男の痰壺

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ラ・ジュテ

★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1
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第3次世界大戦後の核汚染された世界を描いているが、よくあるキノコ雲は一切出ない。
若干瓦礫化した街並みが出るが、それより戦慄的なのが平時のパリのオルリー空港
何か不穏な空気が充満しているように見える。
 
全篇、スチール写真のみによって語られる有名作(「テリー・ギリアム12モンキーズ」の原案となったらしい)だが、時間遡行のロマンティシズムが主題であることから、どうしてもアラン・レネを想起せずにはいられない。
記憶の奥底の断片が甦るというモチーフもヌーヴォー・ロマン的。
 
備考
クリス・マルケルはヌーヴェルバーグに於いてレネと同じセーヌ左岸派
・地下支配者の暗視鏡のようなメガネは押井守に影響を与えてるんだろう。
・1ショットだけ女の顔のアップが静止を解かれて動くのだが、あまり効果的ではない。
 
事後の壊滅描写より戦慄的なのが平時のオルリー空港で不穏な空気が充満する。時間遡行による記憶に閉ざされた想いのロマンティシズムが明らかにアラン・レネ的なのだが、この形式は最初で最後の偶発。故に1ショット静止を解かれて動く画が凡庸に見える。(cinemascape)