男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【に】

僞大学生

★★★★★ 1981年2月21日(土) SABホール 加被虐のこういう尖鋭化は時代的に珍しくもないが、泥塗れのジェリーに対してのクールネス若尾と伊丹の配置がエロスと胡散臭さも兼務する重層。息をもつかせぬ脚本のスピードと構成。エッジ効きまくりの村井のモノク…

ニーチェの馬

★★★★ 2013年3月15日(金) 梅田ガーデンシネマ2 凄まじい強度と吸引力を持った画面の連続だし、ワンシーンを2カットで描ききる潔癖さの一方、辺境ロケセットの家屋と井戸の距離の絶妙や過剰なまでの風への拘泥。ただ、こういう終末観は目新しくなく、又3…

2ペンスの希望

★★★★ 1981年1月11日(日) 大阪府中小企業文化会館 美人に追い回されるという男の願望充足と不景気下でも一生懸命頑張っていればいずれ道は開けるというイタリアンな楽天主義が程良いテンポで描かれる。働けど働けど楽にならない時代の妬みや拗ねや諦めとは…

人情紙風船

★★★★★ 1981年5月20日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 出口無しの貧乏地獄でも人々は矜持と楽観を手放さない。多くの人物を交錯させつつ、それらを抽出した脚本の妙と中村・河原崎の体現する豊穣なダンディズム。ペシミスティックな怒濤の終局は山中の夭…

日本の悲劇

★★★ 2013年9月5日(木) 第七藝術劇場 このテーマに対して爺さんの懐旧譚的アプローチしかないんかいと思えてしまう。システムの破綻や生存力の劣化など息子サイドからしか見えないものが抜けてる。後姿ばかりで大芝居を封殺された仲代は好演だが北村は違う…

忍術キートン

★★★★★ 1981年7月4日(土) 毎日文化ホール 時制と空間を支配しようとする強固な意志とそれを為し得る技と力。勃興期の映画の数万哩先に数十年早く到達した奇跡。見たときは捜し物を見つけた気がした。問答無用なテンポの快感に末梢神経の先まで覚醒させられる…

ニューヨーク 一獲千金

★★★ 1981年8月2日(日) トビタOS劇場 製作トニー・ビルが同じであるなら『スティング』の亜流商品なのだろうが、どうにも垢抜けなく泥臭い。奇天烈なギミックが無くても構わないのだが、演出に煌めきがなく演者にも華がなけりゃ仕方ないとも思う。まあ、こ…

二匹の牝犬

★★★★ 2013年11月16日(土) 新世界東映 このゲスな3面記事題材に沢村を筆頭に皆半端ない気合の入りようなのが良い。小川の冷たい熱量に対し田舎臭い魔子も小悪魔への変貌で拮抗する。演出も今村+増村÷2みたいな太さ。斜角の構図がダサくないのは見てくれ…

ニューヨーク1997

★★★★ 1981年10月5日(月) 伊丹グリーン劇場 こういうグッドバッドガイを持ち出し今更と思われることを恐れてはいけなく、決めたら迷ってはいけない。ヘタウマとかパロディとか小賢しい概念とは無縁であるからこそチンケであっても熱い。カート・ラッセル生涯…

日本の熱い日々 謀殺・下山事件

★★★★ 1981年10月8日(木) 伊丹ローズ劇場 所詮は痒いところに届かないものを仲代得意の目力演技でバカ熱く語る虚しさは拭い難いし、証人が次々消されていくのは『日本列島』と同工異曲だ。ただ、随所に忘れ難いイメージが頻出する。米軍ヘリから突き落とされ…

ニード・フォー・スピード

★★★ 2014年7月4日(金) なんばパークスシネマ10 ほんまにCG無しかいなという疑惑が頭をもたげないでもないのだが、中盤のタイムトライアル的大陸横断疾走が否が応でも『バニシング・ポイント』を懐旧させつつ、イモージェン嬢の加速的な魅力増大が色を…

日本の首領 野望篇

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 鶴田退場で均質化された世界は強度を増しつつ政財界を巻き込み拡散する。乗っ取り戦の前段から海外利権を巡る後段へと脇で牽引する藤岡や小池のテンションこそ肝。大騒ぎの後方で沈鬱な松方のどマジメぶりが愛しくも笑…

日日是好日

★★★ 2018年10月21日(日) MOVIXあまがさき9 コンセプトはわかる。 人生に於いて、これといった何事もなく漫然と日々は過ぎて行って何も起こらない。 好きで始めた茶道でないが、他にすることもなくって続けている。 そんな、彼女が人生の中で最大の苦…

西陣心中

★★★ 1980年7月11日(金) 伊丹ローズ劇場 京都の土着的な陰々滅々たる世界に陰々滅々な人々が織り成す共感度ゼロの物語なのだが、楷書の様に完成されたとも言える高林自身の撮影と次々と出ては消える一癖ある役者の連続が一応飽きさせない。配役の妙が閉塞され…

ニンフォマニアック vol.2

★★★ 2014年11月6日(木) テアトル梅田1 大風呂敷を広げた挙句、結局はありふれた物語性に帰依するしかないという馬脚を現した。白黒・SMと、らしいネタを点描してみせるのだが一応の域を出るものでもない。トリアーは病気なのかもしれぬが変態ではないの…

ニンフォマニアック vol.1

★★★ 2014年10月11日(土) テアトル梅田2 例により物々しいドハッタリな開巻の割に中身は「色情女ジョーの華麗な冒険」的な編年体の叙事パロディっぽく軽くスカスカ。アレンだったら巧そうな題材と思いつつ見たが、ブニュエル的シニカルな変態毒も垣間見え…

ニッポン無責任時代

★★★★ 2015年2月24日(火) 大阪ステーションシティシネマ11 想定外だったのは『お姐ちゃん』3人衆でありそのみのキンキン声と規子のツンデレがアドレナリンを分泌させる。男共はほぼ壊滅状態の体たらくで植木のカリスマは完全遣りたい放題状態。洗練され…

日本の黒幕

★ 1979年10月28日(日) トーエイ伊丹 山本と大島とヴィスコンティの間で揺れ惑うに降旗では凡庸すぎ。多分に壮大だったたらしい意欲的題材なのに末端ファクターのテロリストや近親相姦がらみの愛憎劇で幕間をつなぐしかなかったのが情けない。それは上辺と拮…

日本のいちばん長い日

★★★ 2015年8月9日(日) MOVIXあまがさき5 構図と編集リズムによりドラマのエモーションを高める作為は前半に関しては一応の成果を見せ、ミクロに集約された三者の思いの錯綜は新鮮でさえある。ならば将校の叛乱は寧ろ描かないくらいでよかった。後半は流さ…

任侠外伝 玄海灘

★★ 1979年11月24日(土) 伊丹ローズ劇場 定型演技を繰り広げる安藤、宍戸では既成枠を打ち破るパワーに欠け、物語からは在り来たりの因果話しか感じ取れない。アナーキズムをスクリーンに焼き付けるには逆説的に周到な戦略が要件なのだ。終盤のドブ川でのたう…

2001年宇宙の旅

★★★★1978年11月12日(日) 三番街シネマ3 原始の猿の道具の発見をひたすら延々と見せた果ての宇宙空間への飛躍が全てで、それだけにHALに関するサスペンスは常套の規範に堕したと感じる。とんでもない大風呂敷を広げたものの時空を越えてからの終盤は謎解…

22年目の告白 私が殺人犯です

★★★ 2017年6月18日(日) MOVIXあまがさき11 オリジナルの「殺人の告白」を見てるので、驚きはない。 むしろ、この改変はどーなんかなーと思う。 【以下ネタバレです】 本篇で名乗り出る快楽殺人者的な真犯人はダミーで、更なる真々犯人が登場。 いわ…

日本橋

★★★ 2016年2月28日(日) シネヌーヴォ ドン詰まりの片想いが狂気にまで至るドロドロ展開は市川の嗜好と真逆。それでも一応は物語を成立させようとはしてるが、さらっと系の淡島では情念の業が出し切れない。蛆虫食いの没落商人や托鉢僧となった教授といった…

肉体の門

★★★ 2017年5月20日(土) シネヌーヴォ 冒頭で戦後の闇市界隈の混沌がスローモーションで捉えらえる。 今風だし、清順のそういう描法は見たことなく何が出てくるかの期待が高まる。 でも、結局は何も出てこない。 女同士のコミューンの諍いが描かれるが、下…

人魚姫

★★★ 2017年4月22日(土) 新世界国際 前作「西遊記」にもCG依存が顕現し危うさを感じていたのだが、もうここまで使いまくりでは映画に対する姿勢が怠惰だと感じる。 「少林サッカー」的な女性の異形性への偏愛と一方で笑いのめす加虐性の混在は復活したが…

二重生活

★★★ 2016年6月25日(土) シネリーブル梅田3 透徹された冷えた情感が良い。が、彼女が行為を通し何を得て何を失したかはホテルでの告白でも所詮わからぬ三百代言で長谷川に仮託された爆裂も寸止めで雲散霧消。代わりに付加されたリリー・西田パートの孤独地…

担へ銃

★★★ 1975年8月15日(金) 梅田地下劇場 後の『独裁者』で巨視的・複層的な展開を見せる題材としての戦争だが、芸としてのギャグが豊富ではあるにしても手放しでは笑い切れない。傍観者的ポジションでのアプローチであって未だ怒りの萌芽は無いのだ。当然サディ…

日本妖怪伝 サトリ

★★★★ 2017年1月23日(月) シネヌーヴォ 妖怪サトリは山谷初男の小太りおっさんで人の心を読むのだが、その設定にさしたる意味も無い。 映画の主眼は緑魔子のモラトリアム女性のノンシャランな行動を追うことのようだ。 緑魔子は初見ではないが、今までで一…

日本で一番悪いやつら

★★★★ 2016年7月16日(土) 梅田ブルグ7シアター5 文太・松方あたりで散々やり尽された物語の焼き直しだし、綾野も成り上がり演技が『新宿スワン』とかぶる。ただ、上場企業から振り込めサギまで日本 風土に遍く蔓延する「成果主義」という怪物を徹頭徹尾フ…

ニュースの真相

★★★★ 2016年8月8日(月)大阪ステーションシティシネマ5 調査委員会でのケイトの最後っ屁にせよ仕掛け人女房のお門違い罵言にせよ、何ぬかしとんねん的すり替えだが、マスメディア論として全く正しいところが本作の絶妙なバランス感覚なのだ。負け戦を描く…