男の痰壺

映画の感想中心です

映画1979

ジャスティス

★★★★ 1980年7月1日(火) ビック映劇 漫画チック未満の微妙なカリカチュアの按配が良く、ポイントでは結構金もかけ厚味もある。並行する多くのプロット群は有機的錯綜を見せないのだが、それが味でもあり、自殺癖の判事や仕事の矛盾に悩む弁護士等、本筋以外の…

絞殺

★★★ 2014年8月5日(火) シネヌーヴォ 母親に対する父親と少女に対する義父という清清しいまでの2段重ねエディコン祭りで、こういう枠組みで事の解明を図る新藤は理数系なんだと思う。3文演劇のようなご近所芝居は前衛の1歩手前とも見え愛らしい。尚現在…

ノーマ・レイ

★★★★ 1980年7月1日(火) ビック映劇 社会意識ゼロのノーマが徐々に問題意識に目覚める過程が男と女の惹かれ合う感情とリンクされ納得性ある展開。何よりレイノルズの可愛い子ちゃんだったサリー・フィールドの捨て身の変貌と題材が絶妙に同期してる。一期一会…

ヤング・ゼネレーション

★★★★ 1980年8月5日(火) ビック映劇 鬱屈しまくっているが反逆もできない。身の丈を弁え親のことは一応尊敬もする。そんな彼等がダラに過ぎゆく日々の中で辛うじて見つけた正念場。そういう細やかな一局面にドラマが見出されたこと。大多数の埋没し行く人生の…

十八歳、海へ

★★★ 1980年7月31日(木) 毎日ホール 『青春の殺人者』の原作・脚色者を再組合せし『サ-ド』の主演コンビをマッチングさせた企画もん丸出し作。藤田特有のシラケ感は、所詮重量級の観念劇と噛み合わず、訳知り顔のわからん話がしんどい。唯一安藤庄平のヘヴィ…

悪魔の棲む家

★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 さしたる刺激が無いことを承知しつつ、怠惰に流されるだけの仕事。ベストセラー原作でヒットが予測されてるに甘え使い古しの設定に依拠し斬新さの欠片もないスタッフやキャストの迎合のルーチンワーク。何よりあんま…

サンゲリア

★★ 1980年10月12日(日) 伊丹グリーン劇場 とことんな伊映画屋魂はわからんでもないが、病的なまでに執拗な気持ち悪い描写の羅列には矢張り辟易する。炎天下の路上や公園で動物の死体を棒で裏返して見れば蛆が何百匹も涌いていた…そんな生理的嫌悪感を煽り続…

007/ムーンレイカー

★★★ 1980年7月28日(月) 伊丹グリーン劇場 半端に宇宙という要素を加味したのが虻蜂取らずの浅薄さで、敵ジョーズを執拗にフィーチャーし続けるに至りギャグ映画へと転換する。ギルバートの取り組みは前作と違わぬ真面目な大構えなのに伝統的「スパイ映画」と…

ルナ

★★★ 1980年8月5日(火) ビック映劇 親と子の不寛容がもたらす絆の断絶を月は黙然と見おろすだけ。そういう諦観の果ての悟りは冷たい光に包み込まれる。採光を操るストラーロの撮影が圧倒的。だが、オペラにせよ近親相姦にせよクレイバーグと親和性がなく無理…

ロッキー2

★★★★ 1980年9月22日(月) 伊丹グリーン劇場 前作の成功を受けつつも未だ清新な気持ちを保ちつつで望んだであろう本作。どん底の寂寥感は消失したが予算は増えて終局へのカタルシスは倍加した。ファイトシーンの装置を含めた圧倒的質量感。スタローン自らの演…

港町紳士録

★★ 1979年8月4日(土) ダイニチ伊丹 衝動も激情も悲嘆も全て「人情」世界の微温で塗り固める松竹伝統の呪縛に捕らわれ毒にも薬にもならないヘタレ作を連作した70年代『男はつらいよ』併映作の中では捻らず直線構造な分マシな方かもしれない。吉幾三がアクが…

奇跡の人

★★ 1980年10月26日(日) 伊丹グリーン劇場 怜悧なモノクロで繰り広げられた血の滲むような激闘史は弛緩したカラーでの縮小再生産で凡庸化。ヘレン役メリッサは頑張ってるのだろうが所詮は伝統芸の通過儀礼に過ぎない。世界の拡張を表現する演出上の気概も欠如…

ザ・フー キッズ・アー・オールライト

★★★ 2025年10月6日(火) テアトル梅田3 1979年制作だが日本で公開されなかった伝説の傑作なんだそう。でもぶっちゃけどーってことなかった。 この手の作品では、大抵アーカイブにあるテレビ番組や過去のコンサート映像に、当人や関係者のインタビュー…

その後の仁義なき戦い

★★ 1980年9月27日(土) 毎日ホール 役者は揃ったが、組織の川下で青春ものめいた友情とかをチンタラやってるだけで包括的な組織論に波及しないのでは「仁義なき戦い」の冠が泣く。笠原イズムはもっとドライでクールであった筈。工藤演出もTVの段取り感が抜…

エイリアン

★★★★ 1979年8月25日(土) OS劇場 極北まで行った『2001』から10数年。お子様活劇『SW』と怪物譚の本作でSF映画は周回し伝統に回帰した。贅を尽くした怪奇的でバロックな美術と王道的ショッカー手法とグロテスク趣味が混在し宇宙の静謐と孤独が寂…

アルカトラズからの脱出

★★★ 1980年11月16日(日) 伊丹グリーン劇場 ベッケルやブレッソンが試みたジャンルを凡庸に復刻しただけの域を出ない。折角の『ダーティ・ハリー』コンビの復活作なれば空間移動を旨とするものこそ見たかった。退屈こそしないものの、とりたててどうと言うも…

復讐するは我にあり

★★★★★ 1979年4月29日(日) ダイニチ伊丹 1980年11月5日(水) 伊丹ローズ劇場 噴火寸前のマグマを押し隠した如き交わす視線の腹芸合戦を堪能する映画で主演5人の組み合わせバリエーションが堪らん。浜松シークェンス導入の手持ちカメラのライブ感を筆頭に姫田…

マリア・ブラウンの結婚

★★★★ 1980年11月9日(日) 大毎地下劇場 敗戦国の戦後という退廃を旨とする作家の自家籠中世界のヒロインが一途な愛を貫くのが泣かせるが、一方で切り捨てられる数多の男たちは哀れだ。スペクタクルな世界に毒と純情を程よくブレンドしファスビンダーが大衆寄…

ランニング

★★★ 980年10月26日(日) 伊丹グリーン劇場 『ロッキー』後付企画丸出しなのだが、うだつのあがらぬ人生を丁寧に淡々と描いた前半に限れば結構良い味わい。しかし、ローバジェッドなのにオリンピックという大風呂敷を広げた後半は一気に嘘臭くなり話も予定調和…

クレイマー、クレイマー

★★★★★ 1980年11月23日(日) 梅田東映パラス 単に社会事象への問題提議の映画だったら、ここまでの感銘は無かろう。親が子を想い子が親を想う様を緻密なディテールで積み重ね、それこそが事の本質と言ってるかのようだ。ベントンの演出は精緻を極めアルメンド…

日本の黒幕

★ 1979年10月 トーエイ伊丹 山本と大島とヴィスコンティの間で揺れ惑うに降旗では凡庸すぎ。多分に壮大だったたらしい意欲的題材なのに末端ファクターのテロリストや近親相姦がらみの愛憎劇で幕間をつなぐしかなかったのが情けない。それは上辺と拮抗してこ…

オール・ザット・ジャズ

★★★ 1980年11月18日(火) 大毎地下劇場 お手盛りの自画自賛映画だとしても、せめて10年早くフォシー自身の主演で撮って欲しかった。ショービズにどっぷり浸かった男の佇まいがシャイダーではどこか嘘っぽい。ロトゥンノを擁してもフェリーニの夢幻の境地に…

チャンプ

★ 1980年11月23日(日) 梅田東映パラス 曲りなりにも何がしかの作家性を保持してた筈のゼフィレッリがハリウッドのショービズマニュアルに蹂躙される。選択されたマエストロたちはギャラの分はと割切り映画は形を為してゆく。冒険心の欠片もなく何から何まで…

チェンジリング

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 ピーター・メダックフィルモグラフィの中では多分『蜘蛛女』と並ぶ代表作。コキロンの撮影が広角多用で非常にエッジが効いておりキャスティングの渋さもあって工芸品レベルだ。ただ主人公が究明の役回りの第三者でシ…

あゝ野麦峠

★★★ 1979年7月15日(日) 伊丹グリーン劇場 女工哀史的な情緒がだだ漏れる被虐もあるが一方で優良工女の争いがしのぶVS美枝子の両極激突に表象されるのが骨太で女性讃歌へと接続される。製糸工場のセットは健闘だが美学的昇華には至らぬがストーリーテラー薩…

太陽を盗んだ男

★★★ 1979年10月10日(水) 伊丹ローズ劇場 1980年2月29日(金) フェスティバルホール 時代の空気に乗ったアナーキズムとノンシャランが横溢し味を醸してはいるが、所詮は投げ遣りなので構築されたカタルシスに遠い。原爆製造の4畳半と皇居前のシーンは流石の粘…

男はつらいよ 翔んでる寅次郎

★★ 1979年8月4日(土) ダイニチ伊丹 階級が滅んだ時代に、形骸化したそれに拘る姿勢は、底辺からそれを撃つかにみせかけ続けた山田の姿勢がポーズにすぎないことを逆説的に露呈させる。異端の桃井起用も更なる無惨さを煽るだけ。シリーズでも最悪の部類。(cin…

衝動殺人 息子よ

★★★★ 1979年11月17日(土) ダイニチ伊丹 1980年9月26日(金) 伊丹ローズ劇場 救い難いまでの時代錯誤感とあからさまなメッセージ臭を割り引いても尚、真摯さは心を打つ。1.5線級の配役陣の入魂の演技と岡崎宏三の平板でありつつ的確な深度を携えたカメラワ…

夜叉ヶ池

★★★ 1979年11月17日(土) ダイニチ伊丹 冒頭の大干魃とラストの大洪水を海外ロケで強引に繋ぐ映画的一大ハッタリズムは良しとしても魔界の装置が舞台の呪縛に囚われている。何より玉三郎が白雪姫は兎も角、生身の女を演じることに致命的な無理があるのに約束…

マッドマックス

★★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 最初の悪党カップルのひたすらな「やったるゼー」とか「ヒャッホー」リフレインに芸無さすぎと萎える。今となっては「2」前史としてしか見れないのだが、未だ孤高でも虚無的でもないマックスはともかく、敵キャラ造形…