男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【き】

きみの名は。

★★★★★ 2016年8月29日(月) TOHOシネマズ梅田3 2016年9月11日(日) MOVIXあまがさき1 『転校生』と『時かけ』リミックスとして上出来の前半なのだが、後半の大風呂敷を広げて畳みかけた上に尚畳む疾走感とそれを補完するカット繋ぎのダイナミズム。…

彼奴は顔役だ!

★★★★★ 2024年1月15日(月) プラネットプラスワン キャグニー主演ってことでB級のギャング映画みたいな邦題つけられてますが、原題はバシッとストレートに「Roaring Twenties」=「狂騒(狂乱)の20年代」です。それは第1次世界大戦が終わってドン底から…

キャバレー

★★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 1981年11月1日(日) 関西学院大学5号別館4号教室 ボーイソプラノが扇動するファシズムの勃興を斜眼で捉まえながらの舞台上と袖で交錯するライザとグレイの視線が全てを見透かすかのように錯覚させる作劇のクールネス…

キリエのうた

★★★★ 2023年10月31日(火) 大阪ステーションシティシネマ12 改めて岩井俊二の時間軸を操る脚本構成の力量を感じさせる映画だと思う。「Love Letter」や「ラストレター」でもそれは感じたが、今回は空間的な跳躍が加味される。 大過去の宮城石巻と大阪、中…

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

★★★★ 2023年10月22日(日) MOVIXあまがさき11 「沈黙」以降、スコセッシの映画に何一つ新たな何かを期待してない俺だが、本作はよりによってディカプリオ&デ・ニーロの共演ってこと。それによって新味の欠片もないルーティーンの極みは逆目に転じて…

禁じられた遊び

★★★ 2023年9月17日(日) MOVIXあまがさき3 もはや手垢まみれの「貞子」であるが、3番煎じ5番煎じとも言える似たようなものを創始者である中田秀夫が敢えて出してきた点、それと前作が復調を多少感じさせたことから密かに期待はしていたし、読んだ評…

キングダム 運命の炎

★★★★ 2023年8月27日(日) MOVIXあまがさき9 いったいいつまで続くねんとの思いもあるのだが面白いからまあええやんとも思います。 隣国、趙が攻めてきて主人公の属する秦は迎え撃たねばならない、っつーのが今回の話の基軸だが、映画の前半分は嬴政(…

君たちはどう生きるか

★★★★ 2023年7月18日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 「風立ちぬ」を見たとき、あゝ宮崎駿引退するのか、もったいないなと思ったけど、今作を見ると潮時やなと感じた。良いか悪いかは別として常に予想を裏切って前に進み続けてきた彼の作品で初めて味…

斬る

★★ 19○○年○月○日 ○○劇場 良く言えばファナティックなデカダンスに充ち充ちていると言えるのだろうが、紙芝居めいた底の浅さが致命的で気持ち悪くなってくる。死に場所を求める人生を描いて救いがないのは結構だが描く方にも覚悟が要るということだ。(cinemas…

銀河鉄道の父

★★★ 2023年5月1日(日) MOVIXあまがさき1 大して見たくもなかったのだが見た。 死後にしか評価を得られなかった画家・作曲家・小説家とかはしばしば映画のモチーフになる。彼らは食うや食わずの貧乏人生で世間から置き去られた孤独な生涯を終えるのだ…

ギャンブル・プレイ

★★★ 2004年○月○日 ○○劇場 骸骨めいたノルティと髪型不似合いのカリョの『ルパン三世』的共感は類型的だが、少なくとも前半に関しては『クライング・ゲーム』的裏街道ムードも多少は感じられた。しかし、うっちゃられたような最後はカタルシスの欠片も無く徒…

ギャング対Gメン 集団金庫破り

★★★★ 2023年3月15日(水) 新世界東映 きっと「黄金の七人」にインスパイアされたもんだろ思ったら、こっちの方が2年先であった。石井輝男の作品は多分1割も見てないけど、見た中では1、2を争う出来だと思う。イケてます。 画面の造形がダブルフォーカス…

CURE キュア

★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ1 映画内記憶と精神分析の混合が提示する物語は或る種の居心地悪い剣呑さを纏っていて、作家としての新たな鎧を手に入れた感はあるが、病み人たちに仮託されたそれは、やはり己の内実を曝け出すことに踏み出せぬ表層だと思…

金融腐蝕列島 呪縛

★★ 1999年10月11日(月) ホクテンザ1 『華麗なる一族』の時代じゃあるまいし、こんな大時代な銀行頭取を出す錯誤感覚の一方で絵空事めいた米映画ヒロイン風女性記者。現在認識の決定的欠如だけならまだしもアメリカかぶれの剽窃を直截に日本の風土で成立させ…

黄色い大地

★★★★ 1998年11月7日(土) シネヌーヴォ 孤絶し閉塞された地域社会の一端に風穴を開け清新な風を吹き込めば、やがては変わっていくであろう因習。しかし、風に触れた少女も父親も弟も余りに無力であった。歴史の中に埋没した数多の名も無き弱者への思い。父と…

菊次郎の夏

★★★ 1999年9月18日(土) 新劇会館シネマ2 極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。…

キュリー夫妻 その愛と情熱

★★★ 1999年4月6日(火) 西灘劇場 あたかも教育テレビの連続ドラマの無味無臭さ。ノワレ校長の俗物性の匙加減までもが程良く当たり障りない。素直で丁寧な作りには好感を持てるし安心して見れるが多少は毒気も欲しかった。研究への情熱が連帯を産む世界での愛…

絆 きずな

★★★ 1998年7月11日(土) ホクテンザ1 ブレイク前の青白い殺気がガチで互いを呑んだろか的な役所と渡辺のがっぷり四つの演技の相克が全て。錯綜する展開も中盤までは予断を許さず刺激は維持されるが謎解きを急ぐ終盤できっちりしぼんだ。ありきたりな物語なら…

キッスで殺せ!

★★★★ 1998年11月14日(土) 梅田ガーデンシネマ2 フィルムノワールかと思いきやストーリー展開が後半加速し枠を逸脱していく。原作にアルドリッチが加味した部分はマッカーシズムや核への警鐘というより既成枠を解体したアナーキズムそのものだが、それに意図…

共犯者

★★ 1999年5月2日(日) 新世界東映 題材と竹中主演でどうしたって石井隆映画の文脈延長上で見られる宿命に対して無自覚だと思う。エロティシズムを廃しバイオレンスに新境地を見出そうとしたが垢抜けしないこと甚だしい。唯一キョンキョンが勿体ないくらいの哀…

季節の中で

★★★ 2000年2月19日(土) 梅田ガーデンシネマ1 流行監督的物真似が無いだけましだがオリジナリティも感じられない。一見、心を打ちそうな物語が連ねられてはいるが、新奇さも無く表層的な感じが拭えない。大体カイテルを出したこと自体が相当に胡散臭い。(cin…

救命士

★★★ 2000年3月25日(土) ワーナーマイカルシネマズ東岸和田7 主人公の安らぐ間もない日常と憔悴、その合間に訪れる過去の幻影。2重構造の表と裏が不可分に作用反作用をもたらしクライマックスへと…という『タクシー・ドライバー』的破壊のカタルシスは無く…

狂熱の孤独

★★★★ 2000年3月20日(月) テアトル梅田1 実存主義的懊悩といっても今更の感があるし、それを緻密に描ききれてるとも思えないのだが、ミシねェル・モルガンの節度或る気品と滲み出る女っぷりが説得性をもたらしている。辺境での世捨て感と閉塞状況の刹那がも…

傷だらけの挽歌

★★★★★ 11月27日(日) プラネットプラスワン アルドリッチの中でもあまり言及されない作品だし役者陣も地味である。大して期待せずに見たのだが、驚いたことに傑作だった。 ギャング団に拉致された少女が一味の若者と心を通わせるようになる。っていうとスト…

切られ與三郎

★★★ 2000年8月5日(土) シネヌーヴォ 転落人生を生きざるを得ない与三郎に切羽詰った被虐感は感じられず、折にふれて邂逅を果たすお富との間にも何かありそうで何もないという、何ともすっきりしない話で、何かようわからん。ただ淡路恵子が結構クールで良い…

ギルバート・グレイプ

★★★ 1995年5月6日(土) ACTシネマテーク 逃避願望はあるだろうに在るがままを自然体で受け入れるが如き主人公のキャラが良く清流の如き映画と思ったし、ディカプリオは正味天才だとも思った。ただ、寄りの画がニクヴィストとは思えない甘さで画龍点晴を欠…

ギャラクシー・クエスト

★★★ 2001年3月6日(火) テアトル梅田2 お真面目なリックマンやウィーバーに意外性があるという程度の50年代コメディの無毒性再生利用。以上でも以下でもないから幾何級数的な無限逸脱の破綻スパイラルを望むべくもない。これでは閉じた世界で自足する準オ…

ギター弾きの恋

★★★★★ 2001年5月22日(火) テアトル梅田2 虚構の実人物という『ダニーローズ』以降の得意ギミックが鮮やかに決まり物語は切ない追憶へ昇華される。言葉を失ったアレン版ジェルソミーナは爪弾く調べに笑顔で語るしかない。失って初めてわかる掛替え無い理解者…

ギフト

★★★ 2001年6月18日(月) 梅田ピカデリー3 『シンプル・プラン』にも通底する弱者への慈しみが基調にあり、ケイトの静謐なる佇まいと相まって哀しみに溢れた情感が全篇を覆う。それだけに、オカルティズムはドラマの根幹だとしても、そこに収斂させる作劇では…

黄色い風土

★★★ 2001年7月8日(日) テアトル梅田1 「カイザー・ソゼ」真っ青の真犯人にも驚いたし、前半の如何にも清張らしい構成とムードやリアルな60年代の情景は堪能したが、終盤は展開で語るに疲れ大雑把な日活ニューアクション風味になってしまった。そういった…