映画1992
★★★ 2025年6月7日(土) シネヌーヴォ 作家の自死に至る数日間を描いてオリヴェイラ作品中最も厳格とされる作品。と聞いて俺は例えばルイ・マルの「鬼火」みたいなのかと思ったが、まあ、ああいう地味に見えてある意味絢爛たるテクを弄したキザなもんがオリ…
★★★ 1995年5月6日(土) ACTシネマテーク ダナウェイもルイスもよく肥えて弛んでおりアメリカンドリームの終末と残滓を体現して余りあるが映画まで弛んで感じるのはどうかと思う。しかし、一方で構成も場面の構築もきっちりしているので掴み所の無い茫洋感…
★★★ 1994年1月9日(日) 新世界国際劇場 問答無用にB級映画なのだろうが、この水準ならば金払ってもいいと思わせる出来。撮影の手堅さもあるし、孤高のヒーローでなく夫婦茶碗というのがジャンルとして新味があって仄甘い。ランバートも悪くないが妻役のロー…
★★ 1994年1月9日(日) 新世界国際劇場 折角サイボーグものの人に非ずになっちまった哀感を醸し出せる設定を取ってるのだから、その線であざとい位に押しても良かったのではないだろうか。それはさておき、アクション映画ならいくらなんでももう少し見せ場らし…
★★★ 1994年1月9日(日) 天王寺ステーションシネマ レッドフォードとピットの相似性に映画史的因縁を見出すことはあっても、所詮は『エデンの東』の緩い焼き直しの域は出ない。フライフィッシングの映像もジグモンド的反射を多用するがロマンティックに浸るだ…
★★★★ 1994年2月12日(土) 新世界国際劇場 パクリであっても『荒野の用心棒』の価値が些かも揺るがぬ如くに『ニキータ』のそれと言われるだろう運命を社会派ダミアーニは愚直な律儀で受け流す。マカロニックな図太さ。アクションとして派手さは無いが詫びしい…
★★★★★ 1994年2月27日(日) 新世界国際劇場 新旧織り交ぜた役者たちの演技合戦は初っ端から最後まで間断するところがない。雨の夜の湿った空気が纏わり付き深海の底でのたうつような救いのないセールス。明日が来るのが怖いという絶望を味わった者にしかわから…
★★★★ 1994年2月27日(日) 新世界国際劇場 グッド・バッド・ガイな主人公に対して他は皆ベリー・バッドというシンプルな設計が慾得絵巻の物語強度を増幅させた。四つ巴の演技合戦でケイジが正に適役でホッパーがサビを効かせる。ひなびた町のムードも巧妙で世…
★ 1994年4月24日(日) ホクテンザ2 アンチモラルを描くのがいけないというわけでもないが、それでも何かを撃つというベクトルでも持たせないとしんどい。一片の共感もわかない連中ばかりの話を自主制作の8ミリ映画に毛がはえたようなレベルで延々と見せられ…
★★★★ 1994年4月10日(日) みなみ会館 廉価パロディと鈍い笑いのキッチュな不可解さが止め処なく連鎖し、その最果てに得体の知れないオフビート天国が現出する。香港映画の魔窟のような懐の深さ。レオン・カーフェイの唐変木の為す術のなさの周囲で女たちは限…
★★★ 1994年6月19日(日) 祇園会館 主人公が男性のときの宝塚めいた倒錯的な魅力が女になった途端に平凡になってしまう。豪華コスプレと圧倒的に美しいカメラで紡ぐ年代史だが所詮は女の為の女の物語という感が拭えず男は置いてけぼりを食うしかない。時間と距…
★★★★ 1994年6月26日(日) つかしんホール 何に拘り何に納得がいかぬのか凡人には理解に難いのだが、その無為とも思える時間が何時しか内実から染み出る「本物」の実体に照射されて輝きを帯びる。これは撮影技法レベルのものではない。寡作の画家を寡作の映画…
★★★ 1994年8月13日(土) テアトル梅田2 十二分に誇張されまくってるリーゼントとペンギンブーツは普通の風景・普通の人々中でこそ異化され可笑しみが生じるのに家族全員がそうだと如何にも安すぎてベタな笑いに成り下がる。これ見よがしなのだ。短いのであざ…
★★★ 1994年9月3日(土) ホクテンザ1 カイテル全身全霊の曝け出し演技による審美的映像主義と対極のド腐れ男の丸投げ生態。わかっちゃいるけどやめられない。この際成るようにしか成らない。そういった達観の果てに結局は救済を求めてどつぼ日常でもがく遣り…
★★★ 1993年1月15日(金) 扇町ミュージアムスクエア 八方塞がりな状況に沈殿し安住する人々。絶望的に閉塞されていることに自覚的でさえもなくチンタラした話をご丁寧に紡いでいくが主人公の女性が不幸すぎて救われない。両家の親が津川と川津の怒れるヌーベル…
★★★★★ 1993年2月11日(木) ホクテンザ2 ペキンパーのエピゴーネンたる自覚下『ワイルドバンチ』的構成を踏襲し序盤と終盤に大銃撃戦を配する。乱戦最中の小景に極大の非情と詩情を乗せる妙。敵キャラとの同族意識が乾いた狭義を駆り立てる。文字通りハードボ…
★★★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 16ミリブロウアップの即物感覚と圧倒的な細密編集。オプチカルの鬼っ子から自然体に至った大林の背反する尖鋭化した技法の集大成。その奇跡的融合が描く大らかな青春に夾雑物皆無なのが泣ける。メッセージではなくビー…
★★★ 1993年2月11日(木) 梅田ピカデリー1 技法への拘泥や豪華ゲストが喧伝され、ミステリーとしての本質が呼び込むダイナミズムが消失。コーエンやポランスキー向きの題材をアルトマンが悪方向に捻じ曲げてしまった。長廻しは弛緩し、カメオは所詮カメオで得…
★★★ 1993年2月28日(日) トビタ東映 無駄に回数を重ねたゴクミシリーズも方向性を決めかねルーティーン展開に収束。相変わらずの寅の逃げ腰も最早笑う気も起きず斜陽感が横溢する。それにしても永瀬の早朝の船出シーンの傑出した情感。こういうのがあるからこ…
★★★ 1993年3月1日(月) テアトル梅田1 稀代のコンピューター強盗の指名犯の兄と哲学専攻学生の弟が50年代の元有名大リーガーにして60年代の国防省爆破犯の親爺を捜す…設定だけはやたら大風呂敷を広げた割には物語は終始ちんまりとして地味変世界に終始す…
★ 1993年3月1日(月) テアトル梅田2 設定やストーリーを云々する遙か何万光年の前段階から全編に立ちこめる時代錯誤感は何なのだろうか。しかも、救いが無いことに、どうしようもないまでの後味の悪さがある。それが展開故にではなく作り手の歪な作意に根ざ…
★★ 1993年3月7日(日) 大毎地下劇場 相反する対立軸が融解しゆく過程を緻密に描くわけではなく、広いようで狭い階級社会の中で錯綜する多くの人間関係に感情は埋没する。なので真の理解ではなく単なる諦観めいている。それにしても何なのだろうか、この世界が…
★★★ 1993年3月14日(日) ホクテンザ1 のっぴきならない窮地に追い込まれていくにしては甘い設定で、オリジナルは知らんがもう少しアレンジの仕様があったのではないだろうか。怖さや胡散臭さや小汚さなどエキス不足。主役2人の魅力的配役センスだけが興行師…
★★★★ 1993年4月4日(日) ホクテンザ1 この爺さんにしても少年にしても京劇という依って立つモノがあるから孤独を凌いでいける。その現実認識がスーパークールなリアリズムで地に足をつかせている。しかも隣家の少女がこれ又スーパークールに可愛いのも少年時…
★★★★ 1993年4月4日(日) 新世界国際劇場 時代の間隙を埋める徒花であったにも拘らず誠心誠意がむしゃらに走った彼女たちへの賛歌であり文句無しに気持ちいい。一方で1人の男の再生の物語にもなっているのも又抜かりなくハンクスの場末感が最高。男は女で生き…
★★★★ 1993年3月27日(土) 天六ユウラク座 これだけの大風呂敷を広げて最後まで馬脚を現さないというのは紛れもなく才能であると思う。国際社会に於ける日本や日本人論を巧みに避け男の友情話にもっていったのが正解であった。そして、その友情が見ててこっ恥…
★★★ 1993年3月14日(日) 天六ユウラク座 おこげというポジションが不可避の選択なのか止むを得ずなのかを明確にしない限り主人公の清水には誰も肩入れ出来ぬだろう。それでも水準作と思えるのは男同士でハードに乳繰り合う2人の役者が不憫でありつつ気持ち悪…
★★★★ 1993年3月14日(日) ホクテンザ1 ニコルソンの尖ったキャリアの中で異彩を放つ弛緩コメディ。くだらない脚本だけに盟友ラファエルソンが監督でなければ出なかったであろうと思われる。そういう意味でプレミア級のレアムービーかもしれない。しかもバー…
★★★★ 1993年4月4日(日) 新世界国際劇場 欧州が舞台ということで滋味と情緒があるしマイケル・ケインが引退した英諜報員というのは映画的記憶を利して地に足が着いてる。過剰なものは無いからこそ職人監督マルケイのシックな演出も冴える上出来なスパイアクシ…
★★ 1993年4月4日(日) 新世界国際劇場 古い因襲に囚われる地方都市を舞台に繰り広げられる出来損ないの横溝正史米国版。リンチのような偏執描写に突出するわけでもなく、ストーリーテリングに長けるわけでもない。そもそもに真っ当な骨子があるとも思えぬ展開…