男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【と】

★★★★★ 1986年2月22日(土) 梅田東映ホール ボデガ湾の余りに美しい佇まいと、そこに創り出された架空の街の小学校や漁港や農家や街のパブ等々がパノラミックでジオラマのようだ。又、パブのシーンとラストの終末感はヒッチの意外な抽斗に驚く。私的には『サイ…

友だちの恋人

★★★★★ 2010年3月26日(土) 梅田ガーデンシネマ1 饒舌なダイアローグと絶妙な省略が繰り返され、「行く来る」というさり気ない無言の人々の歩行アクションが簡潔に来るべきプロットを喚起し、その繰り返しのもたらす快楽のリズムに身を委ねる。泣き笑いの至…

奴隷船

★★★ 2010年3月6日(土) 天六ユウラク座 白川和子→谷ナオミ→五月みどりと連鎖する極私的リスペクト熟女系譜にハスキーボイスの愛染恭子も今更加えようと思った。小沼的しんねりむっつりな流れを三枝実央の淫乱が中和する妙味。古典芸能化した鞭と蝋燭のSM…

Dr.パルナサスの鏡

★★★★ 2010年4月13日(火) ホクテンザ2 21世紀の現代ロンドンの片隅に19世紀仕様の見せ物小屋を現出させての黒か白か解らん魔術のいかがわしき胡散臭さが全てで、故ヒースの役回りは正直わけわからないし、わからんから4人1役も違和感無い。で何とな…

トッツィー

★★★ 1985年7月6日(土) 新世界国際 ホフマン女装による中年女性が魅力的とは全然思えないので、高邁なる女権論をぶっても全く空虚で面白くも何ともない。一方で、ジェンダー越境の男女往来コメディもアイデンティティの崩壊まで突き進むわけでもなく温い。た…

エクリプス トワイライト・サーガ

★★★★ 2010年11月6日(土) 梅田ブルク7シアター6 私の為に「喧嘩しないで」から「戦争しないで」へと膨張する乙女チックお姫様願望の全き衒いなさが清清しい。イジイジな三角関係の一方で宿敵ヴィクトリアはあっさり退場という展開の緩急の妙。加えてダコ…

トワイライトゾーン 超次元の体験

★★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー ランディス篇がTV版の緩くも真っ当な再生だとしてもスピルバーグとダンテは勘違いとしか思えない。そんなガキ魂を一気にブッ飛ばすジョージ・ミラーの凝縮された暗黒の焔が圧倒的。端から結まで振り切れまくりでシリー…

どん底作家の人生に幸あれ!

★★★★ 2021年1月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ11 子どもの頃にテレビの洋画劇場で「トム・ジョーンズの華麗な冒険」っていう映画を見て、すごく好きだった覚えがあります。フリーシネマの世知辛い映画ばかり撮っていたトニー・リチャードソンが…

トゥルー・グリット

★★★★ 2011年4月9日(土) TOHOシネマズ梅田10 対話による交渉を主なモチーフとした前半は微妙な間も活き、俯瞰のロングで処理される待ち伏せの静謐の妙も冴える。しかし、プロットを支配したニヒリズムは後段では失われ規定の安寧なモラリズムへと収束…

ドミノ 復讐の咆哮

★★★ 2021年1月14日(木) 新世界国際劇場 「パッション」以来6年ぶりのデ・パルマ作品ということなんだが、4つ巴の話の軸が定まらないまま流されていく感じだ。 相棒を殺された刑事、父をイスラム過激派に殺された元特殊部隊の男、イスラム過激派、CIA…

東京公園

★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター4 精神的インポテンツな狂言回しが、世界から弧絶したかのような訳知り顔女や風景と等価程度にしか存在価値の無い女と、これ又信じがたいが何一つ精神的相克無しですれ違う。青山と言うよりその背後の似非教条…

ドイツ・青ざめた母

★★ 1983年5月23日(日) 梅田ロキシー 男不在の戦禍の時代が女性を自立させるという前向きコンセプトでもない。救いようの無い展開が振り切れるわけでもなく、毒や諧謔もフォトジェニーな見てくれやシュールな意匠といった映画的機微もない。フェミニズム思想…

東風

★ 1983年7月3日(日) 吹田映劇 映画文法の解体から発したゴダールの破壊願望は奇跡的均衡を保ちつつ『ウィークエンド』で結晶化し、東風に晒されて更なる越境を志向する。ならば、地平の彼方に旅立てばいいものを戻って来ちまうだらしなさ…そこは好きだが映画…

東京物語

★★★★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 戦後小津フィルモグラフィ中、物語へ準拠が形式への拘泥と拮抗し、感情吐露が諦念と併置された点で『東京暮色』と双璧。スタティックな構図と華麗なカッティングのリズムの錯綜。そして、熱海での眠れぬ夜を海辺で過ごす…

隣の女

★★★ 1983年9月5日(日) ビック映劇 焼け木杭に火がついたあと主体がシーソーのように入れ替わる作劇のドラマトゥルギーは十全だが、何せアルダンもドパルデューも茫洋として切れがなく、近所のおっさんおばはんの逢瀬みたいでどうでもいい感が拭えず入れ込め…

時をかける少女

★★★ 1983年9月27日(火) 三宮東映プラザ 『ねらわれた学園』でのオプティカルの極北と反動とも言える『転校生』での情緒的な思春期描写への傾倒を経て両者をバランス良く融和させ得た。この世界の中で完成されてるんだとは思うが大して驚きもない時空ネタ。一…

とんかつDJアゲ太郎

★★★ 2020年10月31日(土) 梅田ブルク7シアター4 原作知らないし、DJになんの興味もない。クラブなんてのも行ったこともない。その昔、ディスコと呼ばれてたころは行ってましたが。敢えて言うならトンカツは好き。 そんなおいらが、度重なる関係者の不祥…

ドライヴ

★★★★★ 2012年4月7日(土) 梅田ブルク7シアター4 性急に解を求めるでもなくたゆたうように交わされる視線の濡れた情感。香港ノワール由来の情に流され浸りきる風情が良い。それが、「やる時はやる」の徹底したサディズムに急転するとき物語の帰結は自ずと…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2

★★★★ 2013年1月6日(日) MOVIXあまがさき2 転生したベラの歓喜の世界変容を精緻に描く発端からして確信的で、俗世の煩悩から解き放たれしバンパイア人生ハレルヤなのであり、これまでのあれこれは最早どうでもいい。いてもうたれバトルの華やぎのウッ…

東京流れ者

★★ 1982年6月22日(火) 関西学院大学学生会館大ホール 体裁だけの物語が浅薄であることは仕方ないとは言え、どこか僅かでも肩入れする思いが作り手に無けりゃ観る者は道化みたいなもんだ。キッチュな装置と設定は仄かに泥臭く弾けそこねており、結局はダラな…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1

★★★★ 2012年2月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 全体の半分をひたすら男と女が乳繰り合うだけに費やすという豪奢な作りに、古来より映画が委ねられた本来の時間律を想う。そして、半ばよりの怒涛のような釣瓶打ち展開のダイナミズムと最高潮での…

どですかでん

★★★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 黒澤描く夢は陳腐で幼児的なので本作の例えば浮浪者のイメージ等は見ていて恥ずかしいが、圧倒的な巨大映画の構想に挫折した後、反動で自分の色に染まらない役者を動員した枯れ具合と地面にまで色を塗った色彩美術へ…

トロール・ハンター

★★★ 2012年12月11日(火) 新世界国際劇場 最早、食傷気味なフェイク・ドキュではあるが、北欧の底冷えするかの如き山間部の景観のリアリズムが皮膚感覚的に秀逸。トロールは初出の末路こそ新味であったが、慣れると伝承と新解釈の間の針の置き方が半端だ。…

東京家族

★★★★★ 2013年1月20日(日) MOVIXあまがさき6 オリジナルをなぞる冒頭5分の柄じゃないいかがわしさに或る種の覚悟を感じた。半端な3・11への言及や主役の交代をカバーし得る最高ランクの演技のコラボが醸し出す高度な擬似リアリズム。山田以外には…

テリー・ギリアムのドン・キホーテ

★★★ 2020年1月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 実現しなかった幻の企画ってのは得てして実現しなくって良かったってのが相場であって、しかも30年の時を経て、作り手がヨイヨイになって実現しました…なーんて愈々怪しいのであります。 「ロスト…

トータル・リコール

★★★ 2013年5月13日(月) 新世界国際劇場 取り憑かれたように画面内に情報を氾濫させ、緩みを恐れ性急な展開に汲汲とし余裕も無い。マーケット論理の奴隷と堕したとまでは言わぬとも御苦労さんなこったと思う。民衆不在のレジスタンス映画ってのも精神を見誤…

ドラゴン・タトゥーの女

★★★ 2013年6月8日(土) トビタシネマ 請負仕事を無難にこなしているが、抽斗の範囲に留まり新たな何かを模索した形跡は感じない。事件を追う主人公と無関係なリスベットの描写が並立する前半に穴があるのだから、どうせなら、もっと解体再構築するべき。彼…

泥の河

★★★★★ 1981年6月17日(水) 梅田東映ホール 高度成長期の端緒は人々が未だ哀しみを噛み殺していた時代でもあったという述懐で、少年は幾度もの喪失を乗り越えやがてモーレツ時代の洗礼を受ける。出会いに始まり別れで終わる泥河べりの物語は慈しみに充ちた作り…

虎の尾を踏む男達

★★ 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 勧進帳も馴染みがないのだが、にしても付加された強力エノケンも半端で伝次郎・藤田の立ち芝居を反転・撹乱するほどの役回りでもない。道化に対する黒澤の形骸的な理解は後の『乱』で露呈される。技巧の絢爛を差し込む…

都会の叫び

★★★★ 2019年10月20日(日) プラネットスタジオプラス1 警官殺しで自分も重傷を負ったリチャード・コンテを病院にヴィクター・マチュアの警官が訪れるシーンから始まるのだが、もうひとつの老婆強盗殺人事件の嫌疑を彼にかけていて、というけっこう複雑なプ…