映画1979
★★ 1980年11月9日(日) 大毎地下劇場 日中平和友好条約締結の政策的記念映画は残留孤児問題を双方の架け橋と規定しなければ進みようがなかった。希望を謳ったそれは悪くもないのだが、何せ掘り下げも技術も拙劣である。第五世代勃興前夜の旧世代教条映画の…
★★ 1982年4月29日(木) 大阪府立文化情報センター 内向するルサンチマンは遂に弾ける術を見出せない。非情とバイオレンスを志向しつつプログラムピクチャーの枠を破って表出するものは鬱積し沈殿する倦怠のみ。今更こういう話を見たいとはどうしても思えなか…
★★ 2023年1月16日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 1979年の製作当時にも証文の出し遅れ感が濃厚な映画だった印象がある。そんなんで、そんときは見てないし、今回見た印象もなんだかなーです。 1969年にブロードウェイで初演されたミュージカ…
★★★ 1993年1月23日(土) 毎日文化ホール 1級のスタッフで時代色再現にはぬかりなくライブシーンも上出来なのだが、どうにも話がグダグダで堕ちていくことへのロジカルな考察を欠き何の感興も涌かない。現代的消費文化としてのロックシーンでは夢が無さ過ぎる…
★★★ 2003年5月2日(金) シネリーブル梅田1 何かを得る為には何かを棄てないといけない。しかし、男は棄てたものを何時までも忘れることが出来ないのである。痛い映画だが、この頃のキェシロフスキは映画をモチーフとして使ったメタ構造を昇華させるトリッキ…
★★★★ 2003年5月22日(木) テアトル梅田2 ミエビルはヨーコ・オノみたいなものなんだろう。だとすれば、これはゴダール版「ダブル・ファンタジー」で、となれば当然カリエールの手によると思われるユペールパートに尽きる。ブニュエル臭溢れる執拗な変態味が…
★★ 1992年11月21日(土) 日劇会館 大芝居を演じる仲代にリアリズムの原田芳雄が全く噛み合わない。『柳生一族』位なら洒落で笑えても、こうまでチグハグで、おまけに話が情に流れるので救いようがない。その他諸々オールスターズも素晴らしくゴッタ煮である。…
★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 見る人が見たら技術的に凄いのかもしれませんが、なんせアニメーションの技術的な造詣もないので、どうしても表層的な物語への根本的な違和感が拭えなくて気になります。 女性は悪いことをしでかしたわけではない。 …
★★ 1984年1月5日(木) SABホール 設定で大ハッタリをカマしタルコフスキー本人も解ってるのか疑わしい形而上的言説で見る者を高踏的に蹂躙しようとする。そう言ういかがわしい姿勢は支持したいが、如何せん「ゾーン」の造形がちんけで根っこから転けてる。…
★★ 1984年12月8日(土) 千日会館 海外からの初オファーを受けて勝手知る自家籠中の世界でってのが安易。まるっきり『田園に死す』の焼き直し短縮版みたいで、受け狙いのイメージの集積に見える。母と故郷に絡め取られた閉塞感は繰り返し何度も見たいものでは…
★★★ 1982年2月23日(火) 三越劇場 大してオモロくもないロリコン男の自虐的かつ露悪的物語をそういう風に撮らず、神業というしかないウィリスのモノクロとガーシュインの音楽でオブラートして性が悪い。ギャグで塗してこその身を2.5の線に窶したアレン若気…
★★★★ 2020年8月30日(日) 大阪ステーションシティシネマ6 胡散臭い感じがして、長年食指の動かなかった作だが、予想に反して佳品だった。 だいたい、何でレナード・シュレイダー?ってのもあったし、ハーブ・エデルマンって誰?ってのもあって、それが山田…
★★★★ 1982年8月20日(金) 毎日ホール 無気力・無責任とまでは言わないが本質にそういった資質を色濃く内在させる脚本で、起承転結が無くダラダラだが結構色々起こる平凡男の日常がノンシャランで良い。奥田十八番の受動的で取り柄無きうらぶれ男も良いが藤田…
★★★★★ 1982年11月11日(木) 伊丹ローズ劇場 ミスが結果オーライ帰結になるに過剰な飛翔が胡散臭さを反転させ、ド根性な男気の発露に過剰な暴飲がセンチを粉砕する。その過剰は、少女信仰のそれでは際どいが、アクション演出の冴えの中で遮蔽される。脇キャラ…
★★ 1981年5月4日(月) ダイニチ伊丹 明るいのが良いと言えばその通りなのだが、余りに他愛ない話。映画界に於ける秩序を破壊せんとした作家の養卵機としての日活ロマンポルノを実質支えたのは、こういう数多の作品であった。決して言及されることがない西村…
★★★★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 1982年4月28日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 美しいが故の悲運を逍遥と受け止めるキンスキーを時代と世界が包み込む。その圧倒的なアンスワースの遺言とクロケの継承。少女愛の臨界に立つポランスキーだからこその…
★★ 1981年4月11日(土) 梅田コマシルバー ろくに何もないストーリーであるからこそ日常の些末なリアリティこそが命の映画だろうに、女子大生に桃井ではリアルの欠片も無く森本レオにしたって如何にもであざとい。何より四畳半的ムードが70年代末の空気と…
★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 この何の芸当もないオードリーの復帰第2作を止める者は誰もいなかったのだろうか。薹が立った爺婆スタッフ・キャストに囲まれ安住するだけの彼女に年相応の枯淡も色香もない。無惨なだけで、つくづく『ロビンとマリアン』…
★★★ 1981年5月17日(日) 梅田ロキシー 無茶ぶりできるセラーズに純粋結晶なプレーンキャラを当てたセンスはいいとして、彼が浄化する政界がもっと激しく汚濁に塗れててくれぬと物語は転がらずカタルシスも生まれない。高級感は滅法あるが薄味な割烹料理みた…
★★★★ 1981年5月22日(金) 三番街シネマ3 自ら成長を止めた割に傍観するだけのオスカルは或る意味歯痒く、歴史に翻弄される欧州地方小国家のメタファーだとしたら、この爛れた性関係ばかりを追った展開はかなりに悪意に充ちて自虐的。外連に充ちたナチスの…
★★★ 1981年7月6日(月) 梅田コマシルバー SEX&ドラッグの成分が希釈されて形骸的なモラトリアム青春紋様が剥き身を曝け出した。映画的表現としてもオーソドックスで破綻も無さすぎで既存論法に呑まれ丸め込まれた。それでも妥協の中に戦おうとした意志と…
★ 1981年8月31日(月) 新劇会館 そりゃあ街で見かけた女を採点なんて男なら誰でも無意識下にやってることだろうが、そんなもん公然と映画にするようなもんでもないだろう。老エドワーズが見せ得べくもない下心をさらけ出してみっともない。大体ボー・デレク…
★★★★ 1981年10月3日(土) 伊丹ローズ劇場 パーティだワインだと翻案物特有のバタ臭い気恥ずかしさは否めないが、それにしても新藤の巧い脚色もあって滅法面白い。もちろん原作の力もあるのだろうが。出演者の中では松坂慶子が正に油が乗ってる感じ。彼女のシ…
★★ 1980年1月15日(火) ビック映劇 ブッチがナイスガイだってのを前作ではニューマンが説明なくとも十二分に体現できていたのに対し、本作では前面に出しすぎて何か嫌らしい。非情さが無く温いし、リリシズムは安い。そっくりショーとしてはベレンジャーは表…
★★★★ 1980年7月28日(月) 伊丹グリーン劇場 本土襲撃の予兆に怯えるマスヒステリーが個々の挿話や人物群の連関の末大崩壊に至る構築になってないのでカタルシスがない。にしても分断された章内ではどえらい熱量を発散。ロス市内を戦車や戦闘機が縦走し観覧車…
★ 1980年11月30日(日) 梅田東映ホール ドリフや欽ちゃんや吉本新喜劇を全く何の基礎知識ももたずに見て面白いかということで、喜劇・笑劇とはその拠って立つ社会的連続性の中でしか意味を成さない。続編ということもあり、全く馴染めぬ連中が繰り返す余りに…
★★★★ 1980年3月26日(水) OS劇場 1980年9月3日(水) 伊丹グリーン劇場 地獄巡りの主人公が見聞する、恐怖がドラッグを蔓延させ抑圧された性欲が暴力衝動を喚起し意義喪失が殺戮の意味を見失わせる様は圧倒的画力を持つ。しかし、狂言回しが、何時しか侵食さ…
★★★ 2014年8月5日(火) シネヌーヴォ 母親に対する父親と少女に対する義父という清清しいまでの2段重ねエディコン祭りで、こういう枠組みで事の解明を図る新藤は理数系なんだと思う。3文演劇のようなご近所芝居は前衛の1歩手前とも見え愛らしい。尚現在…
★★★★ 1980年7月1日(火) ビック映劇 漫画チック未満の微妙なカリカチュアの按配が良く、ポイントでは結構金もかけ厚味もある。並行する多くのプロット群は有機的錯綜を見せないのだが、それが味でもあり、自殺癖の判事や仕事の矛盾に悩む弁護士等、本筋以外の…
★★★ 1980年7月31日(木) 毎日ホール 『青春の殺人者』の原作・脚色者を再組合せし『サ-ド』の主演コンビをマッチングさせた企画もん丸出し作。藤田特有のシラケ感は、所詮重量級の観念劇と噛み合わず、訳知り顔のわからん話がしんどい。唯一安藤庄平のヘヴィ…