男の痰壺

映画の感想中心です

映画1986

マグダレーナ・ヴィラガ

★★★ 2024年6月5日(水) テアトル梅田2 制作・脚本・監督・撮影を全部ニナ・メンケスがやって主演をニナの妹ティンカ・メンケスがやる。主な出演者は数人。もうほとんどプライベートフィルムに近い代物で処女作ならではのゴツゴツした即物感は好悪別れる…

シバジ

★★ 1996年8月31日(土) 山口県教育会館ホール グォンテクの浪花節的テーマ選定と脇目も振らぬ愚昧な一直線語りが或る種の典型を思わせ乗り切れない。階級社会発生以降世界で遍く行われたであろうこの種の問題を単なる悲話として語るのでは最早芸がない上に全…

眺めのいい部屋

★★★★★ 2001年11月26日(月) 梅田ガーデンシネマ2 歴史の深度のあるフィレンツェも緑萌えるイギリスの片田舎も完璧に美しい。努力すれども持たざる者は天性に持つ者を階級を盾に揶揄するしかないが、真の自由主義の目覚めは黴びた価値観を放逐するだろう。木…

天空の城 ラピュタ

★★★ 1994年4月29日(金) つかしんホール 『ナウシカ』のような叙事詩的巨編を経た宮崎が敢えて『コナン』や『カリオストロ』に回帰して見せる戦略的あざとさ。しかも拙いことに童貞的世界観は完璧に踏襲され、肉体アクションの映画美は喪失した。女海賊とかの…

ベティ・ブルー 愛と激情の日々

★★★ 1993年11月27日(土) ACTシネマテーク 相性の合わぬ男と女の腐れ縁の変遷が最悪の形で瓦解しゆく様を延々見せられてしんどいことこのうえないし、まあありがち。「インテグラル」ではなく初出版で見たかった。ただベアトリス・ダルのオーラは大したも…

サクリファイス

★★ 1993年12月4日(土) ACTシネマテーク タルコフスキー美点のたゆたう時間軸は平準化され、ニクヴィストが捉える空気や火や水は平板で陳腐。ヨセフソンが問う神の在不在には借り物のベルイマン臭が横溢。しかも、退屈な『鏡の中にある如く』を彷彿とさせ…

ロッキーⅥ

★★★ 1992年4月21日(火) シネマヴェリテ 戦車に向かって竹槍で挑む無謀は愛おしくもあれど、パロディにもなっていない展開はシュールにも振り切れず、当然の如くオチない結末。正直カウリスマキの脳内構造を懸念させるが、その懸念こそカウリスマキをカウリス…

ジャズ大名

★★★★★ 1992年4月23日(木) 毎日文化ホール 映画とはカットが絶妙なリズムで紡ぎ上げられ産まれる快楽の止め処ない連鎖であることを思い知らされる。支離滅裂が殆どシュールの域に到達する終盤の一大狂熱!限定セットを逆手に取って迷宮を現出させる錬金術師喜…

ダウン・バイ・ロー

★★★★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 至芸とか逸品とか珠玉とか言いようはあろうが、同時にジャームッシュにとって2度と超えられぬ最高到達点。主演3者のどうでもよさ気なコラボが至る奇跡的均衡こそ堪らぬ味わい。ミューラーの淡いコントラストとシネ…

コーヒー&シガレット

★★ 1992年5月9日(土) テアトル梅田2 癖あるロベルト・ベニーニをおもろいと思うかどうかが全てなのだろうが、言葉のギャップがあって今一ニュアンスしかわからない。仲間内だけで受けて盛り上がってる感に手前勝手な傲慢を覚える。単体であれこれ言うのも徒…

ブルーベルベット

★★★★★ 1992年7月9日(木) テアトル梅田2 平穏な日常こそが異常さを内包するとでも言いたげな倒錯ムードが横溢しておりマクラクレンもロッセリーニもどこかズレ感を発散。そうなると彼岸の住人ホッパーと何も変わらない。その異様な混沌とでも言うべき世界観…

汚れた血

★★★★★ 1992年10月4日(日) みなみ会館 ゴダール=クタールの共闘関係に色使いで並びレンズ使いで凌駕したとも思える撮影。あまりなボウイのポップスに乗ってのザーメン臭い若者の自己解放も仏映画史を負うノワレが押さえて均衡する。まあ、格好いいものはいい…

不思議惑星キン・ザ・ザ

★★★★ 2021年10月14日(木) シネヌーヴォX こういうユルなんちゃら系のを世間が言うほど好きじゃなく、カルトとして最早不動とも言える地位を確立した映画だと思いますが、今頃になって初見です。 固定カメラの遠くに見えたもんがドンドン近づいてくる。 「…

キネマの天地

★★★ 1991年5月25日(土) トビタ東映 オーソドックスで陳腐なスタ誕物語を軸に映画史観を持ち込みたいなら、井上ひさしと山田太一の参画がピンと来ないし山田洋次の題材でもないだろう。微細な機微を描いてこその男が柄でもない社史編纂事業に携わることがちぐ…

男たちの挽歌

★★★ 1990年7月22日(日) みなみ会館 信頼と裏切りや忍耐とブチ切れや落魄と成り上がりなど余りに単線メロウな展開が今ひとつクールじゃないしアクション編集も後のジョン・ウー作品の緻密と比べると未だ雑い。とっぽいユンファの煙草とグラサンが漸く板につく…

カラヴァッジオ

★★ 1990年9月30日(日) 毎日文化ホール デレク・ジャーマンは商業主義的妥協の中での前衛を取り違えているか、ハッタリズムやケレンとは無縁の純真なおぼっちゃまかだ。剣呑でいかがわしい空気は充満しているが、映画的に須く負に機能してしまう哀しさ。他を…

ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け

★★★ 1988年1月2日(土) SABホール ごった煮的かつ趣味的な役名の数々とキャスティングは大層魅力的だが、そういう「ごっこ」が、どこかで真実に転化しないと映画的な感興は生じない。結局、最後まで「ごっこ」で終わってしまった。そんななか神戸浩の存在…

薔薇の名前

★★★ 1988年9月15日(木) セントラル劇場 何が出るのか分からないおどろおどろした前半はムード醸成に成功しているが、急転直下の謎解きが如何にも駆け足で途端に陳腐化するセット美術も含めて一気に尻つぼみ。結局は謎解き探偵ものの範疇に収まってしまうには…

夢みるように眠りたい

★ 1988年1月2日(土) SABホール 映画を描いた映画は得てして陥る閉じた世界に細心の注意を払わねば鼻持ちならないものになる。土台それは自己愛に塗れたものだから。これは余りに陳腐な昭和初期への似非ノスタルジーだけがその術なので救われない。もっと…

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ

★★★★ 1988年1月10日(日) 大毎地下劇場 ヘタをすれば途轍もない予定調和に陥ったかも知れないのに色彩や装置の美術や音楽や演技や等の要素を僅かずつ過剰にすることにより全体では突き抜けてしまった。ケバい狂騒の過剰さの中でもスティーブ・マーティンの歯…

ゴールデン・チャイルド

★★★ 1987年3月14日(土) 友楽映劇 香港映画的場当たりさを否定する気はないが、単なる市井の子捜し屋が世界の命運を握る謀略に対峙できるには、やはりそれなりの整合性は欲しかった。ネパールの風靡な景観を贅沢に見せるハリウッド・コンセプトは吉。素直に金…

サボテン・ブラザース

★★★★ 1987年5月31日(日) 友楽スカラ座 日本で言うなら「旗本退屈男」や「桃太郎侍」とかがガチなリアルワールドに放り込まれたらどうなるかという目新しくもない題材を律儀にご丁寧に作っているのが愛おしい。50年代ボブ・ホープやダニー・ケイの喜劇のテ…

ノー・マーシイ 非情の愛

★★★★ 1987年5月7日(日) 友楽会館大劇場 雪のシカゴの寂寥感が切なく、ニューオリンズに舞台が移って陽転するかと思えば尚切なくなる。アメリカ映画でこのキャスティングでこれだけの暗い情感を出した映画も珍しい。見え見えを本物に転化する役者力。主演2人…

プラトーン

★★★ 1987年5月31日(日) 友楽スカラ座 何時どこから弾が飛んでくるか判らないジャングル戦の強烈な臨場感があるが、ボンボンが社会勉強でちょっとだけ覗いて見ましたベトナムって感じが、この映画を真の感銘から遠ざけている。しかし、それは又ストーンの誠実…

ラウンド・ミッドナイト

★★ 1987年9月13日(日) SABホール 雲上人と簡単に仲良くなるので有難みがない。起点がなければ最後も結び切れないし途中だって転がらない。有名プレイヤーとの凡庸な交流譚以上のものではない。ジャズが好きでムードに酔えればそんなことどうでもいいのか…

キャバレー

★★ 1986年4月26日(土) 友楽スカラ座 出涸らし的な裏社会ムードだけに浸る映画で悦に入ってるのは角川春樹だけらしいのだが、金出してるので誰も何も言えないわけで、そういう我が儘は希に突出した作品を産み出したりもするのだが、きわどい感じで哀しくも凡…

鑓の権三

★★ 1986年2月8日(土) 観光会館地下劇場 半端な道行きが何時しか真実のパッションを発露させるにはひろみが軽すぎて志麻は重すぎる。釣り合わない2人は結果全く嘘臭い。しかも、本物志向のロケーションも創意のフィルターを通さぬでは絵葉書と同レベルに堕す…

コミック雑誌なんかいらない!

★★★ 1986年6月1日(日) 塚口ロマン 裕也自身のアイデアは最高だが、それでも神代・若松レベルの剛腕でないと当時の彼を使いこなせなかった。演出がお追従の域を出ず殆どの挿話が本人を出しただけに安住しており批評も無く皮肉さえも感じられない。たけしのシ…

熱海殺人事件

★★★ 1986年6月15日(日) 友楽劇場 終始ハイテンションで繰り広げられる誇張芝居は、それだけ充分に吸引力を持つ。滅法面白いとは思いつつも、この演出でこれだけ面白いんだったら…との疑念を持ち続けた。小賢しくもないが冒険もなさ過ぎ。(cinemascape) kenir…

エイリアン2

★★★★★ 1986年9月28日(日) 友楽スカラ座 追求された格好良さはオーソドックスで普遍だが徹底して妥協せず突き抜けている。扇情的な攻防戦に終始しつつ、リプリーやバスケスやビショップとかのベタな大見得に収束するプロットの連鎖。最早スコット的アートは粉…