男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【に】

二・二六事件 脱出

★★★ 2010年1月9日(土) 日劇会館 「二・二六」を背景に描いて事件への客観的視座を確保し得ているところが良い。青年将校は徒にファナティックでもヒロイックでもない。健さん始め後の任侠面子の神妙演技への違和感も三國とのコラボで均衡を保つ。ただサス…

人間失格

★★ 2010年3月2日(火) 梅田ピカデリー1 今の時代に単に堕ちていくことを描くことで何かを呈示できると思ってるのだろうか。それをご丁寧に似非清順歌舞伎めいた桜や花火で縁取るのが尚阿呆らしい。一歩譲っても時代が意味を持つ話。男役者たちの今風所作の…

人間の條件 完結編

★★★ 1985年8月25日(日) 梅田松竹 裂帛の気合が引き続き漲るのだが、それが概ねマイナスベクトルな敗北の終焉へと向かうものだから圧力に打ち負かされた疲弊感が勝ってしまう。極限の状況下では良識など無意味であることを描いた点で幾千もの浅薄な教条主義的…

日曜日が待ち遠しい!

★★★ 1985年9月23日(月) 新世界国際 下手の横好きでも何本か撮ってれば肩の力が抜けて洒脱なムードが醸成される。トリュフォー米ミステリー翻案もの系譜上の新生面とも言えるこぢんまりしたモノクローム小品。しかし、赤川次郎原作の本邦作と違いアルダンが骨…

人間の條件 第三・四部

★★★ 1985年8月25日(日) 梅田松竹 「第1部」も「完結篇」も兎にも角にも上映時間の終盤へ向けて感情ボルテージが高まる配慮が為されているのだが、幕間つなぎ的に小エピソードで繋いでいく本作は矢張り中だるみの一篇と言わざるを得ない。(cinemascape)

二代目はクリスチャン

★★ 1985年9月21日(土) 友楽スカラ座 つか流「任侠」パロディだろうが、嘘八百であるから過剰なまでのエネルギーで牽引し切れないとボロが出てママゴト化する。その辺、同工の『蒲田行進曲』に比べて役者が弱すぎるのだ。我慢を重ねての最後の反撃も王道パタ…

人間の條件 第一・二部

★★★★ 1985年8月24日(土)~25日(日) 梅田松竹 馴れ合えばいいものを組織の中でモラルと正義を貫くということは、裏返せば我を通すということである。それが如何に絶望的に困難な道程であるかを執拗に描き続ける9時間作の初篇で又烈迫の気合いが漲る大陸もの…

ニンジャ・アサシン

★★★ 2011年1月22日(土) トビタシネマ アバンタイトルの掴みは過激に冴えており、その後の展開も抑制があり良い。だが、中盤以降に、お決まりの抜け忍話が透けて見えてきて急速に物語りは求心力を失う。殺陣も集団戦ではスタイリッシュさが失せグダグダ展開…

忍たま乱太郎

★★★ 2011年8月13日(土) 梅田ブルク7シアター7 一応は規範に沿いつつ若干の糞尿ネタで遊ぶ程度の三池調が、中盤の鹿賀の逸脱あたりから新規登場人物の釣瓶打ちが悉くハマって得意の宴会芸祭りの様相…になりそうだったのだが、所詮清史郎君を立てるしかな…

日本の夜と霧

★★★★ 1983年12月11日(日) 伊丹ローズ劇場 反体制闘争を描くに製作も制約を逆手に取った体制打破気分を横溢させるいう前代未聞の戦略。大島の空気を読む山師才能が全開。2世代の闘争の総括が呈示されたとも思えぬが吉沢京夫の空疎なアジテーションは或る意味…

日本春歌考

★★★ 1983年12月17日(日) 伊丹ローズ劇場 春歌は切欠に過ぎず展開されるのは世代間のイデオロギーの相克。討つ側の先鋭であった大島が伊丹に代弁させた討たれる側に立つというジレンマは未解決のままアナーキズムにすり替えられる。建国記念デモという時事的…

やくざ戦争 日本の首領

★★★ 2012年1月21日(土) 日劇会館 朴念仁佐分利と「仁義なき」面々とのジャンクション鶴田の任侠由来の安定感が圧倒的。その古女房市原との微妙なコラボも良く、一方で火野と絵夢が醸す四畳半ムードと似非『ゴッドファーザー』的臆面無さ。壮大な混沌だが所…

NINIFUNI

★★★★ 2012年3月9日(金) シネリーブル梅田1 前半は精緻と言うには遠いし、後半の導入で全てが解ってしまう単線構造ではあるが、にしても、開発を放棄されたかのような幹線沿いと小汚い海辺での荒涼こそが「今」を訴求する。「絆」とか糞甘い言説が持て囃さ…

日本俠客伝 絶縁状

★★★ 2012年3月24日(土) 新世界東映 端境期に設定された風俗のアンビバレンツに興趣を覚えはするが、所詮はシリーズ常道の縮小再生バージョンに過ぎない。見所もないマキノ演出でエッジの効かない渡辺や寛美が醸す敵味方総小物感の中、黒眼鏡の菅原謙二が渋…

にっぽん昆虫記

★★★★★ 1982年5月26日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 膨大な情報量を内包しつつ小細工無しのリアリズムなアプローチで背景が醸し出される巨視感。こういう丁寧な労力でしか本物は産み出されない。あざといとも言える近代史の点描の中を始原的なストップモ…

尼僧ヨアンナ

★★★ 1982年8月13日(金) SABホール 何故に神父は尼僧たちと共に堕ちて行かねばならないのか…その反道徳性・反社会性をストレートに見せるのではなく強烈に難解なスタイルでもって回ったもどかしさがある。更に、そのスタイルにも一貫性がない。(cinemascap…

僞大学生

★★★★★ 1981年2月21日(土) SABホール 加被虐のこういう尖鋭化は時代的に珍しくもないが、泥塗れのジェリーに対してのクールネス若尾と伊丹の配置がエロスと胡散臭さも兼務する重層。息をもつかせぬ脚本のスピードと構成。エッジ効きまくりの村井のモノク…

ニーチェの馬

★★★★ 2013年3月15日(金) 梅田ガーデンシネマ2 凄まじい強度と吸引力を持った画面の連続だし、ワンシーンを2カットで描ききる潔癖さの一方、辺境ロケセットの家屋と井戸の距離の絶妙や過剰なまでの風への拘泥。ただ、こういう終末観は目新しくなく、又3…

2ペンスの希望

★★★★ 1981年1月11日(日) 大阪府中小企業文化会館 美人に追い回されるという男の願望充足と不景気下でも一生懸命頑張っていればいずれ道は開けるというイタリアンな楽天主義が程良いテンポで描かれる。働けど働けど楽にならない時代の妬みや拗ねや諦めとは…

人情紙風船

★★★★★ 1981年5月20日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1982年9月22日(水) 新世界東宝敷島 出口無しの貧乏地獄でも人々は矜持と楽観を手放さない。多くの人物を交錯させつつ、それらを抽出した脚本の妙と中村・河原崎の体現する豊穣なダンディズム。ペシ…

日本の悲劇

★★★ 2013年9月5日(木) 第七藝術劇場 このテーマに対して爺さんの懐旧譚的アプローチしかないんかいと思えてしまう。システムの破綻や生存力の劣化など息子サイドからしか見えないものが抜けてる。後姿ばかりで大芝居を封殺された仲代は好演だが北村は違う…

忍術キートン

★★★★★ 1981年7月4日(土) 毎日文化ホール 時制と空間を支配しようとする強固な意志とそれを為し得る技と力。勃興期の映画の数万哩先に数十年早く到達した奇跡。見たときは捜し物を見つけた気がした。問答無用なテンポの快感に末梢神経の先まで覚醒させられる…

ニューヨーク 一獲千金

★★★ 1981年8月2日(日) トビタOS劇場 製作トニー・ビルが同じであるなら『スティング』の亜流商品なのだろうが、どうにも垢抜けなく泥臭い。奇天烈なギミックが無くても構わないのだが、演出に煌めきがなく演者にも華がなけりゃ仕方ないとも思う。まあ、こ…

二匹の牝犬

★★★★ 2013年11月16日(土) 新世界東映 このゲスな3面記事題材に沢村を筆頭に皆半端ない気合の入りようなのが良い。小川の冷たい熱量に対し田舎臭い魔子も小悪魔への変貌で拮抗する。演出も今村+増村÷2みたいな太さ。斜角の構図がダサくないのは見てくれ…

ニューヨーク1997

★★★★ 1981年10月5日(月) 伊丹グリーン劇場 こういうグッドバッドガイを持ち出し今更と思われることを恐れてはいけなく、決めたら迷ってはいけない。ヘタウマとかパロディとか小賢しい概念とは無縁であるからこそチンケであっても熱い。カート・ラッセル生涯…

日本の熱い日々 謀殺・下山事件

★★★★ 1981年10月8日(木) 伊丹ローズ劇場 所詮は痒いところに届かないものを仲代得意の目力演技でバカ熱く語る虚しさは拭い難いし、証人が次々消されていくのは『日本列島』と同工異曲だ。ただ、随所に忘れ難いイメージが頻出する。米軍ヘリから突き落とされ…

ニード・フォー・スピード

★★★ 2014年7月4日(金) なんばパークスシネマ10 ほんまにCG無しかいなという疑惑が頭をもたげないでもないのだが、中盤のタイムトライアル的大陸横断疾走が否が応でも『バニシング・ポイント』を懐旧させつつ、イモージェン嬢の加速的な魅力増大が色を…

日本の首領 野望篇

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 鶴田退場で均質化された世界は強度を増しつつ政財界を巻き込み拡散する。乗っ取り戦の前段から海外利権を巡る後段へと脇で牽引する藤岡や小池のテンションこそ肝。大騒ぎの後方で沈鬱な松方のどマジメぶりが愛しくも笑…

日日是好日

★★★ 2018年10月21日(日) MOVIXあまがさき9 コンセプトはわかる。 人生に於いて、これといった何事もなく漫然と日々は過ぎて行って何も起こらない。 好きで始めた茶道でないが、他にすることもなくって続けている。 そんな、彼女が人生の中で最大の苦…

西陣心中

★★★ 1980年7月11日(金) 伊丹ローズ劇場 京都の土着的な陰々滅々たる世界に陰々滅々な人々が織り成す共感度ゼロの物語なのだが、楷書の様に完成されたとも言える高林自身の撮影と次々と出ては消える一癖ある役者の連続が一応飽きさせない。配役の妙が閉塞され…