男の痰壺

映画の感想中心です

映画1959

最高殊勲夫人

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ この時代のサラリーマンってのは、高度成長を背景に我が世の春を謳歌してたんでやんす。 男も女もとことん前向きっす。 すぐに求愛するし、振られてもメゲないし、2股3股当たり前だし、競争大好きだし。 陰々滅々と…

いとこ同志

★★ 1999年8月21日(土) 神戸アートビレッジセンター コンセプトと帰結は文句無いがサディズムが不足で余りに温い。こういう状況で当然にフィーチャーされるべき「孤独」や「疎外感」や「絶望」は女を寝取られたという在り来たりな嫉妬心に置き換えられる。物…

★★★ 1995年4月2日(日) シネマヴェリテ 古都京都の閉塞感を背景に隠微な世界を展開するコンセプトは宮川の完璧な撮影を得て成功しているが、どうしたってモロな描写が無しでは成立しようがない世界。結果、曰くあり気な訳解んない空疎が延々と続く。仲代と叶…

危険な関係

★★★ 2003年1月15日(水) シネリーブル梅田2 退廃に身を沈め愛を弄ぶ極悪カップルが垣間見せる純情(涙や心からの笑顔)が物語を有機的に転がしていかないのがもどかしい。ローアングルを駆使した演出はところにより結構冴えるのだが生気無いフィリップがモロ…

お早よう

★★★ 1992年2月16日(日) 日劇シネマ プチブル世界に傾倒した後期小津作品の中で何故か子供が主役で且つ庶民を描いた本作は戦前の作品への回帰を試みたように思える。しかし、そのスタイルへの保守偏狭な意固地さが子供本来の伸びやかさとの間でぎくしゃくした…

人間の運命

★★★★ 1992年12月6日(日) 大毎地下劇場 故郷に残した妻子への思いと悔恨は巻き込まれた戦争の変転の中で瞬く間に後方に退くだろう。それを強いる過酷さと切り抜けた果ての圧倒的絶望と再びの希望は生きるってのは正にこういうもんだと思わせる。意外なまでの…

お熱いのがお好き

★★★★ 1991年5月27日(月) シネマアルゴ梅田 巧緻なパロディを織り交ぜた高品質な喜劇映画とは納得するが、キワどい題材だけに「高品質」であることが物足りなくもある。ラストも破壊的とまではいかない。ただ、何と言ってもモンロー!彼女のオーラだけはエタ…

独立愚連隊

★★★ 1991年8月25日(日) 日劇会館 やさぐれ者たちの吹き溜まりにしては刹那感に乏しい。まあコメディなのだから言っても始まらないのだが、喜八のスタイルが既に完成されてるだけに惜しく思える。唯一三船の使い処だけは傑作なセンス。心から笑えたのは残念な…

ベン・ハー

★★★ 1990年3月24日(土) 朝日会館 ガチンコ憎悪と裏返しの愛情物語の背景に雌伏する聖者伝説が前面に出てくるにつれ胡散臭さにテンションが下がる。前半の書割背景のガレー船エピソードが凡庸なのに戦車競走シークェンスは巨大セットの壮麗とリアル撮影が相見…

獅子座

★★★★ 2021年7月15日(木) テアトル梅田2 【ネタバレしてます】 なんでもシャプロルが資金提供したらしいが、どういう因果かこれは「いとこ同士」逆バージョンみたいなもんで、あちらが真面目な貧乏人は所詮は負け組なのよと世知辛い現実を突き付けるのに対…

大人は判ってくれない

★★★ 1990年9月1日(土) 京都コマゴールド 不良少年ものとしての殊更な刺激があるわけではない。教条主義の裏返しな親や社会への反動もベタついた甘えもない。そういう旧来のドラマトゥルギーを否定し少年期特有の快楽追求の生理を描くことに特化。レオの発見…

人間の條件 第三・四部

★★★ 1985年8月25日(日) 梅田松竹 「第1部」も「完結篇」も兎にも角にも上映時間の終盤へ向けて感情ボルテージが高まる配慮が為されているのだが、幕間つなぎ的に小エピソードで繋いでいく本作は矢張り中だるみの一篇と言わざるを得ない。(cinemascape) keni…

人間の條件 第一・二部

★★★★ 1985年8月24日(土)~25日(日) 梅田松竹 馴れ合えばいいものを組織の中でモラルと正義を貫くということは、裏返せば我を通すということである。それが如何に絶望的に困難な道程であるかを執拗に描き続ける9時間作の初篇で又烈迫の気合いが漲る大陸もの…

北北西に進路を取れ

★★★★★ 1984年12月1日(土) 梅田ロキシー メイソンアジトや国連本部の偏執的直線造形はグラントの緩さでバランスを取らねばキツすぎる。マクガフィンのみで成立した究極のカスムービーは強固な確信で純粋映画領域へ突入。しかし、真の驚愕は非スタジオでの複葉…

野火

★★★ 1982年5月26日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 「神」を切ったのは一見英断に見えるが、ならば新たな何かを付与するか残されたもの透徹させるしかない。考え得るのがカニバリズムだが表層的である。どんなジャンルも料理して見せるという夫婦茶碗の奢…

甘い生活

★★★★★ 1982年11月8日(月) 梅田ロキシー 1960年の今を描きながら典雅で絢爛たる古典の風格をも持つ。時空の狭間から現出した異次元空間の如き狂騒世界はやがて彼岸との境界線上に至るが生ある者は戻るしかない。その図式的展開の強固なパワー。何十時間で…

愛と希望の街

★★★★ 1981年6月20日(土) 今津文化 1983年12月11日(日) 伊丹ローズ劇場 殊更に斬新な主張があるわけでもないのだが、それでも別格的な印象を受けるのは、作り手の強固な意志の存在が抜きんでているからだ。人間感情の曖昧なロジックではなく幾何学的論理性の…

殺られる

★★★ 2019年1月20日(日) シネヌーヴォ 前置きなしで、いきなり渦中に投げ込まれる。 そういう意味でタイトな作りである。 冒頭で「フランスでは年間で数千人の処女が失踪する」みたいなテロップが流れる。 で、夜な夜な遊びに出かける恋人をつけた彼氏が巻…

浮草

★★★★★ 2018年10月28日(日) シネヌーヴォ 聞きしに勝る傑作である。 舞台袖から良人の愛人である杉村春子を見る京マチ子の眼光。 もともと目力の女優ではあるが、凄みがそんじょそこらではないのだ。 ワンショットにかける気合の熱量が、やっぱ小津はケタ違…

男の子の名前はみんなパトリックっていうの

★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 なんというか、まあ、スケコマシ野郎の掌話であります。 これを、「いとこ同志」で同じような役を演ったジャン=クロード・ブリアリがお手の物で演じる。 2股かけられたルームメイトの女の子2人は3股…