映画1968
★★★★★ 1979年9月2日(日) SABホール 制度や差別への言及を仮初とは言わぬが、大島が徹底して拘るのは「反権力」の一点。それは観客への強烈なアジテートとなり俺達を揺さぶる。技巧の冴えも突出し閉塞空間からロケへの空間転移は鮮やかの極み。ロジカルな…
★★★★ 1974年11月23日(日) 伊丹グリーン劇場 1990年3月31日(土) 朝日会館 それほど感興が涌かない古典題材もアイデア次第で蘇る。役柄と実年齢が同じ少年少女を使ったという一点でこの映画の勝ちが決まった。若さの弾けんばかりの瑞々しさが画面からほとばし…
★★★★★ 1999年10月23日(土) テアトル梅田2 トリックスターを介した図式的展開を想像していたが、ミニマムな家族5人の事後の顛末が世界の終末を描くことにまで伸延されてしまう。その加速的な枠組みの破壊に身を委ねる快楽。そして、又それは相当に適当でい…
★★★ 2001年5月10日(木) 扇町ミュージアムスクエア 「ナチス」や「ゲイ」といった越境キーワードが炸裂し多くの人物が錯綜する後半は弾け具合も相当だし、わけてもホモ演出家ヒューイットは白眉。だが、前半を負うワイルダーとモステルが、日陰花的マイナー臭…
★★★ 2001年11月15日(木) トビタ東映 大真面目に西部劇を作ろうとし、わざわざ「日本語版」などとクレジットしても「英語版」なんてあるのかと侘びしさを倍加させる。似合わぬジーンズの健さんが何だか情けなくもあり、どうせなら大西部で着流し長ドスで暴れ…
★★ 1994年4月25日(月) テアトル梅田2 享楽生活を送ることは個人の自由であるが、なら享楽を味わい尽くすなりして欲しい。内省的サザーランドを出してヘタに帳尻を合わそうとするのが何となくさもしい。どっちにせよサイケでポップでオサレな60年代が照射…
★★★ 2002年7月7日(日)~8日(月) トビタ東映 人を斬る市の呵責の無さが結構際だっていて非情さが良く出ている。ルーティーンな話だが安心して見られるし、天下の宮川の撮影は深い色を良く出しカットによってはとてつもなく美しい。(cinemascape) kenironkun.h…
★★★★★ 1993年4月10日(土) 日劇シネマ ショット内の運動と構図がモンタージュと相互に浸食し効果を倍加する。乗り乗りのカッティングのリズムは巧いを超越し神業レベル。惚れ惚れするとはこのこと。随所で出る仲代の気障だが小粋な決め台詞が又小憎らしい程の…
★★ 1993年4月11日(日) 高槻セントラル 敵味方に別たれた許されぬ同族愛に美輪起用による禁断の愛的様相を加味した2重の背徳性なぞ何処吹く風の通り一遍の演出。耽美やデカダンと無縁な深作とは言えキッチュにも振れ切れぬでは惜し過ぎる題材。『雪之丞変化…
★★★★ 2021年12月6日(月) なんばパークスシネマ1 1967年の「ウィークエンド」撮影後、商業映画との決別を宣言したゴダールは、1979年の「勝手に逃げろ/人生」で商業映画復帰をするまでの12年間、ジガ・ヴェルトフ集団名義で訳のわからん政治的…
★★★ 1992年10月25日(日) 新世界東映 加藤泰の諸作と比べこのシリーズ初作は凡庸に感じられるし、前代未聞の女博徒という衝撃を抜き去ると所詮は従来型任侠映画の枠内に留まる。だが、おキャンキャラだった藤純子のコペルニクス的登用が結果アンビバレントな…
★★★ 2007年1月20日(土) 日劇会館 乙女気分が横溢する前半が良い。そこに「対馬丸」の悲劇を挿入して戦火の切迫を巧みに構成している。しかし、今井版と同期する後半は力は入ってはいるが所詮はステロタイプとなり且つ拡散してダラダラ長い。描写を少女たち…
★★★ 1991年4月14日(日) 高槻セントラル モラトリアムな主人公が戦争を内在化する過程が多分に形骸的で、低予算を逆手に取りシュールを模索する狭間で居所を見出せていない。ブラックジョークに成り切れていない据わり処の悪さ。哀しくも喜八の怨念は骸のよう…
★★★★ 2021年7月22日(木) テアトル梅田2 これは、2日にわたり違う女と2人きりで一晩過ごすチャンスに恵まれながらなーんにもなかった男の話。 というと身も蓋もないですけど、ロメールは哲学や宗教の言句を会話の中に散りばめるというレトリックで曰くあ…
★★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 他愛無い日本昔ばなしもどきのようだが、それは日本昔ばなしを貶めるような意味ではない。 小坊主のゲス性根や住職の俗物ぶりが余す所なく徹底的に笑いのめされて溜飲が下がります。 それは、既成概念にしがみつくバ…
★★★★★ 1990年3月21日(水) 日劇会館 仁義の名の下に筋を通さざるを得ないことが三島が喝破したようにギリシャ悲劇めいたのっぴきならない破綻に向かっての驀進へと繋がる。笠原のロジカルすぎる構成と受けた山下の積み重ねてきた仕事が結実したため息の出るほ…
★★ 1986年3月8日(土) SABホール 恐らく手法的自由度(逆説的にはいいかげん)に於いて『ブルジョワジー』や『自由の幻想』と同位であることに加えて、解読不能なエピソードが多すぎでついていけない。反カソリック=アヴァンギャルドと理解できぬ身には本…
★★★★ 1983年12月17日(日) 伊丹ローズ劇場 軽佻が底知れぬ痛みに根ざす『地下鉄のザジ』的スラプスティックをクタール的ポップな色使いとゴダール的コラージュで彩る。全きトレースだとしても大島なりの才気ほとばしった希有作。バカ話にも『絞死刑』を経た者…
★★★ 2012年3月24日(土) 新世界東映 端境期に設定された風俗のアンビバレンツに興趣を覚えはするが、所詮はシリーズ常道の縮小再生バージョンに過ぎない。見所もないマキノ演出でエッジの効かない渡辺や寛美が醸す敵味方総小物感の中、黒眼鏡の菅原謙二が渋…
★★★★ 1982年11月4日(木) 新世界東宝敷島 我が儘放題で傲慢かますパラノイアな主人公の描き方は『日本沈没』の田所教授に繋がる小林・橋本・森谷の最強タッグの原点だろう。際どい倫理感をハイボルテージで擦り抜け蹂躙されるマゾヒスティックな快感。森谷司…
★★★★ 2013年7月21日(日) 第七藝術劇場 メジャー仕様の『反撥』焼き直しで、決定的に主人公の追い込みが緩いのだが、自壊するのではなく他者からの侵食によるあたり、米国に内在するトラウマを焙り出している。ジャジーな雰囲気と随所のポランスキー流夢幻…
★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 柄じゃないの一言で済ませたいが、加えて過剰なナル汁に咽せ返りそうだ。犯罪ゲームを巡る暴き合いや騙し合いはロクにないくせにしたり顔のラストは最早どうにでもしてくれ状態。唯一チェスシーンのダナウェイの指使い…
★★★ 1980年9月14日(日) SABホール 一流の匠達が粋を尽くした器に盛られた純文学の贋作だが、終ぞこのムルソーからは真の実存主義的テーゼは見えてこない。原作を絵にしただけならまだしもだが後半の裁判シーンの冗長さが解説めいて自堕落。ただ暑かったか…
★★★ 2015年1月6日(火) 第七藝術劇場 自伝的なるものから飛躍し描く青年期のドタバタが喜劇として突き抜けてるわけでもなく教養小説的に真摯に内省的でもない。煎じ詰めればドワネルものが性に合わないだけかも知れないのだが。一方クレルヴァルの撮影はク…
★★★ 2018年7月15日(日) プラネットスタジオプラスワン コッポラのメジャーデビュー作であるし、かの「ゴッドファーザー」の2本手前の作。 なんだから、もっとフィーチャーされてもいいんだけど…。 まあ、あんまりオモロくもないんだわ。 ブロードウェイの…
★★★★1978年11月12日(日) 三番街シネマ3 原始の猿の道具の発見をひたすら延々と見せた果ての宇宙空間への飛躍が全てで、それだけにHALに関するサスペンスは常套の規範に堕したと感じる。とんでもない大風呂敷を広げたものの時空を越えてからの終盤は謎解…