男の痰壺

映画の感想中心です

映画1986

マグダレーナ・ヴィラガ

★★★ 2024年6月5日(水) テアトル梅田2 制作・脚本・監督・撮影を全部ニナ・メンケスがやって主演をニナの妹ティンカ・メンケスがやる。主な出演者は数人。もうほとんどプライベートフィルムに近い代物で処女作ならではのゴツゴツした即物感は好悪別れる…

眺めのいい部屋

★★★★★ 2001年11月26日(月) 梅田ガーデンシネマ2 歴史の深度のあるフィレンツェも緑萌えるイギリスの片田舎も完璧に美しい。努力すれども持たざる者は天性に持つ者を階級を盾に揶揄するしかないが、真の自由主義の目覚めは黴びた価値観を放逐するだろう。木…

天空の城 ラピュタ

★★★ 1994年4月29日(金) つかしんホール 『ナウシカ』のような叙事詩的巨編を経た宮崎が敢えて『コナン』や『カリオストロ』に回帰して見せる戦略的あざとさ。しかも拙いことに童貞的世界観は完璧に踏襲され、肉体アクションの映画美は喪失した。女海賊とかの…

ベティ・ブルー 愛と激情の日々

★★★ 1993年11月27日(土) ACTシネマテーク 相性の合わぬ男と女の腐れ縁の変遷が最悪の形で瓦解しゆく様を延々見せられてしんどいことこのうえないし、まあありがち。「インテグラル」ではなく初出版で見たかった。ただベアトリス・ダルのオーラは大したも…

ロッキーⅥ

★★★ 1992年4月21日(火) シネマヴェリテ 戦車に向かって竹槍で挑む無謀は愛おしくもあれど、パロディにもなっていない展開はシュールにも振り切れず、当然の如くオチない結末。正直カウリスマキの脳内構造を懸念させるが、その懸念こそカウリスマキをカウリス…

ジャズ大名

★★★★★ 1992年4月23日(木) 毎日文化ホール 映画とはカットが絶妙なリズムで紡ぎ上げられ産まれる快楽の止め処ない連鎖であることを思い知らされる。支離滅裂が殆どシュールの域に到達する終盤の一大狂熱!限定セットを逆手に取って迷宮を現出させる錬金術師喜…

ダウン・バイ・ロー

★★★★★ 1992年5月16日(土) テアトル梅田2 至芸とか逸品とか珠玉とか言いようはあろうが、同時にジャームッシュにとって2度と超えられぬ最高到達点。主演3者のどうでもよさ気なコラボが至る奇跡的均衡こそ堪らぬ味わい。ミューラーの淡いコントラストとシネ…

コーヒー&シガレット

★★ 1992年5月9日(土) テアトル梅田2 癖あるロベルト・ベニーニをおもろいと思うかどうかが全てなのだろうが、言葉のギャップがあって今一ニュアンスしかわからない。仲間内だけで受けて盛り上がってる感に手前勝手な傲慢を覚える。単体であれこれ言うのも徒…

ブルーベルベット

★★★★★ 1992年7月9日(木) テアトル梅田2 平穏な日常こそが異常さを内包するとでも言いたげな倒錯ムードが横溢しておりマクラクレンもロッセリーニもどこかズレ感を発散。そうなると彼岸の住人ホッパーと何も変わらない。その異様な混沌とでも言うべき世界観…

汚れた血

★★★★★ 1992年10月4日(日) みなみ会館 ゴダール=クタールの共闘関係に色使いで並びレンズ使いで凌駕したとも思える撮影。あまりなボウイのポップスに乗ってのザーメン臭い若者の自己解放も仏映画史を負うノワレが押さえて均衡する。まあ、格好いいものはいい…

キネマの天地

★★★ 1991年5月25日(土) トビタ東映 オーソドックスで陳腐なスタ誕物語を軸に映画史観を持ち込みたいなら、井上ひさしと山田太一の参画がピンと来ないし山田洋次の題材でもないだろう。微細な機微を描いてこその男が柄でもない社史編纂事業に携わることがちぐ…

男たちの挽歌

★★★ 1990年7月22日(日) みなみ会館 信頼と裏切りや忍耐とブチ切れや落魄と成り上がりなど余りに単線メロウな展開が今ひとつクールじゃないしアクション編集も後のジョン・ウー作品の緻密と比べると未だ雑い。とっぽいユンファの煙草とグラサンが漸く板につく…

夢みるように眠りたい

★ 1988年1月2日(土) SABホール 映画を描いた映画は得てして陥る閉じた世界に細心の注意を払わねば鼻持ちならないものになる。土台それは自己愛に塗れたものだから。これは余りに陳腐な昭和初期への似非ノスタルジーだけがその術なので救われない。もっと…

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ

★★★★ 1988年1月10日(日) 大毎地下劇場 ヘタをすれば途轍もない予定調和に陥ったかも知れないのに色彩や装置の美術や音楽や演技や等の要素を僅かずつ過剰にすることにより全体では突き抜けてしまった。ケバい狂騒の過剰さの中でもスティーブ・マーティンの歯…

プラトーン

★★★ 1987年5月31日(日) 友楽スカラ座 何時どこから弾が飛んでくるか判らないジャングル戦の強烈な臨場感があるが、ボンボンが社会勉強でちょっとだけ覗いて見ましたベトナムって感じが、この映画を真の感銘から遠ざけている。しかし、それは又ストーンの誠実…

ラウンド・ミッドナイト

★★ 1987年9月13日(日) SABホール 雲上人と簡単に仲良くなるので有難みがない。起点がなければ最後も結び切れないし途中だって転がらない。有名プレイヤーとの凡庸な交流譚以上のものではない。ジャズが好きでムードに酔えればそんなことどうでもいいのか…

キャバレー

★★ 1986年4月26日(土) 友楽スカラ座 出涸らし的な裏社会ムードだけ映画で悦に入ってるのは角川春樹だけらしいのだが金出してるので誰も何も言えないわけで、そういう我が儘は希に突出した作品を産み出したりもするがきわどい感じで凡庸。茶番劇である。(cine…

エイリアン2

★★★★★ 1986年9月28日(日) 友楽スカラ座 追求された格好良さはオーソドックスで普遍だが徹底して妥協せず突き抜けている。扇情的な攻防戦に終始しつつ、リプリーやバスケスやビショップとかのベタな大見得に収束するプロットの連鎖。最早スコット的アートは粉…

四月の魚 Poisson d'avril

★ 1986年6月15日(日) 友楽劇場 初期設定は『ねえ!キスしてよ』と同じで多分ワイルダーを意識してたんだろうが料理やファッションで誤魔化そうとする精神がさもしい。シチュエーション・コメディを手掛けるには100年早過ぎたマスかき連中の鼻紙。(cinemas…

男はつらいよ 幸福の青い鳥

★★★ 2013年8月17日(土) トビタ東映 庇護者と化した寅が最早、物語を牽引するに適わぬことは知れたことなのだが、にしても途中、別映画かと思える悦子・長渕への尺の割き方で、これが又相も変わらぬ時代錯誤感を纏うのも毎度のこと。筑豊シークェンスが総じ…