどってこと無い。大戦下に敵味方と美女と象の4人と1匹がのどかな山越えをするから刹那的な開放感が極まる。レイの音楽も寄与した。そして、美味しい所を持っていくマイケル…
★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 直近で『しんぼる』あたりが粋を極めた閉じ込められ設定のギャグ集であるが、剣呑さが不足しており、ほんわかまったりしてドキドキしない。かと言って主演のおっさんに格段の芸があるわけでもなく、クレイのギクシャク…
★★★ 2015年10月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 執拗に付き纏うブロンソンに辟易の体のドロンという図式が密閉された1夜のあの部屋で如何に変容したかも示されぬまま何かそれっぽい風に展開されてもと思う。女どもは掃射虐殺され男帝国は完成され…
★★★ 2017年10月21日(土) プラネットスタジオプラス1 もちろん始祖であるが故に全然怖くない。 ゆっくり歩いてくるゾンビは俺でもやっつけられそう。 それでも、16ミリ・モノクロの即物感は悪くない。 ゾンビの初出シーンの、何のタメもない、単におっさ…
★★★★1978年11月12日(日) 三番街シネマ3 原始の猿の道具の発見をひたすら延々と見せた果ての宇宙空間への飛躍が全てで、それだけにHALに関するサスペンスは常套の規範に堕したと感じる。とんでもない大風呂敷を広げたものの時空を越えてからの終盤は謎解…
★★★★★ 1979年9月2日(日) SABホール 制度や差別への言及を仮初とは言わぬが、大島が徹底して拘るのは「反権力」の一点。それは観客への強烈なアジテートとなり俺達を揺さぶる。技巧の冴えも突出し閉塞空間からロケへの空間転移は鮮やかの極み。ロジカルな…
★★★★ 1974年11月23日(日) 伊丹グリーン劇場 1990年3月31日(土) 朝日会館 それほど感興が涌かない古典題材もアイデア次第で蘇る。役柄と実年齢が同じ少年少女を使ったという一点でこの映画の勝ちが決まった。若さの弾けんばかりの瑞々しさが画面からほとばし…
★★★ 2023年2月9日(木) シネリーブル梅田2 ピエール・エテックスという人のことは知りませんでしたが、フィルモグラフィを見ると、ジャック・タチの助監督からスタートして、自身の作品を撮る一方、多くの監督の作品に客演している。ブレッソン、ルイ・マ…
★★★★ 1999年6月19日(土) シネヌーヴォ梅田 猿メイクに感興は涌かぬが、断片から遡及され行く幻の如き失われし文明。唯一無二の完璧なるラストを含め、遠く『ミステリー・ゾーン』へと想いを馳せるサーリングの語り口が生命線。ロング多用の猿登場までの間の…
★★★★★ 1999年10月23日(土) テアトル梅田2 トリックスターを介した図式的展開を想像していたが、ミニマムな家族5人の事後の顛末が世界の終末を描くことにまで伸延されてしまう。その加速的な枠組みの破壊に身を委ねる快楽。そして、又それは相当に適当でい…
★★★ 2001年5月10日(木) 扇町ミュージアムスクエア 「ナチス」や「ゲイ」といった越境キーワードが炸裂し多くの人物が錯綜する後半は弾け具合も相当だし、わけてもホモ演出家ヒューイットは白眉。だが、前半を負うワイルダーとモステルが、日陰花的マイナー臭…
★★★★ 2001年8月12日(日) テアトル梅田1 完全に『東海道四谷怪談』の現代版焼き直しで、さすれば伊右衛門に相当する成田三樹夫のニヒリズムが真っ向的中。加えて、お岩(渚まゆみ)の微妙なる下品さが又堪らぬ味わい。夜間のオフィスビルの冷えたムード醸成…
★★★ 2001年11月15日(木) トビタ東映 大真面目に西部劇を作ろうとし、わざわざ「日本語版」などとクレジットしても「英語版」なんてあるのかと侘びしさを倍加させる。似合わぬジーンズの健さんが何だか情けなくもあり、どうせなら大西部で着流し長ドスで暴れ…
★★ 1994年4月25日(月) テアトル梅田2 享楽生活を送ることは個人の自由であるが、なら享楽を味わい尽くすなりして欲しい。内省的サザーランドを出してヘタに帳尻を合わそうとするのが何となくさもしい。どっちにせよサイケでポップでオサレな60年代が照射…
★★★ 2002年7月7日(日)~8日(月) トビタ東映 人を斬る市の呵責の無さが結構際だっていて非情さが良く出ている。ルーティーンな話だが安心して見られるし、天下の宮川の撮影は深い色を良く出しカットによってはとてつもなく美しい。(cinemascape) kenironkun.h…
★★★★★ 1993年4月10日(土) 日劇シネマ ショット内の運動と構図がモンタージュと相互に浸食し効果を倍加する。乗り乗りのカッティングのリズムは巧いを超越し神業レベル。惚れ惚れするとはこのこと。随所で出る仲代の気障だが小粋な決め台詞が又小憎らしい程の…
★★ 1993年4月11日(日) 高槻セントラル 敵味方に別たれた許されぬ同族愛に美輪起用による禁断の愛的様相を加味した2重の背徳性なぞ何処吹く風の通り一遍の演出。耽美やデカダンと無縁な深作とは言えキッチュにも振れ切れぬでは惜し過ぎる題材。『雪之丞変化…
★★★★ 1993年6月13日(日) 日劇シネマ 言わば末期の爛熟が一番美味いかもと思わせる2時間40分。お祭り大作らしいテンコ盛でギュウ詰めな長尺は素直に嬉しく楽しい満腹感。バタ臭い如何にも東宝映画らしい味わいだし女優陣も皆いい。ロケ効果や劇中歌謡ショ…
★★★★ 1993年7月11日(日) 日劇シネマ 若大将以降を模索する加山の真摯な虚無表現と森のパロディ手前のダンディズム。一歩違えば大滑りなところを生真面目に斜に構えず事を行い格好がついた。そういう作り手の姿勢に好感を覚える。堀川も『黒い画集』の冷徹さ…
★★ 1993年9月26日(日) 高槻松竹 四畳半的寺山の怨念がアナーキーに解放されずに日常に埋没し糞詰まりのようで、更に羽仁の演出がゴダールの洗礼を受けた60年代シネアストの悪しき典型とでもいう舌足らずさで追い打ちをかける。(cinemascape) kenironkun.ha…
★★★★★ 1993年11月7日(日) ACTシネマテーク 中産階級夫婦の倦怠を一切の作劇上の仕掛けを弄さずに描き前半は戸惑うのだが、そうやって綴った会話劇が中盤以降にいきなり転がり出す。映画が自走し出す瞬間。脳細胞は一気に覚醒し目を瞬く間も惜しい。破壊さ…
★★★★ 2021年12月6日(月) なんばパークスシネマ1 1967年の「ウィークエンド」撮影後、商業映画との決別を宣言したゴダールは、1979年の「勝手に逃げろ/人生」で商業映画復帰をするまでの12年間、ジガ・ヴェルトフ集団名義で訳のわからん政治的…
★★★★ 2021年11月22日(月) 新世界東映 女の方からグイグイ来られる。モテない男の願望かもしれませんが、こういうのに俺は弱いんです。もちろん、来る相手にもよるんですが、今回それは佐久間良子ですから。ちなみに俺は彼女のことを、今でもよく特集上映さ…
★★★ 1992年10月25日(日) 新世界東映 加藤泰の諸作と比べこのシリーズ初作は凡庸に感じられるし、前代未聞の女博徒という衝撃を抜き去ると所詮は従来型任侠映画の枠内に留まる。だが、おキャンキャラだった藤純子のコペルニクス的登用が結果アンビバレントな…
★★★ 2007年1月20日(土) 日劇会館 乙女気分が横溢する前半が良い。そこに「対馬丸」の悲劇を挿入して戦火の切迫を巧みに構成している。しかし、今井版と同期する後半は力は入ってはいるが所詮はステロタイプとなり且つ拡散してダラダラ長い。描写を少女たち…