男の痰壺

映画の感想中心です

キングダム 運命の炎

★★★★ 2023年8月27日(日) MOVIXあまがさき9

いったいいつまで続くねんとの思いもあるのだが面白いからまあええやんとも思います。

隣国、趙が攻めてきて主人公の属する秦は迎え撃たねばならない、っつーのが今回の話の基軸だが、映画の前半分は嬴政(=将来の秦の始皇帝です)の不遇時代のお話で、大騎=大沢に中華統一を目指す訳を聞かれて開陳するのがその過去話なのだが、どうもねー、えっそんな理由?あの広大な中国大陸7ヶ国の群雄割拠を平定する根拠が超ミニマムな私情か?って思いました。でも大沢は納得したみたい。そうなん、それならいいけど、と引き下がるしかありません。映画の勢いであろう。

 

1人で何十人も何百人も相手にして戦う。土台ムリ筋のファンタジーだが、「リボルバー・リリー」の感想でも、書いたけど、こういうのはヘタ打てば茶番にしかならない。このシリーズが1作目から、そこを辛うじて免れているのは山崎賢人の身体性とアドレナリンの惜しみない放出の為で、ああ、本当の戦場では、これくらいのハイテンションと運動能力がないと敵陣の中になんて突っ込んでいけないよなと思わされるんです。この喩えが剣呑ならスポーツに置き換えてもいいですけど。何れにせよバカバカしいと思う前に一応は納得させてしまうものがある。

 

アクションの連鎖に帳尻つける決めショットはシンプルな強度を持っていて欲しい。手前に愛之助、奥に飛翔から降下する賢人を捉えた仰角構図は決めショットへの拘りが凝縮された素晴らしいものでした。

 

んなアホなと思う中華統一の薄過ぎ根拠だが余人を寄せ付けぬ大沢の浸り切り演技が納得ならしゃーないとも。少数部隊で何百何千の敵中を突破するファンタジーは山崎のアドレナリンと身体性の前に疑義を粉砕される。正調少年漫画の立脚点に迷いはない。(cinemascape)

 

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