男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【な】

なまいきシャルロット

★★★ 1991年8月3日(土) アクア文化ホール 思春期の女の子の等身大の日常の憧れや反抗や反発や発見をサラリと描く。しかし、サラリとしすぎて余り心に響かない。シャルロットに感情移入する術を持たざる者には、どうということのない映画にしかならない。(cine…

何がなんでも首ったけ

★★★ 1991年10月12日(土) キリンプラザ大阪 素材として甘んじる時代の終焉は皮肉にも銀幕上の彼女の魅力を減失させる。他愛ないことこその映画に何かを付与しようと足掻き混迷に陥った凡作。演技派に転向しようかという過渡期に自らのプロデュースで我が儘放…

浪華悲歌

★★ 1991年11月9日(土) 高槻セントラル 確かに先駆的だったのであろうが、教科書的知識で判断したくはない。ルーティーンそのものの物語に於いても何かしらの凌駕し難い煌めきを保持するのがマスターピースの条件だとするなら、ほとんど無いと言うしかない。(…

夏時間

★★★★★ 2021年5月6日(木) シネヌーヴォX おじいちゃんの実家に帰っての少女の夏休み。 的な遣り尽くされた感のある少女視線の物語とはかなり違っていて、父親とその妹とおじいちゃんという大人の世界も同等に描かれて、世知辛く生々しいのが骨太。 女房に逃…

NINE ナイン

★★★ 2010年3月26日(土) 梅田ブルク7シアター6 微妙な違和感が拭いがたい。デイ=ルイスはフェリーニではなくゴダールな感じだし、ローレンではなくカルディナーレだろうとも思う。別物ならば徹底的にと思うのだ。唯一それが炸裂するハドソンのナンバーは…

長い灰色の線

★★★ 1983年3月1日(火) 伊丹ローズ劇場 フォードの懐旧的情緒は敬愛するに足るし、外様パワーを囲む一家の醸すアンサンブルの良さは否定したくもないが、題材が題材。第2次大戦に対する愛国主義的盲信ぶりには、どうしたって退いた姿勢でしか見ることはでき…

ナチ卍第三帝国 残酷女収容所

★★ 1983年3月12日(土) シネマ温劇 残酷な人体実験が身体的トラウマに起因するという解りやす過ぎる展開が興を削ぐ。もっと訳の解らない人間本来の残虐嗜好を表出させるべきであろう。おそらく『愛の嵐』がもたらしたのであろうC級派生商品の1本。(cinemasv…

楢山節考

★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 従来の今村的人物群像の希釈版羅列に新味が無い。人と動物の性の営みがコミューンで等位に並存するその俯瞰的視座に大して感慨も覚えぬが、それが又TV的平板な自然描写内で尚更茶番化する。『復讐』以前の緒形ならと思わ…

泣く子はいねぇが

★★★★★ 2020年12月18日(金) 大阪ステーションシティシネマ7 ダメ人間かダメなままで終わることをモラトリアムな遣る瀬なさに包んで提示した点で高純度な達成であり、ジャームッシュや山下敦弘の系譜に連なる新たな才能だと思う。 佐藤快磨。覚えておこうと…

夏の嵐

★★★★ 1983年12月22日(木) 伊丹グリーン劇場 ヴィスコンティのマゾヒスティック志向が手法のリアリズムからバロックへの変遷と同期し一大転換点となった。冒頭に持ってきたオペラ観劇シーンが基調を確定し中身に欠ける泥沼の愛憎劇を崇高なまでに高めている。…

ナイト&デイ

★★★★★ 2012年1月7日(土) トビタシネマ 60年代ハリウッド製ロマンス・アクションの最良形での復刻であり、フランケンハイマーを彷彿とさせるアクション演出の重量感も好ましい。そして、白馬の王子願望の成就が行き遅れ感あるキャメロンにより成される現…

浪花の恋の物語

★★★★ 2012年3月24日(土) 新世界東映 戯作者の近松を顛末ウォッチャーとして置いた脚本に大して効果を見出せないので、『近松物語』や『曽根崎心中』の劇的純度には劣ると感じてしまう。ただ、劇場や郭のオープンセットの贅には惚れ惚れし、それを支配する…

ナイトホークス

★★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 髭面が更に暑苦しいスタローンと怜悧なハウアーのカットバックな展開が小気味良いまでに決まった前半の出来は注目に値する。脚本の妙を新鋭マムルースの押さえた演出が倍加させる。ただ後半の個の対決への収斂は世界を矮…

楢山節考

★★★ 1982年9月16日(木) 池田中央第一劇場 遣る瀬無い悲劇味を中和しようとして木下恵介が用いた底浅な様式性がどうにも中途半端で柄じゃない感が横溢している。何だか民芸の舞台でも見てるようで興醒めだ。平易なリアリズムで押した方が底知れぬ悲劇性はより…

夏の秘密

★ 1982年9月19日(日) 伊丹グリーン劇場 たのきん映画ヒットの夢よ今一度…と少女版3人組パンジーで勝負に出た東宝…って言うほど勝負したとも思えないダラな出来。まあ、たのきんみたいな白痴的能天気さを持ち合わせていない普通少女パンジーちゃんにはこれで…

ナオミ

★ 1981年1月13日(火) 毎日ホール ウブな設定のナオミは到底ウブには見えず、又財と知性を付与されたとされるナオミも全然そう見えないという、どっちに転んでも見るべきもの無しであるなら、どうしてこんな出涸らし題材に触手を伸ばすのか。媚びた姿勢と時…

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

★★★★★ 2020年1月31日(金) TOHOシネマズ梅田9 監督ライアン・ジョンソンがアガサ・クリスティに捧げた作とのことであるが、「オリエント急行殺人事件」と「ナイル殺人事件」を映画で見た程度の俺には有難味がわかんない。 ではあるが、これはミステリ…

流されて…

★★★★ 1981年3月16日(月) 梅田コマシルバー システムに順応していても環境変われば瞬く間に適応するポジティヴな本能。見事に図式的ストーリーだが、笑っちまうくらいの明け透けが堪らない。安いズーム使いの醸す大らかな余裕とシニカルで饒舌な批評観。こ…

嘆きのピエタ

★★★★ 2013年6月24日(月) 梅田ガーデンシネマ2 醒めた憎しみを滾らす子と母の予断を許さぬ展開が、近代化が崩壊し行く世相を背景に錯綜と混沌のスパイラルを形成するかに見えた前半。しかし、「愛」を肯定する胡散臭さで一気にトーンダウンする。それが理…

謎解きはディナーのあとで

★★★★ 2013年8月20日(火) 大阪ステーションシティシネマ9 汚点とさえ思われたTVでの役との遊離も、劇画に平伏したクソ演出が功を奏し真面目に見る気を萎えさせマイナス二乗で吉と出た。この緩く賑々しいお祭り気分こそ正調昭和お盆映画の復刻。赤いドレ…

なんとなく、クリスタル

★★ 1981年6月1日(月) 伊丹グリーン劇場 浮気したけどバレなかったよーん的形骸化したものしか残っていないから耐え難い。時代を撃つなり身を委ねるなりをしなければ意味を成さない企画。アイデアも同時代感覚が欠如した松竹の老害体質の露呈。せめて東宝な…

嘆きの天使

★★★★ 2019年11月17日(日) プラネットスタジオプラス1 子供の頃にTV放映で見て、トラウマになるくらいの衝撃を受けた記憶がある。 それから随分と歳経てどうやろかと思ったが、サディスティックなまでの甚振りと嗜虐の怒涛の流れは、まあ、そこに特化し…

夏の終り

★★★★★ 2013年9月14日(土) テアトル梅田2 『浮雲』ほどの虚無感はないが、激情を押し殺し惰性に覆われた無為な年月を描いて細緻である。坂のある三叉路の古式ゆかしい舞台的使用。仰角アングルのパノラミックな多用。満島の毛穴や鼻汗を際立たせるデジタル…

凪待ち

★★★★★ 2019年7月12日(金) TOHOシネマズ梅田5 白石和彌のことを俺は基本的に買っているのだが、売れっ子監督になってバカスカ撮ってダメになるんじゃないかと懸念している。 これは、そういった彼の作品のなかでも、何か傑出したものではないかもしれ…

七つの会議

★★★ 2019年2月5日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 野村萬斎の能の形式がどうしたってにじみ出る時代がかった大芝居に期待するものがあった。 俺は「柳生一族の陰謀」って映画での萬屋錦之助の大芝居が好きで、まわりの役者の日常的な芝居とまったく噛…

ナポリの饗宴

★★★ 2019年2月2日(土) シネヌーヴォ 子供のころに読んだ佐藤忠男著「世界映画一〇〇選」っていう本があって、あまりに繰り返し読んだもんだから、そこに選ばれた100の映画に俺は敏感に反応してしまう。 本作も選ばれており、佐藤先生褒めまくっておりま…

泣き虫しょったんの奇跡

★★★★ 2018年9月8日(土) TOHOシネマズ梅田4 らしくない映画やなと思ったら豊田利晃は奨励会出身のバリバリの棋士出身だそうな。 本当に意外であって、石井岳龍の次世代のパンキッシュ映画の担い手という印象があったから。 だって、平気で新井浩文を直…

ナイル殺人事件

★★★★ 1979年1月2日(火) OS劇場 クスブリばかりを集めたかのような1.5級のオールスター2番煎じものと思って期待もしなかったからだろうが、シネスコスクリーンに映えるエジプトの大景観は正に映画の醍醐味をもたらした。ジャック・カーディフの映画と言…

ナインイレヴン 運命を分けた日

★★★★ 2017年12月16日(土) 新世界国際劇場 今更感がある題材に今更感のある役者。 食指がわかない映画なのだが、存外に良い。 それは、9・11という題材におんぶにだっこじゃないからだ。 ビル内のエレベーターに閉じ込められた5人の確執は、よくあるヒ…

夏をゆく人々

★★★★★ 2015年9月14日(月) テアトル梅田1 姉妹にエリセの父権にタヴィアーニの養蜂にアンゲロプロスの失踪にアントニオーニといった具合に痕跡はあるがシネフィル的小賢しさは無い。少女時代の追憶は客体化され十二分に乾いてるが尚情緒的。フェリーニな祝…