男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【と】

東京上空いらっしゃいませ

★★★ 1990年8月5日(日) みなみ会館 伝統的アメリカンコメディを踏襲するシナリオに対し相米流の少女の生理を搾り取るが如きネバネバ演出が思いの外影を潜めたのが成熟を思わせたが、職人に徹してペーソスを抽出するには至ってない。一方でカメラも演者も1級…

どん底

★★★★ 1990年10月13日(土) 日劇シネマ 精緻を凝らしたセットに幾人ものプロ役者と素人をぎゅうぎゅうに詰め込み圧力釜で調理した料理のような息苦しさだが、各シークェンスのライブ感は黒澤のマルチカメラ使用が最も成功した映画に思える。煮詰り沸騰する人間…

となりのトトロ

★★★★★ 1990年12月30日(日) みなみ会館 夜中に窓外の気配に怖々目を凝らしたとき、又夕闇の雨のバス停で気配に振り向いたとき、そこに居るという静謐の間合いから、大空中の飛翔や猫バスの疾走に繋がる緩急。そして、俺は大きくフワフワのモノに包まれ羊水の…

トランスフォーマー リベンジ

★★★ 2009年7月17日(金) なんばパークスシネマ2 ロボット戦争の低脳ぶりの更に上を行く白痴的人間ドラマが素晴らしくチャーミングだし、終盤の「顔無し」モドキの世界遺産蹂躙を筆頭にベイの無痛感覚は爽快でもある。だが、どうしようもないキナ臭さが無条…

扉をたたく人

★★★★★ 2009年8月8日(土) シネリーブル梅田2 太鼓という珍奇ではあるが現代的で尚且つ初源的なアプローチに惹かれるうち、日常では看過される階層社会が横断的に綴られ、諍いの民族史観は融解する。そのナウな構造。自己再生とか言うヤワな戯れ言は怒りの…

トワイライト 初恋

★★★★ 2009年8月23日(土) 新世界国際劇場 少女の飽くなき「白馬の王子」願望に完璧に準拠し世界観を全うしている。俺は少女ではないが解る気がする。設定に拘泥しグルーミーな曇天狙いが貫徹されてるのも好感を持った。世界に背を向けても、あなとなら行け…

ドゥームズデイ

★★★ 2009年9月26日(土) なんばパークスシネマ1 『バイオハザード』な導入に『ニューヨーク1997』な序盤。ここまでは許せるが、この監督はアクション演出がもっさりし過ぎでカタルシスに至らない。都市から郊外へ展開した物語は中世風味の更なる停滞の…

童謡物語

★★ 1988年9月18日(日) 新世界劇場2 蜂業者の話が『童謡物語』と題されるあたりにジャンルを見透かすような製作の本意が見えて萎える。映画は生真面目に生真面目な物語を語っているが、さらりとしすぎて教育TVのドラマみたいで面白くも何ともない。炎天下…

突然炎のごとく

★★ 1987年2月2日(月) サンケイホール 偏執的物語を見ることは嫌いじゃないのだが、ミーイズム女とマゾヒスト男達が繰り広げる恋愛編年記に対してトリュフォーの視線は冷めておらず寧ろ自己陶酔しており、技法はそこに絶対的奉仕を強いられている。これでは遣…

ニュームーン トワイライト・サーガ

★★★★★ 2009年12月22日 梅田ピカデリー2 ただひたすらに彼氏のことが好きで、会えなくなった日にゃあ飯も喉通らない…という乙女心のみを描くことを徹頭徹尾貫き類い希なる強度に達している。男2人に割って入り「私の為に戦わないで!」か…。大向こうから掛…

★★★★★ 1986年2月22日(土) 梅田東映ホール ボデガ湾の余りに美しい佇まいと、そこに創り出された架空の街の小学校や漁港や農家や街のパブ等々がパノラミックでジオラマのようだ。又、パブのシーンとラストの終末感はヒッチの意外な抽斗に驚く。私的には『サイ…

友だちの恋人

★★★★★ 2010年3月26日(土) 梅田ガーデンシネマ1 饒舌なダイアローグと絶妙な省略が繰り返され、「行く来る」というさり気ない無言の人々の歩行アクションが簡潔に来るべきプロットを喚起し、その繰り返しのもたらす快楽のリズムに身を委ねる。泣き笑いの至…

奴隷船

★★★ 2010年3月6日(土) 天六ユウラク座 白川和子→谷ナオミ→五月みどりと連鎖する極私的リスペクト熟女系譜にハスキーボイスの愛染恭子も今更加えようと思った。小沼的しんねりむっつりな流れを三枝実央の淫乱が中和する妙味。古典芸能化した鞭と蝋燭のSM…

Dr.パルナサスの鏡

★★★★ 2010年4月13日(火) ホクテンザ2 21世紀の現代ロンドンの片隅に19世紀仕様の見せ物小屋を現出させての黒か白か解らん魔術のいかがわしき胡散臭さが全てで、故ヒースの役回りは正直わけわからないし、わからんから4人1役も違和感無い。で何とな…

トッツィー

★★★ 1985年7月6日(土) 新世界国際 ホフマン女装による中年女性が魅力的とは全然思えないので、高邁なる女権論をぶっても全く空虚で面白くも何ともない。一方で、ジェンダー越境の男女往来コメディもアイデンティティの崩壊まで突き進むわけでもなく温い。た…

エクリプス トワイライト・サーガ

★★★★ 2010年11月6日(土) 梅田ブルク7シアター6 私の為に「喧嘩しないで」から「戦争しないで」へと膨張する乙女チックお姫様願望の全き衒いなさが清清しい。イジイジな三角関係の一方で宿敵ヴィクトリアはあっさり退場という展開の緩急の妙。加えてダコ…

トワイライトゾーン 超次元の体験

★★★ 1984年7月31日(火) コマシルバー ランディス篇がTV版の緩くも真っ当な再生だとしてもスピルバーグとダンテは勘違いとしか思えない。そんなガキ魂を一気にブッ飛ばすジョージ・ミラーの凝縮された暗黒の焔が圧倒的。端から結まで振り切れまくりでシリー…

どん底作家の人生に幸あれ!

★★★★ 2021年1月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ11 子どもの頃にテレビの洋画劇場で「トム・ジョーンズの華麗な冒険」っていう映画を見て、すごく好きだった覚えがあります。フリーシネマの世知辛い映画ばかり撮っていたトニー・リチャードソンが…

トゥルー・グリット

★★★★ 2011年4月9日(土) TOHOシネマズ梅田10 対話による交渉を主なモチーフとした前半は微妙な間も活き、俯瞰のロングで処理される待ち伏せの静謐の妙も冴える。しかし、プロットを支配したニヒリズムは後段では失われ規定の安寧なモラリズムへと収束…

ドミノ 復讐の咆哮

★★★ 2021年1月14日(木) 新世界国際劇場 「パッション」以来6年ぶりのデ・パルマ作品ということなんだが、4つ巴の話の軸が定まらないまま流されていく感じだ。 相棒を殺された刑事、父をイスラム過激派に殺された元特殊部隊の男、イスラム過激派、CIA…

東京公園

★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター4 精神的インポテンツな狂言回しが、世界から弧絶したかのような訳知り顔女や風景と等価程度にしか存在価値の無い女と、これ又信じがたいが何一つ精神的相克無しですれ違う。青山と言うよりその背後の似非教条…

ドイツ・青ざめた母

★★ 1983年5月23日(日) 梅田ロキシー 男不在の戦禍の時代が女性を自立させるという前向きコンセプトでもない。救いようの無い展開が振り切れるわけでもなく、毒や諧謔もフォトジェニーな見てくれやシュールな意匠といった映画的機微もない。フェミニズム思想…

東風

★ 1983年7月3日(日) 吹田映劇 映画文法の解体から発したゴダールの破壊願望は奇跡的均衡を保ちつつ『ウィークエンド』で結晶化し、東風に晒されて更なる越境を志向する。ならば、地平の彼方に旅立てばいいものを戻って来ちまうだらしなさ…そこは好きだが映画…

東京物語

★★★★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 戦後小津フィルモグラフィ中、物語へ準拠が形式への拘泥と拮抗し、感情吐露が諦念と併置された点で『東京暮色』と双璧。スタティックな構図と華麗なカッティングのリズムの錯綜。そして、熱海での眠れぬ夜を海辺で過ごす…

隣の女

★★★ 1983年9月5日(日) ビック映劇 焼け木杭に火がついたあと主体がシーソーのように入れ替わる作劇のドラマトゥルギーは十全だが、何せアルダンもドパルデューも茫洋として切れがなく、近所のおっさんおばはんの逢瀬みたいでどうでもいい感が拭えず入れ込め…

時をかける少女

★★★ 1983年9月27日(火) 三宮東映プラザ 『ねらわれた学園』でのオプティカルの極北と反動とも言える『転校生』での情緒的な思春期描写への傾倒を経て両者をバランス良く融和させ得た。この世界の中で完成されてるんだとは思うが大して驚きもない時空ネタ。一…

とんかつDJアゲ太郎

★★★ 2020年10月31日(土) 梅田ブルク7シアター4 原作知らないし、DJになんの興味もない。クラブなんてのも行ったこともない。その昔、ディスコと呼ばれてたころは行ってましたが。敢えて言うならトンカツは好き。 そんなおいらが、度重なる関係者の不祥…

ドライヴ

★★★★★ 2012年4月7日(土) 梅田ブルク7シアター4 性急に解を求めるでもなくたゆたうように交わされる視線の濡れた情感。香港ノワール由来の情に流され浸りきる風情が良い。それが、「やる時はやる」の徹底したサディズムに急転するとき物語の帰結は自ずと…

トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2

★★★★ 2013年1月6日(日) MOVIXあまがさき2 転生したベラの歓喜の世界変容を精緻に描く発端からして確信的で、俗世の煩悩から解き放たれしバンパイア人生ハレルヤなのであり、これまでのあれこれは最早どうでもいい。いてもうたれバトルの華やぎのウッ…

東京流れ者

★★ 1982年6月22日(火) 関西学院大学学生会館大ホール 体裁だけの物語が浅薄であることは仕方ないとは言え、どこか僅かでも肩入れする思いが作り手に無けりゃ観る者は道化みたいなもんだ。キッチュな装置と設定は仄かに泥臭く弾けそこねており、結局はダラな…