男の痰壺

映画の感想中心です

2023-01-01から1年間の記事一覧

甦る昭和歌謡 vol.30

河島英五 時代おくれ('92松山市民会館)8/8 - YouTube www.youtube.com 1年の締めくくりにこの歌を選んだのは、直近に見た映画「PERFECT DAYS」からの連想もありますが、SNSに媒介されたクソのような承認欲求が跋扈する時代にこの反時代的…

監督のいる風景 相対のリリシズム(デ・パルマ篇)

映画 2023

毎年年末が近づくとこういう1年の総括みたいなこと書いてますが、書くことが新たな年への希望や決意につながっていた時代は過ぎ去り終焉が刻々と近づいているとの虚しさだけが俺の心身を苛んでいく。この虚しさから脱却するには年末ジャンボが当たるしかな…

PERFECT DAYS

★★★★ 2023年12月26日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 「一日2杯の酒を飲み肴はとくに拘らず〜」と河島英五の歌が見てるあいだ脳裏に去来したのだが、ジャームッシュの「パターソン」とおんなじやんとも思ったり。 日々の当たり前の営為の反復を愛お…

ポトフ 美食家と料理人

★★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田1 見た直後は若干の物足りなさを感じたのだが、時間が経過するにつれて主人公の生き様の確かな佇まいと演じたジュリエット・ピノシュの完璧な存在感が惻々と迫ってきて評価を上げました。 貴族階級の食通男がい…

監督のいる風景 相対のリリシズム(キューブリック篇)

VORTEX ヴォルテックス

★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田1 監督/ギャスパー・ノエ、主演/ダリオ・アルジェントとフランソワーズ・リュブラン、題材/老夫婦の認知症、手法/全篇スプリットスクリーン、とまあ語るべきスキャンダリズムがテンコ盛りの映画に思える、の…

ほかげ

★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田2 趣里1本かぶりの映画かと思ってたが違ってたのが予想外であった。そして、それが結果的に物語を客体化して風通しの良さをもたらす。 考えてみれば、塚本映画とは徹頭徹尾に主観の物語であり続けてきたわけで…

監督のいる風景 相対のリリシズム(ペキンパー篇)

kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com

後妻業の女

★★★ 2016年9月9日(金) 大阪ステーションシティシネマ1 熱演天国とでもいうべき双璧の足下でパイオツ揉まれるあさみを尚凌駕する明日香の体当たりに感動するのであったが、所詮ピカレスクもどきと思えるのは軽佻に死を扱う作り手のスタンス。もっと…

ドラゴン怒りの鉄拳

★★★ 1975年3月23日(日) 伊丹グリーン劇場 狂気へ至る男の稚戯めいた変装コスプレと純愛キスが切ない。終盤までは何がどうと言うこともないが、いざ事が始まればオーラに被われた伝説が顕現する。ヌンチャクと回し蹴りのの100年級の耐度。殺陣に関していえ…

怪物の木こり

★★★ 2023年12月17日(日) MOVIXあまがさき8 シリアルキラーVSサイコパスと聞いて「エイリアンVSプレデター」とか「貞子VS伽倻子」とかの最恐対決もんを連想するが、そういうのって大方面白くならないのは、どっちかに見る者の気持ちを仮託させ…

ロブスター

★★★ 2016年10月22日(土) 新世界国際 不条理とは揺るがない条理が確立されている世界でしか成立しない。 カップルであることを強いられることは少し前までは条理であったのだが、作り手世界観の中では不条理であるらしい。 結構な予算を費やした映…

レニー・ブルース

★★★★★ 1975年11月10日(月) 梅田地下劇場 この男は1人で落ちて行くのではなく女も一緒に落ちて行ってくれたからまだしも救われたような気がする。直前までヴェガスのショーガールだったというバレリー・ペリンの圧倒的な存在感が他の同趣向の作品と一線を画…

ペーター・ヘングル Peter Hengl

生年:1983// kenironkun.hatenablog.com

火 Hee

★★ 2016年9月12日(月) 第七藝術劇場 演出家桃井は役者かおりを統御し得たかと言うことだが、この初老の売春婦の自己語りから何ひとつ内実は見えてこない。あるのは彼女のカビ臭い演技プランを垂れ流す「桃井かおり」以上でも以下でもない。反復ギミ…

スティング

★★★★★ 1975年4月20日(日) 伊丹グリーン劇場 1979年7月21日(土) 大毎地下劇場 30年代へのラグタイムに彩られたノスタルジアのモデルを作り、映画史に刻印されるドンデン返しを創作し、性格俳優ニューマンを伝説の領域に押し上げた作品だが、根底に不況下の…

甦る昭和歌謡 vol.29

KUWATA BAND MERRY X'MAS IN SUMMER(PV) - YouTube www.youtube.com 歌を聞けば時代を思い出し、さすればその時代の中で足掻いていた自身の心情も時を超えて昨日のことのように思い出される。 昨年のクリスマスにも、この歌が脳裏に飛来して、止むに止まれぬ…

真昼の欲情

★★★★ 2023年12月11日(月) プラネットプラスワン アンソニー・マンの映画だそうだが全く聞いたこともない作品だった。映画史の底知れない奥深さを思い知ります。コールドウェルの原作ということで「タバコ・ロード」と似たようなダメ一家の話です。 親父か…

ファミリー・ディナー

★★ 2023年12月11日(月) シネリーブル梅田2 なんの手管もなく予想された結末がくる、というなんじゃこりゃな映画である。しかも、全然怖くない。 【以下ネタバレです】 まあ、ふくよかなティーンの女の子が主役であるから、彼女が餌食なのかと思わせるが、…

博徒一家

★★★ 2016年10月22日(土) 新世界東映 自分より能力・人格的に見劣りすると衆目も一致する者が親分になるという跡目相続を描いて「総長賭博」のエピゴーネンだとの声も仕方なにのだが(というより笠原和夫のやっつけ仕事だろう)、これはこれで面白…

ハドソン川の奇跡

★★★★ 2016年10月14日(金) 梅田ブルク7シアター1 惨事に際し冷静な機長はもとより仕事にぶれない熟練の客室乗務員と統御された乗客。躊躇ないフェリー船長や沿岸警備隊員。それらの集積が善意の理想郷を現出させたことが「奇跡」。逆転劇は小噺程度の内実…

ベタシュ・サナイハ Behtash Sanaeeha

生年:1980// kenironkun.hatenablog.com

ジュリエッタ

★★★ 2016年11月5日(土) シネリーブル梅田2 苛まれ続ける女の半生で、そういう主題は珍しくもない。 寧ろ古今東西の名匠と言われる男の作家たちは女を苛み続けて名を上げた。 そして、多かれ少なかれ、その視線はサディスティックな要素を含んでいるもので…

星の王子さま

★★★ 1975年12月21日(日) 伊丹グリーン劇場 王子さまとパイロットに関しては精一杯原作の挿絵のイメージをなぞってるにすぎないが、ラーナーの楽曲にドーネンの演出という50年代ミュージカル体質とボブ・フォッシーやジーン・ワイルダーの70年代ダンス…

戸田彬弘 Akihiro Toda

生年:1986/08/16 kenironkun.hatenablog.com

映画 「聲の形」

★★★★ 10月16日(日) MOVIXあまがさき11 2016年。数年来のジャンル映画の新たな潮流から産まれたメルクマールとして「溺れるナイフ」と並ぶ。 ジャンルとは即ち、「オタクアニメ」と「少女コミック」。 後世もしかして、これらは、日活ロマンポルノに…

ジェイソン・ボーン

★★★★ 2016年10月17日(月) 大阪ステーションシティシネマ2 全部思い出したって本質何も変わらんし最早何が何だか珍糞漢糞なモンタージュが笑えるレベルなのだが、それでも冒頭ギリシャシークェンスでの喪失が串団子形式の単線構図に哀切のロマティシズムを…

偉大なるマッギンティ

★★★★ 2023年12月10日(日) プラネットプラスワン プレストン・スタージェスの監督デビュー作だそうだが、展開のスピード感と平気でジャンルをドテンするよな思い切りは最初からだったんですね。ただ、思い切り良すぎて語るべきものも切り捨ててしまった感が…

お父さんと伊藤さん

★★★★★ 2016年10月10日(月) 梅田ブルグ7シアター7 見栄や偏見や妬みといった感情に左右され俺たちは生きているのだが、そういう社会的関係性を削ぎ落としたっていいじゃないかとさえ思える我欲の無さが好ましいとか好ましくないとかでなく厳然と自然体で…