映画1992
★★★ 1995年5月6日(土) ACTシネマテーク ダナウェイもルイスもよく肥えて弛んでおりアメリカンドリームの終末と残滓を体現して余りあるが映画まで弛んで感じるのはどうかと思う。しかし、一方で構成も場面の構築もきっちりしているので掴み所の無い茫洋感…
★★★ 1994年1月9日(日) 天王寺ステーションシネマ レッドフォードとピットの相似性に映画史的因縁を見出すことはあっても、所詮は『エデンの東』の緩い焼き直しの域は出ない。フライフィッシングの映像もジグモンド的反射を多用するがロマンティックに浸るだ…
★★★★ 1994年2月12日(土) 新世界国際劇場 パクリであっても『荒野の用心棒』の価値が些かも揺るがぬ如くに『ニキータ』のそれと言われるだろう運命を社会派ダミアーニは愚直な律儀で受け流す。マカロニックな図太さ。アクションとして派手さは無いが詫びしい…
★ 1994年4月24日(日) ホクテンザ2 アンチモラルを描くのがいけないというわけでもないが、それでも何かを撃つというベクトルでも持たせないとしんどい。一片の共感もわかない連中ばかりの話を自主制作の8ミリ映画に毛がはえたようなレベルで延々と見せられ…
★★★★ 1994年6月26日(日) つかしんホール 何に拘り何に納得がいかぬのか凡人には理解に難いのだが、その無為とも思える時間が何時しか内実から染み出る「本物」の実体に照射されて輝きを帯びる。これは撮影技法レベルのものではない。寡作の画家を寡作の映画…
★★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 十二分に誇張されまくってるリーゼントとペンギンブーツは普通の風景・普通の人々中でこそ異化され可笑しみが生じるのに家族全員がそうだと如何にも安すぎてベタな笑いに成り下がる。これ見よがしなのだ。短いのであざ…
★★★ 1993年1月15日(金) 扇町ミュージアムスクエア 八方塞がりな状況に沈殿し安住する人々。絶望的に閉塞されていることに自覚的でさえもなくチンタラした話をご丁寧に紡いでいくが主人公の女性が不幸すぎて救われない。両家の親が津川と川津の怒れるヌーベル…
★★★★★ 1993年2月11日(木) ホクテンザ2 ペキンパーのエピゴーネンたる自覚下『ワイルドバンチ』的構成を踏襲し序盤と終盤に大銃撃戦を配する。乱戦最中の小景に極大の非情と詩情を乗せる妙。敵キャラとの同族意識が乾いた狭義を駆り立てる。文字通りハードボ…
★★★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 16ミリブロウアップの即物感覚と圧倒的な細密編集。オプチカルの鬼っ子から自然体に至った大林の背反する尖鋭化した技法の集大成。その奇跡的融合が描く大らかな青春に夾雑物皆無なのが泣ける。メッセージではなくビー…
★★★ 1993年2月11日(木) 梅田ピカデリー1 技法への拘泥や豪華ゲストが喧伝され、ミステリーとしての本質が呼び込むダイナミズムが消失。コーエンやポランスキー向きの題材をアルトマンが悪方向に捻じ曲げてしまった。長廻しは弛緩し、カメオは所詮カメオで得…
★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 無駄に回数を重ねたゴクミシリーズも方向性を決めかねルーティーン展開に収束。相変わらずの寅の逃げ腰も最早笑う気も起きず斜陽感が横溢する。それにしても永瀬の早朝の船出シーンの傑出した情感。こういうのがあるからこ…
★★ 1993年3月7日(日) 大毎地下劇場 相反する対立軸が融解しゆく過程を緻密に描くわけではなく、広いようで狭い階級社会の中で錯綜する多くの人間関係に埋没する。真の理解ではなく諦観めいている。何だろうか…この世界が趣味じゃないとしか言いようがない。(…
★★★ 1993年3月14日(日) ホクテンザ1 のっぴきならない窮地に追い込まれていくにしては甘い設定で、オリジナルは知らんがもう少しアレンジの仕様があったのではないだろうか。怖さや胡散臭さや小汚さなどエキス不足。主役2人の魅力的配役センスだけが興行師…
★★★★ 1993年4月4日(日) ホクテンザ1 この爺さんにしても少年にしても京劇という依って立つモノがあるから孤独を凌いでいける。その現実認識がスーパークールなリアリズムで地に足をつかせている。しかも隣家の少女がこれ又スーパークールに可愛いのも少年時…
★★★★ 1993年3月27日(土) 天六ユウラク座 これだけの大風呂敷を広げて最後まで馬脚を現さないというのは紛れもなく才能であると思う。国際社会に於ける日本や日本人論を巧みに避け男の友情話にもっていったのが正解であった。そして、その友情が見ててこっ恥…
★★★ 1993年3月14日(日) 天六ユウラク座 おこげというポジションが不可避の選択なのか止むを得ずなのかを明確にしない限り主人公の清水には誰も肩入れ出来ぬだろう。それでも水準作と思えるのは男同士でハードに乳繰り合う2人の役者が不憫でありつつ気持ち悪…
★★★★ 1993年3月14日(日) ホクテンザ1 ニコルソンの尖ったキャリアの中で異彩を放つ弛緩コメディ。くだらない脚本だけに盟友ラファエルソンが監督でなければ出なかったであろうと思われる。そういう意味でプレミア級のレアムービーかもしれない。しかもバー…
★★★ 1993年4月18日(日) 天王寺ステーションシネマ 演出も役者も皆時宜を得た安定感はあるが、どうも原田芳雄の芝居からしてルーティーンでインパクトがない。余裕かまし過ぎで切実味がないので、最後にしても余りハッピーな気持ちにもなれない。だいたいこの…
★★★★★ 1993年4月25日(日) 梅田ピカデリー1 ワイオミングの曇天下、嬲り倒されるハリスに重なるE・クック・Jr。酒場の仰角構図も『シェーン』を想起させる。20年の歳月を経て銀幕上で対峙したハリーとポパイ。イーストウッドが映画史の担い手たる自覚下で…
★★★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 反発し合いながらも共通の目的を遂行する2人。見飽きた設定だがジャッキーとミシェールという極めた者同士のみが醸し出し得るあ・うんの呼吸の妙は世界映画史上有数の至福感。しかも、それが男と女であるから甘酸っ…
★★★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 冒頭からチェスの選手権試合という特異な設定を相当に入念に描いていく割には展開には殆ど活かされないというのが若干に歪でありどっちかと言うと好きである。90年代にミッキー・ロークと並び立った思い込み男優ランバ…
★★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 原理主義的な戒律がもたらす慎みと静謐トーンが映画を規定する。物語は当然に破綻を許されず越境は終に遂げられることはない。メラニーに仮託した観る者の戸惑いと馴染み難さはそれでもやがて融解しゆくだろう。ルメ…
★★★★★ 1993年4月26日(月) OS劇場 インディーズ作家が、いきなりこれだけのメガバジェットをきっちり物にしたことに驚愕。巧すぎて商業主義的従属と思わなくもないが、紛うことなきリーの魂の執念には完膚無きまでに打たれる。人は人生で何度かは正面からも…
★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 重装備で幕を開け肉弾戦に収斂してしまうのでは構成自体も悪いとは思うが、オーバーに言えば10年に1度の顔合わせを物に出来なかった格闘音痴のエメリッヒよりも、それを選んだセンス無き阿呆プロデューサー共に怒りの鉄…
★★★★ 1993年5月5日(水) 新世界国際劇場 古典としての風格も無く尖った前衛があるわけでもない。全てに於いてそこそこなのだが、ふっきれてしまったかのような、お手軽な贅を尽くした虚仮威しとハッタリの釣瓶打ち。作家のそういう枯れ方は好ましい。(cinemas…
★★★★ 1993年7月15日(木) シネマアルゴ梅田 表通りを歩けないから裏を歩いて片隅で生きる。そういう感じが巧く出てる。スティーブン・レイの情けなく冴えない風情がこれ又その状況を体現してどんぴしゃのニュアンス。そして唯一無二とも言えるジェイ・デビッ…
★★ 1993年7月4日(日) 天六ユウラク座 フィルムノワールめいた冷めた簡潔な描写は一応意図として好感が持てるが、ずっと冷めたままなので終いにはイライラしてくる。こういうのは、相当な技術に裏打ちされた画力がないと保たないのに、肝心の湾岸クルージング…
★★★★★ 1993年8月8日(日) テアトル梅田1 能面女優に感情を付与し、自身の極まった手法をも鮮やかに転換させたイーモウの底の見えなさ。往年のイタリア映画を彷彿とさせるバイタリズムとユーモアの混在。パラノイアな際どいキャラも腹ボテのコン・リーが飲み…
★★★★ 1993年8月10日(火) 新世界国際劇場 明らかに『ダンス・ウィズ・ウルブス』の余勢を買った企画に黴の生えた古袋を持ってきながらマイケル・マン&スピノッティコンビは何のてらいもなく躊躇するところが無い。注ぎ込まれた清水は浸透しやがて黴臭い袋か…
★★★ 1993年8月10日(火) 新世界国際劇場 セガールの思わせぶりだが本質何も考えてない的キャラとジョーンズの屈託あり気だが確信犯キャラが絶妙な対置をもたらしてる。だが閉塞空間での1人きりでの抗戦という基本構図はどう見たって『ダイ・ハード』の2番煎…