男の痰壺

映画の感想中心です

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

TOKYO TRIBE

★★★★ 2014年9月6日(土) 梅田ブルク7シアター5 6トライブの混沌戦ではなく所詮単体極悪VS良い子グループでしかない芸無い展開にそれでも磁力付与するラップアイデアが『愛と誠』と並ぶ。力・叶・翔子の3馬鹿をギャグ化寸前で押止める窪塚と新星菜名&…

プロビデンス

★★★ 1980年8月3日(日) SABホール 形而上的な物語ではないのに難解さを感じるのはレネの描法が例により睡魔を招く緩い移動多用な上に「神の摂理」と名指された館への歪な偏向趣味の為。トリッキーな構成だがハッタリを効かすケレンもない。寄せ集めめいた…

浮草

★★★★★ 2018年10月28日(日) シネヌーヴォ 聞きしに勝る傑作である。 舞台袖から良人の愛人である杉村春子を見る京マチ子の眼光。 もともと目力の女優ではあるが、凄みがそんじょそこらではないのだ。 ワンショットにかける気合の熱量が、やっぱ小津はケタ違…

ルパン三世

★★★ 2014年9月24日(水) 大阪ステーションシティシネマ2 いい線いってるキャスティングだし、メイサの殺陣をとか見ればボロ隠しの才は認めるのであるが、マグナムや斬鉄剣で人を撃ち・斬れば人体は破壊されるリアルとの折り合いを真剣に探ってないと思う。…

犬笛

★ 1978年4月2日(火) 伊丹ローズ劇場 平凡な男が娘を取り返す為にみせる凄まじい執念が泣かせる話なのに文太じゃ平凡な男でないから駄目なのだ。そしてキラ星のごとく出てくるチョイ役の面々の救いがたい1.5級感。リアリズムの欠片もない予定調和を中島貞…

日日是好日

★★★ 2018年10月21日(日) MOVIXあまがさき9 コンセプトはわかる。 人生に於いて、これといった何事もなく漫然と日々は過ぎて行って何も起こらない。 好きで始めた茶道でないが、他にすることもなくって続けている。 そんな、彼女が人生の中で最大の苦…

フライト・ゲーム

★★★★ 2014年10月1日(水) 梅田ブルク7シアター3 絶対的窮地を救うのは計算外に溢れ出た心の奥底の心情吐露で人を打つのはそういう虚飾のない本質である。鮮やか過ぎる状況の180度の転倒に素直に加担させられる間も無く機内に限定されてきたカメラアイ…

平和に生きる

★★★ 1980年8月31日(日) SABホール イタリアンネオリアリズモの先鞭的作品との位置付けは脚本のダミーコに依るのだろうが、今となっては微温的大戦秘話の1つに過ぎない。ただ、酔っ払っての呉越同舟が二転三転して至る帰結は戦下の非情を叩きつけている。…

若おかみは小学生!

★★★★ 2018年10月23日(火) TOHOシネマズ梅田7 なんとなく評判がいいのは見聞きしていた。 しかし、あの大きなお目目の女児向けキャラデザインにひるんでしまう。 でも、一念発起して良かったと思う。 映画館の暗闇の中で俺は泣いていた。 女児向けアニ…

FORMA フォルマ

★★★★★ 2014年10月6日(月) TOHOシネマズ梅田5 画面隅々まで張り詰める情動の予兆。長焦点レンズで切り取られた枠が日常を異化させるダイナミズムを生理的に知悉してるが、根底に横たわるのは同族嫌悪とも言える悪意。その確執は物語内の2人の女に留ま…

努力しないで出世する方法

★★ 1980年9月27日(土) 毎日文化ホール 夢が実現していく50年代なら未だしもベトナム戦争下でのこの脳天気さはそんなこと考えずとも微妙なズレ感を呈していると思う。要するに時代錯誤なのであって確信的ではない世間ボケは不快感しか及ぼさない。余程精神…

つかのまの愛人

★★★★ 2018年10月18日(土) シネヌーヴォ フィリップ・ガレルの映画は初見。 だが、脚本ジャン=クロード・カリエール、撮影レナード・ベルタってのは弩級の大所である。 これは、ニンフォマニアの女を愛人にしちまった中年男の話。 男は大学教授で女は教え…

るろうに剣心 京都大火篇

★★★ 2014年8月6日(水) MOVIXあまがさき6 気合入りは分るのだが明らかに盛り過ぎだしクライマックスの強度もてれこ。小田原での顛末から藤原との対峙・神木戦辺りが最も見応えがあり、後半を費やす京都は冗長でしかない。鬼輪番からみはいっそカット…

ダーティハリー

★★★★★ 1980年7月18日(金) 毎日文化ホール 銀行前の路上・教会横の屋上・スタジアムの3シークェンスは映画遺産級で、その他枚挙に遑がないほどシーゲルの演出は冴えてるのだが、この専制的で剣呑な世界を際どく寓話化する跨道橋の仁王立ちや拷問の瞬間を詠嘆…

寝ても覚めても

★★★★ 2018年10月14日(日) シネマート心斎橋1 別れた相手をいつまでもイジイジ未練たらしく想い続けるってのは、世間では男の方だって言われてる。 本当かどうか知らないが…。 忽然と人がいなくなるってモチーフは、映画ではよくあるのである。 それが、心…

昭和残侠伝 吼えろ唐獅子

★★★★ 2014年10月11日(土) 新世界東映 常道的ドラマトゥルギーなら高倉・鶴田の道行きとなるべきところ、シリーズの決め事から仕方なく脇にいた池部が突如メインストリームに踊り出て唐獅子牡丹が鳴り響く。破綻してる分一種ホモソーシャルな遣る瀬無さが極…

西陣心中

★★★ 1980年7月11日(金) 伊丹ローズ劇場 京都の土着的な陰々滅々たる世界に陰々滅々な人々が織り成す共感度ゼロの物語なのだが、楷書の様に完成されたとも言える高林自身の撮影と次々と出ては消える一癖ある役者の連続が一応飽きさせない。配役の妙が閉塞され…

偉人エーリッヒ博士

★★★ 2018年10月18日(土) プラネットスタジオプラスワン ドイツの細菌学者、パウル・エーリッヒの伝記映画です。 監督のウィリアム・ディターレは、この数年前に「ゾラの生涯」というエミール・ゾラの伝記映画でアカデミー作品賞を獲ってるので、伝記ならデ…

ジャージー・ボーイズ

★★★ 2014年10月5日(日) MOVIXあまがさき3 イーストウッド主モチーフであるところの怒りの要素は希釈され尚演出家としての破綻がない分毒にも薬にもならない。コマ劇場でのヒット歌謡ショー「クールファイブ物語」米版的如才の無さで楽しい時間だ…

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

★★★ 1980年8月19日(火) 伊丹グリーン劇場 寂れた風情がしっくり来る寅に常夏の沖縄が似合ず、シリーズのキモである孤独感は表出されずじまいだ。又、リリーと同居するという決定的な設定を否応なく組まざるを得なくなってもシリーズ存命の為に、肝心要なとこ…

きみの鳥はうたえる

★★★★★ 2018年10月18日(土) テアトル梅田1 個人的に現況では「素敵なダイナマイトスキャンダル」を抜いて本年邦画ベストと思う。 映画を見ていて最初の数ショットで「この映画は傑作なんじゃなかろうか」と思えるときがある。 だいたいそういうのはカメラ…

海を感じる時

★★ 2014年10月6日(月) テアトル梅田1 私は如何にして愛されてもいない男に体を与え続けたか…という言い訳を酔った席で延々聞かされてるようなもんで、そんなもんは所詮は解るわけなく解りたくもないのだ。荒井は『アデル』を擬えるが狂気の淵にさえも行か…

暗くなるまで待って

★★★★ 1974年12月22日(日) 伊丹グリーン劇場 歩道から玄関を入って居間が階下にある構造が主人公の盲目と相俟り外部からの孤絶感を増幅する。地味な衣裳で茶目っ気を封印したオードリーは皮相にも美しさが倍加。加齢の疲弊も役者魂の発露と見える。平板な演出…

お茶漬の味

★★★★★ 2018年10月18日(土) シネヌーヴォ 小津の映画を観るのは数十年ぶりです。 4Kデジタルリマスター版とか称してるけど何ほどのもんでもない。 て言うか音ずれしとるやん、舐めとんのか! 大体やねえ、デジタルリマスターとか恰好つけて言ってるが、そ…

舞妓はレディ

★★★★ 2014年10月6日(月) TOHOシネマズ梅田7 エッジ効かせるなんて野暮どすえと言う映画内コンセプトを作劇にも応用したか知らんが絶妙の緩さ。萌音ちゃんの垢抜けし行く様は本家を遥か凌駕しオジサンの萌え心を擽り、スペイン平野は京都盆地に時空を…

★★★★★ 1980年12月25日(木) 梅田東映ホール 16ミリブローアップによる痴漢シーンの即物感に対し後半の軍艦島のスタティックな叙情。閉じた世界で煩悶する魂を高田昭の撮影と一柳慧の音楽がバックアップし開放に導く。被写体を周囲の状況から切り取り凝視し…

クレイジー・リッチ!

★★★★ 2018年10月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 セレブの恋愛沙汰なんか真っ平御免だし見たくもないのだが…見てみりゃ、おもしろいでやんの。 やっぱり、ハリウッド映画ってのは脚本で徹底的に練り込むんやろね。 そういうプロデューサーがごまん…

ファーナス 訣別の朝

★★★★ 2014年10月12日(日) MOVIXあまがさき2 「行くか叔父貴」「うむ」と阿吽の呼吸の後『残侠伝』的破綻へは向かわぬところが美点でもあり糞詰まり的でもある。『ディア・ハンター』ライト版な展開も既視感バリバリだが、それでも素晴らしい。最高な…

メル・ブルックス 新サイコ

★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 本気汁で撮られた映画をパロるのなら本気で撮ってパロって欲しい。思いつきのアイデアを弛緩した適当さで見せられ続けるのは苦痛。「B級西部劇」や「怪奇映画」に対する程には強固な愛がヒッチに対しては無かったっ…

散り椿

★★★ 2018年10月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 木村大作について名カメラマンという表記を見るにつけ、ほんまいかいなと思うのである。 彼は70年代の大作ブームに乗っかって重宝されたわけだが…。 「八甲田山」では過酷な冬山での撮影を貫徹し…