男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【き】

キラー・エリート

★★★ 2024年7月8日(月) プラネットプラスワン 中盤でジェームズ・カーン一派がサンフランシスコのチャイナタウンに亡命台湾人一族を救出に行く件がある。阻もうとする一派とは別に屋上で待ち構えるロバート・デュヴァルと他1人。この構図に「ワイルドバン…

ギヴァー 記憶を注ぐ者

★★★ 2016年4月9日(土) 新世界国際 100回くらい観た感ある管理された未来社会とその中での「これでいいのか俺(たち)」的自我の芽生えを描いてるが、何の新味もござらん。哀しみがあってこその喜びであり苦痛があってこその快楽なのだよという自明の理…

祇園囃子

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ 女を描くと言うより祇園内部の力学構造と、外部との関係性を解き明かす政治性の高い映画だ。 ただ、根本的に芸妓という職業が木暮や若尾が拘る体を売るという呪縛から解かれていたとは思えないので、そんな綺麗ごと言…

奇傑パンチョ

★★★ 2024年6月9日(日) プラネットプラスワン 子供の頃にテレビ放映で「戦うパンチョビラ」という映画を見て、どんな映画かほとんど忘れてしまったのだが唯一覚えているシーンがある。チャールズ・ブロンソンが捕虜を3人ずつ縦に並べて後ろから頭をズドン…

キングコング 髑髏島の巨神

★★★★ 2017年3月26日(日) MOVIXあまがさき10 俺は子供のころ怪獣フリークだったので、テレビの「ウルトラマン」は視聴マストな番組だった。 で、シリーズ中でも「怪獣無法地帯」って話が殊更にお気に入りだったのだ。 おわかりいただけるだろうか…こ…

教授のおかしな妄想殺人

★★★★★ 2016年6月15日(水) 大阪ステーションシティシネマ4 今まで描いてきた「金」を起源とする殺人から動機が「愉悦」の為と純化され映画は内向的に先鋭化する。アレン掌中の若い女子とのあーだこーだの華やぎも2作目エマの絶頂美を得て春爛漫。修羅場と…

貴公子

★★★ 2024年4月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 韓国映画の山ほどあるジャンル・ムービーの1つと別段見る気もなかったけど、監督が「新しき世界」のパク・フンジョンだと知って見た。だが見た結果は随分と迎合的に甘っちょろくなっちまったなー…

ジャン=ポール・ベルモンドの 恐怖に襲われた街

★★★★ 1976年9月5日(日) 伊丹グリーン劇場 アメリカ製ポリスアクションに一歩も引けを取らない活劇の連鎖。飄々とスタントをこなすスターベルモンドが醸す余裕とユーモア。朴念仁的相棒デネとのコンンビネーションの味わい。それらを統べるベルヌイユの演出の…

奇跡の人

★★★★★ 2017年2月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 構成が秀でているんだと思う。 サリバンが到着して初対面で即ガチンコが始まる。 有無を言わせぬ完璧な掴み。 クライマックス。 記号が概念と直結する。 世界の仕組みが一瞬にして明らかになる。 …

きみの名は。

★★★★★ 2016年8月29日(月) TOHOシネマズ梅田3 2016年9月11日(日) MOVIXあまがさき1 『転校生』と『時かけ』リミックスとして上出来の前半なのだが、後半の大風呂敷を広げて畳みかけた上に尚畳む疾走感とそれを補完するカット繋ぎのダイナミズム。…

彼奴は顔役だ!

★★★★★ 2024年1月15日(月) プラネットプラスワン キャグニー主演ってことでB級のギャング映画みたいな邦題つけられてますが、原題はバシッとストレートに「Roaring Twenties」=「狂騒(狂乱)の20年代」です。それは第1次世界大戦が終わってドン底から…

キャバレー

★★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 1981年11月1日(日) 関西学院大学5号別館4号教室 ボーイソプラノが扇動するファシズムの勃興を斜眼で捉まえながらの舞台上と袖で交錯するライザとグレイの視線が全てを見透かすかのように錯覚させる作劇のクールネス…

キリエのうた

★★★★ 2023年10月31日(火) 大阪ステーションシティシネマ12 改めて岩井俊二の時間軸を操る脚本構成の力量を感じさせる映画だと思う。「Love Letter」や「ラストレター」でもそれは感じたが、今回は空間的な跳躍が加味される。 大過去の宮城石巻と大阪、中…

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

★★★★ 2023年10月22日(日) MOVIXあまがさき11 「沈黙」以降、スコセッシの映画に何一つ新たな何かを期待してない俺だが、本作はよりによってディカプリオ&デ・ニーロの共演ってこと。それによって新味の欠片もないルーティーンの極みは逆目に転じて…

禁じられた遊び

★★★ 2023年9月17日(日) MOVIXあまがさき3 もはや手垢まみれの「貞子」であるが、3番煎じ5番煎じとも言える似たようなものを創始者である中田秀夫が敢えて出してきた点、それと前作が復調を多少感じさせたことから密かに期待はしていたし、読んだ評…

キングダム 運命の炎

★★★★ 2023年8月27日(日) MOVIXあまがさき9 いったいいつまで続くねんとの思いもあるのだが面白いからまあええやんとも思います。 隣国、趙が攻めてきて主人公の属する秦は迎え撃たねばならない、っつーのが今回の話の基軸だが、映画の前半分は嬴政(…

君たちはどう生きるか

★★★★ 2023年7月18日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 「風立ちぬ」を見たとき、あゝ宮崎駿引退するのか、もったいないなと思ったけど、今作を見ると潮時やなと感じた。良いか悪いかは別として常に予想を裏切って前に進み続けてきた彼の作品で初めて味…

斬る

★★ 19○○年○月○日 ○○劇場 良く言えばファナティックなデカダンスに充ち充ちていると言えるのだろうが、紙芝居めいた底の浅さが致命的で気持ち悪くなってくる。死に場所を求める人生を描いて救いがないのは結構だが描く方にも覚悟が要るということだ。(cinemas…

銀河鉄道の父

★★★ 2023年5月1日(日) MOVIXあまがさき1 大して見たくもなかったのだが見た。 死後にしか評価を得られなかった画家・作曲家・小説家とかはしばしば映画のモチーフになる。彼らは食うや食わずの貧乏人生で世間から置き去られた孤独な生涯を終えるのだ…

ギャンブル・プレイ

★★★ 2004年○月○日 ○○劇場 骸骨めいたノルティと髪型不似合いのカリョの『ルパン三世』的共感は類型的だが、少なくとも前半に関しては『クライング・ゲーム』的裏街道ムードも多少は感じられた。しかし、うっちゃられたような最後はカタルシスの欠片も無く徒…

ギャング対Gメン 集団金庫破り

★★★★ 2023年3月15日(水) 新世界東映 きっと「黄金の七人」にインスパイアされたもんだろ思ったら、こっちの方が2年先であった。石井輝男の作品は多分1割も見てないけど、見た中では1、2を争う出来だと思う。イケてます。 画面の造形がダブルフォーカス…

CURE キュア

★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ1 映画内記憶と精神分析の混合が提示する物語は或る種の居心地悪い剣呑さを纏っていて、作家としての新たな鎧を手に入れた感はあるが、病み人たちに仮託されたそれは、やはり己の内実を曝け出すことに踏み出せぬ表層だと思…

金融腐蝕列島 呪縛

★★ 1999年10月11日(月) ホクテンザ1 『華麗なる一族』の時代じゃあるまいし、こんな大時代な銀行頭取を出す錯誤感覚の一方で絵空事めいた米映画ヒロイン風女性記者。現在認識の決定的欠如だけならまだしもアメリカかぶれの剽窃を直截に日本の風土で成立させ…

黄色い大地

★★★★ 1998年11月7日(土) シネヌーヴォ 孤絶し閉塞された地域社会の一端に風穴を開け清新な風を吹き込めば、やがては変わっていくであろう因習。しかし、風に触れた少女も父親も弟も余りに無力であった。歴史の中に埋没した数多の名も無き弱者への思い。父と…

菊次郎の夏

★★★ 1999年9月18日(土) 新劇会館シネマ2 極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。…

キュリー夫妻 その愛と情熱

★★★ 1999年4月6日(火) 西灘劇場 あたかも教育テレビの連続ドラマの無味無臭さ。ノワレ校長の俗物性の匙加減までもが程良く当たり障りない。素直で丁寧な作りには好感を持てるし安心して見れるが多少は毒気も欲しかった。研究への情熱が連帯を産む世界での愛…

絆 きずな

★★★ 1998年7月11日(土) ホクテンザ1 ブレイク前の青白い殺気がガチで互いを呑んだろか的な役所と渡辺のがっぷり四つの演技の相克が全て。錯綜する展開も中盤までは予断を許さず刺激は維持されるが謎解きを急ぐ終盤できっちりしぼんだ。ありきたりな物語なら…

キッスで殺せ!

★★★★ 1998年11月14日(土) 梅田ガーデンシネマ2 フィルムノワールかと思いきやストーリー展開が後半加速し枠を逸脱していく。原作にアルドリッチが加味した部分はマッカーシズムや核への警鐘というより既成枠を解体したアナーキズムそのものだが、それに意図…

共犯者

★★ 1999年5月2日(日) 新世界東映 題材と竹中主演でどうしたって石井隆映画の文脈延長上で見られる宿命に対して無自覚だと思う。エロティシズムを廃しバイオレンスに新境地を見出そうとしたが垢抜けしないこと甚だしい。唯一キョンキョンが勿体ないくらいの哀…

季節の中で

★★★ 2000年2月19日(土) 梅田ガーデンシネマ1 流行監督的物真似が無いだけましだがオリジナリティも感じられない。一見、心を打ちそうな物語が連ねられてはいるが、新奇さも無く表層的な感じが拭えない。大体カイテルを出したこと自体が相当に胡散臭い。(cin…