男の痰壺

映画の感想中心です

映画1950

宗方姉妹

★★★★ 2024年6月7日(金) 大阪ステーションシティシネマ8 主役の傍にいる2人の陰陽の凄まじい2項対立。その手のタイプキャストからは幾許か外れてる高峰秀子の躁と山村聡の鬱の規格外の在り様の狭間でノーブルな田中と上原が従来型の小津モデルを慎ましく…

神の道化師、フランチェスコ

★★★★ 2024年2月4日(日) シネリーブル梅田4 キリスト教への懐疑や絶望を映画は往々にして取り上げるし、「道化師」という邦題から皮肉めいたものを予想していたのだが、教義に対して一片の迷いもない肯定的なものだった。そういう映画だと判るのに見終える…

アスファルト・ジャングル

★★★★ 2016年9月25日(日) プラネットスタジオプラス1 臨戦下の如き警察車の市中徘徊のローアングルな導入から容疑者の公開見分と掴みは超クールだが肝心の計画遂行は凡庸。しかし後半俄然冴えわたる。次々と娑婆への見果てぬ夢と想いと追憶を胸に彼らはフ…

忘れられた人々

★★★★ 1993年8月10日(火) 扇町ミュージアムスクエア 悪の起源を解き明かそうなぞと言う教条的志向は皆無で、ひたすらに派生しゆく悪の連鎖を丸投げに提示する。そう言う絶望的達観は無責任と紙一重なのだが、真摯な姿勢からブニュエルの怒りと哀しみは読みと…

イヴの總て

★★★★ 1993年10月29日(金) シネマアルゴ梅田 得てして風化する宿命のマスターピースに留まらず今尚訴求力を持つとすれば2人の女優の役者力だと思いもするが、燻銀の如くに緻密なマンキーウィッツの構成あればこそ。机上の設計こそ半世紀の年月に耐え得る。(c…

また逢う日まで

★★★ 1990年11月4日(日) 日劇シネマ 孤絶した2人の純粋恋愛映画として成立させれば良かったのに、多くのしがらみを遍く説明的に注釈することで絶対純度を放棄してしまった。ただ、それでも残留する古色蒼然としたメロドラマの作劇術の強度はやはり捨て難く久…

サンセット大通り

★★★ 1982年12月18日(土) SABホール 魑魅魍魎と化したスワンソンをシュトロハイムと組ませる諧謔をご丁寧にデミル・キートン・ホッパーを配して補完する世界の構築力には唸るが、一方でホールデンサイドのドラマが弛緩して全く面白くない。クライマックス…

羅生門

★★★★★ 1981年1月31日(土) SABホール 脚本の徹頭徹尾なロジカル構成に対し、演出のパンフォーカス多用の人物配置は当意即妙で、パッションとエロスの発露に稀代の才能が2枚揃い、リリカルな瞬時の詩情をカメラは変幻に抽出する。真の天才的職人たちの奇…

サイド・ストリート

★★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ 「フィルム・ノワールの世界」という企画で見た。 この企画、見たいものがそこそこあるのだが、ほとんどがデジタル上映なので敬遠していた。 今回、他に見たいのがあって、どうせならとついでに見たのだが。 アンソニ…

マデリーン 愛の旅路

★★★ 1980年6月15日(日) SABホール 手堅い演出だし退屈することもないのだが、41歳のアン・トッドが適齢期の女性を演じるのが土台無理であり華が無さすぎ。男達にも魅力がないのでグダグダの恋愛の泥沼は正味どっちでもよくなる。構成上の煮え切らなさも…

ウィンチェスター銃’73

★★★★ 2015年12月20日(日) プラネットスタジオプラス1 鳥瞰で捉えられた商人の惨殺死体やデュリエに嬲り殺される優男などけっこうに血なま臭いプロットも混じえつつも説話的な語り口故に牧歌的。冒頭の射撃大会の件などは童話世界のよう。西部劇の体裁を借…