男の痰壺

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神の道化師、フランチェスコ

★★★★ 2024年2月4日(日) シネリーブル梅田4

キリスト教への懐疑や絶望を映画は往々にして取り上げるし、「道化師」という邦題から皮肉めいたものを予想していたのだが、教義に対して一片の迷いもない肯定的なものだった。そういう映画だと判るのに見終えるまでかかってしまった。

 

フランチェスコと彼に師事する11人の修道士たちの10のエピソード集。なんだかイエスと12使徒みたいだが、ユダに相当する者はいない。彼らはフランチェスコの教えに対して何の迷いもない。ジネプロという一番若い修道士がピックアップされて幾つかのエピソードを担うのだが、特に8番目の挿話は村を包囲する侵略者のところに彼が出向いていく話で最も大掛かりに金もかかっていそう。多分に脚本参加しているフェリーニの趣向が取り入れられてる気がする。

 

全てのエピソードは紋切型に閉じられるので、何か通しで大きなテーマに遡求することはないのだけど、1篇たりとも緩んだものもない。ロッセリーニはほとんど未見ですが、もっと見たいと思わせます。

 

神の教えを世俗に於いて如何に実践するかを高踏的な命題としてではなく愚昧なやり方でもとにかく前へ進もうということであり、修道士たちの失敗に対してフランチェスコは全肯定。民の無理解や横暴も全受容。その尊さをロッセリーニは記しておきたかった。(cinemascape)

 

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