男の痰壺

映画の感想中心です

焼肉ドラゴン

★★★★ 2018年6月28日(木) TOHOシネマズ梅田9
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あの親爺にあの女房で…
美人すぎるやろ!3姉妹
ってお互いの連れ子やったんやな…あり得るか…ってあり得んやろ、やっぱ。
 
冒頭の井上真央の啖呵の切れに驚いた。
いやあ、極妻リブートするなら、主演、絶対井上真央やわ…とひとりごちたが、以降おとなしめに。
 
切り口の多い物語で、1970年の万博。伊丹空港の隣接地域(豊中か?)。
この2点は大きく俺自身とかぶる。
1970年。俺は9歳。万博には2回行った。
家は伊丹。空港とは豊中と反対側で隣接する市。
であるから、映画をみながら、どうしたって少年時代とかに思いをめぐらせる。
でも、そんなこと映画の評価と関係ないのである。
 
3姉妹とそれぞれの彼氏とのすったもんだ。
末っ子の長男の受ける在日ゆえのイジメと彼の自殺。
多くのエピソードが連なる。
が、結局はこの物語は、父、キム・サンホが語る自分史&在日史&朝鮮史に収斂されていく。
この長い述懐は極めて感動的で、あらためて在日ということに留まらず生きていくってことの問いと解を見つめなおすきっかけとなるであろう。
 
鄭義信の演出は、決して巧いとは思えないのだが、やはりこれだけはの想いがあったのだろう。
韓国キャストと日本キャストの混在が違和感なく馴染んでいた。
 
美人3姉妹を軸とする物語は当然に男どもを呼び寄せそこに軋轢が産まれるし在日の被虐はときに悲劇へ繋がる。それでも高度成長下の日本で幾許かの希望を持てた時代への懐旧。自己史と家族史、在日史と半島史を述懐するキム・サンホに全ては収斂するのだ。(cinemascape)