男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【の】

ノストラダムスの大予言

★★ 1974年8月25日(日) 伊丹ローズ劇場 『ゴジ・ヘド』から『日本沈没』を経由して至った70年代を覆う終末観を描いた掉尾作で、ゲテ趣向満載のオモロキモさは認めるが、「大予言」を物語的に再構築した訳でもないオリジナルエピソード羅列の促成作法で、丹…

ノクターン

★★★ 2023年7月7日(金) シネリーブル梅田3 深夜、部屋に閉じこもってるらしき女性が、姉に電話してどっかに旅行行くとか行かないとか話している。まあ、それだけの映画で8分間の短篇です。解説を読むと光過敏症なんだそう。 ラース・フォン・トリアーが長…

ノック 終末の訪問者

★★★ 2023年4月19日(水) TOHOシネマズ梅田4 世界の終焉を静かな郊外でモニター越しに見る。やがてその変異は彼らの元へもやってくるだろう。 このモチーフは「サイン」と同工異曲50歩100歩で、シャマランこの手の題材好きやねんなというか、ネタ…

ノースマン 導かれし復讐者

★★ 2023年1月26日(木) 大阪ステーションシティシネマ7 父王を殺され母妃を攫われた子王子が復讐のために生き延び苦難辛苦を乗り越えて。っていう極めて真っ当な伝奇ロマンであったはずなんですが。 「ライトハウス」のロバート・エガースやから、そんな単…

のど自慢

★★★ 1999年3月22日(月) シネマアルゴ梅田 コクあるヘヴィな映像も新旧織り交ぜたキャスティングの妙も優等生的な達成度で予定調和の罠にはまっている。井筒に求めたいのは「もっと破壊を!」…って言ったって無理か…安直にマスメディアに露出し出した映画監督…

NOBODY

★★★★ 1994年7月10日(日) 天六ユウラク座 現代的病理を描くにあたり、余りにシンプルな構成が強度を付与している。心地良いまでに抑制された演技と描写。一方で活劇的オリジナリティもある。日常と非日常の境目は些細な切っ掛けで決壊する。そういう怖さをモ…

のんき大將・脱線の巻

★★★ 1994年8月6日(土) 京都朝日シネマ1 後に無機的に先鋭化されていくタチ映画も起源は仏式ボードヴィル色濃いベタな風物詩であった。キートン的な資質がチャップリン的世界に投入される居心地悪さもあるが、それ以上にオッサンの芸の無さが不快でもある。…

ファイナル・レジェンド 呪われたソロモン

★★ 2002年6月14日(金)~15日(土) 天六ユウラク座 体技の出来るスターのアクションなのにコマ切れ編集されると台無しになる。監督としては自分の力量を誇示したいところなのだろうが、グッと我慢の子で見せきる度量がないならやめた方がいい。(cinemascape) k…

ノー・マンズ・ランド

★★★★ 2003年2月25日(火) リサイタルホール 密閉空間での心理戦から後半、国連軍とTV局を加えて加速的にパノラミックに展開していく様に映画的ダイナミズムを感じたが、この女性レポーターと仏人軍曹の心情描写が前半を牽引する2人と拮抗し切れてない。滅…

ノスタルジア

★★ 1993年12月4日(土) ACTシネマテーク ロシア的感性とイタリア風土の相性が、どうにも合わない感が拭えないうえ、ランチの映像は平板。一方で変わり映えしないタルコフスキー印の羅列に辟易する。世界のシステムなぞ大風呂敷を広げた挙げ句に故国へのノ…

パガニーニ・ホラー 呪いの旋律

★ 1991年3月21日(木) 新世界国際劇場 ホラーとあらばとにかく見ずにはおれないというマニアッック層以外には未来永劫用無し間違いない恐るべき退屈映画。ヒロイン以外が次々殺されるプロットはあれど趣向は無い。大体ロックとクラシックが何故に同じ地平で当…

呪いの迷宮 ラビリンス・イン・ザ・ダーク

★ 1991年4月7日(日) トビタシネマ どうせつまらんだろうと覚悟しイヤイヤ見ていても、実際につまらんかったら納得するどころか人生を呪いたくなる。駄目ホラーでも全て見ずにはおれないコアなホラーフリーク以外は決して見ないほうが吉。まあ、これ程見せ場…

ノーカントリー

★★★★★ 2008年3月22日(土) TOHOシネマズ梅田10 全てが腑に落ちたお爺ちゃんの時代は去りベトナム世代も時代から置かれていく。独自の論理と倫理が跋扈する時代に老兵は夢の残骸を語るしかない。コーエンピークの緊迫のミニマリズムにオープンな西部風…

のんちゃんのり弁

★★★★ 2009年10月8日(木) シネリーブル梅田1 断面解説が可愛いシャレに成り得ている。…と思えるのは主人公を語るに一切の予断がないからだ。緒方は小巻を信じてるし小西にも若干の過剰があっても衒いは無い。不安と希望が綯い交ぜの泣かない女の大泣きが自…

脳内ニューヨーク

★★★ 2009年12月2日(水) テアトル梅田2 ハイソな自分語りの担い手としてフェリーニ、アレンの系譜上にカウフマンをおくことに微塵の躊躇もないとしても、余りな単線構造と女性への崇拝ではなく依存の好まざる表出。可愛げもあるが鬱陶しくもある露悪趣味。…

ノー・マーシイ 非情の愛

★★★★ 1987年5月7日(日) 友楽会館大劇場 雪のシカゴの寂寥感が切なく、ニューオリンズに舞台が移って陽転するかと思えば尚切なくなる。アメリカ映画でこのキャスティングでこれだけの暗い情感を出した映画も珍しい。見え見えを本物に転化する役者力。主演2人…

ノマドランド

★★★★★ 2021年3月30日(火) TOHOシネマズ梅田7 冒頭で企業城下町の疲弊が語られ、その後アマゾンでの短期雇用がでてくるので、ああケン・ローチ的に分断・格差の問題にリアル側面から言及する映画なのかと思いましたが違ってました。 自分たちはホーム…

ノンストップ

★★★ 2021年2月21日(日) MOVIXあまがさき1 ふっふっふっ…今はしがない一介のオヤジとして暮らしているが、俺の知られざる過去は、かつて傭兵として戦ったアフガニスタンで東洋のキメラと恐れられた男だったんだぜ、凡人どもめ、ふっふっふっ。 とまあ…

ノルウェイの森

★★★★★ 2010年12月11日(土) TOHOシネマズ梅田3 内省的な高踏さで繕われたエロ文学としての在り様に忠実であるし、出来不出来はあるが表現に確信的な強度が持続されている。モラトリアムな諦観とモラリスティックな信義則の奇妙な同居。情緒的でない6…

逃がれの街

★★★ 1983年10月26日(水) 伊丹グリーン劇場 平素な日常も板子一枚下は地獄という話は魅力的。警察の職務に徹したプロ意識もやくざの徹底した非情さも申し分ない。ただ、脚本が不出来で転調する前後半のジャンクションが欠落してるので印象が散漫。(cinemascap…

の・ようなもの

★★★ 1983年6月29日(木) 毎日ホール 台詞の独特の新味と伊藤のヘタヘタが相乗する以外これといってどうってことないのだが安易とも思えるラストでは泣かされるのも確か。終電を逃し夜通し歩いての道中づけは行き場なきモラトリアムの悶々の表出で秀れて擬似体…

脳天パラダイス

★★★★ 2020年11月28日(土) シネリーブル梅田4 通常、この手のテーマでありそうな家族の再生とかには端から興味がないのだろう。ここでそれは、解体された後、組み替えられた異なる様態での再構築の気配を見せる。が、それもどこまで本気かわかりません。 …

野のユリ

★★★★ 1982年6月17日(木) 毎日文化ホール 性悪話を得意とするジェームズ・ポーが、青年のエゴイズムを適宜微妙に織り込むことによって、歯の浮くような性善話から巧みに逃れている。又、敢えてのモノクロ画面が端正で品があるのも良い。ただ、余りにこぢんま…

野火

★★★ 1982年5月26日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 「神」を切ったのは一見英断に見えるが、ならば新たな何かを付与するか残されたもの透徹させるしかない。考え得るのがカニバリズムだが表層的である。どんなジャンルも料理して見せるという夫婦茶碗の奢…

のぼる小寺さん

★★★★★ 2020年7月10日(金) 梅田ブルク7シアター5 不思議ちゃんキャラの同級生の女の子に惹かれるってのが、昨年の「殺さない彼と死なない彼女」みたいな滑り出しなのだが、あれが2人だけの世界に耽溺していくのに対し、今作は複数人に余波がもたらされる…

野いちご

★★★★ 2013年8月11日(土) 梅田ガーデンシネマ2 冒頭の「夢」こそ独表現主義的にエッジが効いてるが、物語が転がり始めても終ぞ大したことが起こらない。人当たり悪く妻が浮気した如き命題で大上段に構えすぎ、『第七の封印』同様若者が対置されるが如何せ…

野菊の墓

★★★ 1981年8月12日(水) トーエイ伊丹 聖子の溌剌と紙一重の精一杯さが木訥とも感じられ、桑原の下手っぴさも田舎少年の純朴さを醸し出す。ど素人の2人のテンションを一応見れるものにした澤井の端正な演出をこそ評価するべきだろう。格調に欠けるのも仕方な…

野良犬

★★ 1981年10月17日(土) 新世界東宝敷島 情念と言うには淡泊でハードボイルドと言うには骨子が無い。技法に対する確固たる信念もあやふやで完璧に風化しており、とりわけ球場に於けるモンタージュに至っては三流でしかない。現在に於けるこの映画の価値は俺に…

典子は、今

★★★★ 1981年12月2日(水) 伊丹グリーン劇場 微妙な題材だが、松山善三には裏表は無いようだ。全体を覆うさわやかさは偽善を感じさせず素直に希望だけを謳う。フィクションを織り交ぜた作劇にも救われた。当然あったしあるであろう辛苦は所詮当事者にしか分か…

野のなななのか

★★★ 2014年5月17日(土) 梅田ブルク7シアター4 冥界と現身の或いは過去と現在の更にはフィクションとノンフィクションの境界をクロスオーバーする崑流リアクション編集過多の大林版『田園に死す』乃至は『エロス+虐殺』だが、如何せんデジタルが易さとし…