男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【き】

Q&A

★★★★ 1991年4月7日(日) トビタシネマ 停滞の80年代を経たルメットの90年初頭に出た快打。であると同時にブクブクに増量したノルティ乾坤一擲の気合いに一気に引き込まれる。単純な善悪論から多重な問題提議に及ぶかに見せ、鯔の詰まりベタに収束させると…

キネマの天地

★★★ 1991年5月25日(土) トビタ東映 オーソドックスで陳腐なスタ誕物語を軸に映画史観を持ち込みたいなら、井上ひさしと山田太一の参画がピンと来ないし山田洋次の題材でもないだろう。微細な機微を描いてこその男が柄でもない社史編纂事業に携わることがちぐ…

ギルダ

★★★ 2007年9月8日(土) OS名画座 『カサブランカ』の裏返しとして、グレン・フォードの冷徹さに惹かれたかに思えたが…ちゃうやん。2人の真情吐露を垣間見せずに強引に引っ張る構成の弱さを、2回に及ぶリタの名曲で何とか補完するという歪な出来具合。ま…

傷だらけの男たち

★★★ 2007年9月29日(土) 新世界国際劇場 アバンタイトルのパノラミックな構成には期待したものの、ラスト10分で一応は氷解するトニー・レオンを軸とした「男と女」と「男と男」の物語を引っ張るには矢張り構成上の難がある。ムードに流れセンチで押すだけ…

キングダム 見えざる敵

★★ 2007年10月13日(土) TOHOシネマズ梅田9 ワンサイドなスタンスをラストの詠嘆で修正しようとするあざとさを割り引いても、冒頭で提示されたサウジと米の歴史が現在に繋がりゆく構造的解明が些かも試みられず陳腐な人質奪回劇に堕していく様に唖然と…

キサラギ

★★★★ 2007年12月13日(木) 梅田ブルク7シアター4 急転直下に推理劇の色彩を帯びるオフ会。観る者をギリギリにかわし続け屋上屋を重ねる脚本が男どもの群像の向こうに「如月」を垣間見せ始める辺り、今一緩い演出を帳消す訴求力。しかも、憎いことに再度男…

キネマの神様

★★★★ 2021年8月16日(月) MOVIXあまがさき1 災厄によって撮影が中断し主演俳優が交代するという経緯が、驚くほど「東京家族」と相似である。そういう、謂わゆるケチがついた成り行きは、得てして創作者からエネルギーを奪い「もうやーんぴ」となりが…

祇園の姉妹

★★★ 1991年11月9日(土) 高槻セントラル 新旧の時代の相克は、いつ何時でもドラマトゥルギーを発露する。ピチピチの山田五十鈴が先輩格の梅村を凌駕しゆく様は典型的オーソドキシー。映画的安住の地平に有る。しかし、同時代に見た人が感じたろう衝撃は最早微…

劇場版 ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束シェイミ

★★★★ 2008年8月3日(日) TOHOシネマズ梅田3 相変わらずの「行けーピカチュウ」には辟易するが、手塚治虫の嫡子とでも言うべきこましゃくれた新キャラのシェイミが良い。そして、列車や船での道行きの思わぬ旅情感。特に船シーンでのポッチャマやシェイ…

木靴の樹

★★★★ 1980年7月9日(水) 大毎地下劇場 在るがままを撮ったのではなく、かなりの部分をクリエイトしてると知れば驚くし、オルミが撮影まで手掛けたと知れば驚嘆以外無いであろう。ミラノへの新婚旅行が類い希なるアクセントになっている。(cinemascape)

儀式

★★ 1990年9月29日(土) みなみ会館 図式的物語に必要欠くべからざる荘厳さと強固な緊張の欠如。SEXと右翼イズムに傾倒する大島の湿った情緒が充満する。バジェットに対する戦略不在がもたらす成島・戸田の最高タッグの最悪の凡庸。河原崎・中村・佐藤が又…

記憶の代償

★★★ 2021年6月20日(日) プラネットプラスワン ジョゼフ・L・マンキーウィッツの初期作品であるが、脇のリチャード・コンテ以外知らない役者ばかりです。 又、ニューロティックと評されているが、主人公の男は精神崩壊するまで心理的に追い込まれてるよう…

去年マリエンバートで

★★ 1980年10月5日(日) 大阪中小企業文化会館大ホール 何が本当で何が妄想なのか…この映画を観たことが妄想だったような気がする。難解は嫌いじゃないが、終始ゆっくりとトロトロ移動するカメラの動きの、はまったツボが俺のレム波動だったのであろうか…。(…

キャラクター

★★★ 2021年6月13日(日) MOVIXあまがさき11 オリジナルシナリオだそうだが、どうも展開がしっくりきません。 筆力はあるんだが良い人過ぎて猟奇ジャンルをモノにできないっていう主人公漫画家の設定は、まんまこの映画の作り手にも当てはまるんやな…

96時間

★★★★ 2009年9月8日(火) TOHOシネマズ梅田10 愛娘脳内占有率98%親爺が文字通り脇目もふらずに駆け抜ける4日間。圧倒的経験値と能力値のもと躊躇や斟酌皆無の驀進。加えて人体に弾丸を撃ち込み刃物で肉を切る行為への同時代的コードをも越境する呵…

キャデラック・レコード 音楽とアメリカを変えた人々の物語

★★★★ 2009年9月16日(水) 梅田ガーデンシネマ2 実話ベースの割に新味なき展開ではあるが、このブルースのガツンとした味わいと、受け止めるブロディの華奢で沈静な風体が絶妙なアンサンブルで、後半の隠し玉ビヨンセのオーラとシンクロする様は刹那な感銘…

キューポラのある街

★★★★★ 1988年8月21日(日) 温泉劇場 左寄りで教条的な世界だが、無関係に弾けまくる少年少女の確信的な瞳の一途さの前では思想など何をか言わんやなのだ。今村流喰えなさの児童映画への理想的投影であり、受けた浦山も堅実。そして、全少年の姉貴願望を焚きつ…

キャバレー

★★ 1986年4月26日(土) 友楽スカラ座 出涸らし的な裏社会ムードだけ映画で悦に入ってるのは角川春樹だけらしいのだが金出してるので誰も何も言えないわけで、そういう我が儘は希に突出した作品を産み出したりもするがきわどい感じで凡庸。茶番劇である。(cine…

木と市長と文化会館 または七つの偶然

★★★ 2010年3月29日(月) 梅田ガーデンシネマ1 箱物振興を打破するメッセージは納得するもエコ帰結の理想主義に鼻白むという、根本的にロメール鑑賞姿勢から逸脱する過ちから逃れ得ない。フェイクドキュのかったるさを反転直撃する終盤の「奇跡」。ただ、そ…

銀河

★★ 1986年3月8日(土) SABホール 恐らく手法的自由度(逆説的にはいいかげん)に於いて『ブルジョワジー』や『自由の幻想』と同位であることに加えて、解読不能なエピソードが多すぎでついていけない。反カソリック=アヴァンギャルドと理解できぬ身には本…

紀ノ川

★★★★★ 1985年8月17日(土) SABホール 有吉原作の母娘ものとして『香華』と比較されると常識的とも言えるが、大河感を醸すノーブルさで圧倒的なまでに秀でている。何より成島東一郎の『古都』と双璧なカメラが絶品で、序盤30分で圧倒する。あとは司・岩下…

キャタピラー

★★★★ 2010年8月27日(金) テアトル梅田1 乱歩的SM世界へ傾倒せず、制度から解き放たれる女性自立映画としても喰い足りなく、多くのテーマは表層で流されるのに、若松は大して拘らず、節目での字幕化されたラジオ戦況放送でリズムを付与し強引に物語を綴…

魚影の群れ

★★★ 1984年2月24日(金) 伊丹グリーン劇場 本来単純な構図の世代間の相克劇の筈が、歪な拘りで男と女の劇に執心し、実際映像に凝縮された内実のテンションもそっちが圧倒的なのだ。緒形と十朱の邂逅シーンの奇跡的達成と反するクライマックスのマグロ釣りのシ…

KISS&KILL キス&キル

★★★★ 2010年12月11日(土) TOHOシネマズ梅田5 申し訳に南仏から発端された物語世界が、結局はご近所戦争的ミニマム世界に限定されちまう半端さも、ヘイグル嬢の熟女的ケツの座りの良さに誘われる不条理の快楽に委ね雲散霧消する心地よさ。ローアングル…

キック・アス

★★★★★ 2010年12月25日(土) テアトル梅田1 少年が感化・触発されても超人になったりせず、あくまで身の丈に合った成長にとどまるのが良い。一方で虚構を担う少女がウルトラサディスティックにヴォーン掌中の男騒ぎを粉砕する。その構図のマゾヒスティック…

キル・チーム

★★★ 2021年1月23日(土) シネリーブル梅田3 実話に基づいてるって重みを加味しても尚、手垢のついた題材。米軍隊内部の腐敗を描いたものは「プラトーン」や「カジュアリティーズ」など枚挙にいとまがない。 しかも、低予算であるから派手な戦闘シーンなど…

キラー・インサイド・ミー

★★★★ 2011年5月7日(土) シネリーブル梅田1 一定の論理に準拠するかに見えつつ結局何が何だかさっぱりと言うサイコの心理的な綾が微妙だし、中庸だがシャレっぽい語り口も微妙。体を張った2大女優の圧倒的エロスは空転し収束される深淵も無い。描かれるべ…

奇跡

★★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター6 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味…

気狂いピエロ

★★★★★ 1983年5月27日(金) 三番街シネマ2 全てのシーンに横溢する哀感はポップな色彩と採光で皮相にも倍加され、縦横で流麗なカメラワークは運動の儚さを照射する。カリーナとの終焉が産んだ男泣きこそ繰り返し模倣され陳腐化していく先人達の遺業の中で断固…

記憶の技法

★★★ 2020年11月28日(土) シネリーブル梅田4 池田千尋。黒沢清の愛弟子にして「クリーピー」や「空に住む」の脚本に参加。 とまあ、パロディアスユニティの血脈を引き継ぐ正統嫡子ということなのだろうが、「スタートアップガールズ」と本作を見た限りでは…