映画感想【ほ】
★★★★ 1974年5月5日(日) 伊丹グリーン劇場 「モーニング・アフター」の調べと豪華客船での新年のカウントダウンという設定があるからこそ急転直下に始まる地獄行が帯びる一種の哀切味や、キャラクターが外見と正逆な内面を露呈し始める巧さは、先を急ぐだけの…
★★★ 2023年9月16日(土) シネリーブル梅田3 美術館の改装工事の現場から1901年に制作されたフィルムが発見された、ってのが前振りですが勿論これは2021制作の作品。前振りが何か有効機能してるかは疑問です。仮に2000年に誰かが作ったフィルム…
★★★★★ 2023年8月28日(月) シネリーブル梅田2 世評高い「ママと娼婦」を見てないので、どういう流れでこの傑作が出てきたのかわからんが、ジャン・ユスターシュ長篇2作目にして遺作となった本作は、確立された文体を持って尚、瑞々しさに溢れているという…
★★★ 1998年6月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 超現実イメージで、ここでもフェリーニ篇が異彩を放つが、毎度ながらの巨大女トラウマ話で2番煎じ感が拭えない。デ・シーカは凡庸でヴィスコンティのは本気汁無し。公開当時カットされたと言うモニチェッリの1…
★★★★★ 1999年10月14日(木) パラダイスシネマ1 世紀末・疫病・雨と1歩間違えればあざとさキワキワのキーワードのオンパレードだがダサ直球を混じえて巧くすり抜けた。シュールな意匠は純なハートと表裏を成し、人は孤独地獄から救済されねばならないという…
★★★ 1996年2月11日(日) テアトル徳山Ⅰ 立った敵キャラもおらず謀略のアイデアも亜流だが、それでも山岳地帯を疾走する列車を舞台にしただけで映画とはかくも面白くなる。疾走感と景観のロマンティシズム。大味且つサービス精神てんこ盛りで恥ずかしげもなく…
★★ 2000年8月28日(月) ユナイテッドシネマ岸和田7 ダムの実景が持つ弩級の迫力に展開が拮抗しない。送水管や司令室等限定セットに矮小化された展開が結果貧相感をいや増させる。又緻密な物語構築力からも遠い。其処からの逃避を省略と勘違いしてる救われな…
★★★ 2022年10月24日(月) シネリーブル梅田2 脱獄と銘打った映画っていうと大体みんな入所早々から脱獄のことしか頭にないみたいな感じで、そのプロセスが映画の見どころになるんだが、本作ではそのへん全く無頓着である。原題は「クールハンド・ルーク」…
★★ 2000年12月12日(火) 北野劇場 最後の最後まで2兎を追う展開でどっちつかずなこと甚だしく全くもってすっきりしない中途半端さ。残念ながらゼメキスは既存話法を使いまわす特上の料理人かもしれぬが、新たな仕組みを見いだせる才は無いのだ。この破綻した…
★★★ 1995年2月19日(日) 新世界東映 荒々しいと言うよりディテールや展開のテキトーさを有無を言わぬゴリ押しで糊塗して狂熱で誤魔化し切ってしまう遣り口が食えない。似非ニューシネマなストーリーも寒いが、渡瀬と杉本の貧乏たらしさのなかに腐れ縁的絆を見…
★★★ 2001年1月10日(水) 天六ユウラク座 ストーリーや設定が『インディ・ジョーンズ』まんまなのはそんなもんだと諦めもつくが、ワイヤーや特殊効果に依存し過ぎなリンチェイのアクションは最早アホ臭いとしか思えない。冒頭の無意味に大がかりなハリボテは逸…
★★★★ 2001年2月23日(金) 動物園前シネフェスタ2 人種の障壁を越えた恋愛という設定がほとんど機能していなく刹那な越境感も殆ど無いが、だからこそとも言える老匠キングのオールドハリウッドなベタなオーソドックスに世知辛い浮き世を忘れて浸るも又良しな…
★★★ 2001年3月15日(木) 動物園前シネフェスタ2 もうパリが恋しくて堪らない郷愁は嵩じてタカビーパリジェンヌへの想いへ転化するのだが、埋没して漂流する自我を描いてきた近世の目で見ると余りに浪花節だし、掻き消される声の浪漫主義最高潮な大見得は博物…
★★ 2001年7月24日(火) 扇町ミュージアムスクエア 色男とも思えぬホフマンが恋の思い出を語っても全く入り込めず、結末はシニカルなのに篇中では作り手のスタンスが伝わらず居心地が悪い。3話とも幻想譚なのだが、同時代のコクトー等の作と比べても表現が稚…
★★ 1994年1月16日(日) 新世界国際劇場 未亡人と少年と流れ者という三題噺を基にリライトを重ねて何の取り柄もない凡作になったというのがミエミエであり、演出もアクションの見せ方が惰性的に弛緩しているので苦痛。ヴァン・ダムもアークェットも濡れた情緒…
★★★★ 2022年8月15日(月) 新世界国際劇場 1984年版の映画化作未見、キングの原作は既読です。と言っても全然覚えてませんけど。 まあ、ジャンルムービーとしては、正直ショボい出来だと思う。少女が身体発火したとき防火服着てるのがわかったりします。…
★★★ 1994年3月12日(土) 天王寺ステーションシネマ 虐げられた少年の旅立ち物語なのにデ・ニーロとバーキンが立ち過ぎて本来のストーリーを後方に追いやってしまった。とは言ってもデ・ニーロの役を選ばない何でも来いの姿勢には好感を持つ。(cinemascape)
★★★★ 2022年7月27日(水) シネリーブル梅田2 映画史のなかで全篇1カット映画ってのが折に触れて出てくる。旧くはヒッチコックの「ロープ」や近年ではイニャリトゥの「バードマン」だが、前者ではフィルム交換の為に黒味を挟み後者ではCGで糊塗してたと…
★★★★ 2001年1月26日(土) 梅田劇場 終盤で情緒過多なメンタリティに陥り予想を超える展開にならぬ物足りなさがあるが、神経症的不安感の表現に於いてポランスキーやコーエンのレベルに迫ったと言えば誉めすぎだろうか。ともかく老朽マンションの美術やどしゃ…
★★★ 1994年5月7日(土) 天六ユウラク座 正に行き詰まりであったのだろう。香港時代を総括する『酔拳2』の前年、今までのキャラを捨ててまでも臨んだ真性シリアス路線は決して悪くはなかったが、嘗ての華やぎは失われ斜陽の翳りは覆うべくもない。その寂寥感…
★★★★★ 1994年8月6日(土) 京都朝日シネマ1 一芸だけを只管な拘りと信念で繰り返し続けた孤高の作家の理想的到達点。独善的な文明批判と潔癖主義なユーモアは軽妙な音楽と膨よかな色彩で丸められ、更に少年視線によって客体化される。ある意味、無欲な享楽や…
★★★ 1994年8月3日(水) 京都朝日シネマ1 このユローという受動的キャラクターが少なからずイラつく。チャップリンの模倣もあからさまでオリジナリティがない上に攻撃性に転化するまでもいかない弛緩ギャグは未だ幾何学構図の冷徹を獲得していない。バカンス…
★★★ 2002年6月26日(水) ホクテンザ1 本筋が浮気して女房が拗ねただけというだけの余りの単純さが物足りないが、職業としてのアダルトビデオの人々を扇情的にせず、それどころか今の世に珍しく真摯な姿勢で生きる人達として描いて、しかも力みも無いのが大器…
★★★★ 1993年3月27日(土) 天六ユウラク座 これだけの大風呂敷を広げて最後まで馬脚を現さないというのは紛れもなく才能であると思う。国際社会に於ける日本や日本人論を巧みに避け男の友情話にもっていったのが正解であった。そして、その友情が見ててこっ恥…
★★★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 反発し合いながらも共通の目的を遂行する2人。見飽きた設定だがジャッキーとミシェールという極めた者同士のみが醸し出し得るあ・うんの呼吸の妙は世界映画史上有数の至福感。しかも、それが男と女であるから甘酸っ…
★★★ 1993年4月29日(木) 新世界国際劇場 1作目未見なので比較しようがないが、舞台を家から都市に広げてグレードアップしたが創意は減衰したのだろう。手堅く出来た映画とは思う。しかし、小生意気なガキ俳優に大の大人がケチョンケチョンにやられる展開が虚…
★★★ 1993年5月17日(月) 扇町ミュージアムスクエア 妙ちきりんで浮世離れな冒険マニアの反リアリズムに世知辛い世間の現実が介入する。アンリコのサディスティック視線がバランサーとして機能。レティシアの選択は男前ドロンのヒロイズムを弥増させるが餌にさ…
★★★★ 2003年4月1日(火) ホクテンザ2 60年代冷戦下のスパイものを髣髴とさせる非情さとうら淋しさが巧みに醸し出されている。曇天の欧州各地のロケーションが素晴しいの一語で成功の要因はそれに尽きる。ミスマッチな猿顔マットのウルトラアクションへの違…
★★★★★ 1993年8月27日(金) 第七藝術劇場 転と結は青臭いのであるが、圧倒的な負のベクトルの集積とも言える起と承。カラックスの裂帛の気迫がキャストやスタッフに伝播しトランス状態の主演2人は隔絶世界の住人。借金塗れの大オープンセットを縦横に使い切っ…
★★★ 1993年8月15日(日) 新世界国際劇場 立つ世界の違いが、又人種の障壁が生み出す恋の刹那感。とくれば、これは『ローマの休日』の現代版焼き直しとも思える。監督が今いち巧くないのでしまりがないがカスダンの脚本も主役の2人も良い。特にホイットニーの…