男の痰壺

映画の感想中心です

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

チャッピー

★★★ 2015年5月29日(金) MOVIXあまがさき11 『ロボコップ』な背景の『AI』再語りの手垢感もあるが、本来3項対立の傍系人物でしかない2人が予想外の父母性を発露し始めて均衡が崩壊する。と言うより作り手の心情もそこへ片寄せしてる。創造主を序盤で…

ジャグラー ニューヨーク25時

★★★ 1980年11月16日(日) 伊丹グリーン劇場 中盤でダン・ヘダヤが逸脱の兆候を見せてくれるものの、序盤の見せ場を頂点に展開のエスカレーションが規程の範囲内でしか進まず且つ下降していくという尻つぼみ映画。せめて役者にもう少し華でもあればと思う。(ci…

新学期 操行ゼロ

★★★ 2018年3月17日(土) プラネットスタジオプラス1 ぶっちゃけ、評価されすぎじゃないかと思われるのだが…。 これが、そもそもトリュフォーらのヌーヴェルヴァーグ同人に見いだされ神格化されたのは ①反体制的であること ②技法のリリシズム の2点による…

プリデスティネーション

★★★ 2015年5月17日 新世界国際劇場 ループしつつ世界はどんどん縮小していき夾雑物ゼロへと到達するあたり、その孤独地獄はダンカン・ジョーンズの2作とテイストが通底するが、演出的には情に流されるきらいがある分押付けがましい。土台ホークを配した時点…

オール・ザット・ジャズ

★★★ 1980年11月18日(火) 大毎地下劇場 お手盛りの自画自賛映画だとしても、せめて10年早くフォシー自身の主演で撮って欲しかった。ショービズにどっぷり浸かった男の佇まいがシャイダーではどこか嘘っぽい。ロトゥンノを擁してもフェリーニの夢幻の境地に…

素敵なダイナマイトスキャンダル

★★★★★ 2018年3月25日(日) MOVIXあまがさき2 ピンポイントを衝く冨永昌敬のキャスティングセンスにあらためて感銘を覚える。 天才アラーキーこと荒木経推役に音楽家・文筆家の菊地成孔を当ててるのだが、すごく良い。 菊地成孔なんて知らんかったのだ…

あん

★★★★ 2015年5月31日(日) 梅田ブルク7シアター2 ドン詰まりの男と行き場ない女子高生のゆっくり死んでゆく如き日常をそれでも慈しむかのようなカメラ使いが良い。そして再生リアクターとしての樹木の苛烈な一生も呑んで溜める佇まい。水野の使い捨ても許…

怒りの葡萄

★★★★★ 1980年12月7日(日) SABホール 現実に貧乏な時代に作られたからこそのリアリティと現実に家族が固い絆で結ばれていた時代だからこその感銘が抜きん出ている40年代フォードの貧乏アメリカ3部作の初作にして最高作。トーランドの撮影も特筆もの。(c…

ハッピーエンド

★★★★★ 2018年3月17日(土) シネリーブル梅4 ミヒャエル・ハネケの最近の映画は刺激不足で、老いたなの感が強かった。 しかし、これは、嘗ての悪意全開の絶対性に加え年寄りの冷や水的な今風意匠を積極的に取り入れ、完全にモノにしたケチのつけようのない…

驟雨

★★★★★ 2015年5月17日 シネヌーヴォ 断片の集積で小さな世界の混濁と無常を余すことなく描いた脚本が素晴らしいのだが、それでも東宝的微温庶民掌話になりかねぬところを成瀬のニヒリズムが全篇呪縛のように覆い痛烈。結果小粋なラストも輝く。カメラも良く同…

チャンプ

★ 1980年11月23日(日) 梅田東映パラス 曲りなりにも何がしかの作家性を保持してた筈のゼフィレッリがハリウッドのショービズマニュアルに蹂躙される。選択されたマエストロたちはギャラの分はと割切り映画は形を為してゆく。冒険心の欠片もなく何から何まで…

シェイプ・オブ・ウォーター

★★★★ 2018年3月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 主人公は障碍をもつが、徹底的に虐げられてるとは言えない状況だ。 もちろん、彼女の孤独や悲哀は幾重にも描かれる。 私生活で唯一の隣人はゲイの絵描き。 職場での唯一の友人は黒人。 設定され…

真夜中のゆりかご

★★★★★ 2015年6月9日(火) 大阪ステーションシティシネマ7 汚濁の中にも希望の光は存在し平穏な日常下には絶望地獄へのとば口が雌伏する。明らさまな2項対立だがそれを感じさせぬ作劇の妙がある。母親と子どもの関係性への生理レベルでの言及が女性ならで…

サイレント・パートナー

★★★ 1980年11月26日(水) 毎日文化ホール サイコなパラノイアと小心な真面目男という構図は何時しか崩れ小心者はけっこう大胆になっていく。その変化を脚本は巧くは衝いてないので何処か大味。確かにクリストファー・プラマーは相当に不気味だが『殺しのドレ…

競泳選手ジャン・タリス

★★★ 2018年3月17日(土) プラネットスタジオプラス1 夭折の天才ジャン・ヴィゴの初期短篇というか、何やろか今で言うPR映画か…。 でも、彼の速さの秘密を究明する。 とか、彼のお茶目なキャラをフィーチャーする。 また、彼の強さで国民を鼓舞する。 …とか…

やさしい女

★★★★ 2015年6月9日(火) シネリーブル梅田1 女ってのはわけわからんという詠嘆を醒めた諦観で語るのと、現在進行形のパリの景観が関係性の怜悧を抱擁するかのような柔らかな情緒を帯びる点で『白夜』と好対を為す。しかも結局の底意は不寛容であり、そこは…

世界崩壊の序曲

★ 1980年12月9日(火) 伊丹ローズ劇場 島の火山が噴火するだけだってのに「世界の終わり」とは腹が立つを通り越し山師アレンのハッタリに畏敬の念すら覚えてしまう。しかし、そこに「序曲」とつけざるを得ない配給業者の良心の呵責。その苦渋の選択に一抹の希…

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア

★★★★ 2018年3月17日(土) シネリーブル梅田1 前作「ロブスター」は設定自体が捻りまくったものだったのだが、今作はそうではない。 ストーリーのみ見れば、これは至極まっとうなオカルト映画だ。 医療ミスってのも、恨まれる経緯としては在り来たり。 その…

自然の歴史(組曲)

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 生きとし生けるものは、魚貝から人体までじっくり見ると須らく気持ち悪いことを生体・死体織り交ぜて再確認させるのだが、しかし、結局は物喰う口の租借ほど摂理に従順で恥知らずな行為は無いという人間嫌いのアイロニ…

曽根崎心中

★★★★ 1979年2月10日(土) 伊丹ローズ劇場 浄瑠璃言葉をハイで一本調子な木訥さで朗ずる2人。怨み節を思い詰めた目力に昇華させた梶芽衣子が一世一代の美しさで宇崎竜童の一生懸命のヘタレと絶妙な噛み具合。左・橋本・井川のサポートも強固極まりない。(cine…

どこでもない,ここしかない

★★★ 2018年3月18日(日) 梅田ブルク7シアター3 先月末のことなのだが、所用があってプラネットスタジオに行った。 事務所でT氏と話していたとき、となりの映写室でゴソゴソ音がして、男が姿を現した。 俺は一瞬、ロッチの中岡や!と驚いたのであったが、…

新宿スワン

★★★★★ 2015年6月7日(日) MOVIXあまがさき3 ハウツー&成長譚のおそろしく古式床しい物語で主人公の少年漫画的一本気な価値観が強度を倍加させている。金子の胡散臭さと深水の狂犬ぶりが嬉しく70年代的で一旦中二サイドに陥りかけた流れを切り返した園演…

ハンカチのご用意を

★★★ 1980年11月30日(日) 梅田東映ホール 歪なまでに変形しゆく世界観をあくまで日常として呈示しようとする気概は買うが、足りないのはパワー。かつてブニュエルやパゾリーニが保ったテンションを低迷期の仏映画で示現するのはしんどかった。微妙な出来だが…

The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ

★★★★★ 2018年3月11日(日) 大阪ステーションシティシネマ6 「白い肌の異常な夜」は未見です。 であるが、さんざその映画について見聞きしたおかげでストーリーは大体知ってしまってる。 であるから、展開の驚きはほぼ無い。 のだが、グイグイ引き込まれて…

龍三と七人の子分たち

★★ 2015年6月5日(金) 大阪ステーションシティシネマ3 微温湯の中で小便漏らしてるくらいならいっそうんこでもしろやと言いたい。早晩、社会構造の転換から足蹴にされる定めの年寄りに片足突っ込み露呈した阿りの気配が醜悪。セスナはスカイツリーに突っ込…

処女の泉

★★★★★ 1980年12月16日(火) 関西学院大学学生会館201号室 1992年12月19日(土) ホクテンザ1 残酷童話として完璧な世界の構築により神の在不在の問いかけは物語に包括され意義さえ失うかのよう。『羅生門』直下の演出は縦構図を完璧にモノにしニクビストの…

ブラックパンサー

★★★★ 2018年3月4日(日) MOVIXあまがさき11 確かに秘密主義の閉鎖国家の有り様が主題ではある。 が、だからと言って、これをして米トランプ政権へのアンチテーゼと持ち上げるのはどうなん?と思うのだ。 それって、あまりに幼児的に事象の1面しか捉…

サンドラの週末

★★★★ 2015年6月9日(火) テアトル梅田2 ろくな戦略も話術も持たぬサンドラが徒手空拳で当たってはみたが世間はそんなに甘くはなかったという話に留まらず、家計への不安は家庭が瓦解する予兆へ繋がる。でも親身な人も何人かはいたという仄かな救い。苦楽の…

チェンジリング

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 ピーター・メダックフィルモグラフィの中では多分『蜘蛛女』と並ぶ代表作。コキロンの撮影が広角多用で非常にエッジが効いておりキャスティングの渋さもあって工芸品レベルだ。ただ主人公が究明の役回りの第三者でシ…

グレイテスト・ショーマン

★★★★★ 2018年3月4日(日) MOVIXあまがさき9 「ラ・ラ・ランド」が50年代MGMミュージカルへのオマージュを捧げたのに対して、本作は、60年代のワイズやジュイソンを筆頭とした巨大ミュージカルへのリスペクトが感じられる。 ロイド・ウェーバーな…