男の痰壺

映画の感想中心です

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

フェリーニのローマ

★★★★ 1978年4月2日(日) SABホール 自家籠中の猥雑と郷愁のカオスとして呈される古代から現代に至るローマに纏わる エトセトラ。闊達だが食傷も感ずる中、「地下工事の掘削機」・「高速道の渋滞」・「古都 遺跡の照明」など偏愛的な無機物質愛には惹かれる…

アウトレイジ 最終章

★★★★ 2017年10月8日(日) MOVIXあまがさき11 前作「ビヨンド」の美点の1つであった沸点キワキワなテンションでの台詞の応酬。 それを中心で担ったのが西田と塩見だったと思う。 その2人が病み上がりでゼーゼーしながらやっとのことで言う台詞は味…

映画 2024

11月のある昼下がり、左腕の肘に違和感を感じ何やろかと服をめくってみて驚愕した。見たこともないようなどでかい瘤が肘から飛び出してる。2センチを超える異様なそれを見て俺は死を覚悟した。急性の悪性腫瘍がたかが3、4時間の間に俺の体を蝕んでるん…

俺物語!!

★★★ 2015年11月1日(日) MOVIXあまがさき6 何だか進捗しないままループしてるかのような展開がどうかとも思うし、増量したから偉い訳でもない亮平に殊更な感興も湧かない。全ては永野芽郁ちゃんの1点の曇りなき性格の可愛らしさ。彼女のお蔭でこの胡散臭…

男はつらいよ 寅次郎相合い傘

★★★ 1978年3月17日(金) アサヒシネマ お嬢さん女優浅丘ルリ子の演じる裏街道ヒロイン「リリー」のキャラは評価が高いが何だか作り物めいて見える。コテコテすぎるのかも知れない。同じ道往く者同士の連帯愛はシリーズの決め事を破壊させかねない。そういう苦…

バンクジャック

★★★ 2015年10月25日(日) プラネットスタジオプラス1 最悪の窮地でも軽やかに笑みを浮かべ続けるベイティとキュートなゴールディが「ルパン三世」の元ネタめいてる。犯行シークェンスはともかく後半の大半を台詞無しで費やす延々たる逃避・追跡行が異様な…

男の子の名前はみんなパトリックっていうの

★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 なんというか、まあ、スケコマシ野郎の掌話であります。 これを、「いとこ同志」で同じような役を演ったジャン=クロード・ブリアリがお手の物で演じる。 2股かけられたルームメイトの女の子2人は3股…

コンドル

★★★★ 2024年12月23日(月) シネヌーヴォ シドニー・ポラックに大して期待もしてなかったが佳作と言っていい出来で意外であった。考えてみれば彼の初期作はほとんど見てないことに気づいた。「ひとりぼっちの青春」とか見てみたいなあ。 CIAの内部犯行を…

聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメン VS 悪魔軍団

★★★ 2024年12月22日(日) TOHOシネマズららぽーと門真8 漫画もアニメもドラマも見てない門外漢だし、300%見る気もなかった映画だが、どうしても時間をつぶさねばならずこれしか合うのがなく已む無く見た。 キリストと仏陀が何故か日本のボロアパー…

ヴァラエティ

★★★★ 2024年12月23日(月) シネヌーヴォ アンダーグラウンドの実験映画という予断を裏切るかなりに出来上がった作品だと思う。1983年作だが、翌1984年の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の撮影トム・ディチロと音楽ジョン・ルーリーが参加して…

黒いオルフェ

★★★★★ 1978年4月1日(土) SABホール 時代を又舞台を置き換えて再解釈される古典は後を絶たないが、最高峰の1つと思われる。狂熱のリオを舞台に増幅される対比は狂騒と静寂、愛と憎悪に留まらず生と死をも炙り出すだろう。死の仮面の呼び寄せる刹那の火花…

ユリゴコロ

★★★★ 2017年9月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ3 原作未読。 【ネタバレがあります】 冒頭10分で主人公の少女時代が描かれるが、その凡庸さに観るのやめたくなった。 「頭のネジが外れてる」と自己分析する異常者を、ああいう如何にもな演出でし…

不思議の国のシドニ

★★★ 2024年12月18日(水) テアトル梅田4 日本を訪れたフランス人女性が日本人男性との交流の中で自身の過去と向き合う、という設定自体アラン・レネ「二十四時間の情事」を思わせるのだが、あちらが戦禍の面影も残る広島に於いての各々の戦争体験に根付く…

チキン

★★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 クロード・ベリってよく知らんが、調べるとゲンズブールが監督した「スタン・ザ・フラシャー」ってのを俺は見ていて、その映画の主演を演った男で、まあドヘンタイの役でした。 あと、「愛と宿命の泉」…

グラスホッパー

★★★★ 2015年11月7日(土) 梅田ブルグ7シアター1 無自覚な悪意が跳梁跋扈し腐敗し行く日本の片隅で飽くまで個人主義的行動原理に沿い仕事を行う殺し屋たちは世界から隔絶され清清しい。浅野も山田も虚無感十全。複層のストーリーラインは底浅にシンクロし…

ジェフ・ニコルズ Jeff Nichols

生年:1978/12/07 kenironkun.hatenablog.com

未知との遭遇

★★★★ 1978年3月31日(金) OS劇場 1981年2月10日(火) 伊丹グリーン劇場 メキシコの砂漠から幕を開けた映画は世界各地の異変を大スケールで点描し続けるのに結局、物語は局地的なマニア集団に収束される。所謂普通の人々は殆ど登場しないという超絶に閉じた世…

カンタベリー物語

★★ 1978年4月9日(日) SABホール 徹底的に修正が施されたものを見て汚いと思ったが無修正版を見てもそう思いそうな気がする。それがリアルな中世だと言うなら結構だがパゾリーニの願望が多分に入り混じったそれは男色とスカトロの色彩が濃い。となれば艶め…

ラブ・アクチュアリー

★★★ 2024年12月9日(月) テアトル梅田1 数打ちゃ方式というか幾つもの掌話が並列的に並べられていくのだが、多少後付け的に絡み合うにしても総合的に一つの大きな幹に収斂することはない。wiki で相関図なるものを見てるうちどうでもよくなって見るのやめ…

3泊4日、5時の鐘

★★★★ 2015年11月7日(土) シネヌーヴォ 犬も食わない女同士の喧嘩というか、そもそもこの2人大概に性格悪いので怖いもの見たさ的興趣しか覚えないものの、けっこう単純で可愛いところもあるのが笑えるし、シネフィル的小賢しさとも無縁だ。取り繕いな和解…

オルカ

★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 『ジョーズ』便乗企画を巨大シャチで勝負するラウレンティスの映画屋魂はありとしても無機的な殺人魚に対して情てんこ盛りの擬人化親子愛ダダ漏れでは古めかしすぎる。北海の景観は情緒を味わうまえに寒々しくて辛気く…

ザ・バイクライダーズ

★★★★ 2024年12月9日(月) 大阪ステーションシティシネマ5 予告篇でストーンズの「Heartbreaker」が流れていて、それだけでも見てみたいと思わされた。学生時代に撮った8ミリ映画で使った曲だったんで。ところが本篇では使われてないでやんの、ふざけんな…

幼な子われらに生まれ

★★★★ 2017年9月23日(土) テアトル梅田2 バツイチ同士の再婚家庭で連れ子との関係がうまくいかないという、何の奇矯な設定もない話。 なのだが、終始不穏な緊張感が持続する。 キャスティングに因るのだろう。 「淵に立つ」の限りない悪意を飲んで潜めた男…

マッドマックス

★★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 最初の悪党カップルのひたすらな「やったるゼー」とか「ヒャッホー」リフレインに芸無さすぎと萎える。今となっては「2」前史としてしか見れないのだが、未だ孤高でも虚無的でもないマックスはともかく、敵キャラ造形…

孤独な場所で

★★★★ 2024年12月8日(日) プラネットプラスワン 原作ではサイコキラーだったらしい主人公が単なるすぐにキレやすい男と多少マイルドになっている、ということだが、巷間言われる通りそれで良かったと思われます。サイコキラーだと寧ろ凡庸で見飽きた設定に…

マイ・インターン

★★★★ 2015年11月8日(日) MOVIXあまがさき4 生きてくうえでの居場所作りの物語として見たが、総務畑で会社勤めを全うしたかのような地味で実直なデ・ニーロのキャラ付けが隘路のピンポイントを突いた。出張のホテルの一夜の腹一物な視線の交錯が微温ドラマ…

俺は田舎のプレスリー

★★ 1978年8月7(月) ダイニチ伊丹 勝野・鮎川ラインのドラマが弟子筋仕事で気の無い山田イズムに乗った微温の極みでどうしようもない。いっそ毒を食らわばでカルーセルで押しまくってほしかった。所詮は混入した異物は弾き出され異化作用を及ぼすことなく日々…

野性の少年

★★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 産まれてこの方、社会的関係性を断絶された少年の関係性を回復させる試みという点で「奇跡の人」と相似。 なのだが、スパルタのサリバンに対しイタール博士のやり方は冷静で実直で慈愛にあふれる。 い…

サンシャイン

★★ 1976年3月29日(日) ビック映劇 彼女には気の毒だが言うてみたら茶番な生き様とでも言おうか。ヒッピームーブメントの最悪形での結露だろう。言葉尻に囚われた抵抗のための抵抗や自由のための自由の形骸。若くして死ぬということだけで意味があると思われ…

チネチッタで会いましょう

★★★★ 2024年12月9日(月) テアトル梅田2 映画制作のあれやこれやってことで、随筆体映画と小説型映画を使い分けるモレッティの両者の統合型総決算とも言えるし、又かよの出涸らし的ルーティーンとも言える。 人間歳とると偏固になっていくもので、変化を受…