★★★ 2023年1月15日(日) MOVIXあまがさき5
TVシリーズは全く見たことないし、原作漫画も読んだことない。なんで見に行ったかと言うとカミさんが見たいと言ったからだ。ドラマを見てたらしい。
そんなんで登場人物たちへの馴染みもないから、最終放送から16年の間をおいた本作への感慨は何にもございません。でも、置き去りにされる感はなかった。充分に理解できたと思います。
【以下ネタバレです】
完結篇なんだそうで、なるほど終盤の展開の、これでもかと畳み掛けるコトーへの試練と災厄はサディスティックなまでの物量で、マゾヒスティックに耐え続けるコトーに臨界を越えさせ遂には神の領域に近づける。
俺の頭の中で真っ白になって朽ちた力石徹の残像がコトーに被さる。不覚にも込み上げるものがありました。
人は今際の際に、一生の楽しかった思い出が走馬灯のように頭を過ぎると言う。しかし、本作では、万事が上手くいって幸福感に包まれた到来してほしかった未来絵図が描かれる。切ないまでの余韻であった。
僻地医療の問題を提起しようとしている。コトーのようなスーパードクター個人の奮闘ではなくシステムを構築しないと問題は解消できない。役場の大森南朋が持ってくる提案は正しいのだがコトーは首を縦に振らない。木を見て森を見ずの野郎とも言えるが、吉岡秀隆という役者の得体の知れなさがキャラをアメーバのように包み込んで説得力を増幅させている。
これでもかと畳み掛ける試練と災厄のサディスティックなまでの物量は耐え続けるコトーに臨界を越えさせ遂には力石徹と化させる。僻地医療の問題提起を拒むスーパードクターの木を見て森を見ず感は吉岡秀隆という役者の得体の知れなさが糊塗してしまう。(cinemascape)