男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【や】

ヤング・アダルト・ニューヨーク

★★★★ 2016年10月22日(土) 新世界国際 まがりなりにも先頭を走ってきたつもりで自負もある。 若い世代を中二病だとか揶揄してみても所詮は似たり寄ったりだったのだ。 ジェネレーションXの突端に位置する者として身が切られる。 なめてかかった若造どもが結…

柳川

★★★★ 2023年10月2日(月) シネヌーヴォX 某映画サイトで去年のベストに挙げてる方がいたので気になっていた。まあ、なんだか個人的な事情・心情が評価に影響してるみたいですけど。映画の評価なんてそんなもんだ。 中国人の兄弟が福岡の柳川に行って何日間…

やまぶき

★★★★ 2023年3月21日(火) シネヌーヴォX 映画は山口県山間部の採石場から始まる。発破をかけ重機で砕いた岩をコンベアに運ぶ淡々とした無機的描写は、少し前に見た「グンダーマン」の巨大採炭場のそれのスケール縮小版みたい。そこで働く何かの事情で日本…

極道血風録 無頼の紋章

★★★ 2000年1月29日(土) ホクテンザ1 保守に抗する反動のアナーキズムという構図を描けていないから表層的にしかならないし、ガチガチの保守肩入れ姿勢が救いようもなく大時代なのだ。大体に的場が決定的にミスキャストな気がする。力ともどもに立ち役の柄じ…

焼け石に水

★★★ 2001年9月20日(木) 扇町ミュージアムスクエア 図太いおっさんが勝ち残ってしまうのが人生ってそんなもんという諦念につながる一篇なのだが3者3様に靡いて蔑ろにされるというM連鎖が感情寄せる部分も無いままヘタレダンスで一体化というキッチュ。結局…

屋根裏の散歩者

★★ 1994年6月26日(日) 高槻セントラル 無駄に前衛しちゃうよりマシかもと思うが実相寺が乱歩を撮ればこうなるという想定イメージ内に安住しており退屈極まりない。徒に小奇麗なのも萎える。この原作はエキス的に純過ぎて世界が完結しているのだ。擬えるだけ…

ヤング・ブラッド

★★ 2002年2月21日(木) 天六ユウラク座 シャン・シェンシェン自身によるというスタントが強烈に浮いている上、旧態たるマスターショットとアップを織り交ぜる編集が黴臭い。ハイアムズは好きな監督だけにちょっと寂しい。ティム・ロスは猿がダブるものの眼力…

やくざ絶唱

★★ 1993年4月10日(土) 日劇シネマ 変態たることを自覚すればこその哀感が、この映画の勝新は狂的な部分のみがクローズアップされ過ぎて、自覚しているのかどうかもおぼつかない始末。辛気臭い話を田村・川津の2大辛気臭俳優が倍加させ唯一太地喜和子がまと…

約束

★★★★ 2002年12月23日(月) 扇町ミュージアムスクエア 恋愛の成立過程がお世辞にも精緻とは言えないが、冬の山陰の薄暗さの中で展開されるド演歌模様がルルーシュばりのカメラとレイばりのムードミュージックにのって展開されるミスマッチに心揺さぶられる俺は…

やくざの墓場 くちなしの花

★★★★ 2003年4月18日(金) 千日会館 ポリシーありそうで実は結構流される主人公がヨレヨレに疲れ切り団地の部屋の万年床にぶっ倒れる遣り切れ無さに激しく涙する。遠くハリー・キャラハンから大門に至る思いが錯綜し堪らん感慨があった。加えて梅宮の煌めく男…

柳生一族の陰謀

★★★ 2003年4月18日(金) 千日会館 普通の芝居をする人達の中で1人大芝居を貫く錦之介に拮抗し得るのはバカ熱い千葉のみで、この父子の相克に収斂するラストは正に傑作。時代劇であろうがナレーションとスチルで相変わらずの『仁義なき』演出を展開する深作節…

山猫は眠らない

★★★ 1993年8月15日(日) 新世界国際劇場 デジタル時代にアナログな映画しか撮れないロッサはいじらしい。語りすぎる時代に語るに不器用なのも好感を持つ。その感性はスナイパーという職業のリアリズムに同期するのであったが自覚が無いので無骨の丸投げとなり…

夜叉

★★★★ 1993年10月31日(日) 日劇会館 脛に傷持つ者達が流れて辿り着いた裏日本。今更のド演歌設定を愚直に衒い無く描く降旗節。ときには恥ずかしく鬱陶しいが、ここではプラスに作用。受けの高倉を蹂躙する田中裕子の強烈なエロスとたけしの紙一重な狂気。敦賀…

柔らかい肌

★★★★★ 2003年10月21日(火) 梅田ガーデンシネマ2 ただでさえ終始何かに追われてるかのような主人公の切迫感が不倫によって倍加される過程をこれ以上無いまでの緻密さで描いた映画の教科書。しかも、中間小説に突然割って入ったかの如きアメリカンハードボイ…

柔らかい殻

★★ 1992年3月28日(土) シネマヴェリテ アメリカの片田舎の黄金色の麦畑と猟奇的な子供殺しや、あくまで明晰な陽光と悪魔儀式めいた室内描写等、解像度の良すぎるフィルムの中の2項対立が全く心に沁みて来ず、これ見よがしにしか思えないのは、アイデア先行…

893愚連隊

★★ 1992年6月28日(日) トビタ東映 義理や人情と決別する実録路線開花前夜のモラトリアムチンピラものだが、所詮モラトリアムな半端もんなので全然面白くない。新旧ヤクザの世代ギャップの背景に戦争体験を充当するのも当たり前すぎて今いち。ゲリラ手法のア…

約三十の嘘

★★★ 2005年1月18日(火) テアトル梅田1 揃いも揃った大の大人が中学生みたいな好いた惚れたをようもまあマジな顔してやっとるわと萎える気もあるが余りに馬鹿丁寧に撮られてるのでクサすのも気の毒に思える。北上し南下するという旅の情緒感の欠如と場違いな…

闇の狩人

★★ 1992年11月21日(土) 日劇会館 大芝居を演じる仲代にリアリズムの原田芳雄が全く噛み合わない。『柳生一族』位なら洒落で笑えても、こうまでチグハグで、おまけに話が情に流れるので救いようがない。その他諸々オールスターズも素晴らしくゴッタ煮である。…

危いことなら銭になる

★★★ 2007年7月7日(土) 日劇会館 安藤の色彩設計に姫田の撮影というビジュアル面は過不足あろう筈なく中平演出もポイントを押さえるケレンがあるが、バディムービーを志向したと思しき人物配置はルリ子を除いて役不足。土台脚本がショボすぎるのだ。(cinema…

やわらかい手

★★★★ 2008年1月19日(土) 梅田ガーデンシネマ2 孫の為という日常思考から出発し、やがては安寧な飼い慣らされた日常から飛翔する婆さん。些か嘘っぽい話に真実味を付与するキャスティング。フェイスフルも絶対条件だったろうがマイノロヴィッチこそ俺の理…

ヤッターマン

★★★ 2009年3月29日(日) 梅田ピカデリー1 原漫画のトレースとして高度な達成だとは思うが三池ならこんな程度で終わって欲しくなかった。役者のコラボが2対3の限定領域に終始し拡散を旨とする美点は不発。所詮はCG依存のモドキ映画に堕した。尚、俺は深…

野獣刑事

★★ 1990年10月27日(土) トビタ東映 物語のベクトルが拡散しまくり、何に加担して物語を追えばいいのか判然としない。そういう中でムーディに自己模倣を繰り返す工藤演出が完全にルーティーン化し浮き上がって食傷の極みである。いい題材だけに、もう少し本篇…

ヤングガン

★★ 1989年1月16日(月) 長崎東映パラス 例えばジャニーズ主演の年末TV時代劇のように薄っぺらい。やさぐれ者たちの退廃や仄かな希望や同士の連帯や矜持等が見たくとも悲しいまでに学芸会じみている。埃っぽさのないお綺麗な西部で繰り広げられるお子さま向…

山の焚火

★★★ 1988年4月10日(日) 吹田映劇 何も起こらないのではなく起こってしまう点が純度を低める。閉じた世界が開かれるかに見えた矢先の終焉では物語の序章のみを取り上げ希釈した印象。どうカメラを置いてもそれなりに撮れてしまう景観世界なのだが、にしては余…

ひばり・チエミの 弥次㐂多道中

★★★ 2010年1月9日(土) 日劇会館 昔は凄かったと言うのも今更だが、それでも思わせられるひばり・チエミのタレント。特に近眼演技のひばりに萌える。そして、被写体との距離を意識し尽くした沢島のショット使いの的確さ。ただ、物語はグダグダで後半はさす…

鑓の権三

★★ 1986年2月8日(土) 観光会館地下劇場 半端な道行きが何時しか真実のパッションを発露させるにはひろみが軽すぎて志麻は重すぎる。釣り合わない2人は結果全く嘘臭い。しかも、本物志向のロケーションも創意のフィルターを通さぬでは絵葉書と同レベルに堕す…

闇の列車、光の旅

★★★★ 2010年8月13日(金) シネリーブル梅田1 ブニュエル作品から半世紀。メキシコの変わらぬ閉塞。どう考えたって希望への道程とも思えぬ列車の旅だが、少女が少年とシンクロした瞬間に命運の歯車が動いたのか。多くの屍を乗り越え行き着いた場所に希望が…

行きずりの街

★★★★ 2010年11月20日(土) 梅田ブルク7シアター4 人生街道から堕ちたと思い込んでるダメ男の復活譚なのだが、通り一遍ではなくダメなままで煮え切らない丸山節。それが最高に昇華する中盤の女のマンションでの2人芝居には泣けた。凡庸な本筋サイドは窪塚…

ヤクザと家族 The Family

★★★ 2019年1月29日(金) TOHOシネマズ梅田9 時代の変遷の中で朽ちていくヤクザ組織の挽歌ってことなのだが、その朽ちて行くってことの中に古き良きものが潰える美学みたいな常套のテーマは差し込むことはできない。 だって「反社」なんだもん、ってわ…

山猫

★★★★★ 1983年1月17日(月) 戎橋劇場 階級闘争の必然を頭で理解しつつ、しかし心は没落の鎮魂歌に拠っている。ヴィスコンティの立ち位置の余りに明晰な映画構造とのシンクロ。全ての思いの混濁を飲み込み圧縮破壊する40分の舞踏会の熱暑と重厚。その男の意地…