映画感想【ま】
★★★ 2023年7月6日(木) 大阪ステーションシティシネマ10 1980年代は俺の20代の年紀なので世界の政治構図になんてあんまり関心もなかったわけだが、日米に於てはレーガン・中曽根のロン・ヤス蜜月でありイギリスでは鉄の女サッチャーの時代、そして…
★★★ 1999年9月13日(月) MOVIX六甲5 虚構に対するサイバーでメタな構造はクールではあるが、その解読過程をフィジカルなクンフーに委ねる愚劣。挙げ句には情緒的な任侠世界の住人の如く人質奪回の殴り込み。それは、最高沸点として配置されているのだが…
★★ 1998年12月23日(水) シネマアルゴ梅田 荒野の高圧線のペンキ塗りという絵画の旨みまずありきが見え見えで、肝心のドラマはダラに煮え切らぬまま垂れ流される。何より年の差ある男と女の話なのにポスルスウェイト親爺に若い女が惚れるような何も見いだせず…
★★★★ 1997年3月9日(日) テアトル徳山Ⅱ 人は死を間近にすると天使になるのだとしても姉役にダイアン・キートンでなかったら嘘臭さを感じたと思う。製作のデ・ニーロに彼女を推したストリープの慧眼。救い無く娯楽味にも乏しい話だがトップクラスの役者のコラ…
★★★★ 1997年5月24日(土) テアトル徳山Ⅰ オールドハリウッドから綿々と連なる過度な刺激には依存しないアメリカ映画の最良の部分。無垢な少年とは正反な胸毛と出っ腹とヤニと油まみれの加齢臭親爺をチャーミング体現したトラヴォルタに祝福あれ。親爺とは美し…
★★★ 1997年10月19日(日) テアトル徳山Ⅲ 芸能界と警察と新興宗教の3題話が巧くリンクし切れず散漫な印象で、後者2つに絞るべきだったが、そうなると『マルサ』や『ミンボー』と同じになる。そこに伊丹のジレンマがあったのだろう。凝りまくりの江守と伊集院…
★★★ 1997年3月30日(日) テアトル徳山Ⅱ レトロチープなコンセプトはソリッドと対比されてこそ際立つのに、おバカ騒ぎで粉飾して意匠は後退した。バートンはミニマム世界の住人なのだろう。キューブリック並みの巨視的・俯瞰的な破壊のカタルシスは手に負えず…
★★★★★ 2000年3月19日(日) アポロシネマエイト5 日常の営為の中で人は皆悩みを抱えて生きているが、それだからこそ愛おしいのだということを高らかに宣言してるかのよう。寓話的体裁に挟んだ錯綜する数時間という構成の妙もさることながらカメラワークの高度…
★★★★ 1996年4月27日(土) 徳山国際劇場 黒人と白人の乳兄弟という設定は1歩間違えれば、あざとさを免れないものだと思うが、女性をめぐっての2人の確執に納得性と吸引力があり、そういう部分を感じる隙を与えない。2人の役者が良くアクションも相当にハー…
★★★ 2000年4月24日(月) ユナイテッドシネマ岸和田2 NYに戒厳令という圧倒的に魅力的なモチーフがポリティカル・フィクションとして突き詰められることなく竜頭蛇尾に正義のヒーロー&ヒロインの対テロリストアクションに堕していく。鋭さも過激さも全く不…
★★★★ 11月10日(木) シネリーブル梅田3 【ネタバレです】 こういう私小説的な題材の作品をオリジナル脚本で連発する今泉力哉は掛け値なしの才能だと思う。骨子は1つだけ。女房が浮気してるのを知ったのに嫉妬や怒りの感情が湧かないのはなんでだろーなん…
★★★ 1996年7月6日(土) 山口県教育会館ホール 自我のある女を描いてそれなりには見せるものの、抑圧からの解放さるべく訴求されるのが大型テレビというのが如何にも陳腐であり、その為の拝金ストーリーも類型的だ。プライドを捻った『秋菊』以降の物語として…
★★★★ 2000年9月23日(土) ユナイテッドシネマ岸和田8 微妙な臨界線上に位置しているのだが見透かされたような余裕で支持せざるを得ない側に落として見せられた気がする。ボロを出すかと思っても切り抜けてしまう奥の深さはゴダールみたいだ。「人形使い」も…
★★★ 2001年1月20日(土) テアトル梅田2 女2人の愛憎劇なら未だしもだが、男2人が絡んできてのすったもんだに何ひとつ興趣を覚えないのが致命的。今となってのレトロ感が適度に笑えるし、小林のフレームワークも高度に的確だが、増村の語り口の性急なハイト…
★★★★★ 2022年10月11日(火) TOHOシネマズ梅田8 死んだ友への想いが物語を牽引するという点で、一昨年の「佐々木、イン、マイマイン」裏返し女性バージョンと言えるかもしれない。生きてるときは、時にムカついたりもしたけど、もう2度とそいつに会う…
★★★★ 1995年5月27日(土) 梅田松竹 テーマが内包する空疎な執念が作品を覆う陰鬱な空気と化し、刑事同士の確執にまで波及する。非情としか言えないその描写の巧緻。一方で凡するかと思えた萩原と名取の部分の本気度。臭くないのが驚きでさえある。暗くて救い…
★★★ 1995年7月30日(日) 高槻セントラル 驚いて目玉や心臓が飛び出し外れた顎が床に落下し体が何回転も捩れて飛んで行く…カートゥーンアニメの定番ギャグをCG実写で再現。やったもん勝ちだとは思うしまあ楽しめるが結局は気の利いたトレース以上ではない。…
★★★★ 1995年10月8日(日) テアトル徳山Ⅰ 埃っぽい軒先に中年太りのストリーブが現れた瞬間に出来は約束されたと思った。対して男イーストウッドは余裕のワンパターンで返す。全く違うアプローチの2人の役者の激突がエキサイティングとしか言えない素晴らしさ…
★★★★★ 1994年2月27日(日) 新世界国際劇場 新旧織り交ぜた役者たちの演技合戦は初っ端から最後まで間断するところがない。雨の夜の湿った空気が纏わり付き深海の底でのたうつような救いのないセールス。明日が来るのが怖いという絶望を味わった者にしかわから…
★★ 1994年2月24日(木) テアトル梅田2 ミエビユ篇はフランス映画らしい少女期のひとコマをすくい上げた愛らしさがあるのだが、ゴダールの本篇は聖書の現代翻訳というアイデアのみが先行した上、音と映像のコラージュで解体されまくり殆どひとりよがりとしか…
★★ 1994年3月6日(日) 新世界国際 「AV」+「クイーン」+「マドンナ」とイヤがうえでも扇情的期待を煽りつつ、加えて「殺人事件」とくれば、多少はおもろいだろうと言う期待を無惨にも打ち砕くどっちつかずの駄作。製作者コーマンの本質は典型的山師で偶々…
★★★ 2022年7月24日(日) シネリーブル梅田3 半世紀前の1967年作だそうで、チェコの国民的な文学をチェコヌーヴェルバーグの旗手であるフランチシェク・ヴラーチルという監督が映画化した巨篇て労作と言っていいだろう作品。でも、公開されなかったのも…
★★★★ 1994年6月26日(日) つかしんホール 何に拘り何に納得がいかぬのか凡人には理解に難いのだが、その無為とも思える時間が何時しか内実から染み出る「本物」の実体に照射されて輝きを帯びる。これは撮影技法レベルのものではない。寡作の画家を寡作の映画…
★★★★★ 2002年2月26日(火) 扇町ミュージアムスクエア ジャンルの定型に沿ってはいるが、それでもオリジナルだと思った。台詞は生硬で饒舌過ぎるにせよ主人公の少年と担任の教師がそれぞれの価値観で世界に正対してモノを言ってるからであろう。子供たちのキャ…
★★★★★ 2002年3月11日(月) 梅田ガーデンシネマ2 本卦還りとでも言うべき意匠満載のリンチワールドは、しかし予想外に時間と彼岸の境界を明晰に構築する。そして何よりカオスの果てに情念とでも言うべきベタな愛の世界に突入したのが作家としての後退ではなく…
★★ 1994年7月31日(日) ACTシネマテーク 錚錚たる名前が連なるが所詮は内輪のお遊びでベクトルは外を向いていない。新しい玩具遊びに浮かれる前衛芸術家達のお気楽なお遊びに付き合うほど暇じゃない。クレールは何も提示してないし何も支配していない。船頭…
★★★★ 2002年9月26日(木) 扇町ミュージアムスクエア 喪失の恐怖に対し無関心の虚無へ逃避したアントニオーニの対極でオゾンは主人公を事実認識に執拗に駆り立て、結果浮かび上がったのは恐るべき自己中女の実像であったという予想もしない結末。見方によって…
★★★ 2022年5月11日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 日本在留のクルド難民一家を取り巻く色んな問題に切り込む意欲作。ってことだが、この程度ならドキュメンタリー「東京クルド」と「牛久」を見たほうがええんちゃうかと思わせる。って偉そうに言って…
★★ 1993年4月19日(月) 梅田劇場 これだけの提灯持ちに囲まれたお山の大将を演ずるには松村では線が細すぎる。又囲む連中も愚物にしか見えず、それが老年期の黒澤にダブって映画の存在自体さえも老醜の極みである。らしいと言えばらしすぎる遺作。(cinemascap…
★★★★★ 1993年4月26日(月) OS劇場 インディーズ作家が、いきなりこれだけのメガバジェットをきっちり物にしたことに驚愕。巧すぎて商業主義的従属と思わなくもないが、紛うことなきリーの魂の執念には完膚無きまでに打たれる。人は人生で何度かは正面からも…