映画1956
★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ けっこう振り切れてる話なのだが、枝葉末節が多すぎてぼけてるのが惜しい。 主人公の清純なウェイトレス(有馬稲子)が2段階の変貌を遂げる。 仲代達矢のチンピラに目をつけられ強姦まがいに犯されるのだが、やむなく…
★★★ 2016年2月28日(日) シネヌーヴォ ドン詰まりの片想いが狂気にまで至るドロドロ展開は市川の嗜好と真逆。それでも一応は物語を成立させようとはしてるが、さらっと系の淡島では情念の業が出し切れない。蛆虫食いの没落商人や托鉢僧となった教授といった…
★★★ 1974年9月8日(日) 伊丹グリーン劇場 義兄弟間の確執は解っても所詮はユダヤの本質は理解し難い。半分が俺第一の10戒律の独自裁量で上げ下げされるヘブライ人はいい面の皮だ。見た当時はひたすら紅海が割れるシーンのみ待ち続けたが今見たら多分エキス…
★★★★ 1980年7月12日(土) 毎日文化ホール 人の営為なんて苦難続きなのだが、問題を若干は解消し大半は折り合いつけ生きていく。そして、ささやかな未来への展望に安堵するのだ。少年の真摯や姉の憂いや兄の反抗や母の慈愛が錯綜し軋轢が生じるが親爺はギター…
★★★★ 2016年6月7月2日(土) プラネットスタジオプラス1 釈然としない入れ替わりシステムだが気にする間もない簡潔なテンポ。難を逃れた翌朝の街の広場の俯瞰ショットが良い。ロングのみのワンショットの長回しが街の変容を怜悧に映し出す。総じてマスの人…
★★★ 1998年7月25日(土) 扇町ミュージアムスクエア サスペンスとして上質とも思えぬ地味で栄えない映画だが、初期ロージーの初々しい技巧派振りの片鱗は窺える。フレディ・フランシス撮影による、これでもかとばかりの鏡使いまくり演出が微笑ましい。それが、…
★★ 12月16日(金) 大阪ステーションシティシネマ6 はるか昔TV放映で見て子供心におもんない思ったのだが、その後これが東宝特撮映画の中でも秀でた作品として評価されているのを知って機会があれば見直してみたいと思っておりました。 で、今回見てやっ…
★★★★★ 1995年5月21日(日) ACTシネマテーク 豊穣な時代のあとの斜陽の鈍色の残光。山田・栗島の放つ黴た残り香と新たな世代岡田・高峰の香しき風。その絶妙なアンサンブル。廃れてゆくことへの諦念は美しきかな。そして、微かにせよ息づく新たな時代への希…
★★ 1995年1月28日(土) ACT活動写真館 女をめぐっての兄弟喧嘩が生な感情を表出せず鬱屈するジメジメ感は、中平のキザな技巧のもとで湘南の陽光とこれ見よがしに対比される。慎太郎描く無軌道の耐えられない軽さ。キザの相乗効果は哀しいことに枠内で安住…
★★★ 2002年9月9日(月) 高槻松竹 ピークを迎えた女優と忘れられクスブってる女優を、その通りの配役で使う冷徹さが溝口の溝口たる所以だったのだろうが、京と若尾の挿話は図式的で木暮と三益の部分が胸に沁みるのも溝口だったからこそとも言える。(cinemascap…
★★★ 1992年2月9日(日) 日劇シネマ 些細な兆候とかほころびなら小津の範疇であろうが、ダイレクトに不倫だと相変わらずの確固たる筆致ではあるが描くに持ち駒が足りない感じだ。何だかこそばゆく恥ずかしい。それが良いと言われればそうも思うのだが。破れ鍋…
★★★★ 1992年9月20日(日) シネマアルゴ梅田 アクターズスタジオを経たモンローの転換点。彼女の表情に窺える疲労感が狂騒的でステロタイプなハッピーエンドストーリーとミスマッチを起こし物語とは遊離した悲哀感を醸し出す。その瞬間が堪らなく愛おしい。(ci…
★★★★ 1992年11月15日(日) キリンプラザ大阪 都会と田舎を往還する展開なのでメリハリが効いている。雑然とした都会ベナレスの描写に活力が溢れ脱田舎に目覚めるオプーの心情が極めて共感し得るものとなったが、そのテーマに新味は無い。しかし、ラストは矢張…
★★★★ 1991年2月17日(日) ルネサンスホール 守旧派の姉や成り上がりの使用人が時代の変転を形成するが、彼女は流れに身を任せ穏健なリベラリズムを貫く。この長大な年代記をテーラーは完全に背負う。差別感情が引き起こすバーガー屋での喧嘩にジュークボック…
★★★★ 1986年2月23日(日) 花月シネマ シナリオが設定した極限の駄目キャラエディ・アルバートに拮抗するパランスのオリジナルな役者力。『ヴェラクルス』から来し『北国の帝王』に至る男ガチ劇の線上で、しかし、外された感のある終盤。それが、詠嘆の作劇の…
★★★ 1986年2月23日(日) 花月シネマ 複数視点からの反復叙述という技法の先駆性。時間芸術としての映画の最大有効活用法の発見。そのアイデアは最高だが、後のキューブリックらしい豊穣を極限まで刈り込む贅からは遠い。役者のショタレ感にも侘びしさを感じた…
★★★ 1985年6月23日(日) 友楽スカラ座 ヒッチの技法は、どっちかと言うと物語に従属し映画的快感に乏しい。何より主題歌「ケ・セラ・セラ」が屹立した存在感を示す終盤は技巧に耽溺した作家があっけらかんと1音楽に隷属してしまう様が一種歪で異様でさえある…
★★★ 1982年8月14日(土) SABホール 商業的ライティングを度外視しても伝えたいものがあったことは確かなのだろうが、映画的カタルシスは終局にしか存在しない。地下水道の描写は息苦しいまでに凄惨だが…それだけ。自戒史ならせめてもロマンティシズムくら…
★★ 1982年8月13日(金) SABホール どうにも視野が近親相姦的に内向きに閉じているので希望が無く息苦しいし、トリッキーな作劇を凝らしている割には錯綜がロジカルに紐解かれる醍醐味も薄いのだ。何より社会主義的プロパガンダ臭が濃厚であり、それが迎合…
★★★★★ 2015年5月17日 シネヌーヴォ 断片の集積で小さな世界の混濁と無常を余すことなく描いた脚本が素晴らしいのだが、それでも東宝的微温庶民掌話になりかねぬところを成瀬のニヒリズムが全篇呪縛のように覆い痛烈。結果小粋なラストも輝く。カメラも良く同…